――――パレンシアタワー
見えざる手に
「…そうか。わかった。」
ところが、全てを
「ご心配には
アンデルは部屋の
「
大臣が
何事もなかったかのように、
主の姿が消えてもまだアンデルは
そうして夢物語を
「おそらくエルクは何らかの作戦を
残されたスメリアの大臣は姿見に
「世界よ、キサマも主人公の苦しむ姿を見てみたいのだろう?」
だから我々を生んだ。
命を持たない私さえも
キサマもまた、「
そしておそらくは今が物語の最終
そこで
「人」と「悪魔」、いったいどちらがキサマの真に理想の主人公だったのかが……。
「……クックックッ、」
そうさ、今や私さえもこの茶番を楽しんでいる。
彼は誰の目もない
――――首都パレンシア郊外
「それでは、ご無事で。」
「アンタらもな。
エルクたちはパレンシア城から十数キロ離れた小さな村でトウヴィルの村人と
エルクは、先に敵の
「ポコ……、」
「大丈夫。僕、これでもアーク
「…わかった。」
エルクは自分が
それでも、今現在、危険な目に
「分かってんな?さっき言った通りに動けよ?」
「う、うん。わかった。」
「さッさト行っテコイ。」
パレンシア市の入口に差し掛かったところで、エルクはロマリア国への
「…『アルディアの炎』……、」
エルクは裏口を使い、パレンシア賞金稼ぎギルドに
「テメエ、よくもまあヌケヌケとここに
「
ギルドは情報に
つまりは数時間前に起こしたエルクとペール・ペールマンによる憲兵への
政府からの正式な
「…ビビガ、元気にしてるかよ。」
「一緒に来てたらそんな優しいセリフもブッ飛んじまうぜ?」
「それで、何の用だ。まさか俺たちにテメエの
「船を
「…
それはまるで
「安心しろよ。俺はこれからそのトップを殺しにいく。アンタらが
……カチャリ、
「…そこから先は言葉に気を付けろよ?」
「誰を、殺すって?」
「
ドンッ!!
「っツ!」
俺はそれを
耳鳴りの直後、激痛が走り左耳を押さえた。それと同時に俺の耳から離れていったものをキャッチした。
続けざまに
「…アルディコ
局員は簡単なシナリオを口にしながら銃をカウンターに置いた。
「だからってよ、ギルドのやり方はいっつも
そして俺は出血し続ける左耳に布を当てながら、キャッチしたものをカウンターの上に置いた。
「逆だな。キサマらのような
「…まあ、確かにそうかもしれねえな。」
「船一隻」と「
「帰る前に
「悪いな。」
だからこそ、と俺は思う。
どうしてコイツらは無茶ばかりを言う
コネクションを
ギルドは自分たちの利益や
コイツらの働き一つが多方面の
だからこそ、今回、コイツらには何の得があるんだ?
俺を生かすことで、もしくは国に引き渡さないことで何かコイツらにメリットがあるのか?
それともコイツらもまた、ガルアーノやマフィアのしがらみから
もしくは…、これもガルアーノの指示の内なのか?
そもそも、ここのセキュリティ程度じゃあ俺は止められない。俺の精神状態によっては今まさに命を落としかねない。
だからこれはただのその場しのぎで、後でしっかり俺を
……まあ、俺は今、船さえ手に入れば後のことはどうだっていい。
俺は
言われるままギルド内を焼いていると
「そういや、つい先日、シュウがここへ来たそうだ。」
「それ、いつのことだよ?!」
思わず声を荒げてしまった俺を鼻で笑い、局員は続けた。
「俺は
四日前…、俺がククルの
「なんでも、賞金首の情報を欲しがってたらしい。」
賞金首?移動手段じゃなくて?
「その賞金首は?どこのどいつだ?」
「邪竜ギア。まあ、”精霊の国”なんて呼ばれてたこの国が
竜?そんなもんに何の用があったんだ?
「ところが
よく分からねえ。シュウはスメリア軍と何らかの取り引きしたのか?
