「これ、あげる」
ハリーは
「僕のは自分で買うからーー」
「災難だったな、ポッター」
声のした方を見ると、ドラコが呆れたような表情で立っていた。
「あいつは僕も苦手でね。あれがホグワーツの教師になるとは、ダンブルドアもボケてきたか?」
「……何か考えがあると信じたいね」
そう言ったとき、ロンとハーマイオニーが人混みの中から本の山を持って出てきた。
「あれ、マルフォイ?君も教科書を買いに?」
「ああ。ところで、君の両親もいるんだろう?とっとと離れた方がいい。父上もすぐにこちらに来るそうだ」
あ、ウィーズリーさん。フレッドとジョージを連れてきてる。
「ああ、ここはひどく混んでいる。さ、早く出ようーーおや?君はルシウスの?」
「ええ。ドラコ・マルフォイです、アーサー・ウィーズリーさん」
「ふむ、あのルシウスからこんなに礼儀正しい子が生まれるとはな。それにひきかえあいつはーー」
「おや、私がどうしたと?アーサー・ウィーズリー」
次はルシウス・マルフォイ。面倒なのが揃っていく。幸い、岩心には見えてないみたいだから、あいつが首を突っ込んでくることはない。
「お役所はお忙しいらしいですな。あれだけ何回も抜き打ち調査を……残業代は当然払ってもらっているのでしょうな?」
あ、この人嫌いなタイプだ。人の欠点を見つけてぐちぐち言ってくる。
とりあえずドラコと話す。何をしていただとか、ドラコ用の箒がもうすぐ出来上がるから待っていろだとか。
ドサドサッ!
大きな音がしたので振り返ると、ウィーズリーさんとマルフォイ氏が殴り合ってた。店員が止めに行くもノックアウト。……マルフォイ氏、案外子供っぽい?
「やめんかい、おっさんたち、やめんかいーー」
誰かがウィーズリーさんとマルフォイ氏を引き離す。ハグリッドだ。……ハグリッドの方がウィーズリーさんやマルフォイ氏より年上な気がするんだけど、おっさんでいいのか?
マルフォイ氏はいつの間にか持っていたジニーの古い『変身術』の教科書を彼女に突き返し、ドラコに目配せをして帰っていった。でも、彼からは悔しいといった感情ではなく、喜色の感情が立ち上っている。……嫌な予感がする。
「ごめん、行かなくちゃ。それじゃあ、またホグワーツで」
ドラコがマルフォイ氏についていき、私たちも店を出て漏れ鍋へ向かう。岩心は喧嘩のことを見つけて、日刊予言者新聞に記事に出来ないか聞いていたらしい。いつか〈失神呪文〉でも喰らわせてやろう。
私たちは
ロン用箒
パンツァーボア
安定性が高く、どんな体勢でも使用者を落とすことがほとんどない。ハリーのソニックホークがシーカー向きなら、これはゴールキーパー向きの箒。
現在のオリジナル箒の日本語訳
ソニックホーク→音速の鷹
シャドウスネーク→影の蛇
パンツァーボア→装甲(戦車)の猪
箒の特性を表す単語+その特性に合った動物という組み合わせ。
追記
サブタイトルを追加