Q.バカはあっち、テストはこっち。では、召喚獣はどっち?   作:黒猫ノ月

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どうもです。

お待たせして申し訳ありませんでした!
清涼祭開始!

では、投稿です。


第21話

『あー、アー。マイクテス、マイクパス……』

 

『パス?』

 

『…………マイクパス!!』(ガッシャーンッ!

 

……ズコーーーッ!(全校一同

 

『本当にパスすんな!』

 

『……んんっ! ではこれより、清涼祭を開催いたします! 徹夜明けの人もそうでない人も、今からが本番です。青春の1ページを思い切り楽しみましょう!』

 

「「「「「おおー!」」」」」

 

色々あった準備期間も終わり、とうとう清涼祭が始まった。

 

僕はこれから召喚大会の第1回戦に雄二と出場するんだけど、その前に雄二と一緒にクレープ屋『つつみん』に向かっている。僕達の中華喫茶は始まりからそこそこのお客さんが来てたから、伊御達はどうなのかなってことで様子を見に行くことにしたんだ。

 

『つつみん』に向かう前に、僕達が召喚大会に出場することを知った美波と姫路さんに優勝商品で誰と行くのかと問い詰められた場面もあったんだけど、雄二のフォローによって難を逃れた。…………僕のホモ疑惑を犠牲にして。

 

仕方のないことだとわかってるけど、どうしてくれるんだ!? このままじゃ同性愛の似合う生徒ランキングがまた上がってしまうじゃないか! ……いつか雄二とは決着をつけねばなるまい。

 

そして半ば逃げるようにFクラスを出て現在、僕達はクレープ屋『つつみん』が見えるとこまで差し掛かっていた。

 

「いらっしゃいませー☆」

 

「美味しいクレープは如何ですかぁ?」

 

すると、少し遠くから聞き覚えのある声が聞こえて来た。

 

「あれは真宵さんと春野さんの声だね」

 

「ああ」

 

僕と雄二はその声が聞こえる方へ足を運ぶ。そこには……開始1時間も経ってないにも関わらず、クレープ屋『つつみん』へと繋がる行列が出来ていた。

 

「わあっ。もう行列ができてるね!」

 

「確かに予想以上の集客率だ。まあ、伊御のクレープとそれを販売する店員の容姿を考えれば納得だがな」

 

「まあね」

 

「お客様ー! ここが最後尾じゃよ〜ってあれ? 明久さんと雄二さんじゃにゃい?」

 

「お二人とも、どうしたんですかぁ?」

 

僕達が行列を眺めてると、呼び込みをしていた真宵さんと春野さんが僕達に気付いて声をかけてきた。……うん。

 

「ビューティフォー……」

 

「いやんいやんっ。照れるんじゃよ〜♪」

 

「は、はうぅ〜。恥ずかしいですぅ/////」(てれりこ

 

僕の言葉に各々頬に手を当てながら悶えてる。……悶え方一つ見ても可愛さに差が出るよね。

 

そんな2人が今着ているのは矢絣模様が刺繍された袴で、所謂明治時代の女学生服ってやつだ。榊が自分達が書制服なら、女子はこれだろうと何処からか調達してきたんだ。大正ロマンに偽りなし!

 

「中々に盛況のようだな」

 

「ういうい! 元々、『ハチポチ』で宣伝はしてたんじゃよ。そのおかげもあるねん」

 

「はひぃ。そうですね」

 

「僕は2人の容姿も理由だと思うけどね」

 

「うぅ〜。あ、明久さん、そ、そのくらいにぃ〜/////」(てれてれ

 

「ははっ」

 

「容姿でいうならぁ〜……つみきさんも忘れちゃダメなんじゃよっ!」(バンッ!

 

「…………」(むっす〜っ

 

真宵さんの腕で示した先には、仏頂面をした大きな猫さんの姿がっ!

