黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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後半オリジナルストーリーです。。グダグダに注意を。

「2人の時間」には二つの意味があります。

すみません、同じ話を2話投稿していたので削除しました。


39話 2人の時間

準備が完了し21:00、ディナー開始。

 

「何だこれは…。」

 

岡野と中村が椅子を占領している。てか岡野は180度開脚している。身体柔らかいな。

 

「E組名物先生いびりでーす。烏間先生の席ありませ〜ん。」

 

「先生方は邪魔なんで、どうぞ向こうの席で食べて下さい。」

 

わざとらしく烏間先生を外の2人席に移動させる。

 

「全く…、最近の中学生は何を考えている?」

 

そして外に席に着く烏間先生。そこにはビッチ先生もいた。

 

「何で俺らだけ追い出された?」

 

「さあ…。」

 

ビッチ先生は普段の服装とは違いショールを身に付けている。

 

「あのショールどうしたの?」

 

「売店で買ってミシン借りてブランドっぽくアレンジした。」

 

「原さん家庭科強いもんなー。」

 

この短時間でそれをやってのけるとは流石だ。

 

「フィールドは整った!いけ、ビッチ先生!」

 

(こんなショール社交界じゃ使い物にならないし、テーブルセッティングだって素人仕事。

 

私が使って来た一流店とは雲泥の差。プライバシーのない野次馬共。

 

でも、何よコレ、楽しいじゃない!)

 

そう嬉しそうなビッチ先生。

 

(ちょっとだけ大好きよあんた達。ヤってやろうじゃない!この堅物落としてみせるわ!)

 

ちょっとだけ大好きって矛盾してる…

 

「いろいろあったなこの旅行は。だが、生徒達の成長を思わぬ形で実感できた。

 

この調子で2学期中に必ず殺す。イリーナ、お前の力も頼りにしているぞ。」

 

それを聞きビッチ先生は悲しげな顔をする。

 

「どうした?」

 

「一つ昔話をしても良い?私が初めて人を殺した時、12だったわ。

 

私が住んでた地域は民族紛争が激しくて、ある日私の家にも敵の民兵が略奪に来た。

 

親は問答無用で殺されて、敵は私のいた部屋のドアを開けたわ。

 

殺さなければ問答無用で殺される。迷わず親の拳銃の引き金を引いたわ。

 

見つからないように、敵が去るまで地下の蔵に死体を押し込み一晩中そこで死体と一緒にいた。

 

だんだん冷たくなっていく死体の感触。今も忘れないわ。」

 

その話は重かった。ビッチ先生が殺し屋になった理由、それはあまりにも辛い理由だった。

 

平和な世界で生きてきた俺達や烏間先生には考え辛いほどに。

 

「…。」

 

烏間先生は沈黙している。

 

するとビッチ先生は髪を下ろし、こう言った。

 

「ねえカラスマ、殺すってどういう事か、本当にわかってる?」

 

そのあまりにも思い質問。烏間先生は答えられずにいた。

 

「湿っぽい話しちゃったわね。それと、ナプキン適当につけ過ぎよ。」

 

そう言ってビッチ先生は立ち上がり、烏間先生のナプキンを付け直す。

 

そしてナプキンに唇を付け、それを烏間先生の唇につける。

 

「好きよ、カラスマ。おやすみなさい。」

 

そして皆の元へ戻るビッチ先生。

 

「バカバカ死ね私!告白のつもりが殺白してどうすんのよ〜。」

 

「何よ今の中途半端な間接キス!いつもみたいに舌入れろ!」

 

大ブーイング。

 

「うっさい!大人には大人の事情があるのよ!」

 

「いやあ、これから時間をかけていやらしい展開に持っていくんですよね、ね。」

 

「ね、じゃないエロダコ!」

 

ぎゃあぎゃあと騒ぐ皆。

 

(深く考えるつもりはない。それが俺の任務だから。

 

それにしても今のは何だ?新しい技の練習なら感心だが…。)

 

烏間先生の弱点

 

超鈍感

 

こうして、恋愛コンサルタントE組の業務は完了した。

 

そして俺達は部屋に戻る。

 

