職業上、追うことにも、追われることにも慣れている。非常事態での
だからこそ、今は『逃げ』の一手しかない。
ヒエンが戦闘機じゃないというのも、その理由の一つだ。
万が一に備えてヒエンは万全の状態のままアルディアに戻りたかったが、そんなことを言っている場合じゃない。ミサイルでも撃たれてしまったら最悪、
そうなるよりも前に、全速力でこの
「
そう
だが、まだ『勢い』は弱く、どうにか理性で
船体が
しかし、
だが、相手の電探は間違いなくこっちよりも良いものを積んでるはずだ。
このまま反応が消えても、完全に
そうして陸地を見付けたら
完全に『銀の船』は頭から
黒服連中に対してこっちが圧倒的に数で
……リーザを乗せているせいか、やけに
エンジンの調子は……、問題ない。
「エルク、危ない!」
「!?」
なんとか
だが――――、
んなバカな。あれだけ距離を取ったんだぞ?
何とか
後方、リーザの立っていた
彼女の警告で
目の
――――、どういうことだ?これも魔法の一種なのか?何でもアリかよ!
その
俺の腕を
「エルク……」
壁にしがみ付いているリーザは意識を失いかけていた。
酸素ボンベを投げ渡すが、
減速し、船体をより安定したことを確認する。
パンディットにボンベのチューブを
「
もともと、そんなに高く飛んではいなかったことが
空気が、やや落ち着いた状況になったことを知らせる。
一体どんな訓練をしたらこんな奴が育つってんだ。本職の俺が返って足手まといになっている感さえある。
「……畜生。」
いいや、そんなことよりも今はリーザだ。
こうなったら
だが、計器の
加えて、リーザが
オカシナことに、こちらが半分近く速度を落としたというのに、電探から連中の反応が無くなっている。
どんな作戦なのかは分からないが、こっちが対応に追われている間にまた距離をとったらしい。
それでもまだ、十分な距離があるとは言い切れない。なんせ、さっきも
リーザが倒れてしまった今、これ以上の加速はできない。
加えて、ここ数時間の急激な環境の変化と
今なら、電探に反応がない状態でも30分あれば十分過ぎるくらいに再接近できる。そして今度こそ、
……
自信はないし、気休めにしかならないけど、海面ギリギリを飛ぶしかないな。
それが今とれるギリギリの
ざっとヒエンの被害状況を確認してみる。
しかし、それ以外の状況は思った以上に良くない。
さっきの一撃はおそらく
このまま飛び続ければ最悪、1時間も持たないかもしれない。単純に
次に奴らが近付いてきたなら、
本当に、「なんとか飛んでいる」という状況だった。
そうなると、行けども、行けども果てしなく広がる青い
「……エルク。」
いつの間にかコンテナに
「おい、まだ危ねえんだ。そこでイイから大人しく座ってろ。あと、ボンベは外すなよ。まだ何があるか分かんねえからな。」
彼女は力なく俺に
「高く、飛んで……。」
「バカ言うなよ!この状態で頭上げたら
「大丈夫。後ろの飛行機はいなくなったわ。」
「何だって?」
一瞬、リーザが何を言っているのか分からなかった。
今なら
……だが、
それに、リーザの『感覚』は電探よりも
俺は既に何度となくその『力』がどんなものか経験してきている。
信用は、できる。
「いやいや、そんなこと言ってるんじゃねえよ。今、自分の体がどういう状態か分かってんのか?」
ついさっきまで気絶していたような病人の強がり程、信用のないものはない。
だけど――――、
「私は、大丈夫だから。」
……強がりなんかじゃない。飛行場で黒服に撃たれた時と同じだ。
これもまた、彼女の『力』の一つに違いない。グッタリと寄り掛かっていた彼女はもう、シッカリと自分の足で立てる程に
それでも急激な気圧の変化は、本人に
「……で、どうすんだ?」
回復の
……聞いてみたくなった。
「さっきの、銀の船が、いるわ。」
「……何言ってるんだ。電探にはそんな反応出てないぜ?」
だが、式典広場に
あれはそういう船なんだ。「
だから、いくら長年付き合ってきた機械が首を横に振っていようと、リーザが「いる」と言うのならやはり、そこに「いる」可能性は高いのだ。
追跡者たちが引き返したのも、もしかしたら『
「……それで、奴らに近付いて今さら何をしろってんだ?まさか、
リーザなら
「……話して、みて。」
「意味が分かんねえよ。奴らと何を話せってんだ。」
「多分、エルクの思ってる人たちとは、違う、から。」
「……。」
リーザに疑いを抱く理由は
――――
――――それでも、リーザが言うのなら。
「少しでもヤバいと思ったら全速力で逃げるからな。」
どうして押し切られたのか分からない。
また、彼女の『力』が俺にも
彼女の『言葉』には、俺の『炎』とは違う強制力があった。
それこそ、
――――船内を見渡し、「ビビガがこの
※機関銃の飛距離
1~2㎞らしいです。ちなみに、狙撃銃(ライフル)で2~3㎞、対空機関砲で13㎞というものもありましたが、20㎞はさすがにないみたいです。
※高山病と減圧症
急な気圧の低下で起きるこれらの病気には、
体内の液体が気化することで関節痛や骨の
体内の液体が必要以上に内臓や細胞等に染み出ることで圧迫、機能不全を引き起こして死に至るものもあるそうです。
後遺症が残ることも多く、そうなると完全な治療は難しいそうです。
ちなみに、減圧症は主に
※幽鬼(ゆうき)=霊魂、亡霊、妖怪のことです。
※雷神(トール)=北欧神話に登場する神様の名前ですが、エルクたちの世界にそのまま反映させるつもりはありません。
ただ
それにしても、アークの世界では精霊や勇者は普通に登場しているのに神様は出てこないんですよね。(フォーレスのギーア信仰を除いて)
※ヒエンの構造ですが、ゲームの画像で見た
一般的に「飛行船」と言われて思い浮かべる布状のガス袋を使用したもの(これにも軟式、半硬式、硬式飛行船の3パターンあるそうです。)ではなく、ガス袋の骨格も外皮も金属で作られた飛行船のことです。
軟式のものよりも空気抵抗に対しての船体の変形に強く、速度を追求することもできるそうです。
また、公式に
ですが、また公式データの『出力』の項目を見ると『馬力』でなく『石力』とあるので、そもそも技術関係が全く違うようです。だもんで、下手にいじらず、そのまま『時速㎞』換算したいと思います。
その辺で多少、違和感があるかもしれませんが、流してもらえると助かります。
特に今回、ヒエンと他の航空機との比較があり、「どうして飛行船が飛行機よりも速いのか?」などと思われるかもしれませんが……、ファンタジーは
だって、そういう公式設定があるんだもん(T-T)
ちなみに、私たちの世界での旅客機は約時速200㎞で離陸し始め、約時速800㎞で飛行します。飛行船は時速130㎞出れば十分に速いようです。
ってか、今回の投稿、解説と設定の文がメチャメチャ長い(笑)ウンチクみたいになってスミマセン。
色々と間違いがあるかもしれませんが……、流して下さい!!人( ̄ω ̄;)