転生者多スギィ!   作:ヘイ!ゼエン!

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書いてて思ったけどこの回は読む価値が無い気がします。
前回よりネタの鮮度がさがったので期待しないでください。


2話

体を起こしカーテンを開くとちょうど太陽が昇り始めていた。時間は5時ちょうどになる、清々しい朝だ。

 

外を見てみると誰かがジャージを着て走っていた。こんな朝から走り込みとは精が出ているな。よし朝の食堂まで時間はあるし、俺も軽く走ろうか。

 

 

 

 

ここ、IS学園は海に囲まれる島であり全てが学園の領地だ。ちなみに寮の後ろは森になっていて抜けると海が見える草原があった。

 

もちろん俺が見つけた訳ではなく、走り込みのついでに担任を追いかけていたからだ。こんなけもの道を通って絶景を見つけるだなんて普通の人間が出来るわけないだろ。

 

「ほう、それは私が普通でないといいたいのかエイム」

 

怒り混じりの声が俺を威迫してくるが知らない振りで通すしかない。さて、そろそろ帰ろうと踵を返すと肩を掴まれた。

 

「まあ、待て。せっかくここまで来たんだ。特別補習をしてやろう……特に礼儀のな」

 

グッバイ、ブレックファースト。

ハロー、サポメンタリー。

 

 

 

 

朝食の時間は全て補習という名の地獄のような筋トレをさせられた。飯を食うどころか体を動かすのすら辛い。なんとか教室には辿り着いたがこんな状態で授業など受けられる筈がなく、午前中は全て寝て叩き起こされるの繰り返しだった。

 

ようやく昼食になり、食堂へ駆け込む。一番乗りを果たし、大量の昼飯を腹に掻っ込む。朝飯が入っていなかった分沢山食べ、栄養を体に回す。

それと今の俺を見た女子が

 

「いっぱい食べるね〜私のおかずもあげるよ」

「私のもあげるよ」

 

と、どんどんおかずを寄付してくれた。なんて優しいのだろう。神はいなくても天使はいたようだ。

 

 

 

 

さて午後の授業だが腹一杯のままでは集中して授業も受けることは出来ないので寝ることにした。当然叩き起されては、また寝るの繰り返しだった。

 

そうしているうちにもう放課後となった。相変わらずやることもないので昨日と同じくぶらつくことにした。

 

昨日は運動部を見たので、今日は文化部を見てみることにしよう。

昨日のポスターを見た時に大体の場所が掲示されていたので、記憶を頼りに校舎を歩く。

そういえばあの生徒会長は何処まで本気だったんだろうか。もし本気で俺を生徒会に誘っているならそれもありかもしれないな。

 

「あれ〜レーミン?どうしてここにいるの?」

 

振り返ると同じクラスの布仏が立っていた。特にここにいる理由はなく、部活見学をしようとしていたところだった事を伝える。

 

「へぇ〜レーミンも部活に興味あるんだね〜。私も裁縫部に入ってるんだよ〜」

 

裁縫部、そういうのもあるのか。ところでレーミンとは俺の事をいっているのだろうか。まるでフィンランドの楽しそうな一家の名前みたいだ。

そういえば、布仏は生徒会を知っているのだろうか。なかなかに奇抜な髪をしていたので話題にはなるだろう。

 

「それなら任せてよ〜。これでも私は会員なんだよ〜」

 

それは意外だ。おっとりしている子が生徒会なんて真面目なところにいるなんて。

どうせいつかは見ることになるのだし、先に生徒会に行ってみてもいいだろう。

 

布仏に案内を頼み、生徒会に向かう。校舎の一番端にあり意識しなければ何処にあるかわからないような部屋だった。

 

ノックをして部屋に入ったものの、部屋に誰も存在せずプリントが乱雑に散らばっているだけだった。

布仏は申し訳なさそうに謝っていたが別に布仏のせいではないし、むしろ俺が頼んだのだから俺の方が悪いくらいだ。

布仏は俺の謙虚さを笑っていた。そんなに面白いものなのだろうか?

 

 

 

 

俺の名前はエミヤ シロウ。所謂転生者であり、特典として能力をもらったりしていたんだが……今はそんなことはどうでもいい!

 

目の前にいるアイツ!のほほんさんといちゃいちゃしているアイツは何なのだ!大体原作でものほほんさんとは仲良くなるきっかけなんて無いはずなのにアイツは一体何をしたというのだ!

