吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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期末試験と『石』の心配

寮に戻った時、ロンとハーマイオニーは談話室にいた。ロンは寝落ちしてたけど。

 

「ハリー、リーナ、ネビル。大丈夫だった?」

 

ハーマイオニーが聞いてくる。

 

「色々あったよ」

 

「何があったのかは後で聞くわ。今聞いてるのはあなたたちに怪我は無いかってことよ」

 

「それなら大丈夫だよ。走ったりときについたかすり傷ぐらいだ」

 

それを聞いたハーマイオニーはほっとしていた。

 

「そう。ならよかったわ。それで、何があったのかしら?」

 

今言っても良いんだけどね。

 

「明日の朝話すよ。そっちの方が手っ取り早い」

 

「……本当に、何があったのかしら?」

 

 

 

 

翌朝、大広間。私たちは朝ごはんを食べていた。

 

「それで?教えてくれるんでしょう?」

 

「いや、まだ到着してないゲストがいるからね」

 

「ゲスト?誰のことだい?ネビル、知ってる?」

 

「知ってるけど、見た方が早いと思うよ」

 

話している間に、待っていた人物がくる。

 

「待たせたね、ディメント、ポッター、ロングボトム」

 

「やあ、マルフォイ」

 

ハーマイオニーとロンは口を開けたまま、閉じることができなくなっている。そりゃ驚くよね。これまで幾度となく喧嘩してきた相手がフレンドリーに接してきたんだから。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。まさかゲストって……」

 

「そのまさかさ。説明すると……」

 

〜少女説明中〜

 

「おったまげー。まさかマルフォイがツンデレだったなんて」

 

「……もう僕は何も言わないぞ」

 

「本当に心を入れ替えたの?」

 

「いや、入れ替えたんじゃなくて素直になったんだよ。ツンデレっていうよりも捻デレって感じかな?」

 

某千葉県の目が腐った男子高校生みたいな。

 

「それじゃあ、ハリーの方も話してくれるかい?」

 

「うん。

 

ユニコーンの死骸をネビルと見つけたとき、フードを被ってマントを着たのがいい滑るようにしてユニコーンの死骸に近づいていったんだ。そして、傷口から血を飲んでいた。そのあと気づかれちゃったけど、フィレンツェっていうケンタウルスが助けてくれたんだ。でも、マントが近づいてきた時に傷痕が痛くなったんだ。警告するみたいに。

 

フィレンツェから聞いたんだけど、ユニコーンの血は死の淵にいるときでも命を長らえさせてくれるんだって。その代わりに呪われるらしいけど。それに、延命処置みたいな感じらしくて、完全な命は得られないんだって。

 

つまり、完全な命が手に入るまでの延命として使えるんだよ。完全な命!賢者の石を使えば手に入る!」

 

「賢者の石?もしかして、四階の廊下に隠されているのって……」

 

「賢者の石だよ。誰かが狙っているんだ。ヴォルデモートの信頼する誰かが」

 

「『闇の帝王』の信頼する誰か?誰なのかわかるのか?」

 

「おそらく、クィレル先生。彼はハリーの箒に呪いをかけてた」

 

「ふむ、あの時のポッターの箒の異常は呪いだったのか。しかし、ホグワーツの教員が狙っているだと?大丈夫なのか?」

 

「まだ、最初の試練を突破する方法を知らないはず。もし知っているなら……ダンブルドアがいなくなった時に決行するはずだ」

 

 

 

 

私たちはテストを受けていた。心配があるとすれば『薬草学』の筆記試験だろう。ネビルは『魔法薬学』がマズそうだが、マルフォイがみっちり教えていたので平気だろう。

 

最終試験の『魔法史』が終わったあと、みんなで集まって世間話をしていた。もう復習しなくてもいいんだ、あそこを間違えてしまったかも、だとか。

 

「そういえば気になってたんだが」

 

マルフォイが聞いてきた。

 

「ハグリッドがドラゴンを持っていただろう?どこで手に入れたんだ?規制されてるはずだ」

 

「ホグズミードのパブでって……あ、そうか!」

 

ハリーも気がついたようだ。

 

急いでハグリッドの元へ向かう。ロンとハーマイオニー、ネビルは必死についてくる。

 

「急にどうしたんだい?」

 

