秋の日のヴィオロンの...もう一つの物語 作:メトロポリスパパ
そして、意外な人物からの電話が・・・。
聖グロリアーナ女学院学園艦
ダージリンとオレンジペコはアフタヌーンティーをしていた。
リンリンリン♩リンリンリン♩
電話のベルが鳴り、オレンジペコが受話器を取り対応していた。
「はい、お待ちください。ダージリン様、アッサム様からお電話です」
オレンジペコがダージリンの居るテーブルに電話機を持って来て、受話器をダージリンに丁寧に差し出した。
ダージリンは受話器を受け取り話し出す。
「ダージリンよ」
「ティータイムに申し訳ありません、アッサムです」
「構いませんのよ。それで、何かお分かりになりましたの?」
「はい、やはり角谷生徒会長は動いておられます。午前中に文科省を訪れた後、蝶野亜美様と合流し戦車道連盟へ移動、その後、連盟を出まして蝶野様と別れ、ホテルにチェックイン致しました。恐らく今後も何かしらの行動をとると思われます」
「分かりました、引き続きお願いしますわね」
「分かりました」
ダージリンは両手で丁寧に受話器を電話機に置いて、目を瞑り、何かを考えている。
「ダージリン様・・・」
オレンジペコは話しの内容が気になる様子である。
ダージリンはそれに気付く。
「あら、ごめんなさい。会長さんは文科省と戦車道連盟を訪れたそうよ。今後も何かしら行動をとると思われますわ」
「そう・・・ですか」
オレンジペコは心配で落ち着かない様子である。
ダージリンは言う。
「ペコ、落ち着きなさい、私達は傍観者。今はただ、見守るのみ」
「はい・・・角谷様が動いておられるのなら、なんとかしてしまうかもしれませんね」
オレンジペコは心配ながらも笑顔を見せる。
「そうですわね、フフ・・・あら?お茶が冷めてしまいましたわ。ペコ、新しいのを頂けるかしら」
「はい」
翌々日 熊本県 西住邸
西住まほは、妹のみほをⅡ号戦車で駅まで送り届けた後、自宅に戻ると
自衛隊のヘリがアイドリング状態で庭に駐機されているのが見えた。
自宅の廊下を歩いていると、前から母の西住しほと連盟強化委員の蝶野亜美が連れ立ってこちらに歩いてきた。
まほは、すれ違い様に一礼する。
しほは立ち止まり、まほに向かって言う。
「まほ、お友達を送ってきたの?」
「はい」
「そう、私は今から蝶野と共に文科省に行ってきます、戻るのは明日の夕方になると思うから、後の事はよろしくお願いしますね」
「はい、お母さま」
しほはそう言うと、つかつかと歩いて行った。
蝶野もまほに一礼し、しほに付いて行った。
「一体何が・・・」
まほは、只ならぬ何かを感じていた。
翌日 聖グロリアーナ学園艦
ダージリンへアッサムからの報告が入る。
「昨晩、西住流家元と蝶野様は角谷様の宿泊されているホテルで合流され、一泊された後、本日、戦車道連盟理事長と連れ立ち4名で文科省へ行かれました。その後4名は文科省より出て来られ解散しました。」
ダージリンは、しばし考え言う。
「西住流家元を後ろ盾にしての、抗議・・・かしら?」
アッサムも困ったように答える。
「申し訳ありません、内容までは掴む事ができません」
「いえ、こればかりは仕方ありませんわ。しかし、何か進展は有ったのではないかしら」
「はい、角谷様は待機場所に戻られている所と情報が来ていますので、やはり何かの進展は有った物かと・・・」
「分かりましたわ、ありがとうアッサム」
「いえ。失礼いたしました」
チン♪
多分何かあった・・・。
いえ・・・確実に何かが進展した・・・。
考え込むダージリンに、心配そうに見守るオレンジペコ。
リンリンリン♪リンリンリン♪
電話が鳴り、オレンジペコが対応する。
「は、はい・・・少々、お待ち下さい」
オレンジペコの様子を見て、ダージリンがペコを見る。
ペコは受話器をダージリンに丁寧に差し出す。
「西住・・・まほ様からです」
このタイミングでこの電話・・・ダージリンの顔つきが変わる。
ダージリンが受話器を受け取る。
「ダージリンよ・・・」
「・・・西住・・・まほだ・・・」
次回
【good informant acts with the best of intentions】
よろしくお願いいたします。