復活祭の休暇中に、来年度からの選択科目を決めることになった。とったのは『占い学』と『魔法生物飼育学』など、ハリーと同じ科目だ。ロンも同じ科目をとり、ネビルは親戚中からの手紙で頭を抱えていた。ハーマイオニーは全科目を選んでいたが、物理的に無理な気がする。何か秘策でもあるのだろうか。ドラコは『魔法生物飼育学』をとっていた。他は教えてもらえなかった。なんでだろう。
とある金曜日。翌日にハッフルパフとの試合のため練習していた。箒を置きに談話室に戻ると、ネビルが慌てた様子で立っていた。
「どうしたの?」
「ええと、ハリーたちの部屋が荒らされたんだ。ーーハリーの荷物だけ」
ネビルに案内されて、ハリーの部屋に入る。確かに、ハリーの荷物が散乱している。ハリーが散らかすとは思えないし、誰か物盗りでも入ったのかな?
「そうかもね。多分、継承者だ。リドルの日記が見当たらない」
私たちはドラコにも、グリフィンドールの合言葉を伝えていない。スリザリンの合言葉も知らない。つまり、盗んだのはグリフィンドール生とだいうことになる。一番、純血主義に興味がないグリフィンドール。誰が実行犯なのか。私たちは疑心暗鬼になりかけていた。
翌日、談話室には一枚のメモが残されていた。ハーマイオニーからだ。
『もしかしたら、わかったかもしれない。みんな、鏡を常に持って行って、角を曲がるときは必ず鏡で先を覗いて。私は図書館へ行ってくる。ハリー、リーナ、今日のクィディッチ頑張って!』
鏡、か。そういえば、ミセス・ノリスが石になったとき、床には自らが溢れ、光を反射していた。鏡とは何かを写すもの。つまり、光か、視覚に関係する能力か?
クィディッチ競技場では、生徒たちが今か今かと待ち構えていた。これで勝てば、クィディッチの優勝杯はグリフィンドールの物だ。……けど、現実は非情だね。
「この試合は中止です」
マクゴナガル先生がメガホンで叫んでいる。ウッドは抗議してるけど、再開はされないようだ。
「ポッター、ディメント、私と一緒にいらっしゃい。ああ、ウィーズリーとロングボトム、マルフォイも一緒に来たほうがよいでしょう」
私とハリーは地面に降り、ロンたちは観客席から下りてきて、マクゴナガル先生と共に校舎に入っていった。どうやら、医務室に向かっているようだ。
「少しショックを受けるかもしれませんが、また、襲われました……今度も二人一緒にです」
医務室の中に入る。ベッドの一つには、レイブンクローの女子生徒が、もう一つには、
「ーーハーマイオニー!」
ハーマイオニーが、倒れ込んでいた。
これまでの犠牲者と同じように、石になっている。
「二人は図書館の近くで発見されました。みなさん、これがなんだか、説明できないでしょうね?二人のそばの床に落ちていたのですが……」
先生が持っているのは小さな手鏡。なぜ、そんな物が落ちていたのかは知らないけど、ハーマイオニーが何かに気づいていたことはわかる。
「ハーマイオニーが今朝残したメモに、『角を曲がるときは必ず鏡で先を覗け』とありました。多分、ハーマイオニーは犯人の正体がわかって、対抗策として持っていたんだと思います」
「……そうですか。みなさん、グリフィンドール寮まで送ります。ああ、マルフォイは少し待っていなさい。セブルスを呼びますので、彼に送ってもらいなさい」
私たちは寮に戻った。これからが、今年の地獄だと悟りながら。