「スネイプだったんだよ」
ロンが言う。
「ハーマイオニーも僕も見たんだ。君の箒にブツブツ呪いをかけていた。ずっと君から目を離さずにね」
「いや、犯人は別に居たよ。私が保証する」
紅茶を飲みながら反論する。
「私はハリーが呪いをかけられた時に、客席を観察してみたんだよ。そしたら、クィレルも何か言ってたんだ。とあるバカのせいで読唇術を覚えさせられたからね、呪いを唱えているってわかった」
「じゃあ、スネイプは何をしていたの?」
「反対呪文。あと、スネイプに火をつけたのはハーマイオニーかな?あの時、クィレルにぶつかった?」
「ええ。確かにスネイプに火をつけて、その前にクィレル先生にぶつかったけれど……それが?」
「クィレルがそれでつんのめっていたんだよ。それでハリーへの呪いが途切れた」
「でも、スネイプは足を怪我していたわ。あれはフラッフィーにつけられたものしゃないかしら?」
奥で紅茶を淹れていたハグリッドがいきなりこっちを向いた。
「なんでフラッフィーを知っとるんだ?」
「色々あってね。ハグリッド、彼は何を守っているの?」
「お前さんたちにも言うことはできねぇ」
じー。
「……」
じー。
「……うう」
じー。
「……すまんが絶対に言えねえんだ。あれのことは忘れるんだ。あれはダンブルドア先生とニコラス・フラメルの……」
「勝った」
「あ……言っちまったぁぁぁぁ!?」
ハグリッドには秘密を預けちゃいけないね。
○
クリスマス休暇前日。私は図書館に向かっていた。クリーチャーのマフラーがあったかい。
私は残ることに決めた。他にはハリーとウィーズリー四兄弟が残っている。あ、ロンがマルフォイと喧嘩してる。……スネイプ登場。ロンだけが減点された。そんなんだから疑われるんだよ、スネイプ。
ニコラス・フラメルについて、なかなか見つからない。うーん、有名どころの本は調べ尽くしたけど……フラメル?錬金術関係で聞いたことがあるような?
……錬金術?もし、フラメルが錬金術に関係する人間なら?ホグワーツに隠すレベルの物で、闇の帝王(笑)が求めるもの?錬金術で最も価値があり、最も重要な物……。
「……まさか」
錬金術の本を探し出し、読み始める。予想が正しければ……。
「いた。やっぱりか」
賢者の石。エリクサーとも呼ばれる錬金術の最高到達点の一つ。最高の錬金素材で、卑金属を貴金属に、特に金に錬成する。そして、最大の特徴は……
「命の水の生成。これだ。永遠の命!」
命の水による一時的な不老不死。賢者の石さえあれば永久に生きられる。けれど、不老不死って、寂しいんだよね。友も家族も先に死に、死にたいと願っても死ねない。まあ、命の水がなくなれば死ぬか。
「あいつは消滅し、去年、クィレルに取り憑いた。復活に、命の水が必要?ともかく、ニコラス・フラメルは見つけた。早速ハリーに知らせるか」
ルンルン気分でハリーの元へ行く。
「ハリー、見つけたよ。ロンとハーマイオニーも呼んできて」
「わかったよ。ちょっと待ってて」
数分後、四人全員が揃った。
「それで、ニコラス・フラメルを見つけたって本当なのかい?」
「本当さ。私の記憶に感謝しろ」
「記憶?」
「ああ。どこかで聞いたことがあったんだよ。ニコラス・フラメルを。錬金術関連でね」
ハーマイオニーが驚く。
「錬金術!考えもしなかったわ。まさか、そんなところに……」
「ハーマイオニー、静かにして。マダム・ピンスに追い出される。それで、錬金術関係の本を調べたんだ。ビンゴだったよ」
三人は感心した顔をしている。ふっふーん、どうだ!側から見たら、ドヤ顔になっているだろうね!
「錬金術の最高到達点の一つ、賢者の石。それが守られているものさ」
「賢者の石ですって?なんでそんなものを?」
「ハーマイオニー、これを見て。賢者の石からは、命の水が生成できるんだ。これがあいつの目的なんだろ?リーナ」
「ロン、正解。一時的な永遠の命。それを無限回繰り返せるんだ。復活に必要なんだろうね」
案外早くニコラス・フラメルを見つけられた私たちは、クリスマス休暇を楽しむことにした。
○
クリスマス当日。ベッドの足元にはプレゼントの山があった。ウィル爺からは蛙チョコレート一ダースが、お父さんからは箒の手入れセットが、クリーチャーからはセーターが送られてきた。ちなみに、アクロマンチュラの糸を加工したものらしい。
アズカバンからは、代表者数名が送ったようだ。ランスを持った青い女の子の人形(糸が付いていて、魔力を込めると飛ぶし自由に動かせる)や青いドレスのような甲冑の女の子の騎士の人形(強いマジックアイテムになっている金色の剣を持っている)などだ。一つ謎なのが、陶器のような物体だ。吸魂鬼一のマッドサイエンティストが作ったらしい。黄色とオレンジの二つで、ガラス製の目のような部分がある。
「……なんだコレ」
ひっくり返してみると、『SCP-131』の文字が。……とうとう作り上げやがったか。
これを作ったバカは、先ほども述べたようにマッドサイエンティストで、オカルトオタクでもある。最近、一部の有志がアズカバンに引いたネット回線を使って何か調べていたが、いきなり変な物体を作り始めたのだ。履歴には、『SCP-Foundation』とあり、調べてみると、なんとまあ、こいつの好きそうなものの宝庫だことで。
そして、試作に試作を重ね、完成した第一号がこの『SCP-131』、通称アイポッド。……こいつは害はないけど、帰ったらもっと面倒なものを作り上げてそうだ。SCP-173とか。
とりあえず、二体に魔力を流し、起動させる。あとは永久機関に近い構造のため、半永久的に稼働できるらしい。あとで、名前をつけてやろう。そう思いながら、ヴェルとともに談話室へと降りていった。……アイポッドもついてきた。
今回のネタ要素、SCPの登場。
すみませんいろんな小説とか読んでたら出したくなったんです。ちなみに、SCP-173は『彫刻オリジナル』と言う名前のSCPです。SCPを知らない?検索してみてください。はまるかもしれませんよ?
……あ、吸魂鬼勢のプレゼントは大体ネタだった。