「…シュウは?」
「確かなことは分からん。分からんが、ペペと
「…そうかよ。」
どうしてギルドがそんなことまで俺に教えるのか
シュウは
「あとはまあ、
コイツは知ってたんだ。俺がロマリア国に手を出そうとしてたのを。
シュウの情報を漏らしたのは、
いつも通り、自分たちの能力をフルに
「エルク、それ、ケガしてるんじゃない?!どうしたの!?」
けれど、そういうのに
「心配すんな。賞金稼ぎにとっちゃあ成人式の一つみたいなもんだからよ。」
俺はポンコツにギルドから教えられた
「ここニ何がアルんじゃ?」
「
全世界共通の法律で、その国に登録された飛行船は全て国の
ただし例外的に、
船は町からおおよそ5㎞離れた地点の
「すごいね。言われなかったら、ここに船があるなんて分からなかったよ。」
国には報告してあるものの、その利用目的から一般的には非公開の格納庫になる。そのため、一般人からの
だから特例をもらった連中は赤字を
「逆に、お前らはどうやって船を隠してんだよ。」
アーク一味の船、シルバーノアは元スメリア国王所有の船。たとえそこにアークがいようといまいと発見され
あんな
「ゴーゲン、あ、仲間の魔法使いがそういう魔法をかけてくれてるんだよ。」
「……」
「準備できたぞ。」
あまり乗り気でないポンコツの
ロマリア国までの
「僕の『力』はね、ひどく不安定なんだよ。」
これから
「
…確かに不安定だ。それに、かなりハイリスクな『力』だ。
それが本当なら、場合によっては
「だから僕はどうすれば相手の気持ちが僕の思うように動いてくれるかを見抜かなきゃいけないんだ。」
「戦いながら?」
「そうなんだよ。」
戦争は常に自分が喰うか喰われるかの
銃を突き付けられながら
「よくそれで今まで生きてこれたな。」
「みんな、
ポコは悪びれる様子もなく、そう答えた。
「それ、本気で言ってんのか?」
「……そうだよね。もう、そんなこと言ってちゃダメなんだよね。」
また、苦笑いで
「そんなんじゃ、すぐに死んじまうぜ?」
「それでも、これが僕の戦い方なんだ。…これで、戦いたいんだよ。」
「…ふーん、そうかよ。」
違う。俺の
ポコは、仲間に頼りっきりの弱い自分を甘やかしてるんじゃない。その
「それは?」
ポコは内ポケットから取り出した
「これ?これはね、ニーデルの
「指輪」とは言ってみたものの、ポコの手の中にあるソレは、大人よりもむしろ子どもの指に合わせて作ってあるような小さなものだった。
「こんな物が闘技場に落ちてるなんておかしな話でしょ?でもね、これを見てるとなんだか持ってた人の気持ちが伝わってくるような気がするんだ。」
「…どんな?」
「そうだね、”負けないぞ”とか”
「なんだよそれ。それ、持ち主の気持ちとかじゃなくてただのお前の”そうありたい”って
もしも今、ティファがここにいたら「デリカシーがない」って頭を
それでもイジられ
「そうだね。そうかもしれないね。それでも僕は想像するんだよ。耳が
苦笑いが、だんだんと自然な笑顔に変わっていく。戦闘や血が苦手なくせに。どうしてそれを見守る子どものことを想うとそんな
「それに、なんだかこれと向き合った後はいつも以上に演奏が上手くできるんだよ。」
コイツは、とても年上とは思えない
「…それさ、俺にも吹けねえかな?」
俺はポコのラッパを
別にこれといった理由はない。
だけど、もしかしたら俺は思った以上に
「エルク、音楽に興味があるの?!」
口の中のものが残ってるのも
「な、なんでそんなに喰いつくんだよ。…まあ、
なぜか今さら
それなのに、弱虫のくせに、俺の
「ホント!?エルク、僕と一緒に演奏してくれるの?!」
「言っとくけどな、俺、音楽とか、そういうの
「大丈夫、大丈夫。別にコンサートに出る訳でもないし、技術は二の次だから。」
さっきまでの弱音も
「…そんなに楽しみなのかよ。」
「もちろんだよ!エルクだって、誰かと一緒に何かをするって
誰かと…、一緒に……、
「そうかもな。…割と、そう思うかも。」
「でしょ、でしょ?」
缶詰の残りを
……何でも入ってるんだな。そのポケット。
「エルクは声も高いし、歯
ポコは数本入ったケースの内から一本を取り出し、俺に差し出してきた。
「…なんか、
「エルク、
