吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

63 / 119


復活祭の休暇中に、来年度からの選択科目を決めることになった。とったのは『占い学』と『魔法生物飼育学』など、ハリーと同じ科目だ。ロンも同じ科目をとり、ネビルは親戚中からの手紙で頭を抱えていた。ハーマイオニーは全科目を選んでいたが、物理的に無理な気がする。何か秘策でもあるのだろうか。ドラコは『魔法生物飼育学』をとっていた。他は教えてもらえなかった。なんでだろう。

 

とある金曜日。翌日にハッフルパフとの試合のため練習していた。箒を置きに談話室に戻ると、ネビルが慌てた様子で立っていた。

 

「どうしたの?」

 

「ええと、ハリーたちの部屋が荒らされたんだ。ーーハリーの荷物だけ」

 

ネビルに案内されて、ハリーの部屋に入る。確かに、ハリーの荷物が散乱している。ハリーが散らかすとは思えないし、誰か物盗りでも入ったのかな?

 

「そうかもね。多分、継承者だ。リドルの日記が見当たらない」

 

私たちはドラコにも、グリフィンドールの合言葉を伝えていない。スリザリンの合言葉も知らない。つまり、盗んだのはグリフィンドール生とだいうことになる。一番、純血主義に興味がないグリフィンドール。誰が実行犯なのか。私たちは疑心暗鬼になりかけていた。

 

 

翌日、談話室には一枚のメモが残されていた。ハーマイオニーからだ。

 

『もしかしたら、わかったかもしれない。みんな、鏡を常に持って行って、角を曲がるときは必ず鏡で先を覗いて。私は図書館へ行ってくる。ハリー、リーナ、今日のクィディッチ頑張って!』

 

鏡、か。そういえば、ミセス・ノリスが石になったとき、床には自らが溢れ、光を反射していた。鏡とは何かを写すもの。つまり、光か、視覚に関係する能力か?

 

 

クィディッチ競技場では、生徒たちが今か今かと待ち構えていた。これで勝てば、クィディッチの優勝杯はグリフィンドールの物だ。……けど、現実は非情だね。

 

「この試合は中止です」

 

マクゴナガル先生がメガホンで叫んでいる。ウッドは抗議してるけど、再開はされないようだ。

 

「ポッター、ディメント、私と一緒にいらっしゃい。ああ、ウィーズリーとロングボトム、マルフォイも一緒に来たほうがよいでしょう」

 

私とハリーは地面に降り、ロンたちは観客席から下りてきて、マクゴナガル先生と共に校舎に入っていった。どうやら、医務室に向かっているようだ。

 

「少しショックを受けるかもしれませんが、また、襲われました……今度も二人一緒にです」

 

医務室の中に入る。ベッドの一つには、レイブンクローの女子生徒が、もう一つには、

 

「ーーハーマイオニー!」

 

ハーマイオニーが、倒れ込んでいた。

 

これまでの犠牲者と同じように、石になっている。

 

「二人は図書館の近くで発見されました。みなさん、これがなんだか、説明できないでしょうね?二人のそばの床に落ちていたのですが……」

 

先生が持っているのは小さな手鏡。なぜ、そんな物が落ちていたのかは知らないけど、ハーマイオニーが何かに気づいていたことはわかる。

 

「ハーマイオニーが今朝残したメモに、『角を曲がるときは必ず鏡で先を覗け』とありました。多分、ハーマイオニーは犯人の正体がわかって、対抗策として持っていたんだと思います」

 

「……そうですか。みなさん、グリフィンドール寮まで送ります。ああ、マルフォイは少し待っていなさい。セブルスを呼びますので、彼に送ってもらいなさい」

 

私たちは寮に戻った。これからが、今年の地獄だと悟りながら。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。