このままでは俺ののほほんさんが取られてしまうではないか!ぐぬぬ…何か手はないか。

…はっ!そうだ!

 

のほほんさんがアイツに期待している

→俺がアイツに勝負を仕掛ける

→のほほんさんの目の前でアイツをボコボコにする

→アイツの弱さをわかったのほほんさんがアイツを切り捨てる!

→のほほんさん「強い!素敵!抱いて!」

→俺氏「完 全 勝 利」

 

完璧な作戦だ。ふっふっふっ…見ていろよ、この俺の実力をなぁ!

 

 

 

 

生徒会長はいないみたいだし、まだ来ていないみたいだから布仏と世間話をしていた。よくかんちゃんという女子の話をしていたのだが、何故かいきなり知らない男子から声をかけられた。

 

「おまえ!名前はなんだ!」

 

自分の名前とクラスを言うとそれに乗じて布仏も自己紹介してた。こっそり目の前にいる男子は誰かと聞いてみるが布仏も知らないようだ。

 

「俺は3組のエミヤ シロウだ!レーン、俺はおまえに決闘を申し込むぞ!」

 

随分と唐突な申し込みだな。あいにくと俺は生徒会長を待っているので今は無理だと言っておく。

 

「ほう、逃げるのか?まぁ俺が強すぎるし仕方の無いことだがな」

 

別の日なら構わないと言うべきだったようだ。そもそも決闘する理由もなければ、決闘を申し込まれるようなことをした覚えもない。という訳でエミヤと決闘をする気がない。

 

「なっ、ふざけているのか!」

 

別に巫山戯ている訳ではないし、理由もなく決闘をする方がおかしいだろう。中世の騎士ではあるまいし。

エミヤは何が何でも決闘をしたいようだが俺はどっちでもいいので布仏に決めてもらうことにした。

 

「私〜?そうだな〜レーミンの強さが知りたいしやってほしいかな〜」

 

どうやら期待されているようだ。期待に応えるためにも決闘に挑むことにしよう。

 

「ぐぬぬ、のほほんさんに期待されているとは。…ふん!今週の土曜日だ、その日にアリーナで貴様のISを沈めてやる!」

 

前半の方が小声で聞こえなかったが、後半部分がしっかり聞こえたので問題ないだろう。そういえば午後からか午前からなのかを聞き忘れてしまった。聴き直そうとすると既にエミヤは去ってしまったようだ。

まぁアリーナでずっと待っていればいいだろう。

 

「ほうほう、これはいい事を耳にしたなぁ…」

 

 

 

 

それから一時間くらいして生徒会長が会計の人に引き摺られてやってきた。後から聞いたがメガネをかけた会計の人が布仏の姉らしい。生徒会の中で仕事がもっとも多い人物だそうだ。

 

「あれ?エイム君がどうしてここにいるの?」

 

せっかくだし見学してみようと思って布仏と一緒に来たのだ。しかし生徒会長が来ないので布仏と暇を潰していたのだ。

 

「あらそうだったのね。それで生徒会に入る気になったのかしら?」

 

布仏もいるのだし入ってみてもいいだろう。どうせ暇なのだからこういった活動も悪くない。

 

「じゃあ早速私の代わりに書類を…」

「会長〜??」

「…というのは冗談で。君には書記を担当してもらおうかな。やり方はうつほちゃんから聞いてね」

「はぁ…全く会長は。えっとレーン・エイム君よね。私は布仏 虚、そこにいる本音の姉で生徒会の会計を担当しているわ」

 

一応名乗り返しておく。そういえば布仏は何の担当をしているのだろうか。

 

「私は書記担当だよ〜」

「……一応言うけど本音にやらせると仕事が増えるから私がやっているのよ」

「そうなんだよね〜」

 

確かに布仏は書記なんて真面目な仕事を出来るとは思えない。なら思ったのだが副会長は誰なのだろうか。生徒会長や会計、書記がいるが副会長だけがいないというのは不自然だろう。

 

「…すいませんがそれは話せません。こちらにも事情があるのです」

 

布仏先輩が言いづらそうに答える。どうやら聞いてはいけなかったようだ。

 

「別にいいんじゃないかな。今は男でISに乗る人が多いんだし」

「しかし、会長!」

「ね、レーン君。お姉さんとの約束が守れるなら教えてあげるよ」

 

何故男性パイロットが増えたことが関係するのだろう。もしかしたら副会長は男なのか?

