吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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最近感想が来なくて寂しい零崎です。

それはそうと、なぜか「TOKIOをSAOに入れてみた」というのと「TOKIOをボーダーに入れてみた」というのが思い浮かびました。誰か書いてくれませんかねぇ。自分じゃTOKIO五人の良さを書き表せないので。


石化

秘密の部屋が再び開かれた。そのことを理解した直後、大量の生徒が廊下に現れた。みんな、ミセス・ノリスを見て押し黙っている。

 

「これは一体どういうことだ?なぜお前らはここに残っているんだ?」

 

誰かの声が近づいてくる。フィルチの声だ。その声は、すぐ後ろで止まり、息をのむ音が聞こえてきた。

 

「私の猫だ!私の猫だ!!ミセス・ノリスに何が起こったというんだ?」

 

フィルチは猫の前に進み出て、あたりを見回す。誰が犯人か探ろうとしているのだろう。

 

「誰が!誰がミセス・ノリスを殺した!出てこい!私が殺してやる!さあ、おとなしく名乗り出ろ。今ならまだ苦しませずに殺してやろう。さっさと名乗り出ろ!俺が犯人を殺してやる!俺がミセス・ノリスの仇を……」

 

「アーガス!」

 

フィルチの叫びを、ダンブルドアが止める。何人かの先生を連れてきてるようだ。ロックハート(使えない奴)も居るみたいだけど。

 

彼は猫に近寄ると、松明の腕木から外して抱き抱えた。

 

「アーガス、一緒に来なさい。それから最初にこの子を見つけたのは……おお、君たちか。ミスター・ポッター、ミスター・ウィーズリー、ミスター・ロングボトム、ミスター・マルフォイ、ミス・ディメント、ミス・グレンジャー、君たちも一緒においで」

 

「校長先生、私の部屋が一番近いです。すぐ上です。どうぞご自由に」

 

言ったのはロックハートだ。こんな時は役に立つ。うるさいだろうけど。

 

 

彼の部屋に着いた時、壁の写真が動いていた。何やら髪にカーラーを巻いた岩心が写真に映らないように隠れたようだ。

 

ダンブルドアはミセス・ノリスを机に置き、丁寧に調べ始めた。私たちはマクゴナガル先生が用意してくれた椅子に座って待っている。

 

「猫を殺したのは、呪いに違いありませんーー多分、〈異形変身拷問〉の呪いでしょう。何度も見たことがありますよ。私がその場に居合わせなかったのは、まことに残念。猫を救う、ぴったりの反対呪文を知っていましたのに……」

 

岩心、うるさい。まだ猫は死んでいないはずだ。恐怖の感情が、彼女の身体にこびりついている。死んだのなら、そんなモノは残らない。全て霊魂の方に持っていかれる。

 

「ーーそう、非常によく似た事件がウグドゥグで起こったことがありました。次々と襲われる事件でしたね。私の自伝に「ギルデロイ、校長先生の邪魔となりますので黙っているように」わかりましたよ、マクゴナガル先生」

 

ダンブルドアが調べ終わったようだ。彼は、優しい声でフィルチに話しかけた。

 

「猫は死んでおらんよ、アーガス」

 

唖然とする岩心と、希望と歓喜と疑問が混ぜこぜになったような表情のフィルチ。まあ、死んだと思っていた猫がまだ生きているなんて聞いたらそんな顔にもなるか。

 

ダンブルドア曰く、ミセス・ノリスは石になっているだけだとか。しかし、彼でも原因はわからないらしい。……試してみるか。

 

 

……正直、見れるとは思っていなかった。ミセス・ノリスの記憶を、私は探っている。記憶を見れば、何が原因なのかわかるかもしれない。

 

……ある時点から先の記憶がない。ここが、石にされたポイントだろう。石になったら、生きていると言う事実以外はほぼ全ての身体、精神的機能が停止するらしい。記憶にあるのは、水たまりに映った大きな黄色い目。鏡写しの目を、さらに記憶を通して見ているにもかかわらず、原始的な恐怖が浮かび上がってくる。しかし、ソレが何の目玉なのかは、わからずじまいだった。

 

 

「確か、もうしばらくしたら、スプラウト先生がマンドレイクを収穫できるようになるはずじゃ。そうすれば、ミセス・ノリスを蘇生させる薬を作ることができるじゃろうて」

 

「では、私がお作りしましょう!何百回も作りましたからね!目をつぶっていても作れますよ!」

 

「魔法薬の教授は我輩のはずだが?専門家である我輩以上のマンドレイク・ジュースを作れると?なら、あなたはすぐにでも魔法薬の教授になるべきですな。さぞかし素晴らしいものをお作りになるだろう。例えば、『完全脱狼薬』などを」

 

「ええ、いいでしょう!材料をいただけますかな?そうすれば、すぐにでも作って差し上げましょう!」

 

「ほう、あなたは今まで誰も作れなかった『完全脱狼薬』をお作りになれると!さあ、ならさっさと作って学会に発表しないのですかね?もし作れたのなら表彰もの、いや、それ以上ですなぁ?」

 

なんか、記憶の海から上がってきた途端、痴話喧嘩みたいなのが聞こえてきた。『完全脱狼薬』かぁ。『万能薬』で代用できるかな?

 

ロックハートはスネイプの言葉で押し黙ってしまった。いい気味だ。

 

「そういえば、ディメント家より魔法薬を受け取っておったのう。確か、『万能薬』じゃったか。それを使えば、これを治せるかの?」

 

「無理ですね。あれは錠剤なので、石になってしまったら飲み込ませることが困難です。それに、なぜか粉薬として使用したら効果がなくなってしまうようなのですよ」

 

聴かれたので答えておく。あれはSCPだからか、錠剤として使用しないと効果がないのだ。不思議物質である。

 

「そうか。では帰ってよろしい」

 

その言葉で、私たちは早足で寮に帰った。明日、原因を調べようと約束して。


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