小さな泊地と提督の物語   作:村上浩助

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トオイミライ

………

 

横須賀軍港……そこにある横須賀鎮守府司令部。

一人の少女が、タクシーから降りて大きな門を見上げた。

 

彼女の真っ白な軍服には、()()の階級章が付けられており、

()()()()()()()()だとわかるだろう。

「高梨候補生ですね?お待ちしていました」

そう出迎えたのは、吹雪改二。()()()横須賀鎮守府総秘書艦であった。

 

「ありがとうございます」

丁寧に礼をした彼女………

 

 

十数年前。この国には、とんでもない戦乱が巻き起こっていた。

俗に言う、()()()()()と呼ばれたその戦乱は、多くの悲しみを巻き起こしていた。

 

 

その戦乱により、横須賀・呉鎮守府双方で、大量の轟沈者を出した。

()()()軍令を無視し、()()()()()()等と出撃した、草加拓哉大将は不名誉除隊(懲戒免職)、総秘書艦である吹雪は、()()()()()()となっていた。

その後二人は結婚し、市井の一市民となり、暮らすこととなった。

 

そして、第13泊地を制圧した、独立連合艦隊も無傷(ただ)では済まなかった。

戦艦三笠や、片桐等深海棲艦との交戦は、尋常なものではなかった。

半数以上が未帰還、殆ど()()の状態となり、

残った《かが》が、三笠に引導を渡すこととなる……三笠と()()()という形で。

その後、生き残った()()は改二となり、横須賀鎮守府に転属となった。

 

 

ミッドウェーでは、もっと苛烈だった。

帰還したのが戦艦金剛だけ、という最悪の結果となった。

しかも、その金剛も、帰還後再起不能となって、()()()は愛する上官のもとに逝き、

未だ、軍病院にて眠り続けている。いずれは、生命維持も止められるだろう……

 

その中で、大垣守はガタガタになった大本営ーー幕僚監部ーーの立て直しに奔走した。

現在は軍服を脱ぎ、防衛大臣として、大本営のトップに立っている……

―――未だ戦争は続いている。

 

 

 

「お母様はお元気ですか?」

不意に、高梨候補生が吹雪改二に問うた。

「はい。先日、第13泊地より連絡がありました。司令官の電大将のお話では、容態は安定、お粥をお召し上がりになれるようになったそうです」

……彼女の母は高梨湊。……と言うには、少し語弊があった。

湊も、激烈な第13泊地奪還戦に参加、一時は心肺停止で、仮死状態になるほどだったが、必死の治療により持ち直した。

その時に、出産は無理だろう、との医師の診断を受け、()()()に名乗り出たのがいなづまだった……守との間に子をもうけ、

その後、()()()()()として、養子に引き取ったのだった……

彼女は、そのことも知っている……

「電母さんも、お元気そうですね?」

高梨候補生は、穏やかな笑顔で海を眺めた……

湊は、()()()()()()()()()()という名目で、そこに作られた療養所で、治療を続けている。

彼女は、予備役ながら軍に残っていた……第13泊地から、本土まで移すことはできたが、()()()それを拒んだ。

艦娘に纏わる()()()()を、二人で守って行くつもりなのだ。()()()()()……

 

その後、この少女()()()()(ミライ)が、この長きに渡った戦乱を終結させるキーパーソンとなるが、遠い未来の話……

 

 




色々あって、打ち切り漫画みたいなオチですみません

一つは風呂敷広げすぎたのと、
もう一つはシリアス過ぎて続けるのが辛くなったので

本当に申し訳ない。

次作はもうちょっと気の抜けた話を書きたいと思う所存。

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