 

「……や、やっぱりとっても愛らしいね! 可愛いよ御庭さん!」

 

「……ぷい」(ぷいっ

 

僕の言葉にも顔色一つ変えず、不機嫌さを前面に出す御庭さん。まあ、そうだよね。真宵さんと春野さんが矢絣の袴っていうハイカラさんなのに対して、御庭さんは猫の着ぐるみフードだからなー。よく着たと思うよ。

 

それは今日の朝のこと。

 

………………

…………

……

 

「着ないっ」(ぷいっ

 

「「えーーっ!!」」

 

「……似合うと、思ったんだけどな」(しゅん

 

「……っ」(びくんっ

 

「せっかく伊御さんがつみきさんのために縫い上げたのに……」

 

「……っっ」(びくんっびくんっ

 

「夜なべまでしてたよな……」

 

「……っっっ」(びくんっびくんっびくんっ

 

「してないけど……」

 

「……〜〜っ! き、着ればいいんでちょっ!」(やけ

 

「「計画通り」」(キュピーン☆

 

「おー」

 

「……み、御庭さんっ」(感動と懺悔に打ち震える僕

 

……

…………

………………

 

ということがありました。まる。

 

「んもー。なんだかんだ言って、伊御さんに可愛いって言われて満更でもなかったく・せ・にっ」(つんつん

 

「……♯」(めきょっ

 

「べへいっ!?」(めり込む裏拳

 

「はひぃ!?」

 

「……片瀬は学ぶということをしないのか」

 

「……だね」

 

「2人に言われるのは不本意じゃよ!?」

 

速攻で復活した真宵さんが何か言ってるけど、よくわからないなぁ? 僕は常に学んで生きているさっ!

 

「おーいお前ら、何遊んで……ってなんだ明久達か」

 

「榊、調子どう?」

 

「見たまんまだ。大盛況だぜ!」

 

書制服を着た榊がニヒッと笑みを浮かべて答える。その姿も様になっていてなんかムカつく。だから軽く腹パンしといてやった。

 

僕らは4人と別れ、クレープを焼いている伊御のところに向かう。呼び込みの邪魔をいつまでもするのもダメだしね。

 

屋台まで行くと、伊御は女の子達にクレープを渡した後、一緒に写真を撮ってるようだった。伊御と並んでいる女の子達の笑顔が眩しい。くっ! モテる友人を持つと辛いねっ! 主に僕の男としての敗北感が!

 

「ん? 明久と雄二か。どうしたんだ?」

 

「召喚大会の前に様子を見にな」

 

「そっか。……それで、なんで明久は歯を食いしばって泣いてるんだ?」

 

「お前が女子にモテてるから悔しいんだろ」

 

「あれは書制服が珍しいだけだと思うけど……」

 

伊御は少し困ったようにそう言うけど、そんなわけないじゃないか! 伊御はいい加減自分がどれほど出来た人間か自覚したほうがいいよ! いつか後ろから刺されちゃうんだからね! ……誰からとは言わないけどさ。

 

「音無さーん!」

 

「来ちゃいましたっ♪」

 

「やあ、いらっしゃい」

 

僕らが話していると、次のお客さんである女の子達から伊御が声をかけられた。……もう、もうツッコまないぞ! ツッコむもんか!

 

「伊御、知り合いか?」

 

「ああ。近所の子達だよ。それじゃ、好きなのを選んでいいよ。奢りだ」

 

「ほんとっすか! やったー!」

 

「それじゃ私はチョコバナナ生クリームで」

 

「ウチはマロンカスタードっす! それと……」

 

「「スマイルくださいっ」」(きゃぴっ♪

 

「あははっ。伊御、どうするの?」

 

「ふむ……」

 

女の子達が何処かのファーストフード店のようなことを注文した。さて、この注文に対する伊御の回答は……。

 

「お持ち帰りですか、お客様?」(キラン☆

 

「「はうぅっ/////!?」(ズッキュンッ!

 

「伊御をテイクアウト、だと!?」

 

伊御の答えに女の子達もタジタジだ! 流石伊御! ハートが撃ち抜かれた音が聞こえてきたよ!

 

それから少し慌てながら「「こ、この場でっ/////」」と返した2人。伊御はクレープを渡す際にスマイルを渡して女の子達を帰らした。……慣れてるなぁ、伊御。

 

そんなイベントもあったが、僕と雄二はここも大丈夫だろうと安心して召喚大会へ向かった。……よし、やるぞー!

