――――ロマリア国、荒廃した町、ロマリアの壁付近
たとえ公害で汚染された町でも、朝焼けは一日の境界線から少し底冷えのする、少し新鮮な空気を運んでくる。
そんな朝焼けの彼方から、遠雷のような爆音が響いてきた。
「おじいさん、今のは……、」
声を掛けられた老夫は、祭りの始まりを告げる音に耳を澄ませ、実に楽しげに笑った。
「トッシュめ、相も変わらず豪気な奴じゃて。」
「じゃあ、やっぱり……、」
「ワシらも
老夫が促すと、少女はそのバターブロンドの長髪からひょっこり顔を出す小人の一人に合図を出した。
老夫と少女から数棟離れた建物の屋上で、『声』を受け取った片割れが
すると、抑えていた
「うわぁ、化け物だ!!」
何処からともなく現れた一匹の狼が、壁を守る検問所を急襲した。
「“
「なんだ!?急に地面がせり上がって――――!?」
訓練された兵士たちを翻弄する凶暴な狼。前触れもなく起きる天変地異。
検問所は騒然となり、壁の近くをうろつくジジイと小娘に気を配るほどの余裕などなくしてしまっていた。
「……」
やせ細ったジジイは壁に触れて何事かを調べている。金髪の少女はそれを黙って見守っていた。
「まったく、小賢しい術を使いおって。」
「それでも、おじいさんの『
「ホッホッホッ。
意味も理由もなく吐く老夫のウソに、少女は小さな溜め息を漏らした。
「ホレホレ。そんな所で
老夫が干からびた手を差し伸べ、少女がそれに重ねると、二人の姿は忽然として消え失せた。
遠巻きに見守っていた数人の野次馬たちは顔を見合わせた。
そして、虐げられてきた者たちの直感が、何かが起ころうとしているのだと気付かせ、逃げる準備をするために知人たちの下へと駆け出した。
――――ロマリア国際空港、ホーム
人は身に付けるもので見え方も大きく変化する。
見るからに剣闘士崩れの浅黒い大男の隣に立つと、彼女はまるでSPを連れた政界の大物。もしくはマフィアの幹部のような手に負えない威厳をまとった人物に見えた。
大男の容姿もそうだが、彼女の美貌が、業を背負った美しさがそうさせた。
しかし―――、
「お空の上には白いお花畑がいっぱいなの〜!」
そこに元気一杯の幼女が加わると、全ての印象が崩れた。
「国際的な家庭」にしては三人が三人とも人種が違っている。
撮影のために海外からやって来た「俳優」にしては演技ができるような空気感がまるでない。
人々を笑顔にしようという「大道芸人」…、ではないだろう。
いずれにせよ、「訳あり」だということだけが誰の目にも明らかだった。
そんな、観光目的でない彼女たちが違和感なく立ち振る舞える場を、サービスの行き届いた空港のアナウンスが親切に告げてくれた。
『ただ今、5番ゲート、ロマリアトンネル付近でテロリストの暴動が発生しました。よって、一般人の市内への入場は制限されます。また、付近の憲兵による取り調べには協力して頂くよう願います。繰り返し警告します――――、』
「…シャンテ、このテロリストというのは君の仲間か?」
新調したスーツに身を包む大男が居並ぶ青髪の美女に尋ねた。
それを美女は「皮肉」と捉え、鼻で笑い、応えた
「ハッ、アタシみたいな厄介者に”仲間”なんて上等なものがいると思ってるのかい?」
「敵の敵は味方ともいうからな。不思議はないさ。」
「ちょこ、ソフトクリーム食べた〜い♪」
『……』
赤毛の女の子だけが別世界の人のように二人の大事な話を妨げた。
三人は女の子の指した売店で軽食を買い、二人は話の続きに戻った。
「もしアイツらだったとしても、アタシが足並み揃える理由はないけどね。」
「……」
ここに至るまでの道中、大男は彼女の気難しさをある程度、理解していた。
口にしていること全てが本心でないことも。
