黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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今回は久々番外編。
夏休みがこの後夏祭りだけだと寂しすぎるんで。


39.5話 怪談の時間

夏休みのとある1日。

 

「暇だ…。」

 

俺は暇だった。一応受験生なので膨大な量の勉強をこなし、模試まで受け、

 

結果が返ってきたので復習までしたのだが、夏休みは後3分の1ほど残っている。

 

これはそんな8月中旬のお話。

 

渚やカルマ、杉野とも十分遊んだ。それから茅野と…

 

おっと何でもない。

 

だから何をしようか、そう悩んでいた日だった。外に出ようにも暑い、もうやる事もない…

 

そんな俺に一通のメールが。一体誰から?

 

差出人不明のそのメールにはこう書かれていた。

 

「今夜7時、旧校舎に来い。」

 

一体なんなんだ?だが良いだろう。俺の退屈を晴らしてくれるならそれでいい。

 

すると今度はSNSで着信が。

 

「なんか7時に旧校舎に来いってメール来なかった?」

 

「うんきたきた。」

 

「私の所にも」

 

「一体何なんだろう」

 

「まあとりあえず行ってみよ。」

 

どうやらE組生全員にそのメールは来たようだ。

 

一体何なんだ…

 

そう思いながら皆旧校舎に向かう。だが全員はいないようだ。それぞれ用事もあるからな。

 

そして旧校舎の前に、「E組の教室へ来い」との貼り紙が。

 

皆疑問に思いながら教室へ向かう。

 

すると廊下には黒いカーペットが敷かれ、所々ロウソクとガイコツ(の模型)が見られる。

 

さらには不吉そうなBGMまで流れ、まるでお化け屋敷だ。

 

「一体何なんだ?」

 

「さあね、ただこんな事するのはうちのタコくらいしかいなさそうだ。」

 

そう、大方殺せんせーが仕組んだ事だろう。

 

でも一体何のために?

 

そして誰かが恐る恐る教室のドアを開ける。すると周囲には、100本はあるかというロウソクが。

そして教室の中心には、1人の男がいた。紺色の仮面とマントを付け、痛々しい格好の、

 

…本物とは似ても似つかない巨漢が。

 

「よくぞ来たなE組の諸君よ、私の名はルルーシュ・ランペルージってにゅやあ!」

 

呆れた俺は殺せんせーに銃を撃った。

 

「中の人ネタはやめろ。声優が同じだからって調子乗るな。全然似てない上恥ずかしいだけだ。」

「だって、作者が、作者がやれって…。」

 

「その割にはノリノリじゃねーか。」

 

「先生、一度痛々しい厨二病キャラやってみたかったんです!」

 

「だから既にやってるんだろうが。」

 

皆この場の光景についていけない様子。

 

「ええ、まあ茶番はさておき」

 

先生はそう言って元の格好に戻る。

 

「先生が皆さんをここに呼び出したのは、一つイベントをやりたかったからです。」

 

「イベント?」

 

皆が疑問に思う、するとカルマが言う。

 

「この廊下の装飾。そして教室の大量のロウソク。大方怪談大会でもやりたいんでしょ。」

 

「ええその通り、ですがこの怪談、ルールがありまして。」

 

一体どんなルールだ?

 

「百物語と言ってですね、100個のロウソクを用意します。

 

そして皆が怪談を話していくんです。一つ話す事にロウソクを消していき、

 

最後のロウソクが消えた時、何かが起こるそうです。」

 

「何かが起こるかあー、怖いなあ。」

 

「平気さ、そんなの迷信に決まってるだろう?」

 

というか今いるメンバーは約20人ほど。1人5個も話せるのか?

 

「ああ、その点は心配なく。ほい、これで大丈夫でしょう?」

 

殺せんせーはロウソクを半分以上減らした。残りは40くらい。これなら大丈夫だ。

 

「まあ何はともあれ始めましょう。ではカルマ君から。」

 

出席番号順という事でカルマから。さて、カルマの怪談とは…

 

夜の闇 -by赤羽業-

 

俺さあ、黒崎と一緒に一時期繁華街で不良潰して回ったんだよね。

 

もちろん奴らは夜に出没する訳だから、夜潰す訳だけど

 

やっぱりそん中でさ、危ないグループとかいた訳じゃん。ヤクザと繋がってる。

 

本当にヤクとか売りさばくような奴ら。

 

その繁華街のボス的存在だったらしい。

 

でも俺そん時は裏社会とか知らなかったからさ、そんな事知らずに手出しちゃった訳よ。

 

そこにいたのチンピラ程度だったから2人でどうにか倒せたけど、

 

