吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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クラウチJr.の部屋

クラウチJr.が使っていた部屋の捜索は、私も手伝うことになった。

部屋には敵鏡やかくれん防止器などがごちゃごちゃと散らばっていて、一つ、大きなトランクがあった。七つの錠前のついたトランクだ。幸いなことに、クラウチJr.はこのトランクのものらしき鍵を落としていってくれた。やって来たダンブルドアがトランクの鍵を開けていく。

一つ目の錠前の中に入っていたのは呪文の本だった。二つ目には壊れたかくれん防止器や羊皮紙、羽根ペン、デミガイズ皮製の透明マント。三つ目、四つ目、五つ目、六つ目と開けていき、最後の八つ目に本物のムーディはいた。縦穴のようになっていて、三メートルほどの深さがある。髪の毛は一部がなくなっていた。多分、ポリジュース薬を作るのに使ったんだろうね。

 

「ミネルバ、マダム・ポンフリーを呼んできてくれるかのう。場合によっては、今年の闇の魔術に対する防衛術の先生はいなくなってしまうかもしれん」

 

「アルバス、それは……」

 

「一見すると、〈失神術〉、そして〈服従の呪文〉がかけられておるように見えるが……もしかすると、何かしらの毒が使われたかもしれんからのう。念のために、少なくとも一ヶ月ほどは聖マンゴに入院してもらわねばならん。グリフィンドール四年生の防衛術はミス・ディメントに担当してもらうのもいいかもしれんが、彼女は仮にも生徒じゃ」

 

「仮にもってすごく問い詰めたいんだけど」

 

「おお、これは悪かったのう。というわけで、早急に新しい先生を探す必要がある。一人、当てはあるんじゃが」

 

マダム・ポンフリーがやってきて、担架でムーディを連れていった。ダンブルドアは家探しを続けているけど、これといった証拠になりそうな物はなかったようだ。

 

「リーナ、君はあのペテン師が何を計画していたのか、知ってるな?教えてくれると嬉しいのじゃが」

 

「三大魔法学校対抗試合で罠を仕掛けて、ハリーをリトル・ハングルトンに連れていく予定だった。そこに、トム・リドルがいる。それに、ピーター・ペティグリューも、殺されたバーサ・ジョーキンズもね。もう一人誰かいるみたいだったけど……そこにはノイズがかかっていた。よく覚えてなかったみたい」

 

「それは重畳。逃してしまった以上、もしかするとあやつはまた仕掛けてくるかもしれん。否、仕掛けてくるじゃろう。できうることなら三大魔法学校対抗試合自体を中止したいが、他の校長たちがそれを許さんじゃろうから、このまま開催するしかあるまい。リーナ、君にとっては辛いことかもしれんし、怒るかもしれない。しかし、この作戦が一番いいかもしれん。ハリーを囮に使う」

 

最後の言葉を聞いた時、私の中の黒い感情が湧き上がってきた。ハリーを囮に使う?誰がそんなことをさせるか。そんなことをする必要があるぐらいなら、今すぐリトル・ハングルトンに向かってヴォルデモートを殺してくる。

そんな私の心を悟ったのか、ダンブルドアは顔を青くしながらも弁明してきた。

 

「アルバニアの方にはディメント家の者が向かっていたはずじゃろう?もしハリーが攫われたのなら、その者がきっと救い出してくれるはずじゃ。それに、こちらでは君が守っていれば良い。ハリーは競技に参加できる歳ではあらんから、隣で観戦していれば安全じゃろう」

 

「……そうかもね。でも、一つだけ約束してくれるかい?もしもハリーに何かあったら、思いっきり殴らせてもらう」

 

「……死なぬ程度に手加減してくれるなら」

 

ならばよし、と私は頷いて、あとはダンブルドアに任せて談話室に戻ることにした。ああ、でも、どうせハリーはまた何かに巻き込まれるんだろうね。はぁ……ハリーに何も起こりませんように。


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