「止まれ。」
「!?」
「キサマらが
「…テメエは
「何?」
「何のために
俺は今、着ている「軍服」をこれ見よがしに
「……」
「そういう
「…ふははは、
「つまり?」
「
「エ、エルク、後ろにもあの人が!?」
ポコに言われ、来た道を振り返ると、
「キモいトカゲも出シおっタぞ!」
二人が
「さあ、いくぞ。あの
「おオ、こイヤ!!」
「いテコましタるわー!」
腕の
ところが、修験者が
「ポコ、お前はヂークと
「う、うん!」
すかさずポコはトランペットを構え、
「ほほう、
しかし、
「ええっ!?」
「エエい、取り乱スナ二等兵!」
「…に、二等兵?」
「こコはワシに
ヂークは
「フハはハッ、ココカらが本番ダぞ!」
「…
ヂークが次の一手を打つよりも早く修験者が
「アババババ、ババ…、し、シ、死にサラセ~!」
「大道芸人形よ、本物の戦場は初めてか?」
「…アれ?どウナッとんジゃ?」
ところが、ヂークの
「どんなに
言い終わるや、ヂークの足元から赤銅色のトカゲが這い上り、
「うワわワ、二等兵、ワシを助ケロ~!」
トカゲの
パンッ、パンッ!
「…うわっ!?」
矢のように
「コワれる、こワれル……」
そしてポコの
ところが、二匹、三匹と新たなトカゲを数珠から呼び出し二人を
「なんとも
エルクの相手をしていたはずの、もう一人の修験者が
「エルク……。」
ポコは自分の知らない戦友の姿に足を
「
残された修験者はポコとヂークを捨て置き、トカゲたちを
ズズンッ……
「……」
戦場を知らない小市民なら、そのグロテスクな光景に胸を焼くにちがいない。
「人の身でその
しかし、多くの
「我々がどんな思いで……、」
彼が今、打ち震えているのは、ようやく歯も
「誰がそれを教えた?」
珠は鉄の
「キサマは、
切り口は鉄を打つ
「これで、終わりかよ?」
炎を纏う少年の声は
「いつの時代も変わらぬものだな。」
「……」
「愛される者は愛されぬ者を
「…あ?」
「世界に愛されているのさ。お前は。でなければそんな
「愛されている」という言葉は少年の
「
少年の、『異常な力』の
「今、お前がやってみせたそれは、世界のあらゆる決まりごとを
修験者が手先で
「世界に
「『力』こそが『未来』そのものを
それでも修験者は少年に
まるで、魔王の首を
――――言いたいことはそれだけかよ。
鉄球を切り崩した『
修験者もまた、
しかし―――、
「クゥッ!」
修験者にとって少年の一撃は
それでも熊の拳の
「俺が、この『炎』が世界に愛されてるって?」
『
「なあ、知ってるか?」
けれども、少年の瞳は『
「“白い家”に、俺と同じような『力』を持った人がいたんだ。」
「だけどその人は、たった一度の幸せも
あれよあれよという
「それでもテメエは、この『
少年の
「…この刀にしてもそうだ。これには私の持ちえる最高の呪術を
「…言いたいことはそれだけかよ。」
少年の纏う『炎』が何かの形を取ろうとしていた。
「テメエのはただの
少年はまだ、それに気付いていない。
差別がどうとか。そんなの本人
俺にとっての『
『力』を持ってる奴なんて皆似たり寄ったりなんだから。差別なんて関係ねえ。皆、ただの人殺しなんだ。
だけどアイツらは違う。俺なんかよりずっと強い『力』を持ってるのに、ずっと「
…自分でも何を言ってるかわからない。
『力』を持ってるからこそアイツらは自分たちの我がままが通せるんだとも思ってた。
だけど、そうじゃないって気付かされた。
ククルの
それでもアイツらは護ろうとしてる。…色んなものを。
その姿がとても「綺麗」に見えたんだ。
「…ならば私が見せる『夢』に
修験者が印を結ぶと
「……ルク…、エルク……、」
「……」
聞き覚えのある声。耳について離れない声。そう思った瞬間、少年の目に『彼女』が