気にはなるが布仏先輩の顔があまりいい顔をしていないので聞くのを辞めることにした。

 

「……ふ〜ん、そっかぁ。じゃあ仕方ないね」

「すいません、これは極秘情報なもので」

 

自分の興味本意で他人が嫌な思いをするのは嫌だし、布仏先輩に申し訳ないと思う。

 

とりあえず話を戻し、布仏先輩から書記の仕事内容を聞いてみる。まずやることは基本的に会議の際に配布用のプリント作成や発言のメモを取ること。それ以外の活動は基本的に無く、特別な場合は連絡をするということだ。一応、連絡用にスマホを取り出し連絡先を教えもらった。

今日からの仕事はなく月の終わりに定例会議があるので忘れないようにと釘を刺された。

 

生徒会の活動も終わり、時間はちょうど6時半を回っていてお腹も減ってきた。

わざわざついてきてもらったお礼に布仏には夕食を奢ることにした。「デザートがいっぱい食べちゃうからね〜」と言われたので食べすぎると太るぞ、と注意したら落ち込んでいた。

 

女心とは難しいものだな。

 

 

 

 

夕食を終えて、部屋に戻るとシャワーを浴びた後なのか、全裸の眼帯の女の子がいた。正確にはバスタオルが巻いてあるのだが。

早く服を着ないと風邪を引くぞと言っておいた。

 

眼帯の女の子は見た目は可愛いくても心は男なのだから興奮などしない。事情を知っているし、何年も一緒にいるのだから家族も同然で妹の裸を見るようなものだ。

 

らっきーすけべなどではない、だから俺のことを蹴り飛ばすのはやめろキンケドゥ。

 

 

 

 

朝起きてトレーニングをして、朝食を取って授業を受ける。昼飯を食べてから午後の授業を受けて、放課後は適当にぶらつく。

次の日もほとんど同じように過ごし、金曜日が終わり、土曜日が来る。

 

今日は予定していたエミヤとの決闘だ。しかし午前とも午後とも聞いていなかったので早めに部屋を出て支度をしておく。

 

本格的なISの戦闘は久しぶりだ。ニュースになってから手続きで忙しく金髪君と試合をしたのが三ヶ月近く前になる。感覚を忘れないようにイメージトレーニングをしていたがそれでも完全とは言い難い。

 

しかし、ここまで来たらどうしようもない。男は意地だ、無理でもやるしかない。

 

とりあえずアリーナに着いたが、朝から人がごった返しになっている。2年生の人達がISの練習をしているみたいだった。

近くに布仏先輩がいたのでいつまでやっているのかと聞いてみたが

 

「午前中はずっと2年生が使っているわ。午後からは…えっと、誰かが確保してたみたいだけど誰かはわからないわ」

 

と教えてくれた。おそらくエミヤが用意してくれたのだろう。しかししまったな、これでは手持ち無沙汰になってしまった。

 

仕方ないしISの調整でもしておくか。確か整備室は隣にあったので向かうことにした。

 

 

 

 

辿りついてみると、2人ほど既にいるようだ。

片方は水色の髪をした女子で生徒会長かと思ったが髪型も髪飾りも違うので別人だろう。もう片方の男子は見たことない奴だったがどうせ転生者だろう。

水色の髪の女の子はISを整備しているようだが、横から必死に男が話しかけている。

まるで鬱陶しいナンパにからまれているような構図だ。

助けるというわけではないが、声を掛けてみる。

 

「は?誰だよお前」

「…隣なら空いてるし、好きにすればいい」

 

顔をみたが少し生徒会長に似ていた。姉妹だろうか。とりあえず男を無視して隣のコンソールを起動させて、俺のISに接続する。

 

「無視してんじゃねぇよ」

 

いきなり肩を掴まれた。エミヤもそうだったが肩を掴むのは転生者特有の挨拶なのか?

とりあえず振りほどき、相手の顔を見てみる。

 

「お前さ、俺が何してると思ってるの?」

 

ナンパじゃないのか?