どうやらその件以来マークされたらしくてさ、

 

俺らそれから数週間、尾行されてるような気配がずっとしたんだよ。

 

まあ奴らも中学生相手に表立った行動は起こさなかったけど。

 

さすがにビビってそれからはそこの繁華街には手出さないようにしたよ。

 

「なんか、幽霊とかそういう類じゃないんだ。社会的な怖さとか闇だね。」

 

「怪談というよりは…体験談?」

 

黒猫の呪い -by潮田渚-

 

 

これは誰かから聞いた話なんだけど、真夜中に、2人の夫婦が車に乗っていた。

 

その妻のほうが妊娠しててね、夫が運転してたんだよ。

 

そしたらね、道路を走ってる途中に、なんかを轢いた音がしたんだ。

 

で何が起きたか確かめようと夫婦が車から出て様子を見ると、どうやら黒猫を轢いたらしい。

 

妻のほうは心配して供養しようとか考えてたけど、

 

夫はそれくらい気にするなと言ってそのまま放置したんだ。

 

妻はそれでも不安だったらしいけど…。結局夫を止めはしなかった。

 

そんでまた走り出すんだけど、やっぱり夜道は暗いんで道が見えにくい。

 

だから妻の不安はどんどん増していく。

 

そして、やっぱり怖いと妻が言い出した時、ハンドルに映ったのは少年の影、

 

恐怖に怯えた夫がブレーキを慌てて掛けようとするも、気が動転してハンドルをまともに動かせない。

 

結局車は電柱に激突。夫は意識不明の重体から昏睡状態に。

 

妻の子供は流産したんだって。

 

そして妻が入院していた部屋の前に、1匹の黒猫がいたとかさ。

 

そんな感じで皆がどんどん怪談を話していく、女子の一部などは既に涙目だ。

 

「では黒崎君、お願いします。」

 

「最後は俺か…。」

 

最後と言っても後20ほどロウソクがある。

 

-墓荒らし- by黒崎

 

俺が中1の頃、カルマと出会う前かな。当時の俺は荒んでいたから、まあ親の墓へ行った時だ、

 

墓に乱暴を働く奴がいたから、そいつにやめろと言ったら案の定止めなかったんで

 

喧嘩ふっかけた。そんで俺がまあ勝ったんだが、その喧嘩の途中で墓石を倒してしまったらしい。

だが俺はそれに気付かずそのまま行ってしまったんだ。

 

それからだ、俺の身の回りで奇妙な事が起き始めたのは。

 

車に轢かれそうになったり、自転車のブレーキが急に故障して川に落ちかけたり、

 

しかも夜道で白い女の影が見えるようになったんだ。

 

最初は偶然だと思ってたが、とうとう怪我までしたんで、まずいなと思い墓へもう一度行ってみた。

そんで倒れた墓石を直した後、誰も手入れしてなさそうだったんで丁寧に掃除した。

 

すると身の回りでは変な事ぱったり起きなくなった。

 

あとで話を聞く限り、その墓に埋葬されてんのは交通事故で死んだ女性とかで、

 

どうりで車とか自転車絡みのトラブルが多かったと納得した。

 

「とまあ俺の話はこれで終わりだが…、あと20回も怪談出来る状況じゃないな、これは。」

 

女子のほとんどが涙目になり、一部は号泣したり声も出ないほど怖がっている。

 

「じゃあ今日はこれで終わりで…。」

 

そう言いかけた所でライトが点く。

 

「君達、一体何をしているんだ?」

 

そこには烏間先生がいた。

 

「百物語ってのをやってたんです。怪談を言うごとにロウソクを消していく。」

 

「はあ、まあ構わんが、今日はもう遅い。そろそろ終わりだ。」

 

「言われなくても、そうしようとした所だったよ。」

 

「所で、誰がこれを言い出したんだ?」

 

「それはもちろん、殺せんせーだよ。」

 

当然だろうと言う感じで誰かが言う。しかし…

 

「何を言っている?奴は今日フロリダのディズニーワールドへ1日行っているぞ?」

 

じゃあいなかったという事か?

 

「え、じゃあさっきいた殺せんせーは…。」

 

「そういえば、さっきからいなくなってたよ。」

 

「まさか…。」

 

「そういえば、さっき撃った時、避けてなかったように見えたが命中してなかった。

 

あれは幽霊…?

 

「深く考えるのはやめよう!」

 

「そうそう、気のせい気のせい!」

 

皆逃げるようにして帰って行った。

 

「ヌルフフフ。皆さん甘いですねえ。先生分身だって使えますから。」

 

その時、殺せんせーがそう笑っていたことを誰も知らない。

 


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