「まさか」
夕食時、私とハリーは、ロンにあの後どうなったかを伝えていた。
「シーカーにチェイサーだって?だけど一年生は絶対ダメだと……なら、君たちは最年少の寮代表選手だよ。ここ何年来かな……」
「……百年ぶりだって。ウッドがそう言ってたよ」
パイをかき込むように食べるハリー。私もいつもより多く食べている。お腹がぺこぺこなのだ。
食べていると、ツインズかやってきた。
「すごいな。ウッドから聞いたよ。俺たちも選手なんだ。ビーターさ」
「今年のクィディッチ・カップはいただきだぜ。チャーリーがいなくなってから、一度も取ってないんだよ。だけど今年は抜群のチームになりそうだ。君らはよっぽどすごいんだな。ウッドが小躍りを通り越してブレイクダンスしようとしてたぜ」
そんなことを言って、双子は去っていった。リーが学校からの抜け道を見つけたらしい。双子はそれよりも前に見つけてたらしいが。
双子が消えて少しして、マルフォイと愉快な仲間たちが現れた。
「ポッターにディメント、最後の食事かい?マグルのところに帰る汽車にはいつ乗るんだい?」
「ハリー、関わらなくて平気だよ。前には先生達がいる。手出ししたらこいつらの方がおしまいだ」
「なら、先生のいない場所でやろう。今夜、魔法使いの決闘をしようじゃないか。僕の介添人はクラッブだ。場所はトロフィー室。そっちはどうする?」
「ハリー、受ける必要はないけど?」
「はっ。ディメントは僕のことが怖いらしいな。ポッター共々、腰抜けか?」
「事情が変わった。ハリー、介添人を頼む。こいつは私が叩き潰す」
「ほどほどにね、リーナ」
マルフォイ達は去り、ロンが慌て始めた。
「決闘って、大丈夫かい?」
心配してるのかな?
「私があいつ程度に倒されるとでも?」
「いや、マルフォイが死なないかどうか」
「保証はできない」
ロンの今の顔を表すなら、「どんな反応をすればいいのかわからないの」だろう。
「ちょっと失礼」
ハーマイオニーが乱入してきた。文句でも言いに来たのか?
「どんな理由でも、夜、校内をうろうろするのは絶対ダメ。もし捕まったらグリフィンドール寮が何点減点されるか考えてよ。絶対に捕まるに決まってる。なんて自分勝手なの?」
「私の参戦理由はハリーを侮辱されたからだけど?」
「同じでしょ。とにかく!絶対に出歩いちゃダメだからね!」
十一時半ごろ、私は談話室でハーマイオニーと向き合っていた。
「あなたがこんなことをするとは思わなかったわ。あの、秩序を重んじるディメント家が」
「ディメント家が秩序を重んじるなんて誰が言ったんだい?全員、ある意味自分勝手な集団だよ」
「それでも、ルールには忠実だわ」
「こっそり新種の魔法生物作ってるやついるけど?」
「許可があれば平気でしょう」
「ディメントはアズカバンの監獄に出入りする権利を持ってるけど、無罪だって信じるやつをこっそり逃がしたりしてる。これは許可なんてものないと思うけど?」
「それはそれ、これはこれよ」
「言い訳かい?」
睨み合う私たち。互いに口を開こうとした時、決着はついた。
「「二人とも、そこまで」」
私とハーマイオニーの頭にチョップする人物。ハリーとロンだ。喧嘩は両成敗されました。
「やあハリー。遅かったね」
「君たちの喧嘩にいつ割り込もうかとね。さ、行こう」
ハーマイオニーも付いてきて色々言ってたいたが、談話室に戻ろうと振り向いた所で固まった。太った婦人が居なかったのだ。閉め出された形だねぇ。
「ハーマイオニー」
「……何よ」
「諦めろ(最高の笑顔で)」
「うわぁぁぁぁんっ!」
そのまま、ハーマイオニーも連れて行くことに。合言葉を忘れて入れなかったネビルも引き連れてトロフィー室に向かう。
トロフィー室で待っていても、一向に来る気配がない。いや、誰か来る。
「ようやく来たの?」
「……違う。こっちから出るよ。フィルチだ」
全員が部屋から出て、静かに寮への道を進んだ。フィルチはどんどん近づいてくる。ネビルが恐怖で暴走しかけたけど、首根っこをひっつかんで止めた。が、ネビルの手が鎧にあたり、大きな音を立てて倒れてしまった。
「逃げろ!」
ハリーの叫びで回廊を疾走する。隠し通路やらを通り抜け、『妖精の呪文』教室まで逃げて来た。フィルチは追ってきていない。追いつけなかったみたいだ。もう歳なのかな?
