黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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3話 カルマの時間

5時間目の体育にて。

 

「今日から、体育の授業では俺が教える。そして、これからは体育で、本格的な暗殺の訓練を行

 

う。」

 

烏間先生が体育を教えるのか。まあいいだろう。殺せんせーの体育は異常だった。

 

マッハ20の自分に合わせた動きを要求してきたのだ。

 

それに暗殺訓練もやってみたい。また一つ、楽しみが増えた。

 

「15,16,17」

 

ナイフを振る掛け声が響く。俺たちはナイフを振る反復練習をしていた。

 

まずは基礎が大事だという。

 

すると、

 

「烏間先生、こんなの意味あるんすか?」

 

と前原が言った。

 

「暗殺において基礎は最重要だ。無意味だと思うのなら、俺にナイフを当ててみろ。

 

一度でも当てたら今日の訓練は終わりだ。二人でかかっていいぞ。」

 

「じゃあ、行きます。」

 

磯貝と前原がナイフを振るう。その全てを烏間先生はかわした。

 

そして、最後に二人の足を払った。

 

「この様に、多少の心得があれば、素人二人のナイフ位ならかわせる。

 

俺に当てられないようなら、マッハ20の奴には到底当たらないだろう。

 

見ろ、奴はこの攻防の間に砂の大阪城を築き、着替えてお茶も飲んでいる。」

 

なんか腹立つ...

 

その後、全員がナイフを当てる訓練をしたものの、誰も当てられなかった。

すると...

 

赤髪の少年が向こうに立っていた。

 

「カルマ、あいつもいるのか。ますます面白そうだ。」

 

カルマは俺の旧友だ。昔は二人で暴れ回っていたな。

 

「君が赤羽業君ですか、停学明け初日から遅刻とはいけませんねえ。」

 

「ごめんごめん、寝坊しちゃってさー。カルマって呼んでよ俺の事は。

 

よろしく、殺せんせー。」

 

カルマが手を差し出す。

 

殺せんせーが触手を差し出す、すると...

 

 

殺せんせーの触手が溶けた。

 

「すげー、手に貼り付けてみたんだけど、本当に効くんだこのナイフ。

 

けど殺せんせー、 ビビりすぎじゃね?先生もしかしてチョロい人?」

 

殺せんせーが顔を赤くしている。怒っている時の顔だ。

 

「ねえ黒崎くん、カルマ君ってどんな人?」

 

「1年の頃同じクラスだったんだが…、

 

あいつは俺と同じで暴力事件で停学。昔はよく二人で暴れ回ったよ。

 

あいつは喧嘩と悪戯、特に凶器と騙し討ちの基礎なら群を抜いている。

 

けどなんでみんなそんなに驚いてるんだ?握手中にダメージ与えるんなら、

 

俺もやったじゃん。」

 

「それが黒崎くんだけだからだよ。」

 

「あいつはE組の中でも有数の暗殺力がある。素行不良だけど、この中じゃあ優等生さ。」

 

「けど、あいつ、前となんか違う。あんな捻くれてたか?」

 

一方、殺せんせーを視界に捉えるカルマ。

 

「逃げないでよ殺せんせー。殺されるってどう言うことか、ちゃんと教えてあげるから。」

 

その目はまっすぐと、黄色の超生物を見つめていた。

 

次の日の小テストにて。

 

殺せんせー、壁にパンチしている。一体何があった?

 

「殺せんせー、カルマにおちょくられてイライラしてるな。

 

触手柔らかすぎて、あんまり効果ないけど。」

 

ぷにょんと虚しい音が教室にこだまする。カルマに煽られてイライラしているのか。

 

「ぷにょぷにょうるさいよ殺せんせー!テストに集中できないでしょ!」

 

挙句の果てに怒られる。

 

そんな中、寺坂達3人組がカルマを煽る。

 

「よおカルマ、あの化け物怒らせたらどうなるか知らねえぞ?」

 

「まだお家にこもっていた方がいいんじゃない?」

 

「殺されかけたら怒るの当たり前でしょ、しくじってビビって結局ちびった寺坂じゃあるまいし。」

 

「んだと!」

 

寺坂が机を叩く。

 

「そこ、テスト中です。静かにして!」

 

自分の触手に言い聞かせて欲しいセリフだな。

 

「ごめんごめん殺せんせー。ジェラートでも食って大人しくしてるよ。」

 

カルマはジェラートを食っていた。

 

「カルマ君、どこで買ったんですか?」

 

「この財布で。」

 

「こら、カルマ君、それ先生のです。返して下さい!」

 

「返したらどうすんの?処分する?」

 

「いいえ、先生が残りを食べます。」

 

「こっち来なよ、そしたら返すから。」

 

殺せんせーがカルマの方へ向かうと、床には大量の対先生弾があった。

 

「にゅやっ!」

 

殺せんせーの触手が溶ける。

 

「何度でもこういう手使うよ。授業の邪魔とか関係ないし。

 

それが嫌だったら、俺でも俺の親でも殺せばいい。

 

でもそれをやった瞬間、誰もあんたを教師として見なくなる。

 

あんたはただの人殺しのモンスターに成り下がるのさ。」

 

殺せんせーに、割れた瓶を突き付け言うカルマ。

 

「俺帰るよ、テスト終わったし。多分それ満点。」

 

カルマはそう言い残して帰った。

 

その後。

 

カルマのもとへ渚と俺が行く。

 

「カルマ君!」

 

「やあ渚君。久しぶり。それでさあ、殺せんせーって、どんな人?

