黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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いやあ長かった夏休み編。これにて終了。ほぼ毎日更新だから疲れた…。


2学期 ~本校舎との戦い、そして明かされる真実~
40話 夏祭りの時間


沢山殺し沢山学んだ夏休みの最終日。渚とその父が回転寿司店で話していた。

 

「母さんとは、上手くやっていけてるか?」

 

「…。」

 

渚は黙り込む。

 

「厳しい性格だし大変だろう。父さんだけ逃げたようで心苦しいよ。」

 

「大丈夫、機嫌さえ損ねなければ優しいし。」

 

「そうか…。」

 

「それよりさ父さん、この前ウチのクラス沖縄行ったんだ!」

 

渚が明るい顔で言う。

 

「へえ自腹でか?」

 

「いや、成績良いと学校が出してくれるんだ。E組だけど1学期の期末で…。」

 

そう言いかけた所で渚は、父親の後ろにタコの影を見た。

 

「夏祭りのお知らせ!今晩7時、空いてたら椚ヶ丘駅に集合!」

 

(夏祭り…?)

 

「夏休み最後の1日くらい、何も考えずに遊びましょう!」

 

それは良いんだが…

 

殺せんせー、他人の金で寿司を食おうとするな。

 

「じゃあ父さん、この後用事あるからそろそろ…。」

 

「お、おい、もう行くのか?」

 

「うん、父さんも気を付けて。」

 

そう言って渚は去っていった。

 

(…明るくなったな、渚。)

 

一方カルマの家にて

 

「ふーん、夏祭りねえ。」

 

「今日思い立って声掛けてます。意外と用事で断る人が多くて困ってるんです。」

 

「ま、良いよ、どうせ暇してたし。」

 

そういうカルマの部屋には、山積みの参考書があった事に、殺せんせーは気づいていた。

 

そして一方、木村、三村、菅谷の3人が歩いている。

 

「はあ、やっぱり休みの終わりは憂鬱だよなー。」

 

「次は冬休みか、長いな〜。」

 

すると木村がある話を切り出す。

 

「そういえばさ、殺せんせーが来る前、3月だけE組の担任だった人いるじゃん。」

 

「ああ、雪村先生ね。」

 

「まあ暗殺の都合で担任交代は仕方ないにしてもさあ、4月になると学校からも消えてたじゃん。

 

一体どうしたんだろう。」

 

「優しかったよな、俺結構好きだった。」

 

そんな3人の後ろに看板を持った殺せんせー。

 

「悪いけど、俺用事あるから。」

 

「俺も…。」

 

「俺もだ。」

 

そしてなんとロヴロさんに電話する殺せんせー。

 

「ターゲットからの誘いありがたいが、生憎海外にいてな。」

 

「私が運んで行きますから、是非…。烏間先生も会議で来てくれないんです。」

 

集まりが悪いと自分の価値を見失うのか。

 

「今は仕事中だ。無茶言うな。」

 

「仕方ありません、2学期、いつでも殺しに来てください。」

 

「言われなくても。」

 

そう言って電話を切るロヴロ。

 

(カラスマに聞いた話では、あの少年、俺が教えた技を実践で難なく決めたとか。

 

いるものだな、何処の国にも才能が。)

 

しかし、その背後にはカロリーメイトをかじる男の影が。

 

「何っ?」

 

ロヴロは慌てて下がる。

 

(いつの間に、俺に気配を隠し、この距離で、この殺気で?)

 

「畏れるなかれ、死神の名を。私はいつも、君の隣に。」

 

そういい指で撃つ真似をする男。すると、ロヴロはその場にドサリと崩れ落ちた。

 

そして俺の家に来る殺せんせー。

 

「黒崎君、夏祭り、参加しませんか?」

 

「良いだろう、どうせ暇だったしな。それと殺せんせー、俺の妹も連れて来て良いか?」

 

「良いでしょう、兄弟姉妹と一緒に来る人は他にもいますし。」

 

「殺せんせー、あんたは国家機密だ、だから良いか、

 

絶対に正体がバレるような真似をするなよ。」

 

そう深く釘を刺しておいたが、不安だ…。

 

そして偶然リビングにいた由夏に祭りの話を持ち掛ける。

 

「由夏、今夜祭りがあるんだ、行かないか?」

 

「祭り、良いよ、行く行く!けど珍しいね。お兄ちゃんが誘うなんて。」

 

「まあ、友達に誘われてな、せっかくだからお前もと…。」

 

という事にしてごまかす。流石に超生物の先生に誘われたとは言えない。

 

「ふうん、お兄ちゃん友達に祭りとか誘われるんだ。意外、てかそもそも友達いたんだ。」

 

グサッ

 

「由夏、お前は兄をなんだと思ってるんだ…。」

 

流石にその言われようは兄としてショックだった。

 

「えーと、そこそこ格好よくて、ちょっとクールぶってて無愛想で卑屈で、ぼっちで、

 

世の中斜めに見てて、それと喧嘩早くて、挙げ句の果て女子への気遣いが全くできないポンコツ兄貴。」

 

「…。」

 

もう何も言う気になれない。

 

「やっぱりお前1人で行っていいよ、祭り。」

 

「冗談冗談、そんな落ち込まないでよ、ちょっとからかっただけ。」

 

「そうか…。」

 

俺とした事が妹にはいつも振り回されっぱなしである。

 

