決意を固めたところで、マクゴナガル先生が長い羊皮紙の巻き紙を持ってきた。
「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください」
ファミリーネームで呼ばれるとしたら……私はDでハリーはP……だいぶ差があるね。ファーストネームもか。
「アボット、ハンナ!」
ファミリーネームか。帽子って案外大きいね。目元まで隠れるとは。
「ハッフルパフ!」
一瞬の沈黙の後、帽子が叫ぶ。一番右のテーブルで歓声が上がってるから、あそこがハッフルパフのテーブルか。
「ボーンズ、スーザン!」
「ハッフルパフ!」
「ブート、テリー!」
「レイブンクロー!」
左から二番目のテーブル。あとはグリフィンドールとスリザリンだね。
「ブロックルハースト、マンディ!」
苗字長っ!
「レイブンクロー!」
「ブラウン、ラベンダー!」
「グリフィンドール!」
おお、初のグリフィンドール。一番左のテーブルだ。てことは、右から二番目がスリザリン、と。
「ブルストロード、ミリセント!」
「スリザリン!」
○
「ディートリッヒ、クロス!」
「レイブンクロー!」
いつの間にかDまで呼ばれてる。次が私かな?
「ディメント、リーナ!」
騒がしかった広間が静まり返る。
「なあ、ディメントってあの……?」
「まじかよ、『生き残った男の子』も今年入るんだろ?」
「今年の一年どうなってんだ……」
色々言われてるね。ま、私には関係ない。ただ、グリフィンドールに入れてもらえるように組分け帽子とO☆HA☆NA☆SHIするだけだ。
帽子をかぶる。うん、やっぱり目元まで隠れるね。真っ暗だ。
「ふむ、ディメント家の子か。勇気もあるし、知識欲もそれなりにあるようだ。それに、友を闇に落とさぬためならその友を殺すことをも躊躇わず、相手を追い詰めるための狡猾さも持つ。何より、ディメント家故か、正義感もある。はてさて、どうしたものか。このままならスリザリンかハッフルパフだが……」
「帽子、少し聞いてくれる?私はハリーを気に入っていてね。多分、ハリーはグリフィンドールに入る事になる。私は、ハリーの行く末を見てみたい。だから、グリフィンドールに入れてくれる?」
「スリザリンに入れば偉大になれると言っても?」
「O☆HA☆NA☆SHIするかい?」
「グリフィンドールッッ!!」
勝った。
帽子を下ろしてグリフィンドールの席へ向かう。途中でハリーに手を振っておく。
「ディメントを取った!これでスリザリンからのちょっかいが減る!」
私は席に着いて、残りの組分けを眺める。しかし、人によってだいぶ所要時間が違うね。すぐに決まる子もいれば、一分以上かかる子もいる。
「グレンジャー、ハーマイオニー!」
お、あの子か。
「グリフィンドール!」
へぇ、彼女の性格だとレイブンクローに行きそうだったけど。おいロン。ウワァって顔するなよ。
「ロングボトム、ネビル!」
ヒキガエルの子だ。……あれ?もう二分ぐらい経ってるけど……。
「グリフィンドール!」
決まった。どの寮に入れるか悩む子って大変だね。逆に、
「マルf「スリザリン!」」
名前言い切る前に寮決まっちゃう子いるし。てか、苗字すら言い切ってない。マルフォイ乙。まあ、マルフォイ自身は満足してるみたいだね。マクゴナガル先生や、ダンブルドアですらポカーンとしてるけど。
さて、もう少し進んで、Pの段。ハリーの番だ。
「ポッター、ハリー!」
広間が静まり返る(三回目。二回目はマルフォイの時)。
「ポッターってあの?」
「本当に入るのか」
「今年の一年ヤバイな」
「ああ、マル何とかもな」
マルフォイェ……。
ハリーは帽子をかぶった。口元が動いてるね。何を言ってるのかな?読唇術(ウィル爺の趣味で習わされた)で覗く。
「グリフィンドールに入れろグリフィンドールに入れろグリフィンドールに入れろグリフィンドールグリフィンドールグリフィンドール」
「グリフィンドールッッ!!」
ハリー!?怖いよ!
「やったぞ!ポッターを取った!」
「ディメントに続いてポッターも取った!これで優勝杯がだいぶ近づいた!」
うるさっ!
「やったよリーナ!一緒の寮だ!」
「そうだねハリー。ついでにさ?組分けに何て言ってたの?」
「え?グリフィンドールに入れろって」
見間違いじゃなかったのか。
ロンはすぐにグリフィンドールに決まった。血筋も関係してるのかね。最後に残っていた「ザビニ、ブレーズ」はスリザリンに決まり、帽子と羊皮紙は片付けられた。
目の前には空っぽの金の皿。どんな料理が出てくるのかな?ワクワク。
ダンブルドアが立ち上がる。チッ、早く料理だせよ。
「おめでとう!ホグワーツの新入生、おめでとう!歓迎会を始める前に、二言、三言、言わせていただきたい。では、いきますぞ。そーれ!わっしょい!こらしょい!どっこらしょい!以上!」
「何がしたかったんだあの狸ジジイ」
周りの上級生からギョッとした顔で見られた。謎だ。いつの間にかテーブルの上の大皿にあった料理を食べて気を紛らわそう。
……?なぜ豆腐とハッカキャンディが?
クロス・ディートリッヒはオリキャラ(男)です。登場予定無し。
マルフォイは、原作では頭に触れるか触れないかのところで決まってましたが、名前を言い切る前に決まってしまいました。灰色のレディ曰く、「ホグワーツの歴史の中でも滅多に、いや、一切なかったことです」との事。
豆腐については、厨房に、昔日本人に仕えていて、豆の加工食品に興味を持ったしもべ妖精がいるということで一つ。