「そう言えばさ、ビルがグリンゴッツで仕事してるんだけどね。誰かが、特別警戒の金庫を荒らそうとしたって」
グリンゴッツに侵入者?
「それ、本当?」
「本当。『日刊予言者新聞』に出てるよ」
「グリンゴッツに侵入するって、凄いことなの?」
「忍びこむことも、生きて帰れるのも凄い」
「ま、なにも盗っていかなかったらしいけど」
『例のあの人』関連かな?彼らしき人が存在するのは漏れ鍋で確認したし、何かしらの武器を求めて、既に持ち出された後だった?
私が考えている間、ハリーとロンはクィディッチについて話していた。ロンって、クィディッチオタクなんだね。どんどん専門的な話にシフトしてる。
ガラッ
……またか。次は誰だ?
「このコンパートメントにハリー・ポッターがいるって、汽車の中で噂になってるけど。誰かな?」
金髪の、青白い男の子だ。あと、がっしりとした体型のボディーガードらしきオマケ。
「ああ、こいつはクラッブで、こっちがゴイルさ。そして、僕がマルフォイだ。ドラコ・マルフォイ」
「クラッブもゴイルもマルフォイも、
「……君は?」
「私はリーナ・ディメントさ。こっちの眼鏡がハリーだよ」
「ディメント?まさか、ディメント家の人間かい?」
もう説明するの面倒だよ。ロンを無視して、私とハリーに向けて話し出すマルフォイ。
「ポッター君、ディメント君。そのうち家柄のいい魔法族とそうでないのとがわかってくるよ。間違ったのとはつき合わないことだね。例えば、そこにいるウィーズリーとか。そのへんは僕が教えてあげよう」
手を差し出してくる。握手かな?
「一つ聞くけど、私達にどんなメリットが?」
「上流階級だよ。それに、危険も少ないし、魔法省へのツテもある」
「ふーん。だが断る」
ネタを使って拒否する。使い勝手良いよね、コレ。
「まちがったのかどうかを見分けるのは自分でもできると思うよ。どうもご親切さま」
おお。言うねえハリー。少し怒ってる?
「ポッター君、ディメント君。僕ならもう少し気をつけるがね。もう少し礼儀を心得ないと、君の両親と同じ道をたどることになるぞ。君の両親も、何が自分の身のためになるかを知らなかったようだ。ウィーズリー家みたいな下等な連中と一緒にいると、君たちも同類になるだろうよ」
……もう、失神呪文や石化呪文使って良いよね?ロンは立ち上がってファイティングポーズ取ろうとしてるし、ハリーはロンを抑えようとしてるけど、怒りを隠しきれてない。
「〈
と言う訳で、鳥さん突撃ー!
「う、うわっ。何する、やめろ!」
よし、撃退成功。あと、マルフォイ共以外に足音がする。ハーマイオニーかな?
「いったい何やってたの?鳥が男の子を襲ってたけど」
「私の呪文。ハリーの両親を侮辱されたから」
「はぁ……三人とも、急いだほうがいいわ。ローブを着て。もうまもなく着くそうだから」
「よろしければ、着替えるから出ていってくれないかな?」
「ロン、それは私が君とハリーに対して言う言葉だ。男子二人の前で女の子に脱げと?」
「「ごめんなさい」」
「よろしい」
ハリーとロンが出て行き、私とハーマイオニーだけになる。上着を脱ぎ、ローブを着て、整理整頓。
「ハリー、ロン。もう良いよ」
ハリーとロンが入ってくる。入れ違いに、私とハーマイオニーは外に出る。
「さっきの鳥の魔法って何なの?」
「〈
「ありがとう。それじゃあ、ホグワーツで」
聞きたい事を聞いたハーマイオニーは去っていった。……お、ハリー達も着替え終わったみたいだね。コンパートメントの中に入る。
「荷物はトランクに詰めた?杖は持ったのかい?」
「大丈夫」
「もちろん」
二人の準備も完了したみたいだ。少しして、車内アナウンスがかかる。
「あと五分でホグワーツに到着します。荷物は別に学校へ届けますので、車内に置いていってください」
私達は通路へ出る。人が多いね。ギリギリまで中にいた方が良かったか?
何はともあれ、もうすぐ終点、ホグワーツ。さあ、どんな事が待っているんだろう。
質問とかあったら気軽にどうぞ(感想乞食)。