 

 

 

□召喚大会へ向かう最中□

 

「「ぷしゅ〜……/////」」

 

「……あれ!? つみきさんも姫っちもどうしたんじゃよっ!?」

 

「この症状は……伊御か!」

 

「どうやらここまで口撃が届いていたようだな」

 

「無差別口撃ってやつだね……」

 

 

 

●○●○●○●○●○

 

 

 

「はい、チョコバナナアイスです」

 

「わぁー! ありがとうございます。……あの、写真いいですか?」

 

「はい。他のお客様もいらっしゃるので、1枚だけでよければ……」

 

「は、はい! お願いします!」

 

清涼祭が始まってから、俺達は大忙しだった。『ハチポチ』での宣伝が功を成したのか、はたまたつみき達の容姿に惹かれたのか、短いながらも行列が出来るほどお客様がクレープ屋『つつみん』に来てくれた。

 

来てくれたお客様は俺が着ている書制服が珍しいのか、度々写真を一緒に撮って欲しいと言ってくるので、1枚だけでいいならと一緒に撮っている。まあ、これもサービスかな?

 

クレープを作りながら周りを見渡すと、榊と姫がクレープを買ってくれたお客様と写真を撮ってるところが見えた。どうやら、クレープを買ってくれたら写真を撮ってもいいですよって呼び込みをしてるみたいだ。ちゃっかりしてるね。

 

「おい、注文いいか?」

 

「あ、はい。いらっしゃいませ、何にしますか?」

 

次のお客様は珍しく男の二人組だった。制服からうちの男子生徒だとわかる。1人は坊主頭で、もう1人はソフトモヒカンの髪型をしている。……多分三年生じゃないかな?

 

(おい、本当にやるのか常村?)

 

(今更何ビビってんだ夏川。向こうが失敗したんだからやるしかねぇだろ)

 

(……わあったよ)

 

俺がクレープを作ってる間に、目の前のお客様が小声で何かを話していた。……もしかして、気付かないうちにお客様の気に触ることをしたのかもしれない。

 

「あの、お客様?」

 

「っ!? な、なんだ!?」

 

「いえ……。顔をしかめていらしたので、自分が何かしてしまったのではないかと思いまして……」

 

「あ、あーいや。……んんっ! そ、そうだ! お前なんだこの「お客様ー! 少し失礼しますにゃーっ!」ぼへいっ!?」

 

「えっ」

 

「常村っ!? て、てめぇ! なにしやが「ささっ! どうぞこちらへーっ!」どほうっ!?」

 

「…………」

 

やはり俺が何かしたらしく、話を聞こうとしたんだけど……。そんな矢先に、真宵と榊がそれぞれ常村さんと夏川さんに一撃を決めた後、2人をどこかへと連れ去っていった。……えーっと。

 

「あ、あのー?」

 

「……はっ。す、すみません。注文をどうぞ」

 

何が何だか分からないが、今はとりあえず並んでるお客様を優先しよう。

 

 

 

「お客さ〜ん。言いがかりのクレームはいけないにゃあ?」(バチバチッ!

 

「どうやらFクラスでは妨害に失敗したようで?」(バチバチッ!

 

「ど、どうしてそれをっ!?」

 

「馬鹿野郎! ち、違うんだ! 俺達は別にクレームなんてっ!?」

 

「チッチッチ。証拠は揃ってるんじゃよ」(バチバチッ!

 

「注意するようにと写メも届いてるしなぁ?」(バチバチッ!

 

「「ちょ! まっ!」」

 

「「問答無用!!」」(バチバチバチーッ!!

