黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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こっからは黒崎視点です。

最近の悩み
お気に入りもUAもどんどん増えてきたけど評価と感想は少ない…


36話 鷹岡の時間

鷹岡が言う

 

「屋上へ行こうか。愛する生徒を歓迎したいんだ。ついてくるよな、

 

お前らは俺の慈悲で生かされているんだから。」

 

鷹岡はぐしゃりと笑った。狂気と憎悪が刻み込まれた顔面で。

 

脳裏によぎるのは、クラスメイトが受けた苦痛。

 

許せない…

 

「生徒達をウイルスで苦しませる凶行!気でも違ったか…鷹岡!」

 

烏間先生が問う。

 

「おいおい、俺は至極まともだぜ?これは地球を救う計画なんだ。

 

お前ら二人が大人しく賞金首を持ってきてくれれば、計画はスムーズに進んだのによ。

 

計画ではな、茅野とかいったっけ女の方。そいつを使うつもりだった。

 

捕まえて拘束してから、バスタブの中に賞金首を抱いて入れさせる。

 

そしてセメントを入れて生き埋めにする。バスタブの中には大量の対先生弾があるから、

 

逃げ出すには生徒ごと爆発しなきゃいけない。先生はそんな酷いことしないよな?」

 

鷹岡の作戦は非人道的だった。悪魔…

 

「全員が乗り込んできたと知った時は肝を冷やしたが、やる事は同じだ。」

 

すると殺せんせーが怒りを滲ませた顔で言う。

 

「許されると思いますか。そんなマネが。」

 

「おいおい、これでも人道的な方だぜ。お前らが俺にした仕打ちに比べればな。」

 

(「鷹岡の奴、中学生に勝負で負けて任務失敗したらしいぜ?」

 

「うわ情け無い。教育なら俺に任せろって豪語してたのによ。」

 

「上の評価ダダ下がりらしいぜ。」)

 

周囲に嘲笑われる鷹岡。

 

「屈辱の目線と、突き付けられたナイフが頭の中でチラついて、夜も眠れないほど

 

かゆくてよお!落とした評価は結果で返す。受けた屈辱はそれ以上の屈辱で返す!

 

特に潮田渚、俺の未来を汚したお前は絶対に許さん!」

 

そう言った鷹岡、あまりにも身勝手な逆恨みだ。ふざけるな…

 

皆が怒りを覚えた。

 

「背の低い生徒を要求したのは、渚を狙ったからかよ。完璧な逆恨みじゃねーか。」

 

「ふーん、渚君はあんたのリベンジの為に呼ばれた訳?

 

そんなチビに勝って何が嬉しいの?俺ならもうちょっと楽しませてやれるけど?」

 

そしてウイルスで立つのがやっとのはずの寺坂が言う。

 

「イカれやがって、テメーの決めたルールでテメーが負けただけだろうが。

 

言っとくが、勝負に勝とうが負けようが、俺らテメーの事大っ嫌いだったよ。」

 

すると鷹岡が叫ぶ。

 

「うるせえ!ジャリ共の意見など聞いてねえ。俺の指先でジャリが半分減るってこと忘れんな。

 

潮田渚、てめえ1人でこのヘリポートまで登ってこい。」

 

渚を来させようとする鷹岡。明らかに渚が危険にさらされる。

 

「渚、行くな…お前が…危険な…目に遭う。あいつが逆上して治療薬が爆破されたら…

 

どうなる事か。」

 

「行くよ。」

 

そう言って渚は殺せんせーを茅野に預ける。

 

「行くしかないよ。あれだけ興奮してたら、行かないと何されるか分かんないし。」

 

鷹岡はキレていた。明らかに精神が異常をきたしている。

 

「上手いこと話合わせて、治療薬返してもらうよ。」

 

「渚君…」

 

そして渚がヘリポートへ行く。すると鷹岡は階段を落とした。

 

「これでもう誰も登って来れねえ。足元のナイフを見ればわかるよな?

