黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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32話 女装の時間

「さて、この次は6階のテラスラウンジ。ここから上の7階はVIPフロアとなるので、

 

入り口の警備のチェックを通る必要があります。なので男子は先に階段の裏へ回り待機、

 

入口には鍵が掛かっているので、女子はこのテラスラウンジを通って入口の鍵を開けてください。」

殺せんせーが作戦を説明する。

 

「でも何故女子をテラスラウンジへ?」

 

「ああ、こういう場所は女子には大抵チェックが甘いんです。」

 

「ふーん。じゃあ二手に分かれて行こう。」

 

そして皆が二手に分かれようとする。すると片岡が止める。

 

「ちょっと待って!」

 

「ん?どうした片岡?」

 

「幾ら何でも、女子だけであの場所を通り抜けるのは危なく無い?」

 

「そうだが、じゃあどうすると?」

 

俺は訊く。

 

「そうだな〜?女装とか。」

 

不破がそう言う。女装だと?何を言ってる?

 

「渚〜、よろしくね。」

 

「ええ、僕?」

 

「だって女子に見えやすいし。」

 

「じゃあ渚と女子、よろしく。俺らは先に…。」

 

するとカルマが遮る。

 

「ちょっと待って、渚君だけじゃ不安じゃない?」

 

「ああ確かに、じゃあどうするんだ?」

 

確かに小柄な渚じゃ不安だが、他に女装出来そうな奴などいない…

 

「いるじゃん、黒崎、お前だよ。」

 

「はあ?」

 

「いやだって、背もそんなに高くないし体も少し華奢だし。」

 

数分後。俺と渚は女装させられた。

 

「うう…」

 

渚は恥ずかしそうにしている。

 

「まあこうなった以上仕方が無い。堂々と女子を演じろ。」

 

「黒崎はなんでそんな平然としてるの?」

 

「いや俺だって恥ずかしいというか死にたい。けど今更遅い。」

 

「そう言えばこの服どこにあったの?」

 

すると片岡が言う。

 

「そこのプールサイドに脱ぎ捨ててあった。持ち主は知らないけど。

 

黒崎の服は、確かハンガーに掛けてあったよ。」

 

「なんでこんなのがハンガーに掛けてあんだよ!」

 

俺は思わず叫ぶ。何せ俺が着ているのは黒いドレスとサングラス。普通は無い。

 

「うーん、話の都合?しっかしやだねー、こんな不潔な場所。早く抜け出したい。」

 

メタ発言か。というかこんな展開考えた作者許すまじ。

 

「の割には楽しそうだね不破さん。」

 

 

テラスに一人の少年がいた。

 

(親のコネで予約したホテルで、親の金目当ての客と遊ぶ。なんてカッコ悪い夏休みだ。

 

連れてきた女どもは、速攻外人にお持ち帰りされちまった。

 

取り残された俺は、酒と葉っぱでごまかすだけ。このホテルじゃ全部合法だ。)

 

するとその少年の前をE組の女子達が通りかかる。

 

(また女か。見た所粒揃いだが、どうせ中身は空っぽの奴ばかりだろう。)

 

しかし少年の目に渚が見える。

 

(あの娘、慣れてない感じがいいな。)

 

「ね、どっから来たの君?飲み物奢るからちょっと付き合ってよ?」

 

「え、僕?」

 

すると片岡が渚に手を置く。

 

「渚、行ってきなさい。あんた一人なら大丈夫でしょ。」

 

「ええー、」

 

そう言われ渚はトボトボついていった。

 

するとまた別の男が。

 

「ようお嬢達、今夜俺らと遊んで行かない?」

 

「たくもう次から次へと。」

 

またナンパか。いい加減追い返そうと思った時

 

矢田が男に話す。

 

「うーん。お兄さん達かっこいいから遊んであげたいけど、あいにくウチらパパ同伴なの。」

 

「へ、パパが怖くてナンパが出来るか。」

 

不良は舐め腐った態度をとる。

 

「うちのパパ怖いからさー、平気だってんなら、パパに紹介する?」

 

そう言って矢田は代紋を出す。何かのエンブレムか?

