私にはクレアお
必要はないのかもしれない。だけど…、理解してみたかった。
「…ゴーゲンさんとは、どういう関係なんですか?」
「おやおや、。これはまた、
ゴーゲンさんは言ってた。「
そこには、私じゃ想像もできないような永い時間を生きた二人だからこそ生まれた切っても切れない何かがあるんじゃないかしら。
クレアお婆さんは口を開く前に、その
まるで、
「そうだね…、あの人は、私から大切な人を
…
お
それに、あの人はずっと「戦争」の中で生きてきたんだもの。
「でも、彼は私が愛した人から愛されてた人でもあるんだ。」
「……」
…
でも、それはどこか彼と彼の『
「わかるかい?私があの人を憎んじゃいけないのさ。この”愛”が本物だって自分に言い聞かせるためにはね。」
そう、私も『あの人』を恨めない。
だって、彼が
「こらこら、こんなことで泣かないでおくれよ。私まで悲しくなってしまうだろ?」
そんなつもりはなかった。
でも、
「
ゴーゲンさんは『魔女』なんて人種はいないって言ってたけれど、ここまでくるとどうしても私たちのような『
そうしていつの日か私も、このお婆さんのように暗い穴の中で
…彼から隠れて。
そう思うと、涙が止まらなかった。
「そうでもないさ。」
だけど、お婆さんはそんな私の安っぽい
「私は自分のことを
それは、私のことを
本気でそう思ってるの?…どうして?
だって、
それに、今まさにロマリア国で貴女の『悪夢』が貴女を苦しめようとしてるのに。
こんな「呪われた人生」が他にある?
どうしてそんなことが言えるの?
「私はアナタと違って
…私の涙は否定されたけれど、それでも私とお婆さんは
人じゃなく、化け物に
そして、
「そのお
どんなに
リンゴの「赤」を隠していた手は
「アナタたちに
…貴女がそれで良いと言うのなら。私に何か口を
こんな
だけど、かの『伝説』を
私にはまだ、彼女をとやかく言える
「ごめんね、
「それは、もう、いいんです。ただ…、」
私に
「私、貴女の子を殺すと思います。」
できるだけ
「そうかい。すまないね。」
「貴女のお願いだからじゃありません。私のために殺すんです。」
「ああ、わかったよ。」
「……」
「こっちに来てくれないかい?」
「…本当に、ごめんよ。」
足が不自由なのか。お婆さんは
か細い腕で、必死に。
私はそれに
「私こそ、ごめんなさい。」
彼女たちはもう、彼女たちの道を歩き終わって、それでも生きてるんだ。その上、道に
それだけで、「まだ生きていよう」って
私は、それでいいような気がした。十分な気がした。
本当に戦場に立つべきなのは、
「また、
「…はい。」
また、次の機会…。その時、私はお婆さんの子を殺してる。
「ああ、そうだ。」
お婆さんは私を
「ヨーゼフがアナタに持たせたあの
「…はい。クレアお婆さんも、
それが、私とお婆さんの最後の会話になった。
――――
待つことに
「おお、戻ったか。どうじゃった、あの婆さんとの話は役に立ったかのう?」
「…よく、わかりません。」
「そうか。」
クレアお婆さんは私に「彼の傍にいても大丈夫」だと
それだけが私の望みだったのに。
けれど、
私は自分ととても近しい
私の、大人の姿を。
こんなことを考えてる時点で私はもう、以前の私とは違ってる。
ゴーゲンさんの「愛」も受け入れられるようになった。
クレアお婆さんと話して、お婆さんの代わりに「私も戦争に
少し
そうして変わっていく私を、彼はどんな目で見るんだろう…。
それを思うと、少しだけ
「ゆっくり考えるといい。
「…はい。」
私の
…私はまだ
自分のために。彼のために。
……、
「…ゴーゲンさんは?」
「ん?」
「ゴーゲンさんはクレアさんに会って何か解決したんですか?」
二人の
だけど、どうしてゴーゲンさんはわざわざ命を差し出すような
彼女に会おうと思ったの?
会えば解決するようなこと?