ちなみに部屋は男女別、一部屋3〜4人。

 

俺の部屋は俺、渚、カルマ、杉野だ。

 

「いや〜色々あったなあ。この旅行は。」

 

「そうだね杉野、僕としても、うん、色々…」

 

渚が気まずそうな顔をする。おそらくあの女装を思い出したのだろう。

 

「ええ渚君、あの女装本当に良かったよ。本物の女の子みたいだったよー。」

 

そう言ってカルマは写真を取り出す。

 

「それを言わないでよカルマ君…ってわああ!その写真消してよ!」

 

「やだよ〜、それに無駄だよ。中村にも送っちゃったし。」

 

「中村さんも持ってるの…もうやだ、一生の黒歴史だ。」

 

俺はあえて沈黙を貫き寝たふりをした。何故なら俺が引き合いに出されそうだからだ。

 

あの女装…俺も嫌だ。

 

「そんでそこの黒崎姫〜、寝たふりしても無駄だよ。」

 

「何故バレた!」

 

「だって黒崎姫、昨日ぐっすり寝たんだし、眠いなんていう奴いないよ。

 

だからこうして俺ら話してるんだし、」

 

そう、昨日1日ぐっすり眠った(実は俺は朝までしか眠っていない。

 

こいつはそれを分かってるはずだが、俺が眠くないという事も見抜かれているようだ。)

 

「その名前で呼ぶな!てか何でそれは音声なんだ!」

 

カルマのスマホの画面の中には音声の再生ボタンが。

 

「私達、パパに刃物の扱い教わってるの。あまりしつこいようだと…刺しちゃうわ。」

 

何故それが録画された、あんなセリフ2度と思い出したくない!

 

「えー、いやあ実はさ、茅野ちゃんに手伝って貰ったんだよねー。

 

黒崎の様子をしっかり撮ってって。」

 

「茅野…なんでだ…何故そんな事を…」

 

もう嫌だ、何故皆が俺を苦しめる…

 

「じゃあ茅野ちゃんに聞いて見れば?俺に詰め寄ったみたいに。茅野ちゃん怖いと思っちゃうよー。」

 

茅野に説明を要求するシーンをイメージする。

 

「ごめんね、カルマ君がやんないと給食にクロロホルム盛るって言われて…」

 

と、こんな所だろう。

 

「さてはお前脅したな!なんて卑怯な奴だ。」

 

「黒崎、それをカルマ君に言っても無駄だよ。分かってるでしょ?」

 

十分分かってる。

 

とこの様に、俺と渚が公開処刑を受けたのだった。

 

「あ、そうそう。SNSに拡散しようかな〜。綺麗な男の娘がいるって。」

 

「ふざけるな。そんな事したらナイフでお前のスマホ切り裂いてやる。」

 

「えー弁償してもらうよ。iPh○ne。結構高いんだよ〜。」

 

「肖像権の侵害で訴えてやろうか。」

 

「2人とも落ち着いて!」

 

渚と杉野が慌てて止めたので、大事にはならなかった。

 

「でさ〜、さっきも言った通り、もう十分寝たじゃん。だからさ〜、

 

ここはじっくり起きて遊ばない〜?」

 

「良いねえ!」

 

杉野が賛同し、トランプを取り出す。

 

「くそ、始まるか…、修学旅行の悪夢再び!」

 

トランプ最弱の俺は叫ぶ。

 

「やらないとは言わせないよ〜、さあビリになった人罰ゲームねー。」

 

そして始まる悪夢。

 

「ぐあああああ!」

 

罰ゲームはわさび入りまんじゅうを食べる事。

 

どこから買ってきたのかと訊くとお土産屋だと言う。そういえば買ってたな。

 

こんな目的で使われるなど思ってもいないだろうな店の人。申し訳ない…

 

ババ抜きをやって1回しか勝てなかった俺。残りは全部ビリ。

 

わさび入りまんじゅうを10個以上食べる羽目に。

 

そして俺の舌が腫れてきた頃、トランプは終了。

 

「いやー、黒崎とトランプやると楽しいね。」

 

「ふざけるな…。」

 