 

「違えよ!俺はな、簪ちゃんの手伝いをしてるんだよ。だからお前みたいな転生者が邪魔をするんじゃねえよ!」

 

水色の髪の女の子(簪ちゃん)から見えないように俺の腹を殴りつける。ノーガードだったせいで腹の中身を少し吐き戻してしまう。

 

「ちっ、きったねぇな!」

 

俺を殴り付けた奴は急いで何処かに立ち去っていったようだ。

殴り返してやろうと思ったがまだ立ち上がることが出来ずにいた。

 

「大丈夫!?」

 

心配になった簪がこっちにやってきた。汚いから近寄らないほうがいいといって突き放す。

少ししてから体調が戻ったので、立ち上がって近くの掃除用具を使って自分の出した物を拭き取る。

 

「…あの、ありがとう」

 

助けた訳ではなのだが、結果的にそうなってしまっただけで別に正義の味方では無いのでお礼はいいと言った。

 

「…受け取って」

 

スポーツドリンクを渡された。どうやら簪なりのお礼なのだろう。口の中が苦しかったので有り難く頂いた。

 

全く、今度会ったらアイツは殴り返してやる。

 

 

 

 

ちっ、せっかく誰も手を出して無いうちに簪ちゃんを俺の物にしようと思ってたのに…誰だよアイツは。

 

俺のハーレムの邪魔をしやがって。まぁ、いいさゲロ吐いたような情けない男なんかを簪ちゃんが好きになるわけがないしな。

 

「ふ〜ん、君かな?私の大事な妹に手を出した上にうちの書記を殴ったのは?」

 

あれ?何で楯無がここにいるんだ?原作じゃこんな場面無いはずなのに。

まぁどうでもいいや、結局は俺のハーレムに加わるんだから先に攻略しても……

 

「跪きなさい」

「ガハッ…何しやがる!いきなり蹴りやがって」

 

この野郎、俺の特典さえありゃこんな奴の心なんか…

 

「黙りなさい」

「グハァッ」

 

こ、この野郎……覚えて…やが…れ…

 

 

 

 

あの後、俺はISの調整をしていた。と云っても本格的なものではなく異常がないかを確認する程度だった。特に問題はなかったので思ったよりも早く済んでしまった。

 

仕方ないし、少し早いが食堂で昼飯を取ろうと思ったら簪から

 

「…さっきのお礼。おごらせて」

と言われた。

別にそこまでしなくていいのだが、断ろうと思ったが簪もなかなか譲らない。

俺は諦めて奢られることにした。

 

その日の昼飯はいつもより少ない物にした。

「この前より少ないね」と言われたが、あの時は朝飯を食べてなかっただけで別に簪に気を使っているわけじゃないと返した。

 

その後少しゆっくりしていると金髪君から声をかけられた。

どうして女子といるのかと尋ねられたので簪が事情を説明してくれた。かなり話を盛っているが俺がただ殴られただけなんだがな。

 

金髪君は頭を抱えて悩んでいた。

 

「もう少し気を配れ。お前は昔から不用心すぎる」

 

と言われたが、俺が不用心なんじゃなくていきなり殴って来た向こうが悪いのだ。

 

「不良に何か言ってもお前が殴られないわけじゃない。自分の身は自分で守れるくらいにはなれ」

 

と正論を言われてしまった。返す言葉がなくて詰まっていると簪が代わりに反論しはじめた。

 

「…この人は私を助けてくれた。だから悪く言わないで」

「別に悪く言う気は無い。ただ忠告しておいただけだ」

 

金髪君は昔からこうだ。口は悪いがちゃんと心配した上でこう言っているのだ。だから金髪君なりの優しさなのだろう。

それを簪に伝えると

 

「…ツンデレ?」

「違う!断じて違う!!」

「…やっぱりそうなんだ」

「違うと言っているだろうが!」

 

珍しく金髪君が慌てている姿が見られたので面白かった。そういえば金髪君は午後の予定あるのだろうか。もし無いなら俺の試合を見に来ないかと誘った。

 

「…さっき俺が何を言ったか覚えているか?」

 

無用心すぎるって話だろ。これもエミヤがいきなり言ってきただけで、俺は何もしてないんだよ。

 

「はぁ、お前という奴は。…次から無闇にISでの戦闘に参加するな。下手をしたら死ぬぞ」

「やっぱりツンデレなの?」

「違うと言ったぞ!!」

 

簪と金髪君は大分仲良くなったみたいだ。良かった良かった。

 

 

 

 

予定の時間になったのでアリーナに向かっていた。ついてみるとかなりの人が観客席にいる。一体何があったと探ってみるとポスターに大きく

[男性パイロット同士の対決!]