 

この前のリターンマッチだ。」

 

鷹岡がそう言う。

 

「待って下さい鷹岡先生、戦いに来た訳じゃないんです。」

 

「そうだろうなあ、だが、この前の様な卑怯な手はもう通じない。 」

 

(そこだけは鷹岡が正しい。前回は油断していたから倒せた、暗殺に持ち込めた。

 

だが今の鷹岡は完全に戦闘モード。倒すのは難しい。)

 

「だが一瞬で終わっちゃつまらない。だから闘う前に、一つある事をしてもらおう。

 

謝罪だ。誠心誠意謝罪しろ。不意打ちと言う卑怯な行為をした事に対してな!」

 

鷹岡が謝罪を求めた。一方的な逆恨みで。

 

「こいつ…まっとうな神経を持ってないのか?ふざけるな…」

 

すると渚は正座し、謝罪しようとした、

 

「僕は、…」

 

「それが謝罪かバカガキ!頭こすりつけて謝るんだよ!」

 

「僕は、実力がないから卑怯な手で奇襲しました。ごめんなさい。」

 

「そうだ、その後俺に生意気な口も叩いたよなあ、出て行けって。

 

ガキの分際で大人に向かって!生徒が先生に向かってだぞ!」

 

「僕は、ガキのくせに、生徒なのに、大人に、先生に生意気な口をきいてすみませんでした。

 

本当に、ごめんなさい。」

 

渚が土下座をする。その姿に、皆怒りを露わにする。俺だって、虫酸が走る。

 

「本当に、こいつだけは…。」

 

「よーし、ようやく本心を言ってくれたな。父ちゃんは嬉しいぞ。

 

褒美ににいいことを教えてやろう。あのウイルスにかかったお友達がどうなるか知りたいだろう?

 

スモッグの奴に画像を見せてもらったよ。全身がデキモノだらけになって死んでいくんだ。」

 

そう言って鷹岡は治療薬のケースを中に投げる。

 

「やめろおおおお!」

 

俺は必死に叫ぶ。でもその叫び虚しく、鷹岡はリモコンを押した。

 

ドカン!

 

渚の絶望した表情。この光景の悲惨さを物語っていた。

 

飛び散る薬、俺だってショックで物も言えなかった。

 

「嘘だろ…俺は、俺たちは今まで何の為に…」

 

「フハハハハハハ!そうだ、その顔が見たかった。絶望に満ちた苦痛の表情が!

 

夏休みの観察日記にしたらどうだ?お友達の顔面がブドウの様に腫れていく姿をよお!」

 

渚は怯えた様な恐怖の顔で寺坂の方を見る。

 

「安心しろ、お前にはウイルスを盛っていない。なんせ…」

 

鷹岡の言葉は途中で遮られた。

 

何故なら…

 

「殺して…やる!よくもみんなを!」

 

渚 覚醒。

 

 

「ははは、その意気だ!殺す気で来なさい渚君!」

 

鷹岡が狂った様に笑う。

 

「渚…キレてる。」

 

「俺らだって殺してえよあんなゴミ野郎。けどよ渚の奴、マジで殺る気かよ。」

 

何とかして渚を止めないと…

 

「寺坂君、黒崎君、君達が渚君の頭を冷やして下さい。」

 

寺坂と俺は渚にスタンガンを投げつける。

 

「ちょーしこいてんじゃねえぞ渚!お前よ、治療薬が爆破された時、俺の事憐れむ様な目で見たろ。

 

一人前に他人の気遣いしてんじゃねーよモヤシ野郎!ウイルスなんて寝たら余裕で治せんだよ!」

 

「寺坂…お前ウイルスに…」

 

「渚、そんな奴殺した所で何にもならない!目を覚ませ!本気で人を殺そうとしたらどうなるか…

俺は身をもって学んだ。お前だって見ただろうこのザマ。良いか、ウイルスなんてどうせ偽物。

 

この男のでっち上げだ!あんなのただの下剤かなんかだ。

 

