翌朝、朝食の席で時間割が配られた。午後には占い学が二時限続きである。トレローニー先生がイラッとすることを言わなければいいんだけど。
ハーマイオニーはハンガーストライキを辞めて、ちゃんとご飯を食べるようになった。しもべ妖精の権利を主張するのにはもっといい方法があると思ったそうだ。
最初の授業は薬草学だ。指定された温室の中に入ると、スプラウト先生が醜い植物を用意して待っていた。真っ黒な太いナメクジが直立しているようで、一本一本に大きな腫れ物がブツブツとついている。その中には何かの液体が。
「ブボチューバー、腫れ草です。中にある膿をしぼって集めなくてはなりません。とても貴重なものですので、無駄にしないよう。一班に一つ瓶を与えますから、この中に集めるように。ドラゴン革の手袋を必ず着用してください。原液のままだと、皮膚に変な害を与えることがありますから」
ブボチューバーの膿は魔法薬学とかの材料になったはずだ。黄緑色で、強烈な石油臭がする。
授業が終わったときには合計で数リットルも、膿は溜まっていた。
次はハグリッドの魔法生物飼育学だ。今年もスリザリンと合同で授業が行われる。
小屋まで行くと、ハグリッドの足元に木箱が数個おいてあった。中からはガラガラという音と、時折小さな爆発音が聞こえる。
「おう、来たか。今年はこいつら──『尻尾爆発スクリュート』の世話をしてもらう」
ラベンダーが好奇心で木箱の中を覗き、悲鳴をあげて飛び退いた。
スクリュートの姿は確かに、女の子が見ると悲鳴をあげたくなるだろう。殻をむかれた奇形のロブスターのようで、勝手気ままな場所に肢が突き出し、頭らしい頭がどこにあるのかわからない。腐った魚のような臭いがして、尻尾と思われる場所から時々火花が飛んでその度に十センチほど前進してる。
「今孵ったばっかしだ」
得意げに言うことじゃないよ、ハグリッド。
スクリュートの全長はだいたい十五、六センチほどだ。多分もっと大きくなるんだろう。……これを少しでも可愛いと思えてしまう私は異常なのかな。
「やあハグリッド、今年はどんな生き物を──うわ何これ」
ドラコの声がする。見ると、スリザリン生が到着して、そして引いていた。
「……この怪生物は一体なんなんだい?もしかしてハグリッドはこれを飼育しろって言ってるんじゃないだろうな」
「こいつらは『尻尾爆発スクリュート』。そしてそのもしかしてが正解」
数匹持ち上げて見ると、針を持つ個体とお腹に吸盤のような物がある個体がいる。これが雄と雌の差かな?
今日の授業はスクリュートに餌を与えて、どれを食べるのか試してみるということだった。
……どう考えても、スクリュートって新種の生物だよね。違反なんだけど……どうするんだろう。