「ならば先を越されないようにしないとな。」
「…わかってるさ。」
彼女の促し方も。
しかし、行動に移すよりも早く、二人の目に常連の姿が映った。
「…おい、」
「わかってるよ。」
十数人の黒服が、一般客の狼狽え開ける道を真っ直ぐに進み、彼女たちの前で立ち止まった。
「貴方がグルガ様でしょうか?」
「…だったらどうする。」
大男の力をもってすればこの程度の人数はあしらえるかもしれない。しかし、ここは空港。どう立ち回ろうと後々彼らにとって良くない結果をもたらすことは必至。
彼は慎重に構えた。ところが――――、
「こちらへ。」
黒服たちは彼の臨戦態勢を小馬鹿にするように三人を丁重にもてなしたのだった。
――――ロマリア国付近上空
「オい、小僧ドモ、もウすぐ
「もう、そんなに経ったのか。」
ブリキの人形が操縦する小さな飛行船に、少年二人が乗っていた。
「
少年たちは戦場に立てば一騎当千の戦士になる。
しかしそこを離れれば、半日も夢中で楽器を練習する
「文句言うなよ。俺たちは人間で、英気を養うことも戦うためには大切なことなんだぜ?」
赤いバンダナをした少年はブリキの人形を
これまで気苦労をかけさせられたことを考えれば、この位じゃ足りないと思う程に。
「…もシもワシが大統領ニナッたラ、ロボットへの過重労働ヲ厳しく取リ締まってヤる。」
「そうだな、そんなオツムがお前にあれば文句はねえよな。」
「エルク、言い過ぎだよ!ゴメンね、ヂーク。君にばっかりキツイ仕事押し付けちゃって…。」
「…オ前は特別に無罪にシてヤロう。」
「あ、ありがとう…。」
人権のないブリキの人形は童顔の楽士に、この世に残された数少ないオアシスを感じていた。
辺りは木々が鬱蒼としていて船を下ろせそうな場所はない。
だからといって、ロマリア空港から接岸許可が下りる訳もない。
「まタ、ワシ、独リボっチか?」
「しょうがねえだろ?帰りの足だって確保しておかなきゃなんねぇんだからよ。」
二人はロマリア国の防衛ラインギリギリでパラシュート降下し、船を安全な場所まで後退させるのが無難だと、幼い賞金稼ぎは考えた。
ところが――――、
「待って、あそこ、煙が上がってるよ!」
「どっかの誰かさんに先を越されちまったみたいだな。」
「きっと、トッシュだよ!僕たち、トッシュの合図で一気に攻めるって作戦だったから。」
「…俺も練習に夢中になってたのは悪かったけどよ、普通、そういうことは先に言っておくもんだぜ?」
「ご、ごめん…。」
そこに味方がいるんなら合流しない手はねぇ。だけど、このまま森からトボトボ足で向かってたら完全に乗り遅れちまう。
……仕方ねぇ。
「ヂーク、お前、対空砲の射線を逸らせることってできるか?」
パレンシアタワーでスメリア兵に追い回された時、ヂークが銃弾の軌道を変えて回避していたことを思い出した。
思い付きで言ってみると、このクソポンコツは例のごとく自信満々に返してきた。
「ハ?誰ニ向かって言ッとルンだ?ワシは最強だゾ?」
…不安だが、腹の括り時かもしれねぇな。
「よし、じゃあこのまま突っ込め。あの壁さえ越えればいい。最悪、船を捨てて飛び降りることになるから覚悟しておけよ。」
留守番を回避した人形は喜び、乱暴な手段を宣言された楽士は顔に手を当て、青褪めた。
――――ロマリア市内、キメラ研究所本部、実験体保管所
急に、重罪人を見張る彼らの前を同僚たちが足早に右往左往し始めた。
「なんだ、非常事態か?」
同僚の一人を引き止めると、彼は苛立たしげに答えた。
「レジスタンスに、アーク一味にゲバージが破壊されたんだ!」
「ゲバージが!?」
「クルスト中佐からの非常呼集だ。久々の非番だってのにこれだ!どうしてくれるんだよ!?」