その手で護ることのできなかった人、見殺しにした人、あの森で見捨てた『彼女』がそこに立っていた。
「どうしたの?どうして
少年にその『
二人を
「私と話すよりも
それでも『少女』のスカイブルーの瞳に見詰められると、声が少年の耳を
「違うでしょ?」
心が
『彼女』の姿が、
「そんなことよりも楽しいことがあったじゃない。」
「
少年は『金髪の少女』から目が離せない。
『彼女』が手を
「…行こう?」
――――言いたいことは……、
少年は消え入る声で少女に語りかけた。
そうして少年は修験者の『術』を焼き払い、問答無用に修験者の
「……
『術』は
少年は物言わぬ化け物を見下し、吐き捨てる。
「テメエなんかに俺の『悪夢』がわかるもんかよ。」
あの手はもう
もう、戻ってこない。…それで、いいんだ。
「エルク、
…気を
何にしても、俺もさっきの戦いには思うところがあった。
あの時の俺は襲ってくる鉄球を押し返すくらいの気持ちでいたんだ。それなのに、ビビるくらいにスパッと斬っちまった。
それをやってのけた後、自分の『力』に驚きはしたけれど、その
「まあ、本気を出せば、な。」
俺を「乗っ取る」かもしれないあの鬼の姿が
俺を
「どうしたよ。ホラ、さっさと立てよ。皆を助けにいくんだろ?」
俺は手を差し伸べる。『彼女』が俺にそうしてくれたように。
「うん。」
「それよりソレ、どうするよ。」
足元に転がる、
「
トカゲの
さすがに見捨てる訳にもいかない。とはいえ、
プシューッ!!
「なになに?!」
「ワシ、復活!」
「やイ、エルク、ヨくもワシのスペシャルハイパーウルティカデンジャラスボディを
俺は、
「…デンジャラス?」
…そうだった。コイツの言うこと
そのはずなのに……。どうして俺は
俺は、込み上げる
「エルク、ボク、変なんだ。」
ポンコツに一通りの
俺にはそれが何か、なんとなく予想がついていた。
「さっきね、ほんの少しだけ、ほんの少しだけ!…エルクが怖かったんだ。」
「……」
「エルクが炎に包まれてる姿を見て、ボク、気付いたんだ。エルクはアークよりも強いんだって。」
「!?」
…何言ってんだ?俺が、アークよりも強い?アンデルとまともに向かい合うこともできなかった俺が?
「ううん、もしかしたらゴーゲンだって倒せちゃうかもしれない。」
ゴーゲンってのは一味の主犯格の一人で、懸賞金もアークに次いで高い50億の魔法使いだ。
例え、何かの間違いで俺が賞金首になったとしても「億」を超えることなんて、まずありえない。だからこそ、俺にはそれがポコなりの
だけど、ポコはそう言わない。「本心だ」という表情を崩さない。
「…エルクはアークを殺しちゃうかもしれない。そう思っちゃったんだ。」
想像した。
俺が、世界最強と言ってもおかしくない犯罪者の首を落としている姿を。
アークと
”白い家”から俺を助け出してくれたらしいけど、言葉は
俺にとっちゃまだまだ赤の他人だ。
だけど、ククルやポコにとってアークはとても大切な人なんだ。俺にとっての『彼女』と同じなのかもしれない。
そう思うと、ポコに
「だけどね、」
そう言い直すポコの顔は、悪いものを吐き出してスッキリした
「だけど今はそんなことないんだ。今はエルクが隣にいてくれるだけで凄く心強いんだよ。何も怖くないんだ。ほ、本当だよ!」
俺の顔色を見て
だけど、ポコの言い分はもっともだ。
「俺、お前らと会ってなかったら多分、ポコの言う通り、アークを倒そうとしてたかもしれねえな。」
もともと、俺の村を襲った
だけど
この出会いがなかったら、ガルアーノか誰かに
「だけど俺はこれから変わるのさ。」
アンタらから色んな事を学ぶんだ。シュウやビビガたちと
「お前らと一緒に闘うって決めたからな。」
戦争の中でも
――――炎の子は決意を言葉にした。
彼らの背中に
まだ「
※修験者=原作のモンスター「修験者」のことです。