渚は杉野と苦笑い。

 

ついにスマホで通信プレイまで始める。

 

さらには寺坂達の部屋に行き散々イタズラをした。そこで寺坂がカルマとタイマンを仕掛けた所で

 

殺せんせーが出てきて、早く寝なさいと言ったので終わりに。

 

そうして俺らが眠りについたのは、午前2時だった。

 

 

しかし、

 

「んー、あんまり寝られないな…。」

 

寝付けなかった俺はテラスへ出て涼もうとする。エレベーターを降り、玄関を出る。

 

すると、そこには茅野が居て、うっとりとした表情で海を眺めていた。

 

その横顔は星明かりに照らされ、とても綺麗だった。

 

「茅野…。」

 

「黒崎くん、どうしてここに?」

 

茅野が問う。

 

「俺はさ、あんまり寝付けなくて。茅野は?」

 

「私も、この海さ、素敵だよね。」

 

茅野の言った通り海はとても素敵だった。その海の上には星空があり、無数の星が煌いている。

 

東京では見られない光景、その美しい空と海に、思わず心を奪われそうだ。

 

「ああ、こうやって海と星空を眺めるのは良いね。嫌な事も忘れられる。」

 

「うん、でもさ、こうも思っちゃうんだよね、

 

この綺麗な星空も、海も、見られなくなっちゃうのかな。この月みたいに。」

 

そうだ、誰かが殺せんせーを暗殺しなければ、地球は爆破され、

 

この綺麗な空も、海も永遠に見られなくなる。けど…

 

「大丈夫、その為に俺たちが暗殺しているんだ。今回は失敗したけど、2学期こそは…。」

 

「黒崎くんは、本当に暗殺頑張ってるよね。でも私も、2学期は頑張るから。

 

楽しみにしてて、私だって、誰にも負けない刃を持ってるんだから。」

 

「茅野の暗殺か。2学期は楽しみにしてるよ。」

 

「ふふ。」

 

茅野は微笑んだ。本当に、彼女の笑顔は素敵だな…この夜空のように綺麗で澄んでいる。

 

「そんな…黒崎くんったら、大げさな…。」

 

茅野は頬を染めて照れていた。どうやら口に出してしまったようだ。

 

その後。

 

「それとさ、黒崎くんに訊きたい事があるんだ。」

 

茅野が言う。一体なんだろう。

 

「黒崎くん、昔何があったの?両親を失ったって話は知ってたけど、まさか殺し屋に暗殺されたなんて…

 

狙われるような職業だったって事?」

 

俺は悩む、俺の過去、両親の事、話すべきなのか…。少し考えた後、俺はこう言った。

 

「悪いけど、今は話せない。もしいつか…また俺の過去に関わる事件が起きたら、その時には話すよ。」

 

今はどうしても、話す気分にはなれなかった。

 

「そう、ごめんね、こんな話しちゃって。」

 

その後は綺麗な夜空と海を静かに眺めた。貴重な時間だった。

 

「それじゃあ、また明日。」

 

そして別れを告げ、お互い部屋に戻った。

 

 

朝、眠気はゼロだった。中学生の体力は半端ない。

 

荷物を纏め朝食を食べ、船に乗る。あっという間だった。

 

そして船の中。

 

「ねえ、トランプでもやろうよ〜。」

 

今度は茅野、奥田さん、神崎さんも合わせた7人が集まる。

 

「やめろ、トランプを、それを俺の前に出すなあ!」

 

俺は昨日のトラウマのあまりトランプ恐怖症(?)に。

 

「黒崎くん、一体何があったの?」

 

「昨日4人でトランプやったんだけど、負けたら罰ゲームで。

 

そしたら黒崎が負けまくって罰ゲーム散々受けたから。んで罰ゲームはわさび入りまんじゅうを食う事。」

 

「黒崎くん、気の毒だね…。」

 

そんなこんなで、あっという間に東京へ。

 

色々あったけど、大きく成長できた旅行だった。

 




2人きりで夜の海辺を眺めながら語り合うって…、理想のシチュエーションですね。

(恐らく作者には無縁である。)

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