吹き方を
プーッ
「お?」
「すごいよエルク、上手だよ!」
「そ、そうかよ。」
思った以上に楽に音が出せたことに俺は
「楽シソウだナ……。」
半日後、俺たちは間違いなく
※位相の間
「鏡に映った相反するもう一つの世界」的な意味で使いましたが、正しい言葉遣いではないかもしれません。
数学と物理学の間でその意味が違うそうですが、今回はどちらかと言うと物理学側になると思います。
(物理学的)位相=繰り返される現象の一周期内に存在する任意の点(時点、局面、場面)のこと。
また、この点において異なる点が同時に存在する場合、その二つの差を「位相差」といいます。(間違ってたらごめんなさい)
※鏡裏(きょうり)
像を映す鏡の面のこと。この場合の「裏」は「内」という意味になるそうです。「鏡裡(きょうり)」とも書きます。
※言付かる(ことづかる)
他人から用事を任されること。物事を
※エルク・アルノ・ピンガ
私の話の中ではエルクはビビガの養子という設定になっています。それで、ビビガのフルネームがビビガ・アルノ・ピンガなので、本名を知らない人たちはエルクのことをこのように呼びます。
※正確な時間帯は知らんが、四日前のことだ
……すみません。私自身、正確な日数はカウントしきれていません。だいたいで書いてますm(__;)m
※格納庫
飛行機などの車両、船舶を風雨から護るために避難させる場所。
「ドック」の場合、造船施設の意味も含まれます。
※接収
国が所有物を没収すること。
※おもちゃの指輪
ポコの専用装備。
アイテム鑑定時の説明「一見するとおもちゃの指輪だが、子どもの心を忘れない戦士の指にはめられたとき、大きな作用が現れる。とあるコロシアムに長い間秘蔵されていた。」
装備時の効果はアークⅠとアークⅡで異なります。
●アークⅠ、『向き直りの笛(戦闘中、敵の向きを変える特殊能力)』の効果がMAP全域になる。
●アークⅡ、防御時にMPが回復する。
また、原作での入手方法は、アークⅠのニーデル武闘大会(ストーリー)でポコで出場し優勝することです。
●余談
「ニーデル」と「指輪」…、「ニーデルの指輪」…、どこかで聞き覚えのある言葉だなと思ったら、もしかしたら「ニーベルングの指輪」に寄せてる?…ような気がする。
「ニーベルングの指輪」はドイツの音楽家「リヒャルト・ワーグナー」が北欧神話とジークフリート伝説をもとに作曲したオペラで、「ニーベルング」というのは物語に登場する小人の一族の名前らしいです。
その小人族のアルベリヒという人物が「世界を支配しうる力を持った指輪」を作ります。
紆余曲折あり、指輪は巨人に奪われ、アルベリヒは怒って指輪に「死の呪い」をかけます。
「死の呪い」により巨人たちは殺し合います。
……まあ、その後また色々あって指輪は、原料を手に入れた「ラインの川」に返されることになるんですが、
「小人の指輪」→「オモチャの指輪」
「死の呪い」→「ニーデル武闘大会」
……なーんか、関係ありそうじゃないです?
(ゲーム中の装備効果からは全く想像つきませんがww)
※ティファ(本名、ティファニー・エヴァンス)
エルクと同じくシュウに拾われた東アルディア、インディゴスに住むエルクの幼馴染のようなもの。
原作では名前もなく、ただのシュウのファン。
※エルクとトランペット
……どこかでエルクがトランペットを演奏してるシーンを書いた気がする。気がするのに見つけられない↓
もう、初めてってことでいいや(笑)
吹奏楽はかじってはいましたが、専門知識はまるでないので間違ったことを書いててもご容赦ください。
ちなみに今回のマウスピース選びも、ちょっと調べてみたところ、奏者の声の音域はあまり関係ないのかなと思います。ただ、それっぽい雰囲気を演出したくて書いてみました。
※原作との相違点
原作ではエルクたちもトウヴィル村の人たちと一緒にククルの神殿に戻って、待機していたシルバーノアに乗ってロマリアに向かうことになっています。
ですが、エルクの焦る気持ちや「どうして都合よくシルバーノアがいるの?」という疑問から、ちょっと大筋から離れてみました。
(本当は、神殿で成長したエルクとククルの感動的なシーンの一つでも書こうかと思っていたのですが)