※赤銅色の両生類=原作のモンスター「メデューサリザード」ことです。
「トカゲ(硬い鱗のある爬虫類)」と表記しましたが、「イモリ(粘液をまとった皮膚の両生類)」のイメージでお願いします。
具体的には「アカハライモリ」という種類のイモリです。
※明王(みょうおう)
仏教における
悪魔を打ち払い、仏法を護る守護神。そのため、掘り起こされる仏像のほとんどが
○大日如来
仏教における最も尊い存在。太陽神。宇宙の起源でもあり、あらゆる仏や
……間違ってたらごめんなさいm(__)m
※修験者(しゅげんじゃ)
頭頂に「
修験道を体得しようとする人。
○山伏(やまぶし)
修験者と同じ意味。太刀を帯刀していたこともあるそうです。
○修験道(しゅげんどう)
山岳での修業をつみ、超自然的な力を身に付けようとする密教の一つ。
※赤銅色の両生類は大口を開け、『音の弾』を飲み込んだ
メデューサリザードの特殊能力「ロブマインド」のことです。
原作での「ロブマインド」の効果は対象のMPを吸収するものです。
今回は「MP」の代わりに「魔法」そのものを吸収する仕様にしました。
※氷の壁
マザークレアの館で得られるメデューサリザードの追加能力「コールドブレス」のことです。
「水」と「氷」では電気の伝導率が違います。「氷」の方が「水」よりも電気を通しにくいです。
(一説には氷の伝導率は水の1万分の1らしいです)
そもそも「水」は溶媒として多くのイオンが溶け込んでいるので通電します。純粋な水「純水」は絶縁体なので電気を通しません。
本編の「水」は特定の用途に用いるために多くのイオンを含んでいます。
※トカゲの吐く息はヂークの体を瞬く間に腐食させ、吸い付く手足は「異なる命」の『力』さえも無差別に奪っていた。
「トカゲの吐く息」はマザークレアの追加能力「アシッドブレス」で、「吸い付く手足」はこれまた「ロブマインド」です。
※輪から解き放たれた珠が、さながら弾丸のようにポコを射抜こうと襲いかかった。
原作の「数珠」の攻撃モーションの中に珠が独立する瞬間があります。
なので、「数珠」は修験者の力次第で分解、独立して攻撃できる設定にしています。
ちなみに、この後の「数珠の巨大化」も原作のモーションにあります。
どういう『力』なのかと言われると……(笑)
※その剣が数千度の熱を帯びていようとも
分厚い鉄(それでも10㎝以下)を切断する工具として「サーマルランス」というものがあります。
このサーマルランスですら4000度の高温で時間をかけてゆっくり切ります。
なので、今回のエルクのように1m近い鉄球を瞬間的に断ち切るなんて、まさに奇跡の技です。
ちなみに、太陽表面温度は6000度です。
そう考えるとサーマルランスもかなり奇跡の代物に思えてきます。
※直刀(ちょくとう)
刀身に反りのない(曲がってない)刀。真っ直ぐな刀のことをいいます。
結局は私の記憶違いだったんですが、闇法師系統の装備に「剣」があったような。そんなモーションを見たような……気がしたんです。結局は私の勘違いだってんですが。
※剣線
剣の切っ先が描く一筋の線を意味する「造語」です。
太刀筋、剣筋と同じだと思ってください。
※外法(げほう)
仏教の教えに背く思想や行いのことですが、ここでは「魔法」のことを指して言っています。
※鍔迫り合い(つばぜりあい)
刀の鍔と鍔を打ち合わせ、押し合うことです。
※私が見せる『夢』
修験者の魔法「スリープウィンドウ」です。
※梵字(ぼんじ)
古代インドで使われていたサンスクリット語を表す文字(ブラーフミー文字が起源とされている)。
仏教に深く繋がりのある文字です。
※ワシ、復活!
パワーユニット「Pスティルウォーター」の特殊能力「リフレッシュ」です。
※ホンマの後書き
何てことのない戦闘シーンの一つなのに……(なんでこんなに尺とってんだww)。