「愛する人の命を
「そうさのう…。まあ、」
私は、どうするだろう。
彼女に会いたいと思うかしら。
彼女を目の前にした私は、彼女を許せるかしら。
……例え憎まなくても、私は、はずみで殺してしまうかもしれない。
彼女はそれだけのことをしたんだもの。
彼の命を危険に
それなのに…、
「
思った通りというか。
――――ラムールの町、中心部
そこに、フォーレス国を守護する霊峰らを
ギーア
世界でも
しかし、未完成ゆえか。
日々、
全国民の目を預かる寺院の完成はもはや、国の
ソレは、この国そのものといえた。
そして今、寺院前の広場には悪の
「
「
男の口にした呪いの代名詞に羊たちの不安は高まり、
「さらには、フォーレスの
高台に立つギーア教、最高位のフォーラ
「人の姿を
フォーレス国には3000年に
「奴らは今、我々の空を
「伝説」と名を変え、月と星々に
「しかし、恐れることはない!」
羊たちを
「我々の神、ギーア様の
3000年もの昔、心を
「お前たちは
彼らの迷いを
『悪夢』を
「いいや、できない。なぜなら、我々はこの
『光』は
「ゆえに
――
「
――
「奴らは
――彼らの目を
「我々の
彼らは信じている。
「ギーアの羊たちよ。主は我々の
この世に”
自分たちを
そこに求める「答え」があると信じて
神は全てを
全ては彼らの
今回もまた、一段と長い「あとがき」になっています。ごめんなさいm(__)m
※ヨーゼフがリーザに持たせた首飾り(水晶)
原作のキーアイテム「ノルの水晶」と、装備品「エメラルド」を合わせたものです。
○原作での「ノルの水晶」のアイテム解説は、
ホルンの村に伝わる秘宝。使う者に愛情があれば、モンスターに気持ちをつたえることができる。
(マザークレアの洞窟に入るために必要なアイテム、許可証のようなもの。)
○原作での「エメラルド」の解説と効果は、
リーザが装備する事により、このエメラルドのあたたかい光が、戦いに疲れたモンスター達の心と体に安らぎをもたらす。
(リーザの専用装備。毎ターン、仲間のHPを回復させる。)
原作での「エメラルド」のグラフィックは青い宝石ですが、今回は「ノルの水晶」に合わせて緑の宝石ということにします。
※屹立(きつりつ)
山、もしくは山のような巨大な物が威風堂々とそびえ立っていること。
※ギーア寺院
多分ですが、スペインのバルセロナにあるカトリック教会(キリスト教の宗派の一つ)、サグラダ・ファミリアをモチーフにしていると思われます。
「余談」
サグラダファミリアは1882年に着工し、色々と問題が起きながら今も建設作業が進められているそうです。
「サグラダファミリア」はスペイン東部のカタルーニャ州の言語らしく、日本語に訳すと「聖家族
贖罪教会とは、信者たちのお布施(寄付金)で建てられる教会のこと。
サグラダ・ファミリアは初代設計担当のフランシスコ・ビリャールから2代目アントニ・ガウディが引き継いだもので、完工には約300年かかると言われていた。
(現代では技術が進み、おおよそ2020年代で完工の見込みがあるとか)
※祭服(さいふく)、
聖職者が礼拝などの行事の際に着る衣装の総称です。
ミトラは司教や主教(偉い人)が祭事の時に被る帽子(冠)のことです。
ストールは聖職者が首からかける長い帯のことです。
※フォーラ教皇
「フォーラ」は名前ではありません。
キリスト教の宗派の一つ、ローマカトリック教会の最高位の聖職者、「ローマ教皇(またはローマ法王)」のような役職名です。
なので「フォーラ教皇」は「ロマリア教」の宗派の一つ、「フォーレス・ギーア教会」の最高位という意味で…よろしくお願いしますm(__)m
※羊と羊飼い
前回も書きましたが、この作品における大きな宗教は「キリスト教」をモチーフとした「ロマリア教」があり、このフォーレス編における「ギーア教」は「ローマ・カトリック」のような宗派の一つです。
なので、ここで出てくる「ギーアの羊」は「ギーア教の信徒全て」を指します。
また、「羊飼い」は「イエス・キリスト(もしくは12使徒)」のような神に遣われし導き手のような意味です。
……知識が浅いために、間違った解釈をしていたら申し訳ありません。