「なんで今まで気がつかなかったんだ?なぜ、ドラゴンの卵を持ってる奴が、ドラゴンを飼いたがってたハグリッドの元へ都合よく現れた?」

 

まだ疑問に思っている三人と気づいているハリーとマルフォイを連れて、ハグリッドの小屋へ到着する。

 

「よう。試験は終わったかい。お茶でも飲むか?」

 

「うん。ありがとう」

 

ロンが言いかけるが、ハリーがさえぎる。

 

「僕たち急いでるんだ。ハグリッド、ドラゴンの卵を持ってた人ってどんな人だった?」

 

「わからんよ。マントを着たままだったしな」

 

全員が絶句する。相手の顔ぐらい確認しろ。

 

「そんなにめずらしいこっちゃない。『ホッグズ・ヘッド』ってパブじゃあおかしなやつがうようよしちょるしな」

 

「ハグリッド、どんな話をしたんだい?」

 

「んー、何を飼ってるかとかだな。んで、ドラゴンの話になって、フラッフィーに比べたらドラゴンなんか楽なもんだって……」

 

あ、これ話してるわ。

 

「ハグリッド、フラッフィーについてどんなことを……?」

 

声が震えるのを抑えて聞く。

 

「めずらしいだとか、飼うのは楽かどうかだとかだな。いくら俺でも三頭犬なんか無理だろうとか言ってたんで、フラッフィーなんか、ちょいと音楽を聞かせればすぐねんねしちまうから楽だって……」

 

「バカー!なんで話してるんだよ!今現在の最高機密だろ!」

 

「しまった、お前たちに話しちゃいけなかったんだ!」

 

「私たちだけじゃなく、その卵を持ってた奴にもだよ!」

 

ハグリッドが後ろから何か言ってくるが無視してダンブルドアを探す。

 

玄関ホールにたどり着いてから気がついた。

 

「私たち、校長室の場所知らない……」

 

「「「「「あ……」」」」」

 

満場一致。全員知らない。闇雲に探すと時間の無駄だし……。

 

「そこの六人、こんなところで何をしているのですか?というよりも、スリザリンのミスター・マルフォイがなぜグリフィンドール生と一緒に?」

 

マクゴナガル先生だ。本をたくさん抱えてる。

 

「仲良くなりました。ところで、ダンブルドア先生にお目にかかりたいんですが」

 

私が代表して聞いてみる。

 

「理由は?」

 

あー、これ、本当のことを言わなければヤバいパターンだ。

 

「フラッフィーを手懐ける方法を怪しいやつが知ってしまったので」

 

本を取り落とす先生。

 

「なぜ、あなた方がそのことを……?」

 

「誰かが『石』を盗もうとしてるんです。……まさか、ダンブルドア先生がホグワーツにいないなんて言いませんよね?」

 

「そのまさかです。魔法省からの緊急のフクロウ便が来て、十分前にロンドンへと向かいました。明日にはお帰りになりますよ」

 

「その間に石が盗られそうな気が……」

 

「盤石の守りの中に『石』はあります。大丈夫でしょう」

 

「現行犯で捕まえられるのですが?」

 

「すでに犯人に目星はついているようです。さ、外へ行ったらどうです?いい天気ですよ?」

 

 

 

 

「今夜だ」

 

マクゴナガル先生から離れた位置で、ハリーが言う。

 

「クィレルが仕掛け扉を破るなら今夜だ。必要なことは全てわかったし、ダンブルドアも追い払った。クィレルが手紙を送ったんだ」

 

「でも、どうするの?」

 

「私としては現行犯逮捕したいけど」

 

「僕はダンブルドアが平気だって言ってるなら平気だと思う。もうこれ以上、グリフィンドールの点を減らしたくないんだ」

 

「なら、じゃんけんで決めよう。私が勝ったら、『石』を守りに行く。ネビルが勝ったら寮でおとなしくしてるよ」

 

みんなが見守る中、ネビルとじゃんけんする。心を読むから簡単に勝てるんだけどね。

 

「うう……でも、負けは負けだ。僕は寮で待ってる。必ず守ってね!」

 

「僕は寮が違うから何もできないな。いや、スネイプ先生を抑えておくぐらいはできるか。これなら、減点の心配がないだろう?」

 

「しっ!スネイプよ。行きましょう」

 

私たちは寮に戻った。決行は今夜。四人で透明マントに入って向かうことになった。


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