黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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ようやく今後のプロットが出来上がりました。茅野編ともう一つ入れるオリジナルストーリー以外何にも考えてませんでした…

ああ、夏休みが終わり学校が始まった。憂鬱…


66話 期末の時間 2時間目

場所は理事長室。五英傑と理事長が対峙していた。

 

「理事長、僕らは勝利に全力を注ぎ込みました。結果に満足しています。」

 

そう宣言する浅野。

 

「接戦にはなりましたが、彼等にも優れた戦略があった。」

 

しかし、理事長はそれを真っ向から否定した。

 

「違うね、相手は飲食店だ。悪い噂を広めるのは簡単だ。

 

食中毒でも起こせば、客足は激減するだろうね。」

 

(…食中毒って、E組のメシに毒でも入れろと!)

 

「…理事長、貴方の教育は矛盾している。理由は分からないが、E組はこの1年間で

 

飛躍的に力を伸ばした。癪だが、僕自身も成長を感じている。

 

強敵やてし…仲間がいたからこそ成長出来た。」

 

浅野はそう語る。彼なりに敗北から学んだ結果なんだろう。

 

「今手下と言いかけただろ。」

 

「弱い相手に勝ったところで強者にはなれない。それが僕の考えであり、

 

それは、貴方の教えてきた道とは違う。」

 

そう言って、浅野は理事長の教育を否定した。

 

しかし…

 

「…なるほどね。それでは浅野君、3分ほど席を外してくれないか?

 

お友達の4人と話したくて。なあに、ちょっとした雑談だよ。」

 

(何のつもりだ?)

 

浅野は訝しむ。だが、

 

「構わないよ浅野君、3分くらいなら。」

 

榊原がそう言って浅野の肩を叩く。浅野は仕方なく席を外したのであった。

 

そして3分後、

 

(もうそろそろ3分経つが…)

 

すると部屋から4人が出てくる。

 

「蓮、瀬尾!」

 

不審に思い駆け寄る浅野。

 

しかし、彼等の様子は、先程とは変わり果てていた。

 

「E組殺すE組殺すE組殺す…」

 

その言葉だけを繰り返し呟く4人。浅野は理事長を睨む。

 

「なあに、ちょっと憎悪を煽ってあげただけだよ。

 

君の言う縁なんて、すぐに崩壊する。私が教える強さとは、そんなものじゃない。

 

私が出るしかないようだね。期末テストは私が取り仕切る。」

 

浅野はただ、その場に立ち尽くしていた。

 

場所は変わりE組の教室。

 

「さあ、今度は学の決戦。2学期の期末テストです。

 

全員50位以内に入り、堂々と本校舎復帰の条件を満たした上で、

 

堂々とE組として卒業しましょう。カルマ君、トップを取る心構えは出来ていますか?」

 

「さあね、俺バカだから難しい事よく分かんないや。」

 

…反語。あえて真意とは反対の言葉を述べる事。

 

***

 

場面は変わり浅野家。

 

理事長と学秀は2人で朝食を食べていた。

 

(…物心ついた時から、僕の家は教室だった。父が教師で、僕は生徒。

 

そして、教える事が特にない日は、僕達の間に会話はない。)

 

黙って食卓を囲む2人。本当の親子とは思えない冷たい雰囲気が、そこに流れていた。

 

 

車に乗り学校へ出勤する理事長。

 

すると何かに気付いたのか、途中で車を止めてくれと運転手に頼む。

 

理事長が車を降りると、そこには1人の男がいた。

 

髪もボサボサ、服もボロボロ。みすぼらしい格好をしていた。

 

浮浪者という奴か。

 

「やあ、お変わりないようだねえ。」

 

理事長はにこやかに声を掛ける。

 

しかし男は様子がおかしい。う…、あ…と呻いている。

 

「だが、この町は何やら変化の兆しがある。また一稼ぎ出来そうだから、

 

君にもお小遣いをあげよう。大好きなギャンブルに使うと良い。

 

最も、それにしか喜びを見出せないよう、君を教育したのは私だけどね。」

 

そう言って札束を渡す理事長。先程の言葉もだが、

 

彼の表情から底知れぬ闇を感じた。

 

場所は変わり理事長室。

 

「あと、10億…!本気ですか?」

 

理事長は椅子に座り、烏間先生、そして部下の園川さんと向き合っていた。

 

何やら追加の口止め料を要求しているらしい。部下の人はそのあまりの金額の多さに声をあげた。

 

「危険な暗殺をさせているんです。生徒のリスクも考慮すれば大金が必要。

 

そして機密保持の為にも。それに、何やら大掛かりな動きもあるようですしね。」

 

そう言ってふと笑みを浮かべる理事長。その目は全てを見通しているかのようだった。

 

「…だからと言って、追加の口どめ料はこれで何度目ですか?

 

このペースだと3月には賞金を超えます!私の給料何年分!」

 

…それは関係ないと思うが。

 

しかしそれを烏間先生は静止する。

 

「…我々は、この校舎を、使わせてもらっている立場なのだ、それを忘れるな。」

 

その言葉が全てだった。確かに、こんな事を生徒にやらせるのを認める理事長はここにしかいない。

 

「では、私も忙しいのでこれで失礼します。」

 

そう言って理事長は立ち去った。

 

烏間先生達も出て行く。

 

(大した男だ。この街の最終暗殺計画まで察知している。

 

それに、たった一人で防衛省を手玉に取るとは。)

 

 

場面は先程のE組。殺せんせーがテストについて語っていた。

 

「1学期中間。あの時先生は、君達に、クラス全員50位以内という目標を課しました。

 

今は反省しています。先生が成果を焦りすぎましたし、敵の強かさもあった。

 

でも今回は違う。

 

君達は頭脳も精神も、大きく成長した。どんな策略、トラブルにも負けず、目標を達成出来るはず。」

 

そう堂々と語る殺せんせー。けれど、

 

「…そう上手くいくかな。」

 

「何故?」

 

杉野はそう漏らした。その訳とは、

 

「A組の担任が理事長になったらしい。」

 

…「今日から全ての授業を私が教えます。よろしくねA組の皆。」…

 

(…来た!ついにラスボス降臨!)