 

「ああ、それか?少人数だけど有名な凶島組だっけか?ヘン、どうせ偽物だろう。

 

こんな大人数でいる訳ねえ。」

 

だが男は信じない、そこで、

 

俺は男の首元にナイフを突き付けた。

 

「何だ!」

 

「信じないっていうなら、身をもって分からせてあげるよ。

 

私たちみんなね、パパの仲間から体術教わってんの。お忘れないようにね。」

 

といった。

 

すると男は怯えたような顔をして、

 

「やべえ、もしかして本物?すみませんでしたあ!」

 

慌てて逃げ出した。

 

「ふう危なかった。黒崎君ありがとうねー。」

 

「ああ、何とかごまかせた。」

 

一方渚はユウジというらしい少年と話していた。

 

「ユウジ君はさ、親と来てるの?」

 

と渚が聞く。

 

「親?俺の親にそんな暇ねーよ。いつもテレビに出てる司会者でよ、渚ちゃんも知ってるさ。」

 

どうやらユウジの親は有名な芸能人らしい。

 

(やべ、反射的に親の話しちまう。くそ、ナンパくらい自力でやってやる!)

 

するとユウジはドラッグを吸う。

 

「それ、タバコじゃないよね、もっと危ない奴?」

 

「ああ、俺らの年でこういうの知ってるのがカッコ良いんだぜ。 」

 

ユウジは笑う。だがそれは虚勢に過ぎない、渚はそう思った。そして彼を止めなきゃと思い、

 

そのドラッグを取り上げた。

 

「学校の先生が言ってたよ、確実に生きづらくなるだろうって。」

 

するとユウジは叫ぶ。

 

「生き辛いんだよ男は元々!男はな、無理にでもカッコつけなきゃいけねえんだよ。

 

いつも親と比較されてりゃあ尚更な。

 

お前ら女は良いよなあ、良い男捕まえりゃあそれで良いんだから。」

 

(うちの女子は、もうちょっとしっかり考えてると思うけど…)

 

場面は変わり女子達へ。

 

「ビッチ先生に貰ったんだあのバッジ。潜入暗殺で手に入れたって。

 

色仕掛けがしたいんじゃ無いけど、将来絶対使えるだろうからさ、交渉術と接待術。

 

殺せんせーも、第2の刃を持てって言ってたじゃん。」

 

「おおー、将来きっと矢田ちゃんはカッコ良い女性になるねえ。」

 

すると茅野が言う。

 

「むむ、巨乳なのに惚れざるを得ない。」

 

「巨乳を憎む茅野っちが心を開いた!」

 

思わず岡野が叫ぶ。毎回思うんだが、なぜそんなに執着する?

 

そして片岡が呼び掛ける。

 

「皆、こっからが正念場だよ。鍵を開けるにも階段を登るにもあの見張りが邪魔。

 

倒せない事も無いけどそしたらバレちゃうし。茅野さん、渚呼んできて。」

 

茅野が渚を呼ぶ。

 

「じゃあ、僕じゃない私、そろそろ行かないと、じゃあね。」

 

(くそ、俺なんて男として見ていないってか?)

 

「おい待ってくれよ彼女達。俺の十八番のダンス、見てくれよ〜。」

 

ユウジがしつこく話し掛ける、

 

(邪魔…)

 

皆そう思った。

 

するとユウジの腕が誰かのグラスにぶつかり、ビールが零れ誰かの服に付く。

 

そしてユウジはその男に絡まれる。

 

すると岡野が男のアゴに蹴りを入れる。

 

「すいませ〜ん店の人、この人急に倒れちゃったの。運び出して見てくれない?」

 

警備を矢田が誘い出す。

 

「はいはい、全く、ドラッグのキメ過ぎか?」

 

そして俺たちは今の内にここを抜ける。

 

「女子が全部良いとこ持ってっても、それでも男子はめげずにカッコつけなきゃいけない。

 

辛いよね、男子は。今度会ったらまたカッコつけてよ。できれば麻薬とダンス以外でね。」

 

それは男である渚だからこそわかる感情であった。

 

