黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

40 / 109
オリジナルストーリー。上手くは書けなかった…


34話 黒崎の時間

そして黒崎とヴァンパイアの戦いが始まった。

 

黒崎の手には寺坂のスタンガンが。

 

「ヘン、そんなおもちゃで俺を倒せるとでも?」

 

ヴァンパイアは本物のナイフを手にする。

 

「さあ、行くぜ!」

 

ヴァンパイアがナイフを振るう。

 

黒崎はそれを避ける。

 

「フン、小賢しい。」

 

黒崎は的確に攻撃を避け、捌き、かわし続ける。

 

「あいつ、いつの間にあんな力を…。」

 

皆は驚いている。

 

「希望者には放課後護身術を教えている。彼は特別覚えるのが早くてな。」

 

しかし、

 

「甘い!」

 

ナイフの先が黒崎の腕を切る。

 

「くっ。」

 

「黒崎君!」

 

黒崎も抗戦するが、次第にヴァンパイアに押されている。

 

その後も戦っている内に、黒崎の傷は増えていった。

 

「さあ、てめえの大事なモノを頂いてやる!」

 

黒崎はかわし、避け続けるが、それも限界がある。

 

黒崎も何度か攻撃を仕掛けるが。一方ヴァンパイアに黒崎の攻撃は当たらなかった。

 

「この俺を舐めやがって、テメーみたいな中坊如きが俺に勝てる訳ねーんだよ。」

 

黒崎は呼吸も荒く体力を消耗していた。明らかに黒崎に勝ち目は無い。

 

そして、

 

「ぐはっ!」

 

ヴァンパイアが黒崎の腹部を思い切り蹴る。

 

「さあ、これで終わりだ。お前の大事な物を頂こうか。」

 

そう言ってヴァンパイアはナイフをかざす。

 

「そうそう、お前の顔、どっかで見た事あると思ってたんだ。」

 

「嘘だろ…俺は…お前なんて…知らないぞ。」

 

黒崎は息も絶え絶えに言う。

 

「戦ってる途中で思い出した!お前、俺が一番最初に殺したターゲットの2人に、よく顔が似てやがる!

 

さてはあいつらの息子か?」

 

「そのターゲットの名前は…何だ?」

 

黒崎が問う。だが答えは明白だ。

 

「よくは覚えていないが…そう、黒崎と言ったかな…?」

 

「!!」

 

皆が驚いている。無理もない。この殺し屋が黒崎の両親を殺したんだから。

 

「そうか、お前が…俺の両親を…殺したのか。俺から…何もかも…奪ったのか。」

 

黒崎は今までより増して強烈な殺気を放つ。

 

「おいおい、俺は依頼を引き受けたまでだ。悪く思うなよ。しかしたまんなかったなあ。

 

命を奪う感覚は。」

 

「お前が両親を殺したというのなら、お前は、この…両親の形見で…殺してやる!」

 

黒崎はナイフを取り出す。折りたたみ式のバタフライナイフだが、刃渡りは長く刃先は鋭かった。

「黒崎、なんでナイフなんか持ってやがんだ?」

 

寺坂が言う。そうだ、普通は中学生がナイフなんか持たない。

 

「ああ、念のためさ。島の下調べをした時、こんな情報があったんだ。

 

この島は警察からもマークされている危険な島だって。

 

まさか使うとは思わなかったがな。」

 

「じゃあ、両親の形見って?」

 

「両親が死ぬ少し前、俺に誕生日プレゼントとしてくれたんだよ。

 

お守り代わりにな。だから両親の仇はこのナイフで取る!」

 

「へっ、その身体で何が出来る、このまま俺に大人しくやられるのがオチ…」

 

ヴァンパイアがそう言いかけた所で、黒崎はナイフを振るった。

 

「死ね。」

 

その時、黒崎の態度が豹変した。さっきまでは殺気を発しながらも冷静に動いていた黒崎。

 

だが、その時、黒崎の目は血走り、狂気の笑みを浮かべていた。

 

ヴァンパイアは慌ててかわす。

 

「まさかまだ戦えるとはなあ。だが良い、今度こそ容赦しないで叩き潰してやる!」

 

そう言って攻撃するヴァンパイア。だがしかし、黒崎は全ての攻撃を避け、

 

ヴァンパイアに容赦なく攻撃をする。

 

「死ねえ!死ねえ!死ねえ!」

 

(こいつ、さっきより明らかに動きが速くなってやがる。)

 

黒崎は先ほどより明らかにスピードも速く、攻撃は鋭くなっている。

 

その動きは洗練されていて、まるで戦場に死を呼ぶ死神のようだった。

 

「どういう事だ?彼の動きが明らかに今までとは違う、まるで性格も能力も別人のようだ。」

 

烏間先生が疑問に思う。

 

「恐らく、あれはゾーン状態と呼ばれるものでしょう。ピンチになると普段以上に力が出る。

 

限界を超えられる。誰だって持っている能力ですが、

 

彼はその度合いが強いんでしょうね。今の彼はプロの殺し屋にも引けを取らない。

 

しかしこれにも弱点があります。」

 

「死ねえ!死ねえ!」

 

黒崎はナイフを振るい、攻撃を続ける。

 

(くそ、俺が、こんなガキに…押される?)