 

E組の皆がそう思った。

 

「そうですか、とうとう…」

 

そう、この暗殺教室に、欠かせない役者が3人いる。

 

一人は勿論殺せんせー、せんせーがいないと暗殺教室は成り立たない

 

もう一人は烏間先生。超有能なこの人の働きがあってこそ、我々は暗殺者として機能する

 

そして最後に理事長。自分の校舎を舞台に提供する懐の深さと、

 

それでもなお一切揺るがぬ教育への自信

 

そして三村が呟く。

 

「正直あの人の洗脳教育は受けたくない。異様な眼力と人を操る言葉。

 

教育の腕もマッハ20の殺せんせーと互角。あの人の授業受けたら、もう逆らえない。」

 

 

場所はA組。理事長は物凄いスピードで板書をしている。

 

チョークが記す言葉はナイフの傷のように黒板に刻まれ、

 

問題は槍のように生徒を襲う。

 

(は、早過ぎる!いつもの10倍分かりやすいけど20倍速い!)

 

生徒もついていくのに必死である。

 

すると、突然理事長が手を止める。

 

「橋爪君、田中君、近藤さん、奥野さん、藤井さん、理解が遅れているようだね。」

 

そう言う理事長。

 

(な、なんで後ろ向きで分かるのよ!)

 

それに対し反論する一人。

 

「そうは言っても、授業のペースが速すぎます!五英傑レベルならまだしも、

 

僕らには無理ですよ!」

 

しかし…

 

「無理だと思うのは、戦う意義を理解していないからだ。」

 

そう言って微笑む理事長。

 

「3分間だけ廊下で話そうか。何、ちょっとした雑談だよ。」

 

3分後。

 

「E組殺すE組殺すE組殺すE組殺す…」

 

その5人は榊原達と同じように、ただそれだけを狂ったように呟いている。

 

それを見て、顔から血の気が消えるA組の他の生徒達。

 

「君達の勉強は君達のためだけではない。力を伸ばしたE組を更に力を伸ばした君達が叩きのめす

 

その姿を後輩達に見せるためにもあるのだよ。」

 

そう理事長は語る。

 

「…君達のそういう姿を見て…、A組(きみたち)の方が正しかった事を知り、

 

A組(きみたち)を目指して精進する 君達の働きが人類のレベルを押し上げるんだ。

 

この四人(五英傑)は….為すべきことをいち早く理解してくれているよ。」

 

そう言い放つ理事長。4人、荒木達は授業を恐るべき集中力で受けていたlp

 

しかし、それを睨む浅野に対しては…

 

「ああ浅野君、君は帰って自習でいいよ。君の実力なら…油断しなければトップは取れる。

 

皆を上へ導くのは…私がやっておくから。」

 

それに対し否定的な目つきをチラつかせながらも、黙って従い、帰宅する浅野。

 

理事長はそれを黙って見つめていた。

 

 

「理事長ところせんせーってさ なんかちょっと似てるよね。」

 

E組は下校途中。不破がそう呟いた。

 

「二人共さ、異常な力を持ってんのに、普通に先生やってるとこがそっくりだよね。

 

…理事長なんてあれだけの才覚があれば…

 

総理でも財界のボスでも狙えただろうに、たった一つの学園の教育に専念してる。

 

そりゃ手強くて当然だよ。」

 

「なるほどな。二人とも、教育以外に力を使えば恐ろしい力を発揮し権力を手に出来るだろう。

 

でもあえてそれをしない。だからこそあの二人は怪物教師で、

 

だからこそこの暗殺教室が成り立つんだろうな。」

 

そんな中、ふと目をやると、道端に浅野が立っていた。どうやら俺らを待っていた様子だ。

 

一体何故浅野が?

 

少しぎょっとしながらも前原や磯貝が声をかける。

 

「…なんか用かよ。」

 

「偵察なんて来るタマじゃないだろーに。」

 

「お前がここに来るとはな。よほど深い事情があるんだろうが…」

 

それに対し、葛藤しているのか、俯いて厳しい表情をしている浅野。

 

「こんなことは言いたくないが….君達に依頼がある。」

 

絞り出すような声で彼はそう言った。

 

「…?」

 

依頼…?浅野がE組に?

 

「単刀直入に言う、君達に、あの怪物を殺してほしい。」

 

その言葉、あの時も聞いた。烏間先生に暗殺の話をされた時に。

 

だが、今の浅野の言葉は、その時とは全く違う意味合いだった。

 

「殺せって…」

 

「殺すと言っても、物理的に殺して欲しい訳じゃない。理事長の教育方針を、否定して欲しいんだ。」

 

そう呟いた浅野。彼の真意とは何だろうか…




昔、カルマみたいに、「一位取れる自信ある?」って聞かれて、
カルマみたいに、「バカだから難しい事分かんないや」って言ったら、
「むかつく」って言われ白い目で見られた事もありました。
ああいうセリフ、みんなも現実で言ったらタダのウザい奴になるから言わないようにね。

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