引き止めた罰だと言わんばかりに見張りの二人を怒鳴りつけると、彼は尻に火を点けられた猪のように慌ただしく去っていった。
「…どうする、俺たちも行くか?」
「は?何を言ってるんだ。俺たちはイーガを見張ってるんだぞ?お前の言いたいことは分かるが、ここを離れて奴に逃げられでもしてみろ。それこそ軍法会議ものだぞ?」
「…そうだな、すまん。」
彼らには少なからずアーク一味への恨みがあった。
ガルアーノ将軍の命令がなければ
「
…しかし、彼らこそ後悔することになる。
どういう意味をもってガルアーノが彼らを「そこ」に配置したのか。
「……そろそろか。」
皇帝の御前で
全治半年以上の無数の傷を負っているにも拘らず、彼はそれらに対してまるで無関心を決め込み、平然と立ち上がった。
しかし、
「クッ…、」
賞金稼ぎ「ノーア」に斬られた肩を押さえ、僅かに膝を折った。
…やはりアークの腕は上がっているようだ。
消耗していたとはいえ、急所を外した一撃ですらこうも「
…いや、私がまだまだ未熟というだけのことか。
……
僧兵は表の喧騒に合わせ、腕を拘束する鉄の枷をベニヤ板を割るがごとく軽々と真っ二つにすると扉へと目を向けた。
…二人。…どちらも人間のようだ。
彼もまた、大事な人をガルアーノらに奪われていた。
闘い方を教わり、「生」の意味を説き続けてきたその男を彼は心から敬愛していた。
その男の言うことであれば一見、「悪事」のように思えることも巡り巡って「善行」になるのだと錯覚してしまう程に厚く師事していた。
ところが、その男はいつの間にか「悪魔」に喰われ、入れ代わっていた。
そこに「善行」など微塵もなかった。俗悪に
恩師の死に気付かず、あまつさえ良いように操られていた自分の未熟さを憎んだ。
悪魔に喰われた師の無念で絶望した。
そして、未熟さに付けこみ、神聖な寺を穢した悪魔たちを心の底から呪った。
深い憎しみから…いいや、弟弟子を護る責任感から、彼の扱う『
彼の
だが、たとえ人間であろうと、かの「悪魔」たちに加担する者を見逃すことはできん。
…悪く思うな。
ズンッ!
「…なっ!?どうやって―――!?」
「非常事た―――!?」
僧兵は鋼鉄の扉を――重傷の身であるにも拘らず――渾身の体当たりでもって破壊すると、瞬く間に見張りの兵士を
「……」
無防備に横たわる兵士を見下ろし、僧兵は苦悶した。
どんなに小さな力であろうと、これらはいつかどこかで人に憎しみを植え付ける悪魔の駒になる。
目を覚ませば私の脱走を警鐘し、私の隠密を剥ぐ。…それが敗北への道にならないとも限らないではないか。
……生かしておく意味は、ない。
「……」
しかし彼は止めを刺さすことができなかった。
「…いずれ、必ずや……、」
彼は、『悪夢』がもたらした『心眼』でもって仲間の残した
―――キメラ研究所本部、南エリア
彼らはレンズの向こう側から感じる厭らしい視線を感じていた。それが僅かでも彼らの歩調に影響していることも。
「ったく、こう、楽にあのクソ野郎を引き摺りだす方法はないもんかね。」
「本陣に乗り込んでいるにも拘わらずこれだけスムーズに進ませてくれる敵将も珍しい。それだけでも感謝すべきだな。」
シュウとトッシュは研究所に乗り込んでから、数えるほどの襲撃しか受けなかった。そのどれもが敵の本領とは思えない雑兵。
二人が物量で押し潰せないクセモノであるとはいえ、「明らかな意図」の下に敷かれたレールとしか思えなかった。
それが黒装束の用心深さをより際立たせ、ヤマアラシをより苛立たせた。
一つひとつ監視カメラを潰していく利点は大きくない。
研究所の図面は頭に入ってはいるが、破壊するべきものまでは把握できていない。
だからこそカメラを無視し敢えて敵に姿を晒すことで、敵の来る方向、密度で
そう思った矢先、いかにもなものが目に留まった。
