吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

91 / 119
一気に時間が飛びます。


ピーター・ペティグリュー

何ヶ月もの間、ピーターは見つからなかった。秘密の部屋にいるヨーンにも協力してもらって捜索したが、どこにもいなかった。少なくとも、ホグワーツ城内には。

 

 

再びスキャバーズが姿を見せたのは四月も中旬になり、ダンブルドアとハグリッドが協力して植えた桜も満開を通り越した頃。

その間にはウィーズリーツインズとフィルチが弾幕ごっこやってたらそれをダンブルドアが面白がって見てたりコリンが写真撮ってたりマグゴナガル先生が呆れてたりしたけど、特に何もなかった。

ピーターが忍びの地図に映らなかったのは、どうやら禁じられた森にいたからのようだ。クルックシャンクス──ハーマイオニーの猫だ──がヴェルと一緒に禁じられた森へ飛び込んで行って、数日後に咥えて帰ってきた。聞けば、クルックシャンクスはニーズルとのハーフらしい。なるほど、賢いわけだ。

「……さて、今ここにスキャバーズを捕らえた。この場で元に戻してもいいが、出来るだけ証人の多い方がいいな」

「でも、あなたは指名手配されてるでしょう?いくら吸魂鬼が味方だからって、ホグワーツの先生に見つかったら終わりよ?」

「いや、少し待てハーマイオニー。ハグリッドはシリウスのことを知っていた。ルーピンもだ。おそらく、ダンブルドアも。一体何人の教師がシリウスのことを知っているんだい?」

「ハグリッドにルーピン、ダンブルドア、マグゴナガル先生にスネイプも。あとはダンブルドア先生次第」

『割れない呪文』をかけた瓶にスキャバーズを放り込み、みんなで話す。出来ることならダンブルドアとファッジ(あと会いたくないけどアンブリッジって人)の前でこのネズミを元に戻したい。

「誰か、ダンブルドアのところに行けない?あの人なら魔法省大臣にも手紙送れると思うけど」

「でも、合言葉あるんじゃなかったっけ?」

「……あ、そういえば」

ダンブルドアにどうやって知らせるか考えてたら、ダンブルドアが時々厨房に現れることを思い出した。雷が見てたからね。

「でも、厨房にはどうやって行くんだい?僕はその方法を知らないけど」

「厨房か?あそこは地下に果物の絵があって、その絵の中の梨を擽れば入れるぞ」

一番信用されてそうなハリーが行くことにして、私たちはその間待機。

 

 

「『タケ○コの里』」

日本の人気お菓子の名前が今回の合言葉だったようで、ガーゴイルが跳びのき、私たちは校長室に入室した。

「いらっしゃい、皆の者」

「ふん、何の用かは知らないが、私だって忙しいんだ。さっさとしてくれ」

中にはダンブルドアとファッジ、ウィル爺がいた。

私たち側は、いつものメンバーに黒犬状態のお父さん、それにルーピン先生だ。

「こんにちは、ファッジ大臣。実は、シリウス・ブラックが無罪である証拠を見つけまして」

「……ブラックが無罪?どういうことだ?」

「如何にもこうにも、ルーピン先生が手に持っているその瓶じゃろう?」

ルーピン先生が瓶の蓋を開けて、ネズミを手に取る。そのままネズミを放り投げ、

「〈化けの皮、剥がれよ(スペシアリス・レベリオ)〉!」

と唱えた。

すると、虫のような尻尾を持つそのネズミはどんどん大きくなり、しまいには人間に変わった。

「な、なんだと!?」

ファッジ、うるさい。

「これが、私が無罪という証拠だよ。大臣殿」

いつのまにか人間に戻っていたお父さんが言う。

「さて、これまでのこと──正確には、私が収監されるまでと、された後のことを話そう。

私は、確かにポッター一家の『秘密の守人』をしていた。だが、ジェームズとピーターに許可を取り、守人をピーターに代わってもらったんだ。何しろ、ジェームズが一番信用していたのが私だったからね。あいつを狙うなら私から聞き出そうとすることだろう。それを逆手に取ろうとしたのだ。

だが、ピーターは裏切った!私はハグリッドにオートバイを貸した後、ピーターを殺しに行ったよ。リーマスには止められたがね。

そして、私はピーターを追い詰めた。だがこいつは、自らの指を切り落とし!爆発を起こして逃げた!私が爆発を起こしたように見せかけてな!

その後は下水道か何かで暮らしてきたのだろう。そして、ウィーズリー家に保護されたわけだ。弁解はあるか?ワームテール」

「わ、わたしは……」

ピーターはオドオドしながら周りを見渡した。誰かに頼ろうとしたようだけど、全員が訝しげな視線をピーターに向けている。いい気味だ。

「収監された後、リーナに助けてもらったよ。リーナは、あー、そうだな、開心術と言う例えが一番うまいか」

「まて、リーナ・ディメントはその時まだ一歳だろう?なぜそこで出てくる」

ウィル爺が苦笑いしながら、ファッジにディメント家のことを教えて行く。その時のファッジの顔は、驚きと困惑に満ちていた。

「で、リーナの義父になった後は、ピーターを捜索しながら生活していたと言うわけだ。なんなら、真実薬(ベリタセラム)を飲んでもいい」

ファッジはまだ信じきれていないようだが、ピーター・ペティグリューを逮捕することに決めたようだ。同時に、お父さんの無罪放免も。

 

 

次の日、日刊予言者新聞にお父さんの無罪とピーターが真犯人だったという記事が載せられた。吸魂鬼もお役ごめんとなり、アズカバンへ引き上げることになった。私は残留したけど。

 

 

次の日、ピーターを逃してしまったと報道された。何してんだあの魔法大臣は。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。