 

「「アバババババババッッ!!?」」

 

 

 

●○●○●○●○●○

 

 

 

「営業妨害してる人がいる?」

 

「ああ。さっきムッツリーニから写メ付きでメールが来てな。写メに写ってるやつらがFクラスで営業妨害してて、雄二が追っ払ったみたいだぜ」

 

「んでんで、その犯人が次はこっちにくるかもって警戒してたら案の定ってわけじゃよ。ほら、これが例の写メじゃよ」

 

お客様も落ち着いて一息ついた頃、榊と真宵にさっきのは何だと聞いたところ、そんな答えが返って来た。真宵の写メを見ると、雄二にバックドロップを決められてる夏川さんとそれを怯えた目で見る常村さんが写っていた。……雄二。

 

「クレーマーに対処するためにバックドロップって……」

 

「過剰防衛ね」

 

「雄二らしいよな」

 

「ぼ、暴力はダメですよぉ〜」

 

「「何を今更」」

 

「あうぅ〜」

 

……それにしても営業妨害か。多分、学園長の秘め事に巻き込まれたかな? だって、たかだか学園祭の出し物に営業妨害なんて普通はするはずがない。

 

相手の狙いは何だ? 営業妨害ってことは、Fクラスの教室の改修を阻止するというのがあげられるけど、それこそ相手にとって関係はない。ってことは……。

 

「……召喚大会の優勝商品、か」(ボソッ

 

学園長の秘め事に関係するってことは、やっぱりそれが狙いだろう。おそらく、営業妨害をすることで、召喚大会に集中できなくさせて明久達を負けさせることが相手の狙いだ。……さて、誰の差し金なんだろう?

 

「……伊御?」(くいくい

 

「……ん? どうしたんだい、つみき」(ぽふっ

 

「……えっと」(もじもじ

 

「?」(なでこなでこ

 

「……あまり、抱え込まないで……ね?」(ぴこ?

 

「! ……うん。心配してくれてありがとう、つみき」(なでりなでり

 

「べ、別に心配にゃんかしてにゃいわっ」(ぴこぴこ

 

俺は感謝を込めて優しくつみきの頭を撫でてあげる。……俺はいつもつみきやみんなに心配をかけてばかりだな。

 

「「「ニヨニヨ」」」

 

「!? ……フッカーーーッ!!」

 

「「「キャーッ」」」

 

「ふふっ」

 

いつものようにつみきに威嚇されて楽しげなみんなを見て、俺はふと笑みがこぼれた。……せっかくの清涼祭なんだから、くだらない陰謀で台無しにならないようにしないとな。後で明久達と話し合おう。

 

心配事はあるけれど、今はクレープ屋に集中しよう。俺はこの場をみんなに任せて、足りなくなった材料を取りに校舎へと向かった。

 

 

 

●○●○●○●○●○

 

 

 

「はぁ……。ホント最悪」

 

私は1人、人気のない校舎の中を歩く。私が今いるここは一般客の立入禁止区域で、物置として指定されている場所だ。時たま人が通るが、奥に進むにつれてそんな人もいなくなっていく。

 

そんなここは、今は誰とも会いたくない私にとって都合のいい場所だった。

 

さっきまで出場していた召喚大会で、“元”カレである根本君と別れてきた。だってあんなもの見せられたら誰だって別れるわよ。

 

それは先の召喚大会でのこと。対戦相手であったFクラスのバカコンビが持っていたアルバム。そこには様々な衣装でポーズを決める根本君の姿があった……女装で。しかも後半になるにつれて、満更でもなさそうにしてるものだから目も当てられない。

 

私達の棄権を条件に譲ってもらったけど、譲ってもらってホントに良かったわ。このまま知らなければ、私は女装趣味の男と付き合う女って思われるところだったんだから。

 

「……はぁ。根本君は“そこそこ”の人だったんだけど、ね」

 

彼は狡賢く、狡猾で、見た目も悪くなかった。成績も本当ならばBクラス代表にはなれないまでも、Bクラスに入れるほどには良かった。それに思ったより気もきいてたし。たまに抜けてるところも可愛げがあって、悪くないかなって思ってたんだけど。

 

文字通り、100年の恋も冷めるってやつよね。まあ、100年も付き合うつもりなんてさらさらなかったけど。

 

「それに、あのバカコンビに遅れをとってる時点で幻滅よ」

 

私は周りに誰もいないことをいいことに、胸に溜まった鬱憤を晴らすように1人言葉を発する。

 

「はあ〜あ! ホンッットに最悪!」

 

2年に進学してからいいことがまるでない。新年度早々、変な策略に巻き込まれて、挙句罵倒されるし。試召戦争ではAクラスに負けて設備が落ちるし。その策略がFクラスからの策略で!

