黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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25話 五教科の時間

(テストは良い、一夜漬けで得た知識など将来ほとんど忘れてしまうだろう。

 

それでいい。同じルールの中で脳みそを広げ結果を求め知識を競う。

 

その経験こそが宝物だ。)

 

(本来、一人一人で受けるはずの試験。だけど、色んな人と同じ舞台に立っているのを感じる。

 

共に戦う仲間、敵となって立ちはだかるライバル、野次や声援を飛ばすギャラリー。

 

僕らはアサシン、おまけに今は剣闘士。戦いのゴングが鳴る!)

 

そしてテスト問題が配られる。

 

 

ー英語ー

 

中間より遥かに難しいテストに皆苦戦する。

 

「どいつもこいつもラストの問題でやられてるだろうなあ。だが俺、瀬尾智也はお前らとは違う。

親の仕事でLAに一年いた。その時に基本的な会話は全部マスターした。

 

今更中学レベルでやられるかよ!」

 

そう言って問スターを倒す瀬尾、しかし解答は△に。

 

「何でだ!満点解答の見本だぞ!」

 

すると、中村が現れる。彼女は満点解答だ。

 

「お堅いねえ、力抜こうぜ優等生!」

 

「E組ごときが、満点解答だと!くそ…。」

 

「外国にいい友達いなかったっしょ瀬尾クン、やたら熱心に本を勧めるタコとかさ。」

 

(「先生こういった繊細な反逆に憧れてまして。君達の年頃ならキュンキュン来るはず。」)

 

殺せんせーの言葉が思い返される。

 

「ライ麦畑でつかまえてか…くそ、その本、授業中に英語の教師がさり気なく勧めてやがった。」

 

「さすが進学校、問題文が名作から引用されている。おそらく原作と同じ、

 

雑な口語体で書かなければ満点解答にはならないでしょう。」

 

俺も渚も満点解答だった。ふう。

 

「よう二股女と付き合ってた五英傑(笑)。どうやらお前は勝てないようだな。」

 

最後に煽って終わる。

 

「くそおおおお!」

 

相当悔しがっていた。

 

-理科-

 

「理科は暗記だー!」

 

小山が暗記で問スターの装甲を剥がしていく。しかし頭の装甲が剥がれない。

 

「なぜだ!ちゃんと暗記したのに!」

 

すると横から頭の装甲を剥がして問スターの肩の上に乗って談笑する奥田さんが出てくる。

 

「本当の理科は、暗記だけじゃないんです。君が君である事を理解しているよって、

 

ちゃんと言葉にして伝えてあげると、この理科凄く喜ぶんです。」

 

そう言うと問スターは装甲を自ら脱いで奥田さんとともに駆けていった。

 

シュールだ。俺は剝がせなかった…。

 

-社会-

 

「しくじったあー!アフリカ開発会議の首脳会談の回数なんてわかるかよ!」

 

荒木は最終問題が解けず悔しがっていた。

 

「ふう、会議の重要度の象徴だし覚えておいて正解だった。

 

アフリカの貧困に共感して勉強してたら、殺せんせーにマッハで現地に連れて行かれたよ。」

 

「磯貝、貴様あ!」

 

へー、凄いな。流石に首脳会談の回数は知らなかった。

 

-国語-

 

「春過ぎて、夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」

 

神崎さんが綺麗に薙刀を振るい問スターを倒す。

 

「思った以上にやるようだなE組!顔だけでなく言葉も美しい!

 

だが、たった一遍の会心の解答では、勝利は得られない!取りこぼしなく全て制する総合力も必要さ!

 

そう、我々にはトップは取れない。なぜなら、ウチには総合力の怪物がいる。」

 

「なんか言ったか?」

 

そう言って俺は問スターを撃破していく、

 

文章読解、 文章から内容を読み取り、的確な解答を導く。そんなに難しくはない。

 

「国語なら、俺だって負けはしない。」

 

-数学-

 

「数学か、E組には赤羽がいたっけ。中間の数学は僕と同点1位、総合でも4位。

 

E組としてはずば抜けている。だが、僕には5教科は元より全教科死角はない!