と大きく載っており、さらにその近くで食券をかけて賭け事をしているようだ。

どうやら知らぬ間に大事になっていたみたいだ。

 

「ふん!どうやら逃げずに来たようだな」

 

いつの間にかエミヤも来ていて、ISスーツを着て準備を終わらせていた。

俺も速く準備をしなければな。

更衣室に入り自分のISスーツを取り出し着替える。俺のISスーツは普通のとはかなり違い、宇宙服をスリムにさせたような形をしている。本来なら被ることのないヘルメットまであり、何故かこれをつけないとISに乗れないのだ。

わざわざこんな物をつけないといけないのだから大変だ。

 

ISスーツを着込み、更衣室を出るとエミヤが待ち構えていた。

どうにもルールを説明するために待っていたそうだ。

ルールは基本的な試合と同じでシールドエネルギーが無くなる、もしくは降参したほうが負け。

制限時間はないが、無理に逃げ回るような真似をするなと言ってきた。俺のISは逃げられるような性能をしていないんだよなぁ。

 

「これから2分後ジャストに試合を始める。さっさとISを起動させるんだな」

 

と言って反対側の出発口に向かった。

さて、俺もISを起動することにしよう。

 

オデュッセウスを身に纏い、その上からペーネロぺーユニットが接続する。機体がかなり大きいせいでアリーナへの入口がギリギリ通れるかどうかだった。

なんとか上手いこと体を捻り通ることができたが二度としたくはない。

 

アリーナには既にエミヤがいたようだ。エミヤのISは金髪君と同じようにほとんどの装甲が存在せず、赤いコートを着ているだけに見える。

つまりそれはほとんどの武装が量子化されている状態なのだから、何が来てもおかしくないということだ。

まずは、様子見からだ。

 

[ビィィィィ]

 

試合の始めを告げるアラームが鳴り響く。

まずは横手に周り、エミヤの動きを見る。

すると奴はその場で何かを喋り始めた。

 

『 体は剣で出来ている(I am the bone of my sword.) 

血潮は鉄で心は硝子 (Steel is my body,and fire is my blood. )

幾たびの戦場を越えて不敗 --(I have created over a thousand blades. )

 

何を言っているかよくわからない。しかし、嫌な予感がする。得体のしれない何かが感じ取れる。

 

--ただ一度の敗走もなく、  (Unaware of loss. )

ただ一度の勝利もなし  (Nor aware of gain. )

 担い手はここに独り  (Withstood pain to create weapon) 

 

作戦は変更だ。エミヤには何もさせない。メガ粒子砲で一撃で落とす。

動きを止めて砲塔を構え、目標を定める。

 

剣の丘で鉄を鍛つ  ( waiting for one's arrival. )

ならば我が生涯に意味は不要ず  ( I have no regrets.This is the only path. )

この体は、( My whole life was )

 

これ以上喋らせるつもりはない。メガ粒子砲をエミヤに向けて放ち、直撃コースに入っていた。

 

 

無限の剣で出来ていた ( "unlimited blade works" )

 

ドガァアアアアン

 

俺の放ったメガ粒子砲は完全にエミヤを捉え、打ち抜いた。

しかしエミヤは盾を構え、そこに立っていた。

 

 

 

 

ハハハ、馬鹿なやつめ!わざわざ俺に詠唱の時間を与えるとはな。

アイツの攻撃もこの熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)なら防ぐことが出来る。

勝った!奴に勝ち目はもうない!

