一晩経ち、授業が始まった。しかし、ハリーや私への視線が多いね。
「……何か寒気がする」
「えーと、ディメントが何か恐い。怖いじゃなくて恐い」
……あれ?人が消えてる。どうしたんだろう。まあ、私のハリーへの視線が無くなったのは僥倖だ。
……階段とピーブズがうざい。それにフィルチも。ま、ピーブズはある程度誘導できるし、階段は覚えればいい。フィルチも、ピーブズを上手く使えば回避できる。おかげで遅刻は無い。
『天文学』は星が綺麗だし、『薬草学』は色々な面白い植物を見れる。『魔法史』は物語として覚えられるし、『妖精の呪文』も役に立つ。
「『変身術』はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険なものの一つです。いいかげんな態度で私の授業を受ける生徒は出ていってもらいますし、二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます」
教壇で言うのはマクゴナガル先生。先生は机を豚に変え、また元に戻した。みんなうずうずしてるね。難解で複雑な理論をノートに取り、先生が配るマッチ棒を受け取る。針に変えろと。
「先生」
「なんでしょう、ミス・ディメント」
「変身術を使えば空想上の生き物に変身させることも可能ですか?」
「理論上は可能ですが、大変危険です。もしその生物が術者を襲ったら?そもそも、そこまでの技量を持つ魔法使いは滅多にいません。もしもこの世には存在しない生物へと変身させ、それを完璧に制御できるなら、マーリン一等勲章は確実でしょう」
「ありがとうございます」
「よい質問でした。グリフィンドールに一点。さあ、そろそろ授業が終わります。マッチ棒を針に変えられた者は?」
結果は、私とハーマイオニーだけだった。ハリーはだいぶ惜しかったけどね。少し太い。
『闇の魔術に対する防衛術』は拍子抜けだった。ニンニクの匂いやら先生はおどおどしてるやら先生への質問に答えずに話をそらすやら。……ヴォルデモート、人選間違えたんじゃ?
『魔法薬学』はスリザリンと合同だ。場所は地下牢。なんでこんな所もあるんだ?スネイプはドアを蹴破って入ってくると出席を取った。ハリーで少し止まり、
「ハリー・ポッター。われらが新しい、スターだね」
とか言ってのけた。心の中では、「ハリーを辱めてやろう」と思ってる。先生、私達ディメント家が色々教えまくったハリーを知識で負かせる事ができるとでも?
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ。杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。ふつふつと沸く大釜、ゆらゆらと立ち昇る湯気、人の血管の中をはいめぐる液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは、名声を瓶詰めにし、栄光を醸造し、死にさえふたをする方法であるーーただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちよりも諸君がまだましであれば、の話だが」
大演説乙。ハーマイオニーがすっごく目をキラキラさせてるよ。
「ポッター!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものを加えると何になるか?」
簡単じゃん。
「刻んだカノコソウの根や催眠豆の汁なども加えて、『生ける屍の水薬』と言われる、強力な眠り薬となります」
「ベゾアール石を見つけてこいと言われたら、どこを探すかね?」
「山羊の胃の中を。様々な毒に対する解毒剤になります」
「モンクスフードとウルフスベーンの違いは?」
「どちらもトリカブトのことで、別名をアコナイト。つまり違いは呼び方だけです」
「ふん。ちゃんと教科書を読んできたようだな。特別に、
スネイプとハリーの掛け合いに呆然としていた全員が一斉にノートを取り始める。ニヤニヤしていたマルフォイの口が開きっぱなしになったのは傑作だよ。
その後、二人一組でおできを治す薬の調合をすることになった。私はハリーと、ロンはネビルと組むことになった。
「ネビル、山嵐の針は大鍋を火から降ろした後だよ」
「あっ。ありがとう、ロン」
「どういたしまして」
「もっと早く、自分の力で気づけロングボトム。グリフィンドールから一点減点」
私とハリーはほぼ完璧に調合完了。出来て当たり前なのか、点数は入らなかった。プラマイゼロ。
「あ、そう言えば」
「ん?どうしたの?ハリー」
「この後ハグリッドに呼ばれてるんだ。一緒に行く?」
「もちろん。行かせてもらうよ」
後々、今回の変身術の授業がシリアス内でネタ要素として登場したりします。リーナはオタクがほんの少し混じってるので、ゲームモンスターを召喚してみたいのでしょう。某モンスターを狩るゲームの先生とか。