黒崎翔太の暗殺教室   作:はるや・H

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他作品でこの話を書いてる方は少ないですね。


11話 報復の時間

湿気で殺せんせーの頭が巨大化する6月。

 

下校していると、前原が本校舎の女子と下校していた。

 

毎日一緒に登校する女子は違うらしい。ナンパ師ってだけはあるな。

 

まあ、ただの女たらしといえばそれまでだが。

 

スポーツもできる行動的なイケメン。

 

普通の学校に行き、女たらしでなければもっと人気者だったろうに。

 

なぜか雨合羽を着た殺せんせーが。

 

「前原君、恋愛沙汰には事足りませんねえ。」

 

黒崎「生徒の恋愛を観察する下世話教師はあんたぐらいだ。」

 

「ええ、3月までにはクラス全員の恋模様を記した実録恋愛小説を書くつもりです。」

 

ふーん、下らないな。まあ俺には関係ないか。

 

「第1章は、杉野君の神崎さんへの届かぬ想い。第2章は、黒崎君と茅野さんの恋物語。」

 

黒崎「絶対出版までに殺す。」

 

「無駄ですよ黒崎君、小説ならすでに書かれています。」

 

黒崎「メタ発言はやめろ。」

 

すると、A組の瀬尾が現れた。

 

こいつは五英傑という、A組の中でも優秀な生徒の一人だ。

 

俺に言わせれば、五英傑などトップの浅野以外はただの雑魚だが。

 

「よお、土屋。」

 

前原といる女子は土屋というらしい。

 

土屋「瀬尾君、生徒会の居残りがあるんじゃ。」

 

瀬尾「意外と早く終わってよお。そいつ確か…」

 

土屋「違うの瀬尾君そういうんじゃなくて。たまたま傘無かったから。」

 

前原「成る程ねえ。最近電話しても出なかったのも、急にチャリ通学に変えたのも。

 

新彼が忙しいから前彼をキープしとこうと。」

 

昼ドラかっていう展開に。

 

土屋「違う、そんなんじゃなくて…」

 

すると、突然土屋の態度が一変した。

 

土屋「ねえ、自分が悪いの分かってる?努力不足でE組に落ちた前原君。

 

どうせ私達、高校で接点無くなるんだし、E組落ちてショックそうだったし、

 

気遣ってはっきりとは言わなかったけど、察してほしかったなー。」

 

瀬尾「やめとけ、E組の頭じゃ分かんねーよ。」

 

吐き気がした。俺は弱者を虐げる強者が嫌いだ。こいつらはその典型例だ。

 

黒崎「ふうん、土屋とかいったな、お前、こう思ってるんだろ?

 

『こいつE組だし、何言っても私が正義だ。』

 

お前が言ってる事、全部自分を正当化してるだけじゃん。それに逆ギレ。

 

確かに前原はお前より成績下かもしれない。けどさあ、お前人間としてクズだ。

 

前原、分かっただろう。この女の本性。こんな女とは別れちまえ。」

 

土屋「あんたもE組でしょ、何を偉そうに。」

 

黒崎「ああ俺はE組さ、けれど人としても成績もお前より遥かに上だよ。

 

俺がE組に落ちたのは、お前らみたいな屑を成敗したから。」

 

土屋「う、うるさい!」

 

瀬尾「そうだぞ黒崎、理由がどうあれ、お前はE組に落ちた。つまり弱者だ。

 

そして俺より成績も下だ。対して俺はA組だ。

 

分かるか?高校が別って事は、お前らに何したって後腐れ無いんだよ。」

 

そう言って瀬尾は前原を攻撃し始める。

 

「ほら、お礼言えよ果穂に。付き合ってくれたんだから。」

 

黒崎「さっきからお前ら何なんだ?後腐れ無い?じゃあお前に何したっていいよな?」

 

渚「黒崎、さっきと別人だ。まるでE組に入る前のよう。」

 

渚はそう思った。すると…

 

「だめだよ。暴力は人の心を荒ませる。ほら、拭きなさい。

 

危うくこの学校に居られなくなりそうだったね。君達が。」

 

理事長が現れた。

 

「まあ、今日は理事長先生に免じて許してやる、間男と黒崎。」

 

そう言って瀬尾は去った。

 

「前原、大丈夫か?」

 

杉野が心配する。

 

前原「ああ、平気さ。それより理事長、この騒ぎを止めた。

 

俺らが底辺だということを見せつけたうえで。やっぱあの人には勝てないな。」

 

杉野「あの女、とんでもないビッチだな!まあ、ビッチはうちのクラスにもいるけど…」

 

渚「違うよ杉野、彼女はそんな高尚なビッチじゃない。ビッチ先生はビッチする場所も目的も

 

知ってるけど、彼女は違う。」

 

黒崎「ああ、あのビッチはビッチを暗殺の為の武器にしている。

 

でもあの女は自分の都合の為に男を乗り換えるただのアバズレさ。」

 

前原「いや良いんだ。ビッチかアバズレか知らんが。気持ちが冷めたら振ればいい。

 

俺もそうしてる。けどよ、黒崎の言う通り、あいつ自分を正当化し出しただろう?

