黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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28話 決行の時間

「にゅやあ、先生船苦手です。もうダメ…。」

 

殺せんせーはなんでこんなに乗り物に弱いんだ?マッハ20なのに。

 

「着いたよ殺せんせー、東京から6時間!南の島に到着だ〜!」

 

「おおーっ!殺せんせーを殺す島だぜ!」

 

一気に歓声が上がる。

 

「島だー!」

 

こうして始まった、南の島の暗殺旅行。

 

そして生徒達はホテルに着く。

 

「ようこそ普久間島リゾートホテルに。サービスのトロピカルドリンクです。」

 

「わーい!」

 

トロピカルドリンクか。最近はそんなサービスもあるんだな。

 

「いやー、最高!景色全部が鮮やかで明るいなー!」

 

皆嬉しそうだ。

 

「さ、殺せんせー、例の暗殺は夕食後にやるから、昼間は楽しもうぜ!

 

修学旅行みたいに班別行動でさ!」

 

「ええ、よく学びよく殺す。これぞ暗殺教室の旅行です。」

 

そう言って殺せんせーは班ごとについて回る。その間他の班は暗殺の為に下見をする。

 

まずは殺せんせー、1班と一緒にグライダーで遊ぶようだ。

 

殺せんせーだけ妙に早い。

 

「おいなんだあれ?スピード妙に速いぞ?捻り込み旋回とか不可能なはずだが…。」

 

余談だが、監視員に疑われていた。

 

そうして楽しそうに1班と殺せんせーは遊んでいる。ように見せかけ…

 

「上手い事陽動やってるな1班。」

 

「ああ、やるもんだねえ。」

 

俺たち4班は海に潜って実地調査だ。

 

「ちゃんと暗殺も混ぜて、他の班に目が行かないようにしてる。流石だな。」

 

すると茅野から声が掛かる。

 

「次うちの班だよー、やる事やってさっさと終わらして着がえよー!」

 

「了解〜。」

 

遊びに見せかけ俺らは真剣だ。プラン通りに暗殺が進むかどうか。

 

綿密に現地をチェックして回る。

 

その時殺せんせーは、逆三角形状に日焼けしていた。

 

「なんでそんな風に焼けてるの殺せんせー?」

 

「グライダーの先端部分だけ陰になってました。」

 

そこで茅野が声を掛ける。

 

「次は4班だよ殺せんせー、船だけど大丈夫?」

 

「ええ。君達はイルカを見るようですねえ。」

 

その後俺達は船に乗ってイルカウォッチングをする。イルカの中に殺せんせーもいた。

 

一つの班が殺せんせーと遊ぶ間に、他の班が下見をする。

 

「殺せんせーは?」

 

「3班と海底洞窟巡り。絶対にコッチの様子は見えないよ。」

 

「じゃあ今は射撃スポット選び放題、」

 

「ササっと決めちゃいますか。」

 

「あの二人淡々としているな。」

 

「もはや仕事人の風格だ。」

 

「全く、どうして中学生であんな雰囲気が出るんだ?」

 

「お前が言うな黒崎。」

 

俺?あんな風格はないぞ。

 

その時、ビーチにて

 

「何よ、人っ子ひとりいなくなったわ。」

 

発情期のビッチもといビッチ先生がそう言った。新しい水着を着ているようだ。

 

「今夜からホテルとビーチ一帯を貸し切った。ここの客は我々だけだ。」

 

「余計な事すんじゃないわよカラスマ!ああもう、何で私の水着デビューはこうなの?」

 

まあ日頃の行いかな。

 

(今までにない大規模な暗殺計画。これまでは予定通り順調に進んだ。あと残る不安材料は…)

 

「イリーナ、一つ聞いておきたい。」

 

「何よカラスマ。」

 

「プロのお前に聞く、この暗殺、計画通りに進みそうか?」

 

「いいや、あれだけ大掛かりな計画じゃあどこかで歯車狂うわ。この私が遊んでるだけに見える?」

…十分見える。

 

「計画がずれた時のおこぼれ、真剣に狙ってんのよ。」

 

(不安要素。殺し屋との連絡が途絶え、防衛省でも問題が起きた。そして最近起きた不穏な事件…

 

この島自体にも嫌な噂を聞く。このまま暗殺が問題なく進むといいが…)

 

そして夕方になった。

 

「いやあ遊んだ遊んだ。」

 

日焼けしすぎて真っ黒に。

 

「黒いわ!」

 

「表情まで読み取れないよ。」

 

「それじゃあ殺せんせー。メシの後暗殺なんで。まずはゆっくりディナーとしましょう。」

 

「ええ、楽しみにしています。」

 

そう言って殺せんせーは楽しそうにレストランに向かう。

 

「どんだけ満喫してんだあのタコ。こちとら遊んでるフリすんのに大変だったのによ。」

 

「まあいいんじゃね?今日殺せば明日何も考えずに遊べるし。」

 

そして船上にて。

 

「では殺せんせー、夕飯はこの船上レストランで。さあ、夜の海をゆっくり楽しみましょう。」

 

磯貝がそう言った。

 

「なるほど。先生を船に酔わせて戦力を削ぐ作戦ですか。」

 

「ええ、暗殺の基本ですから。」

 

