吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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占い

「スクリュートをどうする気なんだろう、ハグリッド」

 

昼食の席で、ロンがそう漏らした。スクリュートは多分、とても危険だろう。数十秒に一回は尻尾を爆発させ、食欲は旺盛で攻撃的。危険でない要素が見つからない。どうするかなぁ……。

ハーマイオニーに目をやると、猛スピードでご飯を食べてた。ハンガーストライキの次は暴食でストライキでも起こそうとしてるの?

 

「ごめんなさい。すぐに図書館に行きたいの。それじゃあ、夕食の時にね!」

 

ハーマイオニーは芽キャベツを頬張ると、サッと立ち上がって広間を出て行った。

 

「……ハーマイオニー、何をする気なんだろう?」

 

「しもべ妖精はそっとしておくのが一番だと思うけどね」

 

「ハーマイオニーはそれを言っても聞かないと思うよ」

 

三人でため息を吐く。ろくでもないことになりそうだ。

 

 

 

午後の始業のベルが鳴ったので、北塔の一番上の教室に向かう。もう梯子の前には誰もいないし、私たちが一番最後なんだろう。

パンツを見せないようにロンとハリーを先に上らせてから梯子を上る。途端に、甘ったるい匂いが鼻を突いた。

予想通り、他のみんなはすでに座っていて、残りのテーブルは一つだけだった。みんなが座るテーブルの間を縫って歩き、ハリー、ロンと一緒に座る。さて、トレローニー先生はどこだろう。

 

「こんにちは」

 

驚き、立ち上がりかける。後ろを向くと、甲虫みたいな先生──トレローニー先生が立っていた。

 

「坊や、何か心配しているわね。あたくしの心眼は、あなたの平気を装った顔の奥にある、悩める魂を見通していますのよ。お気の毒に、あなたの悩み事は根拠のないものではないのです。あたくしには、あなたの行く手に困難が見えますわ。ああ……本当に大変な……あなたの恐れていることは、かわいそうに、必ず起こるでしょう……しかも、おそらく、あなたの思っているよりも早く……」

 

まずい。今すぐこの先生を殴りたい。本当に力のある予言者は滅多に占いをしないし、それに自信たっぷりに言ったりはしない。未来は不確定で、どんな要素で未来が変わるのかがわからないから。私がここで立ち上がるだけでも未来は大きく変わるし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……ん?私は今何を考えていたんだろう。まあ、それは傍に置いて。

なんで過去に行ける逆転時計(タイムターナー)があるのに、未来へ行ける魔法具がないのか。それは未来を確定させてはいけないからだ。それと同時に、過去の改変もしてはいけない。全てが破綻するから。……ああ、思考がごちゃごちゃになって来た。一旦落ち着こう。寮に戻ったらハリーに抱きつこう。抱きしめて貰おう。

 

「坊や、あなたは間違いなく土星(サターン)の不吉な支配の下で生まれたのです!あなたの黒い髪も、貧弱な体つきも、幼くして悲劇的な喪失も……ええ、あなた、真冬に生まれたでしょう?」

 

「いいえ。僕は七月生まれです」

 

……やっぱりトレローニー先生は殴りたい。


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