「さて、この次は6階のテラスラウンジ。ここから上の7階はVIPフロアとなるので、
入り口の警備のチェックを通る必要があります。なので男子は先に階段の裏へ回り待機、
入口には鍵が掛かっているので、女子はこのテラスラウンジを通って入口の鍵を開けてください。」
殺せんせーが作戦を説明する。
「でも何故女子をテラスラウンジへ?」
「ああ、こういう場所は女子には大抵チェックが甘いんです。」
「ふーん。じゃあ二手に分かれて行こう。」
そして皆が二手に分かれようとする。すると片岡が止める。
「ちょっと待って!」
「ん?どうした片岡?」
「幾ら何でも、女子だけであの場所を通り抜けるのは危なく無い?」
「そうだが、じゃあどうすると?」
俺は訊く。
「そうだな〜?女装とか。」
不破がそう言う。女装だと?何を言ってる?
「渚〜、よろしくね。」
「ええ、僕?」
「だって女子に見えやすいし。」
「じゃあ渚と女子、よろしく。俺らは先に…。」
するとカルマが遮る。
「ちょっと待って、渚君だけじゃ不安じゃない?」
「ああ確かに、じゃあどうするんだ?」
確かに小柄な渚じゃ不安だが、他に女装出来そうな奴などいない…
「いるじゃん、黒崎、お前だよ。」
「はあ?」
「いやだって、背もそんなに高くないし体も少し華奢だし。」
数分後。俺と渚は女装させられた。
「うう…」
渚は恥ずかしそうにしている。
「まあこうなった以上仕方が無い。堂々と女子を演じろ。」
「黒崎はなんでそんな平然としてるの?」
「いや俺だって恥ずかしいというか死にたい。けど今更遅い。」
「そう言えばこの服どこにあったの?」
すると片岡が言う。
「そこのプールサイドに脱ぎ捨ててあった。持ち主は知らないけど。
黒崎の服は、確かハンガーに掛けてあったよ。」
「なんでこんなのがハンガーに掛けてあんだよ!」
俺は思わず叫ぶ。何せ俺が着ているのは黒いドレスとサングラス。普通は無い。
「うーん、話の都合?しっかしやだねー、こんな不潔な場所。早く抜け出したい。」
メタ発言か。というかこんな展開考えた作者許すまじ。
「の割には楽しそうだね不破さん。」
…
テラスに一人の少年がいた。
(親のコネで予約したホテルで、親の金目当ての客と遊ぶ。なんてカッコ悪い夏休みだ。
連れてきた女どもは、速攻外人にお持ち帰りされちまった。
取り残された俺は、酒と葉っぱでごまかすだけ。このホテルじゃ全部合法だ。)
するとその少年の前をE組の女子達が通りかかる。
(また女か。見た所粒揃いだが、どうせ中身は空っぽの奴ばかりだろう。)
しかし少年の目に渚が見える。
(あの娘、慣れてない感じがいいな。)
「ね、どっから来たの君?飲み物奢るからちょっと付き合ってよ?」
「え、僕?」
すると片岡が渚に手を置く。
「渚、行ってきなさい。あんた一人なら大丈夫でしょ。」
「ええー、」
そう言われ渚はトボトボついていった。
するとまた別の男が。
「ようお嬢達、今夜俺らと遊んで行かない?」
「たくもう次から次へと。」
またナンパか。いい加減追い返そうと思った時
矢田が男に話す。
「うーん。お兄さん達かっこいいから遊んであげたいけど、あいにくウチらパパ同伴なの。」
「へ、パパが怖くてナンパが出来るか。」
不良は舐め腐った態度をとる。
「うちのパパ怖いからさー、平気だってんなら、パパに紹介する?」
そう言って矢田は代紋を出す。何かのエンブレムか?
「ああ、それか?少人数だけど有名な凶島組だっけか?ヘン、どうせ偽物だろう。
こんな大人数でいる訳ねえ。」
だが男は信じない、そこで、
俺は男の首元にナイフを突き付けた。
「何だ!」
「信じないっていうなら、身をもって分からせてあげるよ。
私たちみんなね、パパの仲間から体術教わってんの。お忘れないようにね。」
といった。
すると男は怯えたような顔をして、
「やべえ、もしかして本物?すみませんでしたあ!」
慌てて逃げ出した。
「ふう危なかった。黒崎君ありがとうねー。」
「ああ、何とかごまかせた。」
一方渚はユウジというらしい少年と話していた。
「ユウジ君はさ、親と来てるの?」
と渚が聞く。
「親?俺の親にそんな暇ねーよ。いつもテレビに出てる司会者でよ、渚ちゃんも知ってるさ。」
どうやらユウジの親は有名な芸能人らしい。
(やべ、反射的に親の話しちまう。くそ、ナンパくらい自力でやってやる!)
するとユウジはドラッグを吸う。
「それ、タバコじゃないよね、もっと危ない奴?」
「ああ、俺らの年でこういうの知ってるのがカッコ良いんだぜ。 」
ユウジは笑う。だがそれは虚勢に過ぎない、渚はそう思った。そして彼を止めなきゃと思い、
そのドラッグを取り上げた。
「学校の先生が言ってたよ、確実に生きづらくなるだろうって。」
するとユウジは叫ぶ。
「生き辛いんだよ男は元々!男はな、無理にでもカッコつけなきゃいけねえんだよ。
いつも親と比較されてりゃあ尚更な。
お前ら女は良いよなあ、良い男捕まえりゃあそれで良いんだから。」
(うちの女子は、もうちょっとしっかり考えてると思うけど…)
場面は変わり女子達へ。
「ビッチ先生に貰ったんだあのバッジ。潜入暗殺で手に入れたって。
色仕掛けがしたいんじゃ無いけど、将来絶対使えるだろうからさ、交渉術と接待術。
殺せんせーも、第2の刃を持てって言ってたじゃん。」
「おおー、将来きっと矢田ちゃんはカッコ良い女性になるねえ。」
すると茅野が言う。
「むむ、巨乳なのに惚れざるを得ない。」
「巨乳を憎む茅野っちが心を開いた!」
思わず岡野が叫ぶ。毎回思うんだが、なぜそんなに執着する?