「実に正しい。でも大丈夫。暗殺前に気合の入った先生に船酔いなど恐れるに…」

 

「黒すぎるわ!」

 

殺せんせーが言い終わる前に皆が叫んだ。

 

「そんなに黒いですか。」

 

「前も後ろも分かんないよ。」

 

「でも大丈夫。先生には脱皮があります。」

 

そう言って殺せんせーは脱皮をした。でもあれは確か

 

「本来はヤバイ時の奥の手ですが、こういう使い方…」

 

「ばっかでー、暗殺前に自分で戦力減らしてやんの。」

 

「どうしてこんなドジ未だに殺せないんだろう。」

 

(この日の為に、皆で万全の用意をしてきた。今度こそ、殺せんせーに刃を届かせるんだ。)

 

渚の決意、果たして届くのか…

 

「さあメシの後はいよいよ暗殺だ。会場はこちらですぜ。」

 

「この船上パーティールーム。逃げ場はありませんよ。」

 

「さあ席に着けよ殺せんせー、まずは映画鑑賞から始めようぜ。」

 

遂に暗殺開始。

 

「まずは、三村が編集した動画を楽しんでもらい、その後テストで1位を取った8人が触手を破壊。

 

そして一斉に暗殺をする。でいいですね?」

 

「ええ、上等です。ドンと来なさい。」

 

「じゃあ映画鑑賞から。セッティングご苦労さん三村。」

 

「ああ、皆が飯食ってる間もずっと作業してたさ。」

 

三村は夕食の時間もずっとセッティングしていた。中々頑張っていた。

 

(この小屋からの脱出はリスクが高い。この中で逃げ切るしかなさそうだ。)

 

殺せんせーは状況を分析しそう思った。

 

「殺せんせー、ボディチェックを。あの水着を隠し持たれては大変ですから。」

 

「入念ですねえ。そんなヤボはしませんよ。」

 

「遠慮はいらない。皆さん、本気の暗殺。期待しています。」

 

「言われなくても、始めるぜ。殺せんせー。」

 

そして映画が始まった。

 

「3年E組が送る 〜とある教師の生態〜」

 

(後ろの小屋で生徒達がしきりにが出入りしている。位置と人数を明確にしないためでしょう。

 

しかし甘い。千葉くんと速水さんの匂いがここにありません。

 

二人のかすかな匂いが陸の方からする。)

 

(しかしこの動画よく出来ている。思わず引き込まれてしまいそう。いいセンスですねえ三村君。)

 

『まずはこの映像をご覧頂こう。我々の担任の恥ずべき姿を。』

 

そこにはカブトムシに擬態しエロ本を読む殺せんせー。

 

「にゅやあああ!」

 

相当ショックのようだ。

 

「お判り頂けだだろうか。これが我々の担任である。教師にあるまじき姿だ。」

 

「ちょ岡島君達。皆に言うなとあれほど!」

 

そんな願いを聞き入れるわけも無く。

 

「お次はこれである。女子限定のケーキバイキングに並ぶ巨影。誰あろう奴である。

 

どう見ても怪しい。女装以前に人間じゃないとバレなかっただけ奇跡である。」

 

こんな事してたのかよ…

 

「給料日前にはティッシュ配りに分身を作って並ぶ。

 

そんなにもらってどうするんだと思いきや、唐揚げにして食べだした。

 

奴に教師としての、いや生物としての尊厳はあるのだろうか。

 

後1時間、奴の恥ずかしい映像をたっぷりお見せしよう。」

 

「後1時間も!」

 

そして1時間後

 

「先生、あんなの知られてもう生きていけません…。」

 

「さて、秘蔵映像にお付き合い頂いたが、何か気付かないだろうか殺せんせー。」

 

「にゅや!」

 

あたりが水浸しになっていた。そう、満潮だ。

 

「誰かが小屋の支柱でも短くしたんだろ。」

 

「船に酔って、恥ずかしい思いして、海水吸って、だいぶ動きが鈍ってきたよね殺せんせー。」

 

「さあ本番だ。約束だ。避けるなよ。」

 

「やりますね。しかし狙撃手のいる窓の方向、そこさえ注意すれば。」

 

そして8人が同時に触手を撃つ。

 

すると小屋が崩れた。

 

そして水中からフライボードで皆が飛び出す!

 

「す、水圧の檻か!」

 

(殺せんせーは急激な環境の変化に弱い。木の小屋から水の檻へ。

 

鈍った触手を混乱させて反応速度をさらに落とす!)

 

「射撃を開始します。範囲 殺せんせーの周囲1m。」

 

殺せんせーは自分に当たる攻撃には敏感だけど、そうじゃない攻撃には反応が遅くなる。

 

だからあえて殺せんせーを狙わず、周囲を囲んで逃げ場を無くす。

 

そして、とどめの二人!千葉と速水が水上から殺せんせーを撃つ!

 

本物の二人はずっと水中にいた。陸にいるのは匂いを付けたダミー。

 

今なら、匂いも発砲音も、全て水が消してくれる!

 

「もらった!」

 

殺せんせーに弾が向かう。

 

「よくぞ、ここまで…」

 

その時、殺せんせーの全身が、閃光とともに弾け飛んだ。


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