聖櫃に抱かれた子どもたち   作:佐伯寿和2

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共謀者 その二

「それで、アンタの古臭い野望が俺の仕事内容に何の関係がある。」

「大アリよ!」

あらゆる「命」を改造、創造してきた悪魔。彼の喉から溢れ出る叫びが、化け物(こども)たちを殺気立たせ、その全てがノーアに向けられた。

 

悪魔はトップとしてあるべき姿を忘れ、威圧感を撒き散らし、いよいよ子どもたちの化けの皮を剥いでいく。

「アーク一味はワシの造った強化兵、引いては四将軍直属の手駒でさえ手こずる相手なのだぞ?それを、たかが人間ひとりが、出し抜いたとあればそれを知らずしてどうする!そうだろう?!」

「…つまり、俺もまた、ここに連れてこられた時点でアンタのモルモットの一匹ということか?」

会話の矛先を読んだノーアは、静かに懐の(つるぎ)に手を伸ばした。

漂う瑞々しい殺気に気付いて初めて、悪魔は自らの醜態を正さなければという思いに至った。

 

「…まあ、(はや)るな。何もそこまでするつもりはない。」

フン、この場で戦うつもりなど微塵もないくせに。なかなか上手い殺気を放ちおる。気を張っておらねばウッカリその気にさせられてしまいそうだ。

「見たところ、キサマはワシの正体を知っても動じておらん。()()()()()()()()をよく(わきま)えているようじゃないか。ワシはそういう連中にはルールに(のっと)った敬意を払うつもりだ。」

「だったら一刻も早く金を用意すればいい。それが俺にとって最大限の敬意だと分かっているだろう。」

「悪党の”敬意”なぞ信用できない」とでも言うように、賞金稼ぎの手は剣の柄から頑として動かない。

…コイツ、まさか本気でここで暴れる気か?

 

不覚にも、悪魔は不安を覚えさせられた。

それはノーアにとって圧倒的不利な選択のはずだ。だが、そもそもこの場にいることすら勇者(ノーア)にとってありえないことなのだ。もはや彼が何をしようと不思議ではない。

すると、悪魔の方がこの稀有(けう)な娯楽を台無しにすまいと無鉄砲な主人公の行動に翻弄(ほんろう)されてしまっていた。

「言っているだろう。逸るなと。」

それでも「引き際」は心得ている。

いくら彼好みの趣向であっても、ひとたび一線を越えたなら、容赦なく主人公を舞台から叩き落とす理性までは失くしていない。

 

それでも、できることなら楽しみたい。それが悪魔の本音。

悪魔は部下の一人に指示を出し、気を取り直して賞金稼ぎに向き直った。

「約束の金はすぐに用意してやろう。だがお前の返答次第ではその額を三倍にしてやってもいい。」

「…聞いていた話と違うな。アンタはもっと聞き分けの良い人間だと思っていたんだがな。」

「どんなギャンブラーもエースやジョーカーを引いたなら心が揺らいでしまうということさ。」

「余計な駆け引きは自滅のもとだ。ルールを破るリスクの大きさくらい、アンタも理解しているんじゃないのか?」

賞金稼ぎ、ノーアは進展しない会話に苛立ちの表情を浮かべた。

イーガをワシの懐に放り込んで自分は態勢を整えるつもりか?そんな安直な真似をさせると思うか?

「ならば、金を渡せばワシがキサマに何をしようとワシの勝手ということだ。そうだろ?」

「…話が戻ったな。」

いよいよノーアは剣を抜き放ち臨戦態勢に入るが、悪魔はそれに促される様子はない。

ノーアと彼らを取り囲む化け物たちだけが、連鎖反応を起こすように殺気を放ち、鍔迫(つばぜ)()いを繰り広げている。

化け物たちの目がいよいよ人間のソレでなくなると、ノーアの気配が一層鋭くなり、今にも弾丸となって飛び出す勢いを見せつける。

「好きにすればいい。俺は誰にも従わない。」

…潮時か。

「ッ!?」

 

 

ズバッ!!