こんな男…死なない範囲で苦痛を与えてやれ…気絶程度で十分だ。

 

俺はこの身体…やれるのはお前しかいない!」

 

「そうです彼の言う通り、彼に治療薬の知識なんてない。下にいた毒使いに聞きましょう。

 

こんな男、気絶で十分。考えて下さい。この男の言葉と2人の言葉。

 

その男と先生。それぞれどちらが大事か考えて下さい。」

 

殺せんせーが続いて言う。

 

「お前これすごい熱だぞ、こんな状態で来てたのか!」

 

吉田が叫ぶ。寺坂はそれほど酷い状況だった。

 

「うるせえ、見るならあっちだ。やれ渚。死なない範囲でブチ殺せ。」

 

渚の心臓が鼓動する。そして渚はスタンガンをしまい、ナイフを手にした。

 

「渚、スタンガンしまっちゃったよ…」

 

茅野が心配そうに言う。

 

「大丈夫だ茅野。今の渚は冷静だ。殺す様なマネはしない。」

 

そんなことはつゆ知らず鷹岡は言う。

 

「殺す気満々で安心したぜ。スタンガンは義理立てして拾ってやったのか。

 

言っとくが、薬はここに数本予備がある。人数分には足りないが、最後の希望だぜ、

 

もし下の奴らが邪魔したり手出ししようものなら、こいつも破壊する。」

 

「烏間先生、もう精密な射撃が出来るでしょう。もし渚君の生命の危機を感じたら、

 

迷わず鷹岡を撃って下さい。責任は私が取ります。」

 

(先々を見通すこいつがここまで言う…今までになく危険な状況だ。

 

いや、俺から見ても間違いなくまずい。暗殺とは戦闘になる前に殺す職業。

 

訓練でもそれに絞って教えている。だが、潮田渚が暗殺に持ち込もうとしても…)

 

自然に、ノーモーションからナイフを振るう渚。しかし鷹岡はそれを見切り、

 

渚の腕を払う。膝を蹴る。

 

「おらどうした、殺す気じゃなかったのか?」

 

また渚が攻撃しようとするも、鷹岡はそれを防ぐ。

 

(今の鷹岡は、狂気で満ちていても立派な精鋭軍人。いかなる奇襲も通じない。

 

奴を倒すのは、全国模試で一位を取るより難しい。)

 

戦闘を繰り返し、渚の身体は傷だらけに、一方鷹岡は洗練された動きで全ての攻撃を防いだ。

 

「敵うわけねーよあんな化け物。」

 

「さて、そろそろ俺もこいつを使うか。」

 

鷹岡はナイフを取り出す。

 

(ナイフと共に夢に出てくるトラウマ、それがこいつの笑顔だ。あの笑顔に虚を突かれて全てが狂った。

 

もう二度と同じ過ちはしない。こいつに復讐を果たし…

 

標本として一生手足を愛でてやるよ。)

 

「烏間先生、もう撃って下さい!渚死んじゃうよ!」

 

茅野が叫ぶ。

 

「いや、手出しすんじゃねー。」

 

「まだ手出しすんなって、そろそろ俺も参戦したいんだけど。」

 

カルマも憤っている様だ。

 

しかし、

 

「渚の奴、まだ隠し玉持ってるらしいぜ。」

 

渚の回想

 

「今のが、殺す技?」

 

「そうだ、と言ってもピンと来ないだろう。しかし、これを行う事で、確実に相手を殺せる。

 

だが俺は殺し屋としてピンチの時、これを編み出す事で切り抜けた。

 

この技の発動条件は3つ。

 

一つ、武器を二つ持っている事

 

二つ、敵が手練である事

 

三つ、敵が殺される恐怖を知っている事

 

(…よかった、全部揃ってる。僕の実験台になって下さい。鷹岡先生。)

 

渚が妖しく微笑む。

 

ついに、渚の隠し技が…

 




次回、ついに明らかになる渚の隠し技…

ま、みんな知ってると思いますがね。

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