 

……私もFクラスなんて馬鹿の集まりに遅れをとって!!

 

「あぁーっ! もうっ!!」

 

私は行き場の無くしたこの気持ち悪い感情を晴らしたい一心で適当なものに当たろうとした時、小さな声が聞こえた。

 

……みゃ〜

 

「……?」

 

一瞬、私の気のせいかと思い無視しようとしたけど、時々聞こえてくる声に気のせいではないと辺りを見回す。そして、その弱々しい声がなんであるかに耳を傾けた。

 

「み〜……」

 

「……猫?」

 

その鳴き声は猫のようだった。それに気付くと、何故か私のさっきまでのイライラがゆっくりと収まっていき、モヤモヤは残るがある程度頭も冷えてきた。

 

「……はぁ、なんでこんなところに猫がいるのよ」

 

ここは校舎の中だ。普通なら猫なんて入ってこない場所のはずだけど、清涼祭の食べ物の匂いにでもつられて入ってきてしまったのかしら?

 

「…………はぁ」

 

私はここにきて何度目かのため息を吐いて、周囲を見渡す。人というのは一度気になったものは気になって仕方がなくなる生き物で、せっかくだから気分転換も兼ねて猫を探そうと思ったのよ。

 

それからしばらくして……。

 

「……あ、見つけた」

 

それは木材と木材の小さな隙間に隠れるように蹲っていた。首輪がないので野良猫のようだけど、白い毛並みは綺麗で、だからよりそれは目立った。

 

「……もしかして、怪我をしてるの?」

 

その白猫の後ろ足が朱に染まってるのが見えた。多分この場所に紛れ込んだ際に木材のささくれにでも引っ掛けてしまったんだと思う。それに思い当たると、白猫は足を庇うようにして蹲ってるようにも見えた。

 

「どうしよう。ここには治療するものなんてないし……」

 

私はまた辺りを見渡すけど、やっぱり都合よく救急箱なんて置いてる事なんてないわけで。

 

「みゃ〜……」

 

「ああんもうっ。そんなに鳴かないで。……こうなったら連れて行くしかないかしら?」

 

白猫の絞り出すような鳴き声に心が揺さぶられ、私まで胸が苦しくなってしまう。私は少し焦りながらも、白猫をここから連れ出して保健室に連れて行くことにした。それはいいんだけど……。

 

「ほ、ほら。こっちにおいで?」

 

「……ふーっ」

 

「だ、大丈夫。こ、怖くない。怖くないよ〜」

 

「…………っ」

 

「……ダメね。警戒されちゃってる」

 

先ほどの私の怒ってるところでも見たのか、または私自身が気に入らないのか。猫は近づこうとする私に威嚇し、隙間の奥へ奥へと引っ込んでしまう。その時に血が溢れてしまい、私の焦燥がこみ上げる。

 

「あっ。ダメ! 近付かないから、大人しくしてて!」

 

私の声が届いたわけじゃないと思うけど、白猫は動くのをやめて私をジッと見つめた。……まだ警戒してるみたいね。

 

「こうなったら仕方ない、か。……ねえ、救急箱を持ってるからから、そこでじっとしてるのよ? いい?」

 

「…………」

 

私は白猫に言い聞かせるようにそう言って、脅かさないようにゆっくりと立ち上がって踵を返す。そして……

 

 

 

「……ん? えーっと、Cクラスの小山さん、だよね? どうしたんだい? 慌てているようだけど……」

 

「……音無、君?」

 

 

 

その日。

 

私は。

 

多分。

 

初めて。

 

 

 

……恋をしました。




如何でしたか?

まさかの争奪戦に彼女が参戦か!?

では!
感想やご意見、評価を心よりお待ちしております。
これからも応援よろしくお願いします!!

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