吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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ルード・バグマンとバーティ・クラウチ

火を付ける役目をハーマイオニーが奪い数分後、火が灯ったもののまだ調理を開始してなかった。このテントに魔法省の役人が通りがかるたびに役人がアーサーさんに挨拶していくからだ。魔法省内ではアーサーさんは有名人のようだ。

小鬼連絡室室長やら実験呪文委員会メンバー、忘却術士に無言者──神秘部のメンバー。アーサーさんは神秘部が何をやっているのかよくわからないと言っていたけど、通りかかった二人は「このキャンプ場で見た女の子の中で誰が一番可愛いか」について考えていた。

火の準備が整い、調理をし始めた途端にパーシーたちが現れた。

 

「パパ、ただ今『姿現し』ました!」

 

「ああ、ちょうどいいところに来た。昼食だ!」

 

卵を焼いたり炒めたりスクランブルエッグにしたり、ソーセージは切り目を入れてこんがりと。調味料は胡椒とマヨネーズ、ケチャップをお好みで。

半分くらい食べたところでクィディッチローブを着た人が近づいてきた。胸のところにはスズメバチが描かれている。

 

「これはこれは!時の人、ルードじゃないか!」

 

「よう、我が友アーサー!どうだいこの天気は!最高のクィディッチ日和じゃないか。それに準備は万端だ。俺の出る幕はほとんどない」

 

バグマンさんの背後ではやつれた役人数名が走り回っていた。ついでにバグマンさんはそのことに気づいてるし、アーサーさんも気がついている。悪い大人だよ、本当。

私たちの説明をしたアーサーさんに、バグマンさんは賭ける気はないかと聞いてきた。

 

「ロディ・ポントナーはブルガリアが先取点を上げると賭けた。いい掛け率にしてやったよ。アガサ・ティムズ嬢は試合が一週間続くと自分の鰻養殖場の半分を張った。日本のとある御仁は試合中に自分が上司を吹っ飛ばすとか賭けてたよ。ハグリッドみたいなお方が上司だったがね、背は高いがあんなひょろひょろな体でハグリッド体型を吹っ飛ばせるとは思わんが」

 

「わかった、わかった。賭けさせてもらうよ。アイルランドが勝つ方に一ガリオン」

 

「一ガリオンか……他に賭ける者は?」

 

「この子たちにギャンブルは早すぎるさ。モリーが嫌がる」

 

アーサーさんが言った途端、フレッジョが動き出した。

 

「賭けさせてもらうよ。三十七ガリオン、十五シックル、三クヌート」

 

「ビクトール・クラムがスニッチを捕るのは確実だな。でも、アイルランドが勝つだろうね」

 

「そうだ、『騙し杖』も賭け金に上乗せするよ」

 

フレッジョが自分たちの貯金全てをバグマンさんに渡し、本物そっくりな杖も渡す。パーシーはつまらない物を見せるなとか言ってたけど、バグマンさんは少なくとも五ガリオンの価値があると判断した。

 

「君たちには素晴らしい倍率をやろう。このおかしな杖は五ガリオンだ。合計で四十二ガリオン十五シックル三クヌートだ。さて、アーサー。バーティ・クラウチを見なかったか?ブルガリア側の責任者がゴネてるんだが、俺には一言もわからん。バーティならわかるはずなんだがね、奴はどこに行ったのやら」

 

「私は見ていないな。ところで、バーサ・ジョーキンズの消息はわかったのかね?」

 

「なしのつぶてだ。だが、ディメント家が動くと言い出した。これなら直ぐに見つかるだろう」

 

「ディメント?もしかして、リーナが知らせたのかい?」

 

アーサーさんに話を振られる。私は頷いておいた。

 

「そうか、息子はいい友人を持ったようだ。バーティは何と言ってるんだ?」

 

「そろそろ捜索人を出した方がいいんじゃないか、とね。しかし、今は一人も無駄には出来んよ。おっ──噂をすれば、だな。捜したぞ、バーティ」

 

焚き火の側に一人、『姿現し』してきた。バグマンさんとは対照的にシャキッとしたこの人がバーティ・クラウチなんだろう。クラウチか……ジュニアはどうしてるのかな?前に食べ損ねたんだけど。

クラウチとバグマンさん、アーサーさんはその後も色々話してたけど(『極秘』の何かだとかパーシーのことをクラウチがウェーザビー君と呼んだりだとか)、二人は挨拶した後に『姿くらまし』で消えていった。


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