 

 

電光石火で振り下ろされたノーアの剣は、突如意識を取り戻し、ガルアーノに襲い掛かる大柄な僧兵の肩を斬り裂いた。

「フンッ!」

僧兵は驚異的な『精神力』で肩の出血を抑え込むと、痛手を与えたノーアに一切の関心を向けることなく一心不乱に悪の権化へと駆け出した。

機動力に優れた僧兵の足が瞬く間に目標へと接近し、手錠(てじょう)に自由を奪われた拳が今まさに仇敵を捉えようとしていた。ところが、

「ぐうっ!!」

ノーアの追撃が僧兵の脚力を上回っていた。

ノーアが振り下ろした剣を加速させると剣の重みで彼の体は宙に浮き、標的へと導く剣の軌道が一周する頃には僧兵の背中をとっていた。

あわやガルアーノに拳が届くかという刹那。再び振り下ろされた剣は辛うじて僧兵の急所を外していたが、その時の賞金稼ぎの冷え切った瞳は完全にイーガを「獲物(けもの)」として見ていた。

「ぐあっ!!」

斬撃に続けて受けたノーアの体当たりが僧兵の体幹を完全に崩し、転倒させた。

そして、ノーアは倒れ込む勢いに任せて僧兵の頭を地面に打ち付ける。

 

僧兵は脳震盪(のうしんとう)を起こし気絶した……。

目標が沈黙することで、見守っていた周囲の化け物たちの目には一連の騒動は収束したかに思えた。

ところが――――、

 

バキンッ!

 

「ッ!?」

賞金首による予想外の奇襲と賞金稼ぎによる迅速な対応、それらを目で追い、理解するだけでも超人的な能力を求められただろう。

その目まぐるしい展開を利用した一閃が、ガルアーノの首目掛けて駆け抜けていた!

 

――――だがしかし、完全に虚を突いた二段構えの襲撃さえも権化の首には届かなかった。

 

ガルアーノの大顎(おおあご)が、ノーアの剣を真っ二つに噛み砕いていた。

「…甘いわ。」

言うが早いか。床から謎の四肢(しし)が伸び、ノーアを襲う。ノーアはこれらを躱し、数本のナイフをガルアーノに投げつけた。

 

バキンッ!

 

ガルアーノはまるでハエでも払うかのように素手でナイフを叩き落す。

その間にも床から全身を現した8体の泥の魔人はお互いの隙間を埋めるようにノーアを二重に取り囲んでしまう。

それでも彼の猛攻は止まらない。

 

バンッ!!

 

ノーアはナイフを囮に二発のスタングレネードも放っていた。

魔人たちの目の前で一発が弾けると同時にノーアは駆け出し、魔人たちの頭上スレスレを飛び越えた。

さらに悠然と構えるガルアーノの前で二発目が弾ける。

誰に邪魔されることなくノーアはガルアーノの背後を取り、斬りつけた。

 

遂に、ノーアのナイフがガルアーノの首を裂いた。今度こそ、この突発的な乱戦の勝敗は決した…、かに思えた。

「ッ!?」

ノーアは斬りつけたナイフを残し、背後に()退(すさ)った。

「…まあ、悪くはない。」

突き立てられたナイフは完全に頸椎(けいつい)を両断していた。だが、首を落とすことができなかった。

そのナイフは触れれば肉も骨も容易く両断する完成された業物。だのに、ナイフは中年ごときの首肉に押し止められていた。

あまつさえ首筋からは一滴の血も流れず、横切った切り口はスライムが結合するかのようにみるみる間に塞がっていく。

遂には再生する首に押し出され、使命を果たすことなく床に吐き捨てられた。

 

「…やはり化け物だったか。」

全ての装備を使い切ったノーアはその場から動かなかった。動けなかった。

泥の魔人が床や壁を自在に出入りできる以上、一足飛びでガルアーノに届くギリギリの間合いだけがノーアにとって利点のある立ち位置だった。

ガルアーノは「襲撃」にではなく「遣り取り」にこそ興味があるといった表情で葉巻を咥え、()()()()()()を見下した。

「なに、自分の体で実験する研究者も珍しくないだろう?」

「それも自慢のジョークの一つか?アンタはもとから化け物だった。違うか?」

唇から立ち昇る甘い煙に隠れて浮かべたガルアーノの笑みは、ますますノーアへと惹かれていく。

「なぜそう思う。」

「…さあな。」

「ククク、そうだな。余計なことは言わない方が良い。それもまた、ルールだ。」

ノーアが「敵わない」と判断し、「降参」の意思表示をすることでようやくこの騒動は収束した。

 

