あ、今回はハーマイオニー視点です。
「あと私は吸魂鬼です」
頭が真っ白になった。ロンなんて現実逃避してるわね、情けない。
でも、言っている意味が私でもわからない。人間が吸魂鬼って、どういうこと?
「そのままの意味さ。うちの最高責任者……ウィル爺の許可は取ったからね。君たちには伝えるよ。決して、他の人には言わないように。
ディメント家が魔法界のお目付役ってことは知ってるよね?それと、吸魂鬼を使役できるって話も。私が吸魂鬼っていうのは、その話と深く関係してるんだ。
私たちディメント家は古い魔法族の家系だと思われてる。でも、実際には違う。より正確に言うなら、吸魂鬼の家系。ディメント家とはディメンター、吸魂鬼のことなんだ」
どういうこと?アズカバンを管理しているディメント家が、実は全員ディメンター?じゃあ、なんで人間の姿をしているの?なんでハリーはそんなに普通でいられるの?
「ディメント家が魔法界のお目付役の理由は、最初期の魔法省との契約らしい。吸魂鬼が人間に混じって生活しているのを黙っている代わりに、監獄の管理と手に負えない犯罪者の取り締まり。もっとも、その契約は現在は忘れ去られて、『魔法界のお目付役』が完成したらしいけど。
私たちが人間の姿をしているのは、一番最初の吸魂鬼が、吸魂鬼になる時に自分の身体ごと持っていったかららしい。本来なら魂だけが吸魂鬼になる予定だったのに、騙くらかして自分の身体を持っていった。それ故に、その後の吸魂鬼も人間の姿を取れるようになった。
あ、二人目までは元人間だけど、それ以降は吸魂鬼の一部と人間の魂が素材だから、純粋な吸魂鬼って言えるのはその二人目ーーウィル爺までだね」
……ロン、情けないだなんて思ってごめんなさい。私も現実逃避したくなってきたわ。心を読まれるせいで口を挟む余地がないし。
「僕はダーズリー家に預けられてすぐにリーナやシリウス、ウィル爺にあったからね。最初は怖かったし、驚いたよ。でも、みんないい人ばかりだし、アズカバンも殺風景だけど案外面白いよ?なぜかゲームセンターあったし」
ああ、ハリー、あなたまで私たちの思考力を奪っていくの?なんでアズカバンにゲームセンターがあるのよ。ハリー、あなた疲れてるのよ。
「……とりあえず、君たちはそろそろ戻ったほうがいい。もうすぐ昼休みが終わるからね」
ブラックの言葉で我にかえる。いけない、もうこんな時間。
「わかったわ。もう戻らないと。
……リーナ、たとえあなたが吸魂鬼だったとしても、私たちはあなたのことを信じてる。ありがとう、本当のことを言ってくれて」
「私もお礼を言わせてもらうよ。本当のことを聞いてくれて、ありがとう。次は防衛術かな?」
「うん。ルーピン先生だよ」
「ルーピン?リーマス・ルーピンか?」
ブラックさんが反応する。……もしかして。
「ルーピン先生と知り合いなの?」
「ああ。同級生だ。もう一人の悪戯仕掛け人。そうか、ムーニーが今ここにいるのか……私がピーターを追っていることを彼に伝えてくれ。彼がスキャバーズだということもね。大丈夫。彼は私たちのことを知っているから」
彼はそう言うと、黒犬に戻ってハグリッドの小屋へ駆けて行った。
私たちが城に戻る時、リーナはずっと、柵に腰掛けていた。
アズカバンはカオス。良いね?
あと、ルーピンがディメント家の真実やシリウスについて知っているという描写は、賢者の石編第一話に書いてあります。え?スネイプがディメント家の真実を知らなかった?……ダ、ダンブルドアがうっかり伝え忘れたんだよ!(汗)