※聖杯(せいはい)
キリスト教における儀式(
キリストと12使徒が「最後の晩餐」で用いたとされる杯。
ゴルゴタの丘で
※喜捨(フォーリア)
「喜捨」は「きしゃ」と読みます。
意味は、「進んで信仰する何かに金品を寄付すること」「進んで貧しいものに
また、「フォーリア」は原作で登場する花の名前で、花言葉は「祈りを捧げます」。
今回は、フォーレス国で使われる「喜捨」の隠語として用いました。
※…なんか、見つけた(笑)
「聖杯」の注釈を付けるために色々と検索していたら、フォーレス編と関係あるのかないのか悩まされる単語をいくつか見つけてしまいました。
まず、見つけてしまった(w)経緯は、「聖杯の行方」の項目を読んでいた時、ニコラ・プッサンという画家の「アルカディアの牧人たち」という作品が「聖杯の行方」に関連していると書かれてあったところから始まります。
「『アルカディア』の牧人たち」に描かれている墓石には「私(死神)はアルカディアにおいてでさえも、存在している」というラテン語の名言が記されいるらしく、ヨーロッパの格言『メメント・モリ』(「死を忘れるな」「死を記憶せよ」「死を見詰めなさい」というような警告の言葉)を意味しているらしいです。
また、このような「死」を想起させる表現、作品などは14世紀、ヨーロッパの人口を3分の1を死に追いやった伝染病『ペスト(黒死病)』が原因の一つであり、このペストの流行った時期に『魔女狩り』も行われていたとか。
(魔女狩りの最盛期は15世紀から17世紀だそうですが)
●アルカディア
古代ギリシアより、ギリシア南部の特定地域を指す地名。
のほほんとした田園風景と、そこで幸せに暮らす牧人たちの様子がイメージになって「理想郷」という意味でもあるらしいです。
また、色々な戦乱に見舞われたためか。ヘレニズム時代(紀元前323年~紀元前30年)には傭兵の供給地ともなっていたそうです。
ここまでを見ると、何となくアーク世界の「アルディア」に関係しているようにも思えました。
私の中では「アルディア」は「アメリカ(自由と夢の国)」イメージで、マフィアこそいるものの、他の殺伐とした国々よりもよっぽど「理想郷」と言えるような。
また、「傭兵の供給地」は「ハンター発祥の地」と符合してる気がします。
●メメント・モリ
戦時中、絶好調の将軍が戦場に向かう際に掛けられた言葉で、「明日もアナタが絶好調とは限りませんよ(死んじゃうかもしれませんよ)」という警告らしいです。
僕の中では「ガルアーノ」は、魔女クレアの産み落とした「生と死の象徴」的な立ち位置で書いているので、「私(死神)はアルカディアにおいてでさえも、存在している」という格言、さらには「アルカディア」という地名は彼を指しているような気がしてなりません。
しかもそれが「将軍に向けた言葉」ともなれば、ねえ。
●ペスト
これに関しては単なるこじ付けなのかもしれませんが、
一説にはペストの原因はノミが病原菌の媒介になっていて、ネズミなどの動物がこれを広めたのだとか。
はたまた、そのネズミが大量に発生したのはネズミを狩る猫が減ったためであり、その猫が減ったのは「魔女の使い」として大量に処分されたからだ……という話もあるのとか、ないとか(笑)
ただ、この恐ろしい流行病の様子は「伝説の魔女(クレア)」の誕生のシーンを見ているような気分にさせます。
これらを踏まえると、「ガルアーノ(将軍)」と「エルク(傭兵)」、「リーザ(魔女)」そして「女神像の式典に現れる
…待て待て。じゃあ、魔女クレアを「聖母マリア」に例えるとガルアーノは「キリスト?」で、そうなるとエルクの初期装備が”槍”なのは、ガルアーノ(キリスト?)の「死」を暗示している(ロンギヌスの槍的な)。ガルアーノの研究によって生まれたキメラは「キリストの信者、使徒たち」……
…とまあ、私の暴走する妄想のお話でした(笑)
※忘れてました、ごめんなさいm(__)m
今回の最後に書いた教皇様のありがたいお話の部分なんですが、
原作では、リーザがラムール町に入る時に挿入されるシーンでした。
今回、フォーレス編の最後に回したのは、意図的にそうしたのではなく訳ではなく……m(__)m