聖櫃に抱かれた子どもたち   作:佐伯寿和2

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始まりの魔女 その三

細身(ほそみ)の大男が大事そうに(かか)える二本目の(かぎ)は、私もよく知る果実(かじつ)の形をしていた。

「…リンゴ?」

それは(まぎ)れもなく、間違えようもなく、リンゴだった。

けれど、もしかすると、そう見えているのは私だけで、他の人の目には別の物に(うつ)っているのかもしれない。

それくらい、その果物(くだもの)の登場は私の意表を()いていた。

市場(いちば)で売られてるリンゴとは別物だよ。これこそ、本物の”林檎(りんご)”というものなんだよ。」

「…本物の、リンゴ?」

それが「雲」と「蜘蛛(くも)」みたく、ただの言葉遊びじゃないことは知識のない私にもすぐに分かった。

その「赤い果物」の、隠しきれていない如何(いかが)わしさが私の警戒心(けいかいしん)をふんだんに刺激(しげき)した。

 

その「(あや)しさ」が私に、(かす)かに(あか)い光を()びているように見せる。

香水よりも強い、不自然に甘い(にお)いが鼻先に(から)()いてくる。

けれど、それ以外はいたって普通のリンゴ…。

「今の子たちでも耳にしたことくらいはあるんじゃないかい?この世に生まれた最初の人間は、林檎を食べて”知恵(ちえ)”を身に付けたって話をさ。」

知ってる。小さい(ころ)暖炉(だんろ)に集まる子どもたち相手に大人たちが色んな話してくれてたから。

「これがその林檎さ。…というのも少し可笑(おか)しな話だけれどね。少なくともこれが、生き物に変化をもたららす特別な果実だってことには変わりはないよ。それに、”林檎”という名前は本来(ほんらい)、そういう特別な力を持った食べ物を()すためのものなのさ。」

 

(ばあ)さんに手招(てまね)きされ、私はお婆さんの(すわ)(つくえ)対面(たいめん)まで進み出た。

 

「これを、食べるんですか?」

「それはアナタが決めることだよ。」

伝説(でんせつ)の魔女の口から「本物」と呼ばれる果実には、見る者に幻覚(げんかく)をみせる魔力があった。

強烈(きょうれつ)存在感(そんざいかん)(くわ)え、そこにある紅い果実こそが『私の力』そのものだと思わせるような。

そしてリンゴは私に(かた)りかけてくる。「さぁ、約束を()たす時だ」と。

 

…どこか私のよく知る『悪夢』と()(にお)いがする。

 

空に黒い魚が()れ、銃弾(じゅうだん)硝煙(しょうえん)の手を引き、村中を()(まわ)る。

そして、麻袋(あさぶくろ)(かぶ)った隣人(りんじん)が、(うつむ)きながら私への呪いの言葉を(とな)え続けてる。

 

その一言一句(いちごんいっく)、全てが目の前のたった一つの果実に()まってる。

それだけ、「赤」は(おそ)ろしく()えわたっていた。

「食べると、どうなるんですか?」

魔女の表情(ひょうじょう)(かた)まっていて、(おど)すでもなく(なだ)めるでもなく。ただただ私を観察(かんさつ)するようにジッと見詰(みつ)めてた。

「赤い果汁(かじゅう)がアナタの血に()じった時、アナタはアナタの本心を知る。」

お婆さんの(くちびる)は、リンゴの魔力に魅入(みい)られたかのように感情を()くしてる。

「赤い果肉(かにく)がアナタの肉になったなら、アナタは夢を現実にする。」

そこでリンゴ(かのじょ)の呪文は途切(とぎ)れた。

「……本心、夢、現実?」

かと思いきや、うっかり私が(こた)えるとリンゴはまた、お婆さんの唇を(あや)()す。

「アナタが欲しいものは何?強さ?弱さ?それとも優しさ?…それとも、()()()()()()()()()()。」

リンゴに呪われた魔女の言葉には運命(すべて)を動かす強制力(きょうせいりょく)のようなものがあるようで、ほんの少し、全身の(はだ)粟立(あわだ)つ思いをした。

 

「林檎はアナタをアナタの思うように変えてくれるわ。(たと)えば、その『力』を(うと)ましく思っているのなら、これを一齧(ひとかじ)りするだけでアナタの中から『魔女』は()()るわ。」

「…うそ。」

そんなに…、簡単に?

本当にそんなことができるの?

「はたまた、私すら呪い殺す『恐ろしい魔女』にだってなれる。」

「え?」

…何を言っているの?どうして私がそんなことを考なきゃいけないの?