しかし、騒動(それ)には誰しもが覚えた不可解な点があった。

「一つ尋ねても?」

「今さら何を(かしこ)まる必要がある。俺はアンタに敵わない。好きなようにすればいい。」

「キサマの目的はなんだ。」

そう、たった今取ったノーアの行動は矛盾していた。

仮に、自分の身の安全のため、逃走する切っ掛けをつくるためにガルアーノを始末したかったのであれば、イーガを制圧する必要がなかった。

負傷しているとはいえ、「アーク一味」の一人であることに変わりはない。協力した方が後々の対処もしやすかったはず。

またもしも仮に、「賞金稼ぎ」として「賞金首」の襲撃から「依頼主」を守ったのであれば、なぜ自分自身もまた「依頼主」を襲撃したのか。

現状、主導権を握っていて、勝ち目はないと分かっていたはずのガルアーノを無駄に刺激して彼に何の得があるのか。

ガルアーノは彼の奇妙な行動に興味を持った。

「さっきのは気にするな。俺はただの賞金稼ぎ、町で噂になっている()()()()()()とは無関係だ。さっきのは、そうだな。軽い挑発…、それと確認だ。」

まただ、なぜわざわざ自分が不利になるような言動をとる?

「確認?ワシが化け物かどうかということか?」

「いいや、アンタが俺より強いかどうかだ。」

「そんなことを確認してなんになる。」

ノーアは落ちた装備を回収しながら、イーガに背中から斬りかかった時と同じ瞳で答えた。

「俺はどんな勝負でも負けたくはない。エースもジョーカーも()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()?あとは…、”エース”と同列にされた”ジョーカー”の憂さ晴らしとでも思ってくれればいい。」

「……クックック、ハッハッハッハッ!!」

ガルアーノは心から感嘆した。

 

ワシが聞き及んでいる「アーク・エダ・リコルヌ」は、気の強い()()でロングソード一本に頼る騎士然とした戦い方をする男だった。

だが、コイツはどうだ。

終始、場の展開を掌握する狂気とも取れる行動力はワシの「影」にさえ似ている。

先程の戦闘に関してもそうだ。本来の自分とは似ても似つかぬスタイルであれほど立ち回る姿には「天晴(あっぱ)れ」としか言いようがない。

ロングソードとは使い勝手の違う曲刀、さらにはナイフやグレネードといった騎士には縁のない投げ物までも使い(こな)し、足さばきも、さながら暗殺者のようじゃあないか。

そして、「勇者(アーク)」の根幹であるはずの『精霊の力』は一切使わなかった。

これだけを見せられたなら誰もお前の正体に気付くことはなかっただろうよ。

 

「気に入ったぞ!キサマはワシが使い倒してやろう!」

「……そんなことよりも、」

ノーアは有頂天の依頼主を無視し、泥の魔人たちが人間の姿に戻る(かたわ)らで(うつぶ)せになっている(にく)達磨(だるま)を転がし、意識を確認した。

「コレをどうするのかは知らんが、また暴れ出す前になんとかするんだな。」

イーガは生きていた。

頑丈な骨と筋肉のお陰で腕が切り落とされることこそなかったものの、間違いなく動脈は斬られていた。背中もまた、背骨は外れているが、ろっ骨を削るほどに深く大きな裂傷が致命傷を物語っている。

一般的な人間であれば、すでに出血多量で息を引き取っている。

だが、それが『ラマダ拳法』を極めたものの奥義なのか。どちらの傷も、まるで静脈を斬られたかのように出血は(ゆる)やかで、今や完全に止まり傷口を塞ぎにかかっていた。

気絶してなお、全身を巡る『(ラマダ)』が肉体の回復を(はか)っていた。

「キサマの目には、まだコレが兵隊に見えるのか?」

「…俺がギルドに突き出す前にも散々痛めつけたが、今はもうほぼ完治している。肉体の強度こそ常人の域を出ないが、その回復力はさすが”アーク一味”と評価できる。そういう意味だ。」

「クックック、すまんすまん。お前の判断を疑っている訳じゃあない。ワシも”アーク一味”と直接対峙(たいじ)するのは初めてでな。加減が分からんだけよ。」

ノーアの忠告を受け、イーガはただちに収監された。

 

…クックック、だがワシは気付いたぞ?

