吸魂鬼に転生してしまいました。   作:零崎妖識

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前話で百話を迎えていたことに感想を貰うまで気がつかなかった。


試合、開始

「『レディース・アーンド・ジェントルメーン!第四百二十二回、クィディッチ・ワールドカップ決勝戦へようこそ!』」

 

バグマンさんの言葉と共に黒板の広告が消えてブルガリアとアイルランドの国旗、そして得点が書かれた。今は両方とも0だ。

 

「『さあ、前置きはこれぐらいにして早速ご紹介しましょう……ブルガリア・ナショナルチームのマスコット!』」

 

真紅一色のスタンドの上手から歓声が上がる。現れたのは、百人ほどのヴィーラだった。

ハリーがヴィーラに見とれているようなのでほっぺたをつねって私の方に意識を向かせる。

 

「何?リー……」

 

「んっ……」

 

そのままキスをする。ヴィーラなんかにハリーをあげるつもりはない。いや、誰にも渡すつもりはない。ハリーは私の隣にいてほしい。

 

「……ぷはっ。急にどうしたの、リーナ?」

 

「……ヴィーラに取られるかと思った」

 

「あはは。僕はリーナから離れないよ。絶対に」

 

ハリーに抱きしめられる。ハーマイオニーやロンが真っ赤になって、ナルシッサさんは生暖かい視線を向けてきていた。

ヴィーラはピッチの片側に整列した。次はアイルランドの番だ。

 

「『続いてはアイルランド・ナショナルチームのマスコットの登場です!』」

 

次の瞬間、大きな緑と金色の彗星のような何かが音を立てて飛び込んできた。競技場をぐるぐる回ったり、虹の橋をかけたり、最後は輝く巨大な三つ葉(シャムロック)のクローバーを形作った。その光から、金色の雨が降り始める。

金貨だ。こんなにたくさん。……でもこれ、レプラコーンの金貨だ。一時間もすれば消える偽物。周りのみんなは拾っていたけど、私とドラコは拾わなかった。ハリーにも教えようかなと思ったけど、あとでからかえるように言わないでおこう。

レプラコーンはヴィーラとは反対の方に降りてきて、あぐらをかいて座った。

 

「『さあ、選手たちの登場です!ブルガリア・ナショナルチームのご紹介!ディミトロフ!イワノバ!ゾグラフ!レブスキー!ボルチャノフ!ボルコフ!』」

 

真っ赤なローブが下方の入場口から飛び出し、あまりの速さに見えなくなった。箒の性能と選手の才能が合わさるとここまで速くなるんだ。

 

「『そしてぇぇぇぇぇ──ビクトール・クラムだぁぁぁぁぁあ!』」

 

ひときわ速い選手が入ってきた。猛禽類のようだ。顔もそんな感じだし。

 

「『さあまだここからですよ──アイルランド・ナショナルチーム!コノリー!ライアン!トロイ!マレット!モラン!クィグリー!そしてぇぇぇぇぇ──リンチの入場だぁぁぁぁぁあ!』」

 

緑の影がピッチへと飛び入る。クラムよりは遅いけど、それでも速い。

 

「『最後に入場するのは、はるばるエジプトからおいでの我らが審判、国際クィディッチ連盟の名チェア魔ン、ハッサン・モスタファー!

さあさあ準備はよろしいか!?モスタファーが木箱を開け、クアッフルを──投げたぁぁ!試あぁぁぁぁぁい、開始ぃぃぃぃぃ!』」

 

そして、赤と緑が交錯した。


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