陽炎
雪風
岩川基地、提督室。
「名前どうしようかしら…、次に入ってきた子から拝借しちゃうっていうのも手よね」
ガチャ
「しれぇ!失礼します!」
「そういうのはドアを開ける前に言うのよ、雪風」
「はい!今度から気をつけます!…ってあれ?陽炎お姉さん?」
「司令は今外周り中。ほら、今イベントやってるじゃない?あれのいろいろでね」
「ああ…そうでしたか。ちょっと残念です。せっかく、おいしいお魚を空母お姉さんがもってきてくれたんですが」
「空母お姉さん…?ヲ級さんか凄姫さんかな?」
「そうです。凄姫さんが「タマタマ近クニキタカラ」って、お魚さんを持ってきてくれました!まあ、提督が留守なのは仕方ないです!所で、陽炎お姉さんは何を?」
「あの人、今回のイベントで大暴れして「チョット疲レタワ」って言ってたのに…。で、何やってるかだっけ。モンスターファーム。ほら、此間寮で陽炎型全員で大会やったじゃない?」
「ああ!初風のセーブデータでそれぞれ持ってきたCDのモンスターで戦うってやった奴ですね!雪風のモンスターが優勝した!」
「皆、ピクシーとかハムとか「モンスター」って言う感じのモンスターだったのに、雪風がアルデバランを持ってくるとは思わなかったわ…。磯風もイヴ引っ張ってきたけれど」
「皆、雪風があのモンスターを出した瞬間、「あっ」って顔になってましたね。…あれ?もしかして雪風とんでもないルール違反を?」
「ううん。してない。あの時も聞いたけど、雪風は知らなかったんでしょ?」
「はい、なんとなくこれだなーっていうのを選んだら出てくれました!」
「それでアルデバランを持ってくるあたり、やっぱり雪風は幸運なのねぇ。出てくるモンスターと選んできたCDに雪風の深い闇を感じるけど」
「幸運の女神のキスを感じちゃいました!」
「まあ、あの大会以降ね、私と初風と磯風と秋雲の中でMF熱が高まってきてね。ちょくちょく大会やろうって話になっているのよ」
「そう言えば、初風がやってました。ストレス値がどうだ…とか小声で言っててちょっと怖かったです」
「よっぽど雪風に一回戦負けしたのが悔しかったのね。モンスターの差もあるんだけれど、って言ったけどね」
「うぅ…。初風に謝ってきた方が」
「やめときなさい。多分火に油を注ぐだけよ」
「そうですか…。ところで初風が言ってましたけど、ストレス値ってなんですか?」
「簡単にいえば疲労度と一緒かなぁ。高ければ高いほどモンスターの寿命が減っていくわ。かといって少なすぎてもいけないのよね。ないに越したことはないんだけど」
「どうやって管理するんですか?」
「あげるのはトレーニングしたり、修行に出したり、あと叱ったりすると上がっていくわ。下げるのは大会出たり、休養させてあげたり。後は冬美草ってアイテムを使うと下っていくわね」
「そうなんですか!陽炎お姉さんは博識ですね!」
「MFやってる人にとっては常識だけどね」
「そうなんですか…」
「それをやらないと最後の方の大会まで行くの大変だしね。Bあたりで寿命がくる」
「出れる大会ってフリーじゃないんですか?ランクがあるんですか?」
「EからSまでの6段階。Eから始まってD、C、B、A、Sかな。ランクを上げるためには公式戦を制覇しないとけないの。Sは四大大会か二陸間しかないけど」
「なるほど。その、Sまで行って四大大会って奴と二大陸間って奴を制覇するとどうなるんですか?」
「ゲームクリアになるわね。EDがまた感動的でね。今まで育ててきたモンスターの戦績とかが流れるのよ」
「初めからですか?」
「初めから。そういやこんな子育てたな、みたいな記録がね」
「ポケモンの殿堂入りみたいな感じですね!」
「あー、確かに近いもの、はあるかも。でも、確か殿堂入りって手持ちだけじゃなかったっけ?」
「あ、そういえばそうでした」
「その辺はハードの差なんだろうねぇ。…あれ?雪風ってポケモンはやるんだ?」
「時津風と一緒にやってます!厳選?っていうのも雪風に任せておいてください!」
「厳選もするんだ…。ちょっと意外」
「そうですか?」
「雪風ならそういうの気にしなくても、勝手にいい性能の集まって来そうなんだけど」
「…雪風のイメージってそんなに幸運ですか?」
「そうね。陽炎型に限らず、艦娘の中で一番運いいイメージあるわ。もちろん、雪風の努力もあるんだろうけれど」
「そうですね。奇跡のほとんどは日々の訓練のおかげです!」
「そうね、訓練は大事よね」
「そうです!」
「…うん、大事なことを忘れてたわ。ありがとう雪風」
「?」
「幸運はつかむものじゃなくて作るものだって言う事よね」
「??雪風には何が分かったかが分かりませんが、お姉さんがなんだかわかってくれて雪風は嬉しいです!」
「で、ああそうだ。雪風、雪風の名前借りていい?」
「?どうぞ?」
「ありがとう。モンスターの名前悩んでたのよね」
「わぁ…雪風がモンスターに?」
「そうそう、モンスターの名前に。あんまりスパルタにしないからさー」
「スパルタにするとどうなるんですか?」
「さっきも出たストレス値が高くなるのよ。後、家出しやすくなる」
「家出するんですか?!」
「そうそう、家出するのよ。家出すると怪我しやすくなるし、育てたのが全部パーになっちゃうしね」
「…それはその…、どこかの潜水艦さんたちみたいな」
「ああ、オリョールいってそのまま「休養するでち!」って行った潜水艦さんたちがいたね。近い近い」
「うぅ…皆に心配かけるし、あんまりやってほしくないです」
「そうね。ゴーヤさん達に涙目でいってあげるといいわ」
「今度やってみようと思います!」
「(すこしは司令もゴーヤさん達を休ませてあげればいいのにね。)まあ、聞いてくれそうなのイムヤさんとしおいさんぐらいだろうけど」
「イクさんとかも、聞いてくれると思います!」
「問題ははっちゃんさんとゴーヤさんだよねえ…。ゆーさんもきっとそっち側だろうしなあ」
「ゆーさん、ゴーヤさんにぴったりくっついてますもんね」
「ごーやさんも嫌がってるように見えて全然離そうとしないしね」
「なんだかんだいって、潜水艦の皆さんは仲いいよね」
「そうですね!」
「まあ、仲悪いよりは全然いいし、いいんだけどね」
「そうですね!…所で雪風って名前の付くモンスターはなんですか?」
「ハム」
「雪風はハムスターじゃないです!」
「でも可愛いよ?」
「うぅー。可愛いモンスターですけど、雪風はハムスターじゃないです。艦娘です」
「うんうん。私の可愛い妹よね♪さて、そろそろご飯食べにいこ。おなかすいちゃったわ」
「…はい!雪風のおなかもすいてきました!ご飯大好きです!」
「そうね、私もご飯大好き」
「陽炎お姉さんは何が好きですか?」
「そうねぇ…やっぱカレーかしら…」
バタンッ