占い学。未来を見抜き、運命を固定させる学問。しかし、そこまでの芸当ができるのは選ばれた者のみ。普通の者なら、おおよその予測を立てることしかできない。それも、ほんの少しのズレで揺らいでしまうような、そんな不確定なものしか。
「つまりハリー、気にするなって」
「そうよ。
「そうだね。……て言うか、あれ、死神犬じゃなくて、ただの黒犬に見えたんだよなぁ……多分、シリウスのことだろうし」
三人はそんなことを話しながら校庭に向かう。今日は、ハグリッドの初授業があるのだ。
「やあ、ハリー。しばらくぶりだね。えーと、リーナは大丈夫なのかい?」
「大丈夫だよ。しばらくしたら会えるだろうし」
小屋の前で、ドラコが合流した。ネビルはハリーたちの後ろからヒィヒィ言いながらついてきた。
「……納得いかないけど、大丈夫だってことにしておこう。必ず、説明してくれよ。
ところで、この教科書どうやって開くんだい?僕にはさっぱりだ」
ドラコが取り出したのは、『怪物的な怪物の本』だ。ハグリッドが指定した、魔法生物飼育学の教科書。ハリーはロンを見る。ロンはネビルを見る。ネビルはハーマイオニーを見る。ハーマイオニーは首を横に振った。
「つまり、誰もわからないってことだ」
ハグリッドが、みんなを連れて森の縁を歩く。数分後、放牧場のようなところへ到着した。
「ハグリッド、僕たち、教科書の開け方がわかりません」
「ええ?あー、そうか、こいつは気難しいからな。ほれ、背表紙だ。ここをなぜりゃーいいのさ」
ハグリッドはドラコの本を取り上げると、封印を解き、背表紙をひとなでした。その途端、本は震えて開き、おとなしくなった。
「……ハグリッド、せめて、教科書の開き方ぐらいは連絡しても良かったと思うんだ」
「……次からはそうさせてもらう。さて、と。全員本は開けたな?よし、百六十ページを見といてくれ。俺は魔法生物を連れてくる」
ハグリッドは森の中へ入っていく。
取り残された生徒たちは、指定されたページを開いた。そこには、「ヒッポグリフ」と載っていた。
「ヒッポグリフ?」
「グリフォンの親戚よ。グリフォンが半鳥半獅子なら、ヒッポグリフは半鳥半馬なの」
ハーマイオニーが説明していると、放牧場の向こう側から、先ほど言ったような半鳥半馬の生き物がこちらへ向かって、駆けてきた。その後ろでは、ハグリッドが手綱を握っている。
「ほうれ、ヒッポグリフだ。美しかろう、え?」
ハグリッドが言う通り、ヒッポグリフは綺麗な生き物だった。
「この後、こいつらとスキンシップを取ってもらうんだが、こいつだけは絶対に守ってくれ。絶対に、侮辱するな。ヒッポグリフは誇り高い。そして、すぐに怒る。必ず、ヒッポグリフの方から動くのを待ってくれ。で、こいつのそばまで歩いて行って、お辞儀する。礼儀ってのは大切だからな。こいつがお辞儀してくれたら、触ってもいいっちゅうこった。お辞儀を返さなかったらすぐに離れろ。こいつらの鉤爪は痛いからな。
よし、事前知識はこんなもんだ。で、誰かやりたい奴はおらんか?一人やればそのあとは楽チンだろうがな」
誰も手を上げない。もし、失敗したら、と考えている。そんな中、二つの手が上がった。ハリーとネビルだった。
ネビルも強化。原作よりも勇気があります。