「…トッシュ、アークは俺たちよりも先に研究所に潜入していたのか?」
「あ?いいや、どうだかな。打ち合わせでは俺が合図を送るまでは市内の何処かにいるって話だったぜ?それがどうかしたか?」
シュウは答えず「いかにもなもの」を指差した。
研究所らしくごった返す数々の機器。その隙間に、それらに決して馴染むことのない不自然な文字が書き記されていた。
「“
「…ここはそういう研究所だということだろう。」
「…!?俺たちの?」
どういう状況なのか分からない。誰が書き残したのかも定かではない。だがこれは、十中八九、
「なんとか仲間と連絡は取れないのか?」
「おいおい、そんなもんあったらとっくに使ってるだろうがよ。」
…一応、聞いてみただけだ。
信じ難い話だが、彼らは何の通信手段もないまま連携を取ろうとしていた。
トッシュいわく、とある試練を乗り越えた彼らは何となく「気持ち」が通じ合っているらしい。
…ただの妄言なのか。それともそういう効果のある『魔法』なのか。本人もよく分かっていない。
だが、その真偽はすぐに示された。
「シュウ!」
先の扉から俺の姿を見つけたらしいバターブロンドの、よく見知った少女が俺の名前を口にし、駆け寄ってきた。
「…リーザ、どうしてここにいる。」
「それは…、」
彼女はあの神殿でエルクの看病をしているはずだった。
たとえ何かの事情であの子の傍を離れたとしても何者かの手引きがない限り、一人で乗り込む勇気のあるような娘じゃない。
「これこれ、出会い頭に幼気な娘を問い詰めるもんじゃないぞ。」
「キサマ…、」
彼女が連れ立っていた…、いいや、
「猿も元気そうでなによりじゃ。」
「……」
老魔導師ゴーゲン、コイツの飄々とした口調にはもはや悪意しか感じられない。
「いつから俺たちを監視していた。」
だからこそ、聞かずにはいられなかった。
「いつから、というと?」
「惚けるな。女神像の式典からか?白い家にアークが現れた時、キサマも一緒にいたのか?それとも、神殿にいた仲間が俺たちの情報を流したのか?」
その名を口にしながらも、どうしてだか、かの青年はこの「悪意」には関与していないように思えた。
「シュウ……、」
「何が言いたいんじゃ。」
この短期間に、この老魔導師はエルクを除く俺たち全員に接触してきた。そして、俺たち全員を自分の勢力に引き入れている。
明らかに「品定め」を踏まえた行動だ。
…そして、俺たちは単なる「協力者」じゃない。
「俺たちは、第二の
「シュウ、違うわ!ゴーゲンさんは――、」
「いいんじゃよ、リーザ。そう思われても仕方あるまい。」
俺は柄にもなく熱くなっていた。
彼らに深入りし過ぎたのかもしれない。
「シュウとやら、レジスタンスのことはそう悔やむことはない。あれは、仕方なかったことじゃ。」
「…見ていたのか?」
「見えなければ良いのにと思うことも最近は多いがのう。」
カチャリ、
「シュウ!?」
黒装束は老夫の小振りな頭に銃口を向けた。
しかし、引き金の
「キャアアアッ!!」
銃声よりも先に女の悲鳴が響いた。
討ち取ろうとしていた黒装束は声を失っていた。
「…まったく、どこまで悪趣味なんだか。」
「トッシュ…、お主……、」
赤毛の侍が、干からびた老人の胸を一突きにしていた。
「だけどよ、
突ついた刀を引き抜き、瀕死の老夫を地面に打ち捨てた。
「…どうして気付いた。」
……いいや、俺が迂闊過ぎた。無関心でいたはずが、知らず識らず俺まで「復讐心」に感化されていたということか。
たった今、ヒントを得たばかりだというのに、俺はそれを
トッシュの言葉に間違いがないのなら、ソレは
「言ったろ?なんとなく分かるってよ。」
なんとなくで躊躇なく仲間を斬り捨てられるのか?