 

頂上対決を圧勝で制し、E組には父を支配する駒として動いてもらう!」

 

浅野はそう言って不敵に笑う。

 

そして用紙が配られる。

 

「あーあ、皆目の色変えちゃって、勝つってのはそう言うことじゃ無いんだよ。

 

通常運転でサラッと勝ってこその完全勝利。こいつを生贄に、正しい勝ち方を皆に教えてやるよ」

カルマは余裕綽々の表情で皆を見下す。

 

暗殺、ギャンブル、全ての結果は、丸の数で決まる…!

 

最終決戦が今、幕を開ける…

 

 

 

-そしてテスト返却日-

 

「さてみなさん、全教科の結果が返ってきました。」

 

結果やいかに…

 

 

 

椚ヶ丘中学では、テストの結果と一緒に学年順位も届けられる、テストの結果は一目瞭然だ。

 

「さて、では発表します。まずは英語から。E組1位、そして学年でも1位、中村莉桜!」

 

「おおーっ。」

 

皆歓声を上げる。

 

中村莉桜 英語100点 学年1位

 

「完璧です、君のやる気はムラっ気があるので心配でしたが。」

 

「何せ賞金100億掛かってるからね。触手一本、忘れないでよ殺せんせー。」

 

「勿論です、渚君も大健闘ですが、肝心な所でスペルミスをする癖が直っていませんねえ。」

 

潮田渚 英語91点 学年7位

 

「うーん。」

 

7位か。渚もよく頑張ったな。

 

「それに黒崎君も頑張りましたねえ。」

 

黒崎翔太 英語96点 学年3位

 

点数は前回と変わらないが、テストの難易度は上がったので順位も上がった。

 

我ながら良い結果だ。

 

「しかし、1教科トップを取った所で潰せる触手はたった1本。A組との五教科対決もありますし、

喜ぶには早いですよ。」

 

瀬尾智也 英語95点 学年4位

 

次は国語。

 

「国語、E組1位は、黒崎翔太!」

 

俺がE組1位、じゃあ学年では?

 

「しかし!A組、浅野学秀が学年1位!」

 

浅野学秀 国語100点 学年1位

 

黒崎翔太 国語99点 学年2位

 

「黒崎君もよく頑張りました。君は本当に努力しましたからねえ。それに神崎さんも大健闘です。」

 

神崎有希子 国語96点 学年3位

 

榊原蓮 国語94点 学年4位

 

 

 

「やっぱり点取るなあ浅野は。英語だって一点差の2位だぜ?」

 

「五英傑なんて並んで呼ばれてるけど、結局は浅野が飛び抜けている。

 

あいつを倒さなきゃトップは取れないんだ。」

 

そう。浅野というトップを上回らないとトップは取れない。だがそれは相当難しい。

 

全教科隙のない完璧人間。ただ唯一付け入る隙があるとすれば各教科あたりだ。

 

一つの事に秀でた者はそれを極めれば全てに秀でた者を超えられる。

 

俺が暗殺でも勉強でも1位の科目が無いように。

 

「そして社会!E組1位は磯貝悠馬、学年では…おめでとう!浅野君を抑えて学年1位!」

 

「おっしゃあ!」

 

磯貝悠馬 社会97点 学年1位

 

浅野学秀 社会95点 学年2位

 

「マニアックな問題が多く平均も低かった社会でよくこれだけ取れました!」

 

荒木鉄平 社会93点 学年4位

 

黒崎翔太 社会94点 学年3位

 

まあ良い、社会はこれだけ取れれば充分だ。

 

「これで2勝1敗。」

 

「次は理科、奥田だ!」

 