「今のアナタのように、誰かを特別に想う心も()くして何かに(わずら)わしさを(おぼ)えることもない。アナタはアナタとして自由に生きられる。」

お婆さんの口調(くちょう)冗談(じょうだん)()はなかった。

「クレアお婆さん、私……」

(とな)え続けるお婆さんの唇を止めようとした。

それこそ、(ほう)っておけばその唇が、私の全てを決めてしまうような気がしたから。

それでも魔女の唇は私の目を見て動き続けた。

 

臆病(おくびょう)になってはいけないよ。本当に(のぞ)むものがあるのなら、それに立ち向かう強い意志も必要なのさ。」

臆病?

私が、皆に隠し事をしてるって言いたいの?

本当は、「私を(なや)ませるもの全部、消してしまいたい」なんて願ってるとでも?

「私、そんなこと…、」

でも、もしも、本当にそれで全てが終わるなら。「戦争」も「悪夢」も終わるのなら…、私は……、

 

……ううん、私、バカなことを考えてる!?

私、ついさっき『良い魔女』になるって(ちか)ったばかりじゃない!

リッツみたいに、私の犠牲(ぎせい)になる人をなくそうって!ゴーゲンさんと一緒(いっしょ)に戦うって約束したんじゃないの!?

それが今はもう、「全部から逃げられる」なんて甘い言葉に()いしれてる。

…信じられない。こんないい加減(かげん)な私、それこそ『悪魔』みたい。

気味が悪いっ!

 

…でも……、それでも、できることなら私は、ただただ彼に護られるだけの女になりたい。

だって、もう、これ以上(たたか)うのは嫌なんだもの…。

暴力と血を見るのはもうたくさんなんだものっ!

 

…でも…でも…でも……、

 

「どうしたんだい?これを食べたところで世界が終る(わけ)じゃないんだよ?ただ、アナタの答えに一歩、近付くだけさ。」

相変(あいか)わらずお婆さんは「魔女の目」で私を見詰め続けてる。

恐ろしいような、優しいような。不気味な瞳で私の返事を待ってる。

…でも……、

「……クレアお婆さん、ごめんなさい。私、これは食べられません。」

「どういうことだい?」

ようやく、お婆さんは「細く静かな目」を見開いて私を見た。

「言っておくけれど、この林檎を(みの)らせていた()はもう()れかけてる。もう二度と、手に入らないかもしれないよ?」

私は、そんなお婆さんの目を見てさらに意志を(かた)めた。

ヴィルマーさんから薬を受け取った時よりもハッキリと、私自身の『声』を耳にした。

「今でも、普通の女の子には(あこが)れてます。戦って誰かを殺すのはもうウンザリです。でも、私、護らなきゃいけない人がいるんです。」

 

……そう。

「その人は両親を殺されて、親友や恋人をその手で殺してしまったんです。」

今の私にとって、彼は私の大切な生きる目的。

「これ以上、彼を悲しませるような世界を放ってはおけないんです。」

彼がいつだって笑ってられる世界、それが私の夢。

「だったら尚更(なおさら)その『力』を強く、そして自由に(あつか)えるようにならないといけないんじゃないかい?」

「そうかもしれません。でも、少し違う気がするんです。」

(たい)した根拠(こんきょ)なんかない。

だって私はまだ、たかだか14歳の小娘なんだもの。クレアお婆さんやゴーゲンさんを納得(なっとく)させられるような立派(りっぱ)な考えなんて見つけられない。

だけど今の私なら、これだけは胸を()って言えるの。

「私、『良い魔女』になるって決めたんです。」

「『良い魔女』?」

あの『伝説の魔女』が、ポカンとしてる。その気持ち、よくわかる。

そもそも『魔女』が何なのか分かってない私にだって、それがどんなものか分かってないんだもの。

でも、それが今の私が考えられる精一杯(せいいっぱい)目標(もくひょう)なの。

「どうしてそれがこのリンゴを食べない理由になるのかまでは分かりません。ううん、食べても何も変わらないのかもしれない。」

彼と…、

「でも、何か違う気がするんです。なぜかとても卑怯(ひきょう)な感じがするんです。なんだか、そんなことをしたら彼に合わせる顔がなくなっちゃう気がするんです。…すみません。なんか私、()(まま)を言ってるだけですよね。」

最期(さいご)まで、笑っていられる自分でいるために。

 

 

「すみません、こんな貴重(きちょう)なものを用意してくださったのに。」

「フフフ、(かま)わないよ。それに、」

クレアさんは、すっかり「お婆さんの顔」に戻っていた。

「そうだね。この林檎がどんなにアナタに必要なものだったとしても、結局(けっきょく)は他人から『(あた)えられた(もの)』。アナタにとっては”毒”にしかならなかったのかもしれないね。どこぞのお姫様が、王子様にキスをせがむために自ら昏睡(こんすい)状態(じょうたい)になったようにさ。」