「やっぱり、はめられたのよ。どうしてくれるの」
「チッ。頭に血が上ってたみたいだ。マルフォイごときの計画を見抜けないなんてね」
「リーナ?……聞いてないわね、この子」
ハーマイオニーが何か言っているが無視。どうマルフォイにこの借りを返すか、この後どうするかを考える。と、ピーブズがやってきた。
「やあ、ピーブズ。ちょっと頼みごとをしてもいいかい?」
「ん〜内容次第では考えるよ」
「今度、マルフォイに大きな悪戯をしてくれ。フレッジョと協力して」
「見返りは?」
「悪戯できるんだからいいだろ?」
「そうだねぇ。ついでに、太った婦人に戻るよう言っておくよ。でも、だ。このくらいはさせてもらおうーー生徒がベッドから抜け出した!『妖精の呪文』教室の廊下にいるぞ!ーーそれじゃ、明日を楽しみに!」
「いい悪戯ライフを」
ピーブズにそう言い、廊下を全速力で走る。扉にたどり着くが、鍵が掛かっている。
「もうダメだ!いっかんの終わりだ!」
「平気だよ。〈
鍵開け呪文を使う。全員で中に入り込み、最後に入ったハーマイオニーが鍵を閉めた。
ピーブズとフィルチの声が聞こえる。ピーブズは上手く躱しているようだ。……何かいる。振り向くと、三頭犬がこっちを見つめていた。ハリー達は気づいていない。
(侵入しに来た?)
違うというジェスチャーをしておく。
(本当?)
本当。
(敵じゃないの?)
違うって。
(ハグリッドの友達?)
ファングはモフモフでした。
(モフモフしたいの?)
していいの!?
(いいよー)
ひゃっほい。
「リーナ、もう平気みたい……って、何コレ?」
「三頭犬よ!なんでこんなところに?いえ、それよりもーーなぜリーナは上に乗っているの?」
「モフモフするために」
唖然とするハーマイオニー。当然だろう。だから、少しネタバレを。
「私は動物の言葉がわかるからね。この子に許可をもらった」
嘘ではない。全部言ってないだけだ。動物の言葉がわかるのは、心を読む程度の能力の副産物だ。心を読むより、動物の言葉がわかる方が平和的だろう?
「動物の言葉がわかるなんて……なんで黙ってたの?」
「聞かれなかったから。そう言えば、君の名前は?」
(ハグリッドに、フラッフィーってつけてもらった)
「フラッフィーか。良い名前だね。また来ても?」
(もちろんだよ)
「あと、この子たちには手を出さないでね?」
(わかった〜)
モフモフモフモフモフモフモフモフ
「はぁ……満足。ありがと」
(どーいたしまして)
少し唖然としてるハーマイオニーと、愕然ときてるロンと、気絶しかけてるネビルと、私の行動に慣れているハリーと共に、グリフィンドール寮へ戻った。そう言えば、あそこって四階の右側の廊下だね。フラッフィーは侵入とも言っていた。何かを守ってる?フラッフィーの足元に何かあったようなーー。
「ハーマイオニー。ちょっといい?」
「何かしら。これ以上私を驚かせるつもり?」
「そうじゃなくて。フラッフィーの足元に何かあった?」
「仕掛け扉があったけれど?見ていなかったの?」
「フラッフィーの上にいたからね。見えなかった」
特別警戒金庫から盗み出そうとした何か。もし、取り出したのがダンブルドアで、それが、ヴォルデモートの手に渡るとまずい物だったら?……あそこに何かを隠している。面白くなってきたかな?
フラッフィー懐柔。笛を吹いたりする必要が無くなりました。最終的に、フラッフィーはリーナがもらってくかと。
追加設定
リーナは動物好き。特にモフモフ。あと、ゲテモノ料理も平気。