吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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前回のランとアスの元ネタ

モバマスの神崎蘭子と二宮飛鳥(蘭子→ラン、飛鳥→アス)

あと、三つ前の話で送られてきていた人形の名前は、ランスを持っている方がシャン、剣を持ってる方がアルと名付けられました。元ネタは東方とfate。


みぞの鏡と気づいた想い

「面白い鏡があったんだ。自分の望みを映す鏡だよ。今夜、見に行ってみない?」

 

ハリーは昨日、透明マントを使って校内を探検していた。その時に見つけたものを今、私に報告している。

 

「いいね。行ってみよう。私がどう見えるのか気になるし」

 

ベーコンと目玉焼きを食べながら、私は答えた。それを聞いたハリーは嬉しそうに、ハンバーガーを頬張った。

 

 

 

 

夜中、談話室で待ち合わせて、二人で寮の外に出る。

 

「うーんと、確かこのあたりだったはずなんだけど……」

 

「私が記憶を覗けばわかるかな?」

 

「それは最終手段だよ」

 

そのあと、かれこれ三十分は歩き回った。ある鎧が見えた時、ハリーが声をかけてきた。

 

「あれだ。あの鎧の近くの部屋だよ」

 

ハリーがドアを開け、二人で中に入る。そこには、大きな鏡があった。

 

「これ?」

 

「これ。僕は家族が……父さんと母さんが見えた。でも、戻ってくるわけじゃないからね。多分、ここに来ることはもうないよ」

 

私は、鏡の前に立った。映っていたのは……

 

「ほえ?」

 

……ウェディングドレスを着て、タキシードを着たハリーの横に立つ私だった。

 

え?なんで?うん、一回落ち着こう。私はハリーが好きだけどそれはlikeであってloveじゃない、家族としての、幼馴染みとしての好きのはずだ、うん。よし、さっきのは何かの間違いだ。絶対に!

 

しかし、俗に言うフラグだったのか、鏡が映し出したのは、先ほどと一寸違わぬ光景ーーいや、少し変わっている。ハリーと私が一緒に住んでいて一緒のベッドにーー

 

「わ……わぁぁぁぁぁっ!?」

 

「えっ?何が見えたの、リーナ?」

 

「ハッ、ハリーには全然関係がないことだよ、うん!いっぱい美味しいもの食べてるところだった!」

 

嘘をつきました。って、

 

「そこで何してるんですか?ダンブルドア先生」

 

「気づいておったか」

 

ハリーがダンブルドアの方を向く。気がついていなかったようだ。

 

「昨日、ハリーがここに居るのを見てのう。『みぞの鏡』のとりこにならんか心配じゃった」

 

『みぞの鏡』……安直な名前だね。人のこと言えないけど。

 

「この鏡は心の奥底にある一番強い『のぞみ』を見せる。ハリーは家族を、リーナは美味しいものを食べてる自分を見たんじゃろう?それが、君たちの一番の望みと言うわけじゃ。もっとも、自分にしか見えんから、嘘を言ってる可能性もあるがのう。」

 

一番強い望み……私が、ハリーと結婚したいって思ってる?私が?ハリーと?

 

「っ!」

 

顔が熱くなる。今この顔を、誰にも見られませんように。

 

「二人とも、この鏡は明日、よそに移す。まあ、君たちなら探そうとはしないじゃろうが」

 

そう言って、にっこり微笑むダンブルドア。うう……薄暗いけど、絶対バレてる……。

 

「先生、質問してもよろしいですか?」

 

「いいとも。今のもすでに質問だったがのう。でも、もう一つだけ、質問を許そう」

 

「先生ならこの鏡で何が見えるんですか?」

 

「わしかね?厚手のウールの靴下を一足、手に持っておるのが見える。靴下はいくつあってもいいものじゃ。なのに今年のクリスマスにも靴下は一足ももらえなかった。わしにプレゼントしてくれる人は本ばっかり贈りたがるんじゃ」

 

その言葉が、嘘か本当かはわからない。今、心を覗くのは負けのような気がした。

 

 

 

 

リーナと寮に戻る途中、リーナが言っていたことを思い出していた。僕には関係ないこと。リーナに信頼されてないのかな……?僕も嘘をついたけどさ……。

 

僕が見たのは、リーナと結婚式をあげている自分。それを見ても、特に驚くことはなかった。僕は、リーナが好きだって自覚していたから。でも、リーナが嫌がるかもと思って嘘をついた。リーナは僕の心を覗くことはほとんどない。信用されているからかな?だから、リーナが僕の見えたものを疑っても、本当に見たものを知ることはない。僕も、リーナが本当は何を見たのかわからない。

 

リーナに隠して、でも、リーナに届け、この気持ち。

 

 

 

 

女子寮に戻ってベッドに入る。すると、ヴェルが擦り寄ってきた。

 

(ご主人様……どうしたの……?)

 

「ヴェル……ちょっと聞いて?もしかしたら私、ハリーのこと好きなのかも……」

 

(……ようやくですか。半年近く自覚してなかったんですか。鈍感)

 

「うう……言い返せない……ん?半年近く?」

 

(入学して、女子寮に来た時のこと。ハリーを女子寮に連れてこれないかなって言ってましたよ?)

 

「えっ……うわぁぁぁぁぁ!何言ってるんだ私はぁぁ!恥ずかしい!」

 

(うるさいですよー。あ、雷、電。探検行くのはいいけど、見つからないようにね?)

 

(わかってるって!)

 

(了解したのです)

 

……あれ?いつのまにか雷と電がいない。ヴェルー?

 

(二体なら探検に行きましたよ。てか、聞こえてなかったんですか)

 

「恥ずかしさのあまり、ベッドの上でゴロゴロしてたからね。ううっ、明日からどんな顔してハリーに会えば……」

 

(普通の顔でいいと思うんですがねぇ)

 

うにゅう……鏡を見に行かなきゃよかったかも……。




とうとうリーナが自覚。しかし、ハリーの気持ちには気がつかず、ハリーもリーナの気持ちに気がつかない。さて、いつ告白させるべきなのやら(愉悦)

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