 

情報集めてるんでしょ、渚君。なら詳しく知ってるかなって。」

 

「う、うん、マッハ20の黄色いタコみたいな生物。

 

テンパるのが意外と早くて、カッコつけるとボロが出る、器の小さい人。」

 

「へえー、それでさあ、殺せんせーって、タコって呼んだら怒るかなあ?」

 

「逆だと思うよ、自画像タコだし、この前なんか砂場に穴掘ってタコ壺っていう一発ギャグしてたし。」

 

「そう、あ、すっげーくだらないこと思いついた。」

 

…カルマがそう言う時は、大抵ロクな事がない。今度は一体何が起こる?

 

するとカルマは帰り際こう言った。

 

「普通の人間じゃないことがちょっと残念だけど、

 

ちゃんとした先生を殺せるんだ。最高だよ。前の先生は、勝手に死んじゃったから。」

 

そう妖しく微笑むカルマの横を、電車が通り過ぎていく。その時、彼の髪が大きく揺れた。

 

翌日

 

殺せんせーが教室に入ると、机にタコが置いてあった。

 

「あ、ごめーん、殺せんせーと間違えて殺しちゃった。捨てておくから持ってきてよ。」

 

あたりがざわつく。それはそうだ。こんな反抗的な暗殺は珍しい。

 

(来いよ殺せんせー。身体を殺すのは今じゃなくていい。まずは心から、じっくり殺してやるよ。)

 

しかし、殺せんせーは何やら取り出した。

 

「見なさい、この自衛隊からくすねたミサイル、先生はね、暗殺者を決して無事では返さない。

 

暗殺者の錆びた刃をピカピカに手入れするのが先生の仕事。カルマ君、今日1日、

 

君の刃をピカピカにして差し上げましょう。」

 

そう宣言する殺せんせー。

 

「カルマ君、その様子では、朝食を食べていませんねえ。

 

これで、健康優良児に一歩近づきます。」

 

殺せんせーはカルマの口にたこ焼きを放り込んだ。

 

「あっつ!」

 

カルマは面白くなさそうな顔をしていた。

 

その後もカルマの暗殺はことごとく失敗した。

 

例えば調理実習。

 

「うーん、なんか足りないんだよねー、」

 

と悩む不破の班。

 

「ふーん、じゃあ最初から作り直そうか。」

 

と言って鍋を殺せんせーにかけようとするが、殺せんせーにエプロン姿にされた。

 

国語の授業では…

 

「赤がえるはまたも失敗した。そろそろ私は退屈し始めていた。」

 

教科書の文なのだがまるでカルマの事を言っているよう。

 

銃で殺せんせーを撃とうとするカルマ。しかし、

 

「カルマ君、銃を抜いてから打つまでが遅すぎます。」

 

暗殺はことごとく失敗した。

 

放課後

 

「分かっただろう、お前は確かにこのクラスで暗殺が一番上手い。

 

だから先生の不意を突いて触手を破壊出来た。だけどな、一回マークされたら

 

無理ゲーだよ。あのマッハ20のタコには。今日は諦めて、もう一回出直せ。」

 

「やだね、変なとこで勝手に死なれるのが一番むかつく。必ず殺るよ、俺の手で。

 

先生って生き物をね。」

 

あいつは暴力事件ばっか起こしてた。だけど一度も停学さえ食らわなかった。

 

あいつは成績が良いから、担任に依怙贔屓されてた。だがE組の生徒をかばって

 

A組の生徒を懲らしめた。そこであいつの担任は手のひらを返したようにあいつを責めた。

 

だからE組行きになった。要は俺と同じだ。だがあいつはそれを機に教師不信になった。

 

だからあんな歪んだ暗殺をしているんだ。

 

「ヌルフフフ、今日はたくさんお手入れされましたねえ。まだ暗殺しても良いんですよ。

 

その度にお手入れしますから。」

 

そこに現れる殺せんせー。

 

「殺せんせー、一つ訊いていい?」

 

「何でしょうか?」

 

「殺せんせーは先生だよね、先生だったら、生徒を命懸けで守れる?」

 

「もちろんです。」

 

「そっか、なら、殺せるよ。」

 

そしてカルマは、微笑みながら崖から飛び降りた。

 

カルマを見捨てれば先生として死に、、助けようとしたら撃たれて死ぬ。

 

確かに、効果的な暗殺だ。

 

(さあどっちを選ぶ?どっちにしろ、あんたは俺の手によって死ぬ。

 

そいつに絶望したら、俺の中でそいつは死んだも同然だ。)

 

...けれど、そんなのが効くほど、あのタコは甘くないさ。

 

殺せんせーはカルマを触手で受け止めた。

 

「先生、ちょっとネバネバしてみました。見捨てるという選択肢は先生には有りません。

 

いつでも信じて飛び降りて下さい。」

 

そう微笑む殺せんせー。

 

「参ったな、こりゃ殺せない、少なくとも、先生としては。

 

でも、殺すよ、明日までに。」

 

「健康的で爽やかな殺意。正解です。」

 

こうして、カルマは先生に身も心もしっかりお手入れされた。

 

ま、良かった。あいつが元に戻ったなら。

 

「じゃあ渚君、黒崎、帰りなんか食べてかない?この財布で。」

 

「にゅやあ!それ先生の財布!勝手に使わないで!」

 

うーん、やっぱり変わってないか。

 

だがそれが赤羽カルマだ。どうしようもない。




次はビッチ先生登場です。

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