「そして理科!E組1位は奥田愛美!素晴らしい、学年1位も奥田愛美!」

 

「これで3勝1敗!俺らの勝ちが決定だ!」

 

「よっしゃあ!」

 

奥田愛美 理科98点 学年1位

 

浅野学秀 理科97点 学年2位

 

「仕事したな奥田!触手一本頂きだ!」

 

「てことは賭けのあれも頂きかあ。楽しみ〜!」

 

これでE組の勝利は決定した。良い気分だ。そして何よりほっとした。

 

浅野が恐ろしい事を企んでいそうだったから。最も、こうして勝負に勝ってしまえば良い話だが。

 

小山夏彦 理科95点 学年3位

 

黒崎翔太 理科94点 学年4位

 

しかし、数学…

 

浅野学秀 数学100点 学年1位

 

黒崎翔太 数学91点 学年7位

 

そしてA組では

 

「こんな屈辱あるか!E組にクラス対決で負けるなんて。」

 

「ああ。あいつら…」

 

「そりゃ確かに、俺は目的を果たしたさ。俺から総合4位を奪ったやつへのリベンジな。

 

けど勝負するまでも無いわあんな雑魚。勝手に自滅してんだもん。

 

それに黒崎、今度はあいつに奪われやがった。」

 

黒崎翔太 総合475点 学年3位

 

赤羽業 総合437点 学年13位 数学89点 学年9位

 

カルマは木陰にいた。ショックであの場所に居られなくなったのだろう。

 

カルマはテスト用紙を握り潰す。

 

「流石にA組は強い。5教科総合10位まで、A組が7人を占めています。

 

E組は黒崎君が3位、竹林君と片岡さんの同点8位の3人のみです。

 

当然の結果です。A組の皆も負けず劣らず勉強した。怠け者が付いていけるはずが無い。」

 

「何が言いたいの?」

 

「恥ずかしいですねえー。余裕で勝つ俺カッコイイとか思ってたでしょ。」

 

図星だ、カルマの顔が真っ赤になる。

 

一方浅野は理事長と相対する。

 

「個人総合1位キープおめでとう。と言いたいところだが、何やらE組と賭けをしていたそうだね。」

 

浅野学秀 総合491点 学年1位

 

「そしてその賭けに君は負けた。全校中に話が広まった以上、E組の要求はそう簡単には断れない。

どうする?学校が庇ってあげようか?」

 

「…結構です。」

 

浅野はそれは死に勝る屈辱だと言わんばかりに断る。

 

「私の事を、首輪をつけて飼ってやるとか言ってたね、ありもしない私の秘密を暴こうとしたり。

よく言えた物だねえ。同い年との賭けにも勝てない未熟者が。」

 

浅野は悔しそうに歯軋りする。

 

そしてカルマは…

 

「先生の触手を破壊できるのは中村さん、奥田さん、磯貝君の3名。

 

君は暗殺に於いても勉強においても何の役にも立てなかった。

 

殺るべき時に殺るべき事を殺れなかった者は、この教室では存在感を失っていく。

 

刃を研がなかった君は暗殺者じゃない。錆びた刃を自慢げに掲げたただの…ガキです。」

 

カルマは殺せんせーの触手を払いのけて戻っていった。

 

「良いのか、あそこまで言って。」

 

「大丈夫です、立ち直りが早い方に挫折させました。

 

彼は若くして多くの才能に恵まれている。だが、力ある者は得てして未熟者です。

 

本気でなくても勝ち続けてしまうから、本当の勝負を知らずに育つ危険がある。

 

負ける悔しさを早めに知れば知るほど才能は伸びます。

 

成功と失敗を胸一杯に吸い込みなさい生徒達よ。勝つとは、負けるとは何か。

 

それは、私が最後まで気付けなかった、とても大事な事だから。」




カルマの点数とか若干変えときました。
黒崎の五教科の点数は僕の最高点数準拠ですね。
教科を入れ替えてますが。

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