そうやってイーガの能力を誇張することで、より()()()()()()を保証しておきたかったのだろう?

自分の手でイーガを戦闘不能の状態に追いやることで余計なトラブルを避ける意味もあったのかもしれない。

深手を負わせたのも、そういう意図だと思えば筋が通る。やや過激ではあるがな。

…それで上手くいったと思っておるんだろう?あれだけ派手な演出をすれば勘繰(かんぐ)られずに済むと思ったのだろう?

…クックック……、

だが、残念ながらそれは悪手だったな。

 

確かに、イーガを斬った瞬間、ワシさえもコイツが「アーク」である確信が揺らいだ。

だが、キサマの実力とイーガの容体。それが揺らぎを完全に否定してくれたよ。そして、喜ぶべきか悲しむべきか。その「サービス問題」に気付いたのはなにもワシだけではなかったようだ。

キサマらはワシの部下を過小評価していたようだ。

ここがどういう場所か、キチンと理解していなかったようだ。

 

ここは()()()()()()()()で、コイツらはその()()()()()()()だぞ?

気功(ラマダ)』の何たるかまでは理解していなくとも、目の前の「命」が()()()()()()()()()を見極めることなぞ、人を殺すよりも熟知しておる。

キサマが()()()()()()()()、イーガが()()()()()()()()()()()()()()()()()

…もはや「決定的な証拠」となったな。まったく詰めの甘い…。おそらくこの作戦にあのジジイは噛んでいないのだろうな。

『変装』では上手く(あざむ)けていたというのに勿体(もったい)ないことを。

ワシはエンターテイナーであって、キサマらの保護者じゃあない。

『変装』を見抜けなかった部下の無能は見逃しても、キサマらの尻まで拭ってやる義理はない。

一方に手を貸し過ぎれば興が冷めるからな。

…だが、まぁいい。部下がワシに直接疑いを申告してくるまでは黙っておいてやろう。

 

「そんなことよりも依頼の内容を知りたいんだが。」

ノーアがどこまで現状を把握しているのか。その澄ました表情からガルアーノは読み取ることができなかった。それが彼の好評を勝ち取り、作戦の続行(サービス)に繋がった。

「ああ、数日中にロマリアの反抗勢力が城内に攻め込んでくる。その処理を手伝え。」

「例のレジスタンスか。」

「そうだ。ほとんどが敵に値しないザコだが、トッシュ・ヴァイア・モンジ、モーリス・ウォン・バリー、シュウ。この三人だけは注意せねばならん。」

わざと強調して口にしたにも(かか)わらず、ノーアがボロを出すことはなかった。

「トッシュ…、レジスタンスはアークと繋がっているのか?」

その「自然な態度」は、ガルアーノにとって失笑さえも禁じられた喜劇を見せられているようでしかない。

「その逆だ。アレはアーク一味の二次組織といっていい。今や、世界の至るところに奴らの拠点がある。」

「…アーク一味の目的はなんだ?”世界征服”は誇大広告じゃなかったのか?」

「……」

()()()()()()()()()()()が、ガルアーノにこの喜劇の真意を気付かせた。

 

…なるほど。一見、必死に”ノーア”を演出しているのかと思っていたがその実、ワシらの思考をトレースするための情報収集をしているのか。

ならばワシの後に続く同胞らを苦しめるためにも、少し協力してやるのも悪くない。

「それもまた、”逆”と言わざるをえんな。」

「……」

端的(たんてき)に言えば、奴らこそが正真正銘の”正義の味方”。となれば、ワシら悪魔の殲滅は必至だ。分かるな?」

「…アンタらは正規のロマリア軍じゃないのか?」

「ハハハ、何を今さら。キサマもワシを斬りつけた時に何となく勘付いたんじゃないのか?むしろ、世界征服はワシらの野望の一つだ。無論、ロマリア軍でもなければ特定の人間の味方ですらない。…どうした、震えているぞ?」

自分も口にしたというのに「世界征服」という言葉が今さら(かん)(さわ)ったのか?ノーアは僅かに震えていた。

…いいや、ワシが口にしたからこそ、()()()()()()()()()()