 

さっきまで劣勢で、止めを刺されかけていた黒崎が、今、殺し屋ヴァンパイアを追い詰めている。

 

敵を追い詰めてもなお、黒崎は狂気の笑みを浮かべていた。

 

一方ヴァンパイアの目には恐怖が見て取れる。

 

それはプロの殺し屋が、数ヶ月暗殺訓練を受けただけの中学生に負ける恐怖か。

 

それとも死神のように死を呼ぶ少年に魂を狩られる恐怖か。

 

最初は前者を感じていたのだろう。しかし、後にその恐怖は後者へ変わった。

 

今、ヴァンパイアは確実に生命の危機に晒されている。

 

「死神野郎があああっ!」

 

恐怖のあまりそう叫んだヴァンパイアに、先程までの威勢は何処にもない。

 

そして黒崎は、もう片方の手に持っていたスタンガンを振るう。

 

ついにそれは、ヴァンパイアの首元に触れるのだった。

 

「ぐはっ!」

 

そう言ってヴァンパイアは崩れ落ちた。

 

「くそ、この俺が、負けるなどと…。」

 

「驚いたな、スタンガンを喰らってまだ意識があるのか。」

 

黒崎がそう言う、そう、彼はあれ程の電流を浴びてなお、体は麻痺していたが意識はあった。

 

「さあ皆、こいつを拘束しろ。また目覚めたら大変だからな。」

 

皆が一斉にヴァンパイアを簀巻きにする。

 

しかし、皆がその場の異様な光景に唖然としていた。

 

プロの殺し屋を圧倒する中学生。味方である筈の生徒達、そして烏間先生までもが、

 

彼に恐怖を抱いた。

 

(まさかあれ程の強さを隠し持っていたとは…。黒崎翔太、彼の強さは一体…。)

 

「さあ、皆さん、次の階へ…。」

 

殺せんせーが決まりが悪そうに小さな声で言うが、皆動こうとはしなかった。

 

その場の異様な状況に呑まれていた。

 

「‼︎」

 

黒崎は、ヴァンパイアにナイフを突き付けたのだ。

 

「俺は殺すと言ったんだ。両親の仇を取ると。さあヴァンパイア。貴様の大事な物とやらを奪ってやる。」

 

「や、やめろおおおお!」

 

ヴァンパイアが恐怖のあまり叫ぶ。

 

「やめなさい黒崎君!人を殺す事を先生は許しません!」

 

殺せんせーが制止する。しかし、

 

「許さない?一歩たりとも動けないせんせーが言っても説得力ねーよ。

 

その状態で何が出来る?」

 

黒崎は冷淡にそう言った。普段の彼からは考えられない言動だ。

 

「そんな事は関係ありません!それに黒崎君!君がここで人を殺せば、

 

君はその後の将来も失う事になる!こんな男の為に、将来を失いたくはないでしょう!」

 

殺せんせーは尚必死に止める。

 

「馬鹿馬鹿しい。このホテルは警察すら迂闊に手を出せないホテルなんだろう?

 

俺が殺しても捜査すら出来やしない。それに向こうは殺す気で来てるんだ。

 

こちらとて殺す事も必要だ。それに、こいつは俺から何もかも奪ったんだ!

 

この男のせいで、俺は、俺は…

 

この罪は、絶対に償わせる、死をもってな!殺せんせー、あんたにこの気持ちが分かるか?

 

さあ終わりだ、覚悟は出来たか?人殺し。」

 

するとヴァンパイアは叫ぶ。

 

「やめろおおおお!頼む、命だけは、命だけは!」

 

必死の形相で命乞いをする。

 

「命乞いか、見苦しい、貴様のような屑は社会の害悪になるだけだ。

 

大人しくここで死ね。」

 

「うああああああ!」

 

黒崎はナイフを深く刺し、命を奪おうとした。その時、

 

「もうやめて!」

 

1人の少女が叫んだ。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。