渚、この中の誰よりも女子らしく見えるぞ。

 

そして男子と合流する。

 

「ていうか、僕が女装した意味無いじゃん。」

 

「えー、面白いからに決まってんじゃん。」

 

カルマはそう言って撮る。

 

「おいカルマ、今俺も撮っただろ。」

 

「そう怒ると良くないよ、女の子なんだから、黒崎姫。」

 

「ふざけるな!誰が黒崎姫だコラ!」

 

「まあまあ落ち着いて。」

 

しかし、渚の女装も、きっと誰かの役に立っているだろう。

 

そして次の階へ。

 

ここからはVIPフロア。客が雇った私兵も置けるようになる。そしてすぐそこに警備が二人。

 

誰の見張りかは分からないが、とりあえず倒さねば進まないことは確か。

 

そして、

 

「この場を乗り切る為には、寺坂君の持つ武器なんかが丁度良いでしょう。」

 

寺坂はスタンバトンを持っていた。

 

「だが大丈夫か?すぐに仕留めなければ連絡されるぞ?」

 

「心配いらねーよ。おい木村、お前一人なら敵とは思われねえ。なんか挑発してあいつらここまで誘い出せ。」

 

「何て言えば良いんだよ。」

 

木村が疑問に思う。

 

「木村、こう言ってみ?」

 

カルマが耳打ちする。きっとろくなもんじゃ無いな。

 

そして木村は見張りへ向かう。

 

「あれえ、脳みそ君がいないなあ。こいつら筋肉しかねえし。人の形すんなよ豚肉共が。」

 

「おいテメエ、待てやコラ。」

 

(めちゃくちゃ声が怒ってる!て当たり前か!)

 

木村はダッシュで逃げる。気の毒だ。

 

そして皆の所まで接近する。

 

「おい吉田、今だ!」

 

「おうよ、」

 

寺坂達の前にやってきた頃合いを見計らい、二人を寺坂と吉田が体当たりして抑え体勢を崩させ、

スタンバトンを首元に押し付ける。

 

これで見張りは倒れた。

 

「タコに電気試そうと思って買っといたんだが。まさかこんな形でお披露目とはな。」

 

おおかたシロから受け取った金で買ったんだろう。

 

「良い武器です。ですがその2人の服の下の膨らみ。もっと良いものがあるでしょう。」

 

何とそこには実弾入りの銃が!

 

「千葉君速水さん、この銃は君たち2人が使いなさい。烏間先生がこの状態の今、

 

君たち2人がこれを最も上手く扱えます。

 

ただし、先生は殺す事を認めません。君達なら殺さずにそれを活かすことが出来るはず。」

 

(本物の銃?さっきエアガンでも失敗したのに?)

 

2人は悩んでいた。そして自信を持てないでいた。

 

「では行きましょう、恐らく残りの殺し屋は1人か2人。さっさと決着をつけましょう!」

 

「おうよ、こんなクソ計画考える奴の顔晒してやる。」

 

一方場面は変わりボスの部屋に。

 

「どうも様子がおかしい。グリップともスモッグとも連絡がつかないし、

 

監視カメラに動きがなさ過ぎる。

 

よし、ボス、ちょっと見回り行ってくるっす。」

 

ガストロは不審に思っていた。幾ら何でも動きがなさ過ぎると。

 

なのでその真相を確かめに見回りに行く。

 

「ヒャハハハは、良いなあ中学生が苦しむ姿は。

 

100億手に入れたら、中学生買って毎日ウイルス飲まそうかな。」

 

そのボスの目はもはや狂気だった。

 

「悪いとは言わねえがボス、あんたの拘りも、なかなかのもんでっせ。」

 

(味の悪い仕事になってきたぜ、超生物の暗殺任務かと思いきや、ガキ共のお出迎え。

 

ボス直属の見張りは突っ立ってるだけ、

 

そんでこの俺がほとんどパシリ同然さ。

 

クソ不味い、やっぱ美味いのは銃だけだ。)

 

8階のコンサートホール。

 

ガストロ対千葉&速水。開戦。


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