黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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いよいよ期末テストです!


23話 期末の時間

期末テスト。椚ヶ丘中学校では成績が全て。E組を誰にも恥じないクラスにすると意気込む

 

マッハ20の超生物にとっては、これが1学期の集大成となる決戦の場である。

 

「ヌルフフフ、皆さん1学期の間に基礎が大分出来てきました。

 

この調子なら期末の成績はジャンプアップが期待できます。」

 

殺せんせーによるマッハ20の分身授業。今回俺は数学の説明を聞いていた。

 

今回は総合順位を上げるために数学は何としても伸ばしたいのだ。

 

「殺せんせー、期末もまた全員50位以内を目標にするの?」

 

それは俺も気になった。どう頑張っても総合50位以内はハードルが高い。

 

「いいえ、先生はあの時総合点ばかり気にしていました。しかし気付きました。

 

皆さんの個性をもっと伸ばすべきだと。そこで今回。この暗殺教室にぴったりの目標を立てました。」

 

目標?一体なんだろう。

 

「だ、大丈夫!寺坂君にもチャンスがある目標ですから!」

 

寺坂にチャンスがある目標か。本当に大丈夫か?

 

「さて、前にシロさんが言った通り、先生は触手を失うとスピードが落ちます。

 

一本減るだけでその影響は大きい。ほら、子供の分身が混ざってきた。」

 

分身ってそういう減り方するものか?

 

「もう一本失うと、子供分身がさらに増え親分身が家計のやりくりに苦しみます。

 

さらにもう一本。父親分身が蒸発。母親分身は女手ひとつで子供を育てねばなりません。」

 

「重いわ!」

 

どこの昭和のドラマだ。

 

「茶番はさておきテストについて本題です。

 

前回は総合点だけで評価していましたが、今回は皆さんの得意科目でも評価します。

 

各教科と総合で学年トップを取った人には、答案の返却時に触手を一本破壊する権利を差し上げましょう。」

 

みんな息を呑む。これは相当なビックチャンスだ。

 

「分かりましたね、五教科と総合でトップを取れば、6本の触手が破壊できる。

 

これが暗殺教室の期末テストです。賞金100億は皆さんの成績次第。」

 

なるほどね。要はテストでトップを取れば触手を破壊できる。

 

やってやろう全力で。

 

(うちの先生は、殺る気にさせるのが本当に上手い。)

 

「皆さん、触手一本破壊できるです!頑張りましょう!」

 

奥田さんがそう言った。彼女がこんな風に張り切るなど珍しい事だ。

 

「珍しく気合入ってんじゃん奥田さん。」

 

「はい、理科だけなら、私の大の得意ですから!ようやく暗殺に貢献できます。」

 

そういえば奥田さんは理科が得意だった。普段の暗殺ではあまり目立たない奥田さんだが、

 

こういう目標の元では頑張れるのだろう。やはりうちの担任は殺る気の引き出し方が上手い。

 

「そうだね、一教科限定なら上位ランカーは結構いるから、皆本気でトップ目指して頑張ってるかも。」

 

そういえばそうだったな。というか茅野、1教科限定って事は、俺とカルマ忘れてるか?

 

総合4位と21位なのに。

 

「あと心配なのは、理事長による妨害だな。」

 

最大の懸念材料、今回も妨害が入るのか…

 

***

 

場所は変わり理事長室

 

「E組の成績を落とす為なら何でもする。そう思っていませんか?」

 

理事長がそう問う、当然だ。前回あれほど露骨な妨害をしたのだ。

 

そう疑われても仕方がない。

 

「いいえ、でも隣の堅物が貴方を疑って聞かないんですの。」

 

言い方に語弊があるがそういう事だ。烏間としてはあのような小細工をされるのは嫌だろう。

「なるほど、クギを刺しに来ましたか。でも大丈夫。

 

我が椚ヶ丘中学校では、生徒の自主性を育んでいます。ですから成績を決めるのはあくまで生徒です。

 

私は…何もしません。」

 

そう理事長が言い、二人は帰って行った。

 

「なーんか含みのある言い方だったわね。生徒の自主性がどうとか。」

 

イリーナが問う。

 

「ああ、だが前回のような不正ギリギリの小細工は無さそうだ。」

 

烏間が安心しているのはそこだろう。なにしろあのような小細工対処のしようがない。

 

「ま、今回は成績が直に暗殺に関わってるみたいだし、私も一肌脱いでやろうかしら。

 

保健体育なら私に任せて〜。」

 

そう言って甘えるイリーナに烏間はこう返す。

 

「外国語はどこへ行った。」

 