 

「やったぞ!これで俺の---

 

そう確信した瞬間、俺の体がいきなり爆発した。シールドが発動し身を守るが、シールドエネルギーが削られる。

 

「…な、何で急に」

 

いつの間にかアイツのISがこっちに急接近してきて、このままではぶつかる。

 

投影開始(トレース・オン)!是、射殺す---」

 

武器を投影する間もなく、巨体に弾き飛ばされる。そのまま後ろの壁に叩きつけられた。

 

「こ、この野郎が…」

 

もう1度武器を投影しようと試みるが、そんな隙を許してくれず、もう1度巨体が体当たりをかましてくる。壁と巨体の間に挟まれエミヤ自身にも圧力がかかってくる。

シールドエネルギーはもう残り僅かなところをペーネロぺーは無慈悲にもライフルで打ち抜き、シールドが発生したためエミヤのISのシールドエネルギーは無くなった。

 

[ビィィィィ]

 

今度は終わりを告げるアラームが鳴る。

結果はレーン・エイムの圧勝で終わった。

 

 

 

 

やはりと予感は当たっていた。

メガ粒子砲すら防ぐ盾があるということは予想していなかったが、同時に打ち出したミサイルが盾を避けて横からエミヤに直撃してくれた。お陰で隙が生まれ間髪を容れずに体当たりを食らわせられた。もし特典を発揮されていたら勝ち目はなかっただろう。

 

金髪君にも1度やったことはあるが、攻撃に手を回しすぎると必ず隙をつかれてしまう。

きっと2度目は成功しないだろうが、その2度目もないだろう。

 

ゆっくりとピットに戻り、自分のISを脱ぐことにした。せっかく勝ったのだし、金髪君には飲み物を奢って貰おうか。

 

ふぅ、今日は疲れたなぁ。

 

 

 

「なぁ、アイツのこと誰か知ってるか?」

「あのデブいISに乗ってた奴だろ?確か1組にいた気がするが」

「エミヤを倒すとか結構やるYO!アンリミテッドの詠唱が完成したからノーチャンだと思ったわ」

「アイツって特典はなんだ?」

「何も使ってなかったゾ」

「あのISその物が特典じゃないのか?」

「じゃあ大したことないな」

「おっ、そうだな」

 

エミヤを特典を使わずに勝利したという事実は転生者の間で評価されていた。完全な実力だけでエミヤを倒せる、パイロットとして優れた能力を持っていると認識されていった。

 

 

 

 

エミヤとの決闘が終わり、俺についての噂が少しずつが流れ始めた。

エミヤに圧勝した男と言われることもあれば、偶然勝っただけとも言われる。

 

俺はエミヤとの戦いは布仏から期待されたから戦っただけで特に思うことは無い。強いていうなら布仏が奢ってくれたスイーツが美味しかったことだ。勝ったから食べる事ができたと考えると勝利の味がした気がする。

 

エミヤについてだが転生者の中でも強い部類だったはずが俺に負けたことで評価が転落したそうだ。たった1回の勝負で強い弱いを簡単に決めていいものだろうか?

 

ともかくエミヤとの戦いは終わったが来週の日曜にはクラス代表決定戦があるのだ。改めて気を引き締めなくてはならない。

特に俺のISは他の人にバレているのだから不利になる。俺も他の人のISを探ってみるか。

 

 

 

 

情報を探るといったものの簡単にはいってない。金髪君に頼んでオルコットについての状態はわかったが他の2人についてはほとんど分かってない。

織斑は専用機を与えられると聞いたが、その専用機が届くのがちょうど日曜日。つまり誰にも情報がわからないということだ。

 

もう一人の方、転生者である刹那・F・セイエイについては全く手がかりが掴めなかった。金髪君は特典を貰っている可能性があるから気を付けろと言っていた。

エミヤの時には特典を使わせる前に倒したが、特典を発動されたら俺の方が圧倒的に不利になる。

やはりこちらから攻めて特典を封じて倒すしかないだろう。

 

そんなことを授業中に考えていたら担任に叩かれてしまった。そういえば最近まともに授業を受けた覚えがなかった。

 

 




《解説》

エミヤ シロウ
転生者でありのほほん派閥。見た目は衛宮士郎だが精神は一般人なので普通に弱い。

専用IS アンリミテッドブレイドワークス
第三世代型だが特典を使うためだけのISで飛行能力がない。見た目はエミヤ(アーチャー)が着ていた赤いコート。

特典 アンリミテッドブレイドワークス
詠唱が完了することで武器の投影が可能になる。
本来応用が効く特典のはずがISを着用し、あの詠唱を唱えなければ出来ないので不便極まりない。

《後書き》
戦闘回をやっててさっさと日常編を書きたいと思いました…
コメントで結構ホモが集まってて草生えるにゃ( •́ฅ•̀ )
ハーメルン民はホモ、はっきりわかんだね


(2016/05/16 戦闘シーンを修正しました。

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