「それによ、ムカつくけど、俺はあのジジイにまだ一撃も当てたことがねえんだよ。」
本物にも同じものを感じているのか。
トッシュは息絶えた老骨を憎らしげに睨んでいた。
「それで、どうするよ?」
「……」
女が震えていた。目の前の男を「悪魔」と罵らんばかりの目で睨みながら。
「俺はコイツを敵だと思ったから殺した。アンタはこの女をどうするんだい?」
目の前の女も、トッシュの言うように「
だが、俺にはその確信が持てなかった。
…いいや、フェイクだと確信できた。だが、撃てない。
ソレが同情を誘うような目で俺を見るからじゃない。彼女の『
ソレが「あの少女」に似ていると思えば思うほど、本能的な何かが俺にブレーキを掛けている気がするのだ。
「どうしたよ、こんな所で詰まってる場合じゃねえだろ。アンタが殺らねぇなら俺が殺るぜ?」
トッシュの刀が「
「
―――どうした、エルクとかいう小僧の顔がチラつくのか?…まったく、臆病な奴だ。仕方がない、
「!?」
気が付けば俺は銃口を彼女に向けていた。
――――どうした?なぜ躊躇う?アレは
「……」
俺は、撃たなかった。
苦しまずに逝けるよう、
そして俺は、
「……」
足下に転がる亡骸は人間そのもので、それがリーザであろうとなかろうとその両目は俺に罪を問い掛ける。
そして俺は、乗っ取られていた。
「…辛いか?」
「…わからない。」
この男はどうしてあんなにも容易く仲間の形をした人間を殺すことができたのか。不思議でならない。
つい数時間前、酒場の惨劇の中で仲間の死に激怒した人間と同一人物とは思えないほどにリラックスしている。
…俺は、こんな時どうすればいいのか分からない。
そうして隙を見せれば奴は気安く俺に囁きかけてくる。
俺は、どうしてだか奴の言葉を待っていた気がする。
どうしてだか奴の言葉に静かに耳を傾けていた。
―――その女に惚れたか?
…俺が?リーザに?なぜだ?
―――じゃあ、なぜ撃たなかった
アレが…、偽物だと確信できなかった。エルクには、リーザが必要だからだ。
―――つまらんウソを覚えるな。キサマはその拾ったガキが女と笑う姿を見て嫉妬したんだ
……なに?
―――自分の手の中で育つはずだったガキが、どこぞの女と幸せそうに笑っていやがる。ガキが自分よりも先に幸せになることに我慢ならなくなったんだろ?
…仮にそうだとして、なぜリーザなんだ。
―――…なぜ?ハッハッハッ!おいおい、それを俺に言わせるのか?
……、
―――バカが、なんにでも理由を求めるのはキサマの悪い癖だ。
…誰でもいいんだよ。多少殴られても泣きつかないタフな女ならな
……、
―――強盗に襲われ家族を失くしたあの日のあの光景。それが目に焼き付いたキサマは、次第に「暴力」と「愛」の境が分からなくなっていった
……、
―――だが、一方を殺せば一方は何も得られない。「暴力」と「愛」の天秤は不安定だということをキサマは知っていた。
……、
―――キサマは「愛」に殺されたいのさ。本物の「暴力」と「愛」はお前を騙さないと知っているからな。エルクのソレとは違う
…俺は……、
―――
…キサマは、誰なんだ……、
奴は笑うのを止めた。
俺と奴の間にある最後の
―――……二度と忘れるな。キサマは、俺の「影」だ
※媒介動物(ばいかいどうぶつ)
病原菌を意図せずを持ち運び、間接的に別の動物に感染させる動物の総称です。
「争い」「混乱」の元(病原菌)である意識もなく、アーク一味(ネズミの巣穴)に潜り込もうとする「クローン」たちを指しています。
ちなみに、この章が「反乱するネズミたち」というタイトルで、「ネズミ」はエルクたち含む「アーク一味」のことで、この「ネズミ」には「こそこそと犯行を重ねるドブネズミ」という意味と「
その「ネズミ」の形をした、
※剣闘士
ボクシングなどの拳を使った格闘技を意味する「拳闘士」ではなく、古代ローマの
奴隷たちを使った「地下闘技場」のような賭け事を主体としたものだと思ってください。
※クルスト中佐
創作です。登場はこれっきりコニカです。
※師父(しふ)
父のように敬愛する師、先生。
※誅裁(ちゅうさい)
造語です。「天誅」と「制裁」を足したような言葉です。
※イーガの心眼
ポコの笛やベースと同じくアークⅡに移行される際に除外された悲しき技「心眼法」の新たな活用法ww
ちなみに「心眼法」は「退魔光弾」という技の発動条件で、「退魔光弾」は「心眼法」でロックした敵を攻撃する仕様になっています。
※老獪(ろうかい)
多くの経験を積み、ずる賢いさま。世間慣れして、狡猾なさま。