そんな中、廊下で一人、電話を掛けようとしている者がいた。

 

***

 

杉野に着信がきた。野球部の進藤からだ。

 

「よお杉野。」

 

「進藤か?球技大会ぶりだな。」

 

「ああ、高校でけりをつけると言ったが、お前が高校に進学できるか心配になってな。」

 

「はは、相変わらずの上から目線で。」

 

「というのもな…。3年生のクラスの序列は一番上がA組、横並びのB、C、D組。

 

そして最下層にお前らE組がいる。その一番上の特進クラスA組が、会議室で勉強会を開いているんだ。

 

こんなの初めて見る。音頭を取る中心メンバーが、うちが誇る秀才達、五英傑だ。」

 

「へー。」

 

「中間テスト総合2位!他を圧倒する、マスコミ志望の高い知識!放送部部長!荒木…鉄平!

 

総合3位!人文系コンクール総なめー。鋭利な詩人、生徒会書記、榊原…蓮!

 

総合5位!4位を奪った赤羽への雪辱に燃える暗記の鬼!生物部部長、小山…夏彦!

 

総合6位!口の悪さとLA仕込みの語学力は追随者ナッシング!生徒会議長、瀬尾…智也!」

 

「進藤、そのナレーション、お前がやってんの?」

 

「ああ、一度やってみたかったんだ、こういうの。」

 

「そして、その頂点に君臨するのが…」

 

「僕らは太陽、名門、椚ヶ丘中学の皆を照らす太陽だ。しかし、その輝きを覆い隠そうとする、

 

不穏な暗雲が発生しつつある。あのE組が、中間テストでは全員50位以内を目指していたという。

ならば、僕たちが上位を独占し、その暗雲を晴らそうじゃないか。

 

地上と太陽の間に暗雲があってはいけない。

 

彼らの不遜な考えを正し、光を守ろうじゃないか。僕たちの手で。」

 

「総合1位、全国模試1位、全教科、パーフェクト!支配者の遺伝子を引き継ぐ、生徒会長、浅野学秀!」

 

そう、理事長の一人息子だ。

 

「浅野君、この問3なんだけど…」

 

一人の女子が浅野に質問する。

 

「ああ、そこ難しいよね、じゃあ一度、平方完成からやり直そうか。軸の方程式は…」

 

浅野は教え方も非常に上手い。

 

「人望厚く、成績はトップ。プライドの高いA組の猛者をまとめ上げるカリスマ性。

 

彼自身の能力に加え…」

 

「一日に、千里の道を行くよりも、君と一里を行くが楽しき。

 

さあ学ぼう、美しい言葉が君の動脈を満たすまで…」

 

「俺が住んでたLAでは、そんな文法じゃ笑い者だぜ。」

 

「大事なのは、その出来事が社会にもたらした変化の大きさ。

 

これ分からないと、君、社会から置いてかれるよ。」

 

「死ぬ気で詰め込めー!中高の理科は暗記で十分だ!」

 

「全教科パーフェクトの浅野と、各教科のスペシャリスト達。

 

5人合わせれば、下手な教師より指導力は上さ。

 

奴等、お前達を本校舎へ復帰させないつもりだ。」

 

「ありがとう進藤、心配してくれて、でも大丈夫、今の俺たちはE組脱出が目標じゃない。

 

けど目標のためには、A組に勝てる点数を取らなきゃならねえ。だから見ててくれ、俺たちの努力。」

 

杉野の決意は真っ直ぐだった。これも暗殺が結ぶ絆か。

 

「ふん、勝手にしろ。E組の頑張りなんて、知ったことか。」

 

進藤も、口とは裏腹に心の中では杉野達を応援していた。

 

そしてその日の帰り。

 

「各教科1位かあー。」

 

そう茅野が言った。

 

「渚、茅野、後黒崎!」

 

磯貝が俺たちを呼ぶ。俺はついでか?

 

「磯貝君?」

 

「明日の放課後、本校舎で勉強しないか?期末狙いで、随分前に予約しといたんだ。

 

E組は基本後回しだから、俺らにとっちゃ、プラチナチケットだぜ。」

 

「行く行く!」

 

「俺も参加するぜ。」

 

それを殺せんせーが見ていた。

 

「皆懸命に頑張ってますねえ。触手を賭ける価値ありです。」

 




僕も浅野のように勉強を教えた事はあります。

「ねえはるぴー、ここの方程式教えて。」

「ああ、その方程式は平方完成を使うとやりやすいよ。二分のxの二乗を…」

「うん、分かった!」

まあ浅野学秀とはだいぶ違いますけどね。
そうそう僕は浅野が好きです。あのキャラに惹かれました。

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