 

ふと、思った―――

 

お婆さんはどうしてこの、何処(どこ)から入手したかもわからない「貴重なリンゴ」を今、手元に置いていたんだろう。

「…そして、私はアナタに(あやま)らなきゃならないことがある。」

そんな私の疑問(ぎもん)見透(みす)かしたかのようにお婆さんは顔を(くも)らせ、話し始めた。

 

お婆さんは林檎を運んできた細身の大男の(かた)にソッと()れた。すると―――、

「…えっ!?」

細身の大男はみるみる()(ふく)()がり、ヘモジーよりも一回り以上大きな、屈強(くっきょう)な大男に変身した。

大きさだけじゃない。

愛嬌(あいきょう)のある桃色の(はだ)(かわ)いた赤土(あかつち)のような黄褐色(おうかっしょく)に変わって、手足の指がより獲物(えもの)(つか)むのに(てき)した形に変形してしまった。

それに『声色』も…、ソレはもう”別人”としか……。

「これが、過去に私が(おか)した(つみ)の一つさ。そして、私はアナタをその罪人(ざいにん)の一人にしていたかもしれない。」

「……」

(ふたた)び、お婆さんが触れると、褐色(かっしょく)の大男は元の桃色の、細身の大男に戻った。

「林檎は(たし)かにアナタを”答え”に近付けるかもしれない。けれど、もしもそれが私と”同じ答え”なら、私はアナタをここで(ほうむ)っていたかもしれない。今ある世界のために。そして、()()()()()。」

 

―――お婆さんは「狡猾(こうかつ)(へび)」だった。

 

だから表情がなくなってたんだ。

(うわさ)や悪意が口走る『魔女』はただの偶像(ぐうぞう)でしかない。けれども悲しいかな、『魔女』はそれを実現できるだけの『力』を持っているんだよ。」

私の心を不安定にして、「本性(ほんしょう)」を(さら)()させるために。

誤解(ごかい)しないでとは言わない。”毒”を”薬”と言った時点で私はアナタに少なからず”悪意”を持っていたんだよ。」

だけどオカシなことに、お婆さんの本音(ほんね)を聞いた私は俄然(がぜん)(とびら)の向こうの世界が気になってしまっていた。

「愛」や「真実」なんて、それこそ(つか)(どころ)のない偶像なのに。

お婆さんは私を(だま)したのに。

具体的(ぐたいてき)な心を言葉にしてくれたお婆さんに、心を許してもいい気になっていた。

 

「でもね、だからこそ、アナタに()()()()()()それが私の”答え”なのかもしれないと思ったの。」

「な、何の話ですか?」

話が二転三転して、とうとう私の頭は追い付かなくなってしまった。

結局、クレアお婆さんは何が言いたいの?

「私にはね、子どもがいるんだよ。」

子ども…。

不思議と、「子ども」というだけであらゆる『悪』を免除(めんじょ)されているように聞こえる。

それが例え、フォーレス国に多くの人を不幸にした『(わざわ)いの子』であっても。

「あの子はずっと昔に私の手を離れ、自分の意思で世界に大きな影響(えいきょう)を与えようとしてる。…まるで、見捨(みす)てた私への報復(ほうふく)のように。」

…見ていて胸が(いた)む。

もしも、私が「戦争」で沢山(たくさん)の人を殺したら、おじいちゃんも同じ顔をするのかしら。

「それでも私は、あの子を傍観(ぼうかん)することしかしてこなかった。」

そんな臆病なところも、ついさっき(わか)れたおじいちゃんにそっくり。

「罪は自分で(つぐな)うものだってわかってはいるさ。でもね、私の中にも割り切れない葛藤(かっとう)があるのさ。それを(ぬぐ)うために何度もこれを口にしたよ。」

『伝説の魔女』も、私と同じようにソレを「自分の『力』そのもの」だと感じているんだと思う。

そして、彼女はソレを「罪の(かたまり)」だとも思っている。

(しわ)だらけの手が、真っ赤な果実をソッと(おお)(かく)した。

 

「それでも殺せないんだよ。自分の子は、どうしても。」

確証(かくしょう)はない。でも、聞かなくてもなんとなく、”あの子”が誰なのかわかった気がした。

それでも私は納得(なっとく)がいかない。

だって、そうでしょ?

「私が殺したら、貴女は私を許せるんですか?」

「少なくとも(うら)みはしないだろうね。さっきのアナタの言葉を聞いて確信したわ。」

他人(ひと)に自分の