「…なんでもない。」

確か、サリュ族の村を爆撃した時も悪鬼のごとき戦いぶりをみせたという報告があったな。

…どれ、キサマの「覚悟」がどの程度のものか。少し試させてもらおうか。

「ワシを殺したくなったか?かまわんぞ。部下には手出しさせん。好きな時に斬りかかってこい。」

「…今の俺は、いかにここを無事に脱出するかが最優先だ。それ以外のことは後で考えればいい。」

「嘘が下手だな。」

「……」

一見、ワシに向けるその視線は冷静なようだが、どこまで堪えられるのかな。

アークよ、ワシは無性に見てみたくなったのだよ。アリバーシャ国で見せたというキサマの憤怒の顔が。

「ワシがなぜこうまでしてキサマを雇ったと思う。」

「……」

「まあ、いい。その選択肢が後悔に繋がらんといいがな。」

「……」

…まったく、資料の「アーク」と同一人物とは思えん落ち着きっぷりだな。

 

だが、だからこそ(あお)り甲斐がある。

ワシがキサマに「憎み方」を教えてやろう。いついかなる時も悪魔(ワシ)らへの殺意を忘れるな。

ワシはキサマを殺さん。だが、キサマのサンドバックになってやろう。キサマにその価値があるのなら。

それを見極めるためにも、ワシを憎め。

もっと!もっと……!!

 

 

「ガイデル王はそれを承知しているのか?」

「…なに?」

ワシとしたことが、酔いすぎて前後の会話が完全に抜けてしまった。

「ロマリア王はアンタらの計画を理解しているのかと聞いたんだ。」

「…ああ、奴は何も知らんさ。(あわ)れよな。”鍵”として利用されていることも知らずにな。」

「”鍵”?」

「おっと、喋りすぎたな。」

フム、咄嗟(とっさ)の対応にしては上出来だな。

これで奴らにとって「ガイデル」は護るべき対象になり、下手に城に攻め込むこともできなくなった。

「話を戻そう。レジスタンスのモーリスだが、奴は元ロマリア陸軍参謀長。シュウはロマリア軍の特殊任務に()いていた某少佐の右腕だった男だ。」

「ロマリア軍は敵をつくることにも力を注いでいるらしいな。」

「ハハハ。他の将軍はどう思っているか知らんが、ワシは楽しんでいるよ。こちらの内情を知っている連中を相手にするのは悩ましくも、攻略に思案する時間は格別なものだ。」

「…レジスタンスは地下組織なんだろ?その情報の出所はどこなんだ?」

「調査した上での情報ではないさ。現状、政府に抵抗している人物を把握した上でのワシの経験則でしかない。」

「……」

(あき)れたか?だがこれでもアルディアの膨大な数のマフィアを長年(あやつ)ってきたんだ。尻の青い連中の考えることなんぞ足を使って調べるまでもない。」

 

その後も、「憶測だ」と言いながらガルアーノはレジスタンスの戦力を事細かに説明した。




※思考のトレース
そもそも「トレース」には
○絵画や製図用紙の上に薄い紙を置いて、透けたものを参考に正確に写しとること
○問題の生じたコンピュータープログラムの実行手順をたどること
○動物や人が残した形跡をたどって、後を追うこと
などの意味があります。

ここでの「トレース」は三番目の意味合いが一番近いと思います。具体的には
「特定の人間の行動を先読みするために、その人物が普段から何を考え、特定の状況に遭遇した時どのような行動を取るか。というような戦略的連想行為のことです。」
もっとわかりやすく言えば、アニメ「食戟の○ーマ」に登場する「美作(みまさか)(すばる)」のことですね。

※イーガの回復能力
イーガはラマダ真拳という気功を用いた武術の使い手ですが、この武術自体に回復の術はありません。(あくまで原作中の話で、現実では気功を使う人には治療の技術があるようです。)
ですが、彼の追加特殊能力(マザークレアに付与してもらえる魔法)に「キュア(回復魔法)」があるので、いっそのこと、私の話の中ではこれもラマダ真拳の技の一つということにしています。

また、原作イーガのステータスには、体力(HP)と攻撃力には優れているのに、防御力がお粗末という特徴があります。その点を今回、「ノーア」さんに解説してもらいました。

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