そして片岡が呼び掛ける。
「皆、こっからが正念場だよ。鍵を開けるにも階段を登るにもあの見張りが邪魔。
倒せない事も無いけどそしたらバレちゃうし。茅野さん、渚呼んできて。」
茅野が渚を呼ぶ。
「じゃあ、僕じゃない私、そろそろ行かないと、じゃあね。」
(くそ、俺なんて男として見ていないってか?)
「おい待ってくれよ彼女達。俺の十八番のダンス、見てくれよ〜。」
ユウジがしつこく話し掛ける、
(邪魔…)
皆そう思った。
するとユウジの腕が誰かのグラスにぶつかり、ビールが零れ誰かの服に付く。
そしてユウジはその男に絡まれる。
すると岡野が男のアゴに蹴りを入れる。
「すいませ〜ん店の人、この人急に倒れちゃったの。運び出して見てくれない?」
警備を矢田が誘い出す。
「はいはい、全く、ドラッグのキメ過ぎか?」
そして俺たちは今の内にここを抜ける。
「女子が全部良いとこ持ってっても、それでも男子はめげずにカッコつけなきゃいけない。
辛いよね、男子は。今度会ったらまたカッコつけてよ。できれば麻薬とダンス以外でね。」
それは男である渚だからこそわかる感情であった。
渚、この中の誰よりも女子らしく見えるぞ。
そして男子と合流する。
「ていうか、僕が女装した意味無いじゃん。」
「えー、面白いからに決まってんじゃん。」
カルマはそう言って撮る。
「おいカルマ、今俺も撮っただろ。」
「そう怒ると良くないよ、女の子なんだから、黒崎姫。」
「ふざけるな!誰が黒崎姫だコラ!」
「まあまあ落ち着いて。」
しかし、渚の女装も、きっと誰かの役に立っているだろう。
そして次の階へ。
ここからはVIPフロア。客が雇った私兵も置けるようになる。そしてすぐそこに警備が二人。
誰の見張りかは分からないが、とりあえず倒さねば進まないことは確か。
そして、
「この場を乗り切る為には、寺坂君の持つ武器なんかが丁度良いでしょう。」
寺坂はスタンバトンを持っていた。
「だが大丈夫か?すぐに仕留めなければ連絡されるぞ?」
「心配いらねーよ。おい木村、お前一人なら敵とは思われねえ。なんか挑発してあいつらここまで誘い出せ。」
「何て言えば良いんだよ。」
木村が疑問に思う。
「木村、こう言ってみ?」
カルマが耳打ちする。きっとろくなもんじゃ無いな。
そして木村は見張りへ向かう。
「あれえ、脳みそ君がいないなあ。こいつら筋肉しかねえし。人の形すんなよ豚肉共が。」
「おいテメエ、待てやコラ。」
(めちゃくちゃ声が怒ってる!て当たり前か!)
木村はダッシュで逃げる。気の毒だ。
そして皆の所まで接近する。
「おい吉田、今だ!」
「おうよ、」
寺坂達の前にやってきた頃合いを見計らい、二人を寺坂と吉田が体当たりして抑え体勢を崩させ、
スタンバトンを首元に押し付ける。
これで見張りは倒れた。
「タコに電気試そうと思って買っといたんだが。まさかこんな形でお披露目とはな。」
おおかたシロから受け取った金で買ったんだろう。
「良い武器です。ですがその2人の服の下の膨らみ。もっと良いものがあるでしょう。」
何とそこには実弾入りの銃が!
「千葉君速水さん、この銃は君たち2人が使いなさい。烏間先生がこの状態の今、
君たち2人がこれを最も上手く扱えます。
ただし、先生は殺す事を認めません。君達なら殺さずにそれを活かすことが出来るはず。」
(本物の銃?さっきエアガンでも失敗したのに?)
2人は悩んでいた。そして自信を持てないでいた。
「では行きましょう、恐らく残りの殺し屋は1人か2人。さっさと決着をつけましょう!」
「おうよ、こんなクソ計画考える奴の顔晒してやる。」
一方場面は変わりボスの部屋に。
「どうも様子がおかしい。グリップともスモッグとも連絡がつかないし、
監視カメラに動きがなさ過ぎる。
よし、ボス、ちょっと見回り行ってくるっす。」
ガストロは不審に思っていた。幾ら何でも動きがなさ過ぎると。
なのでその真相を確かめに見回りに行く。
「ヒャハハハは、良いなあ中学生が苦しむ姿は。
100億手に入れたら、中学生買って毎日ウイルス飲まそうかな。」
そのボスの目はもはや狂気だった。
「悪いとは言わねえがボス、あんたの拘りも、なかなかのもんでっせ。」
(味の悪い仕事になってきたぜ、超生物の暗殺任務かと思いきや、ガキ共のお出迎え。
ボス直属の見張りは突っ立ってるだけ、
そんでこの俺がほとんどパシリ同然さ。
クソ不味い、やっぱ美味いのは銃だけだ。)
8階のコンサートホール。
ガストロ対千葉&速水。開戦。