 

俺もE組じゃなかったらああだったのかって、ちょっと怖かった。」

 

殺せんせーが現れた。

 

「仕返しです。あの二人に屈辱を味わせてやりましょう。

 

目には目を、歯には歯を、屈辱には屈辱をです!」

 

黒崎「ああ、あいつら、この俺をコケにした事、後悔させてやる。」

 

そして翌日

 

駅前のカフェにて

 

「へえー、果穂、お前いい店知ってるじゃん。」

 

「コーヒーが美味しくて。私のとっておきの店よ。」

 

「んな事言って。さっきの前原とも来てたんじゃねーの?」

 

「違うって、瀬尾君が初めてよ!」

 

「昨日はごめんね。前彼があんなこと見せちゃって。あんな見苦しい人とは思わなかった。 」

 

「E組に落ちた奴なんてほっとけ。それよりこのオープンカフェ。

 

ここだけ濡れて無いって優越感。昨日のアレとは大違いさ。」

 

「きゃははっ。ひっどーい。」

 

すると…

 

「ねえ君、足どけてくれない?」

 

茶髪のいかにもチャラそうな男…に変装した黒崎と、

 

黒髪を下ろしてサングラスをかけた女…に変装した茅野が現れた。

 

いかにもいい雰囲気のカップルだ。

 

瀬尾「通ろうとしたらどくから、そんな嫌味たらしく言わなくても。」

 

黒崎「すまないねえ。」

 

口調もいつもとは違う。高圧的で嫌味だ。

 

しかも…

 

黒崎「この前ドラマ見た?まさかあの女が二股してたとはねー」

 

茅野「しかもバレたら逆ギレ?本当最低よねー。」

 

会話ももはや当てつけだ。

 

瀬尾「くそー、腹立つなー。」

 

土屋「聞こえちゃうよ。」

 

土屋と瀬尾は不機嫌に。

 

 

杉野「すげーな、あれが黒崎と茅野か?」

 

菅谷「パーティ用の変装マスクとかつら使ってあの通り。

 

殺せんせーは騙せないけど、あいつら位ならセーフさ。」

 

菅谷は造形が上手い。

 

菅谷「しかし不機嫌そうだなー、いい気味さ。」

 

杉野「にしても向かいの民家、よく俺ら上げてくれたな。」

 

菅谷「家主を矢田と倉橋が押さえてる。ビッチ先生の接待テク、かじっただけにしちゃ凄いな。」

 

殺せんせー「奥田さん、頼んでおいたアレ、出来ていますか?」

 

奥田「はい、弾の形状に揃えるのが大変でした。」

 

殺せんせー「では、作戦開始と行きましょう。」

 

 

 

店内にて

 

茅野「ねえ、トイレどこだったっけ?近くのコンビニだっけ?」

 

黒崎「店の中にあるんじゃないか?」

 

茅野「ふふっ、そうね。」

 

そうして茅野がトイレに行く。

 

ガチャン

 

俺はわざと皿を落とした。すると…

 

瀬尾「さっきから腹立つんだよお前ら、静かにしろ!」

 

黒崎「あれ?俺なんか悪い事したか?」

 

その間に千葉と速水がコーヒーカップに弾を入れる。

 

速水「命中!マッハ20のターゲットに比べればチョロいね。」

 

奥田「マグネシウムにより強力な作用を起こす下剤です。名付けてビクトリア・フォール。」

 

奥田さんのマッドサイエンティストぶりに杉野は青ざめている。

 

瀬尾「ったく、今日は嫌な客がいるぜ。」

 

土屋「ごめんねえ、普段はもっとスマートなのに。」

 

土屋「なんか腹痛くなってきた。」

 

瀬尾「お、俺もだ。」

 

二人はトイレに駆け込む。

 

もちろん空いていない。中では茅野が鶴を折っている。

 

「くそっ」

 

二人はコンビニへダッシュで向かう。

 

前原「あいつらプライド高いからなー。民家でトイレ借りる発想はないんだよね。」

 

磯貝「じゃあそのプライド、サクッと殺りますか。」

 

ナイフで枝を斬る。

 

そこに二人が駆けてくる。

 

「あんた男なんだから、そこら辺でしなさいよ。」

 

「ふざけんな!」

 

カップルの筈が喧嘩し出した。

 

そして枝が落ちてきた。

 

「何これ濡れてる!毛虫!」

 

「そんな事よりトイレだ。」

 

二人はずぶ濡れの無残な姿でコンビニに駆け込む。

 

これで一件落着。

 

前原「なんつーか、ありがとう、ここまで話を大きくしてくれて。」

 

殺せんせー「これで分かったでしょう。君は弱者を平気で見下すような人間じゃない。」

 

前原「そうだな、一見弱そうに見えても、お前ら隠れた才能があって、凄いなって思う。」

 

茅野「ま、これにて任務完了ね。」

 

前原「あっ、俺他校の女子と飯食いに行かなきゃ、じゃあなー」

 

そんなもんだろう。こいつの女癖も大概だ。




これはデートというのだろうか…

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