やはりこういう人間は苦手だ。嫌いではないが。

 

「まあ何はともあれ、7時に椚ヶ丘駅に来てくれって言われたから、

 

それまでに用意していこう。」

 

「はーい。」

 

そして皆は祭りへ来た。総勢15人ほどだ。

 

「いやあ、皆さん来てくれてよかった、誰も来なかったら自殺しようかと思いましたよ。」

 

本当に豆腐メンタルだなこの教師。

 

「じゃあ来ない方が良かったか。」

 

「よし、今から帰ろう。」

 

「にゅやああ!やめて下さい!」

 

「まあ冗談だ。」

 

すると由夏が来た。

 

「へえ、これがお兄ちゃんの担任の先生?」

 

「ええ、私が黒崎君達の担任教師です。黒崎君の妹さんですね、宜しくお願いします。」

 

おい、素性をばらしていいのか。

 

「はいこちらこそ、いつもうちのポンコツ兄貴がお世話になっております。」

 

「おお、しっかりしてるな…、じゃない、なんだポンコツ兄貴って。」

 

「だってその通りじゃん。」

 

「違う。」

 

それを見て周りは思った。

 

(おい、あの黒崎を手玉に取ってるぞ。)

 

(妹ちゃん、可愛い顔して意外と手強いな…。)

 

すると背後からドス黒いオーラを感じて思わず身構える。

 

「えっ?」

 

振り返ると茅野がいた。

 

「黒崎君の妹…、巨乳…許すまじ…。」

 

いやいや、うちの妹スタイルいい方だけど、そんなに恨まなくてもよかろう。

 

「まあ私さー、成長期ですから!」

 

妹は身長も茅野より高い。その上煽るようなその発言。やめろ…、この場の雰囲気をこれ以上悪くするな…。

 

2人の間に火花が飛び交う。

 

「まあ、身長もスタイルも人それぞれ、気にする事はない。それに成長期だって人による。」

 

俺がこの場の雰囲気を元に戻す為そう言うと、茅野は首を高速で縦に振る。

 

そういえば茅野は浴衣姿だ、話題を変えようと話を振る。

 

「茅野、浴衣着てるんだ。似合ってると思うよ。可愛いし茅野らしい。」

 

我ながら月並みの感想しか出ない。

 

けれど…

 

「そ、そう、ありがとう…。でも、そんなに褒められちゃ、ちょっと恥ずかしいな…。」

 

茅野は頬を染めて俯く。俺の月並みの感想にここまで喜ぶとは…一体?

 

(やばい、こいつ天然たらしだ…。)

 

(恐るべし…。)

 

まあ祭りを楽しもう、そう思っていると落ち込んでいる千葉と速水が目に留まる。

 

「2人ともどうした?」

 

「…射的で出禁食らった…。イージー過ぎて調子乗った。」

 

そりゃそうだ。暗殺技術を祭りに使って荒稼ぎするのはやめましょう。

 

そしてカルマは。

 

「おじさ〜ん。俺今五千円使って、当たり一個もないんだー。

 

残りの糸の本数と賞品の数からして、当たりが出ない確率は、なんと0.05%。

 

本当に当たりあるのかなー。」

 

「悪かった坊主、これ返すから黙っといてくれ。」

 

「おじさ〜ん、俺返金とかいらないから、ゲーム機欲しいなあ〜。」

 

カルマは相変わらずゲスい。最初から当たりないって見抜いてやがったな。

 

そして磯貝は高速で金魚をすくっている。

 

「お前はなんでもそつなくこなすな〜。」

 

「コツだよ。ナイフ切る要領と同じさ。こんなもんかな、うち貧乏だから一食分浮いて助かるわ。」

 

「へえ、それは良かったな…って、食うの!?」

 

それは驚きだ。

 

「皆荒稼ぎしてるねー、」

 

「うん、暗殺技術の繊細な面が活かされるね。」

 

すると由夏が疑問に思い問い掛ける。

 

「暗殺?」

 

しまった。という顔の渚。

 

「いやあ、必殺技術の間違いだよ。まあ椚ヶ丘ってちょっと特殊な授業やってるから。」

 

渚、グッジョブだ。

 

「ふーん、専門学校みたいな物か。」

 

「そう言うこと。」

 

そして祭りが終わり、今度は花火が打ち上げられる。

 

皆楽しそうに見上げている。

 

「綺麗な花火だね。」

 

「ああ。」

 

「濃い夏休みだったね。」

 

「ああ、けれど、2学期はもっと濃くなりそうだ。」

 

その言葉通り、2学期は物凄く濃い物となるのだが、それはまたこれからの話を。

 

一方防衛省の会議にて

 

「1人で殺せば100億、これに変更はない、だがしかし、夏休み、

 

集団戦術が奴を大きく追い詰めた事を考慮し、集団で殺した場合賞金を上乗せする。

 

つまり、事実上の賞金アップ。その額、300億円!」

 

ついに、賞金アップが宣言された。これを機に、暗殺も変わっていくだろう。

 

先の事は分からない、確実なのは、殺せんせーも俺らもこのままでは終わらない事。

 

絶対に、何かがある。

 

「E組を…、抜ける?」

 

1人の生徒が言った発言に驚く殺せんせー。

 

案の定、2学期は大波乱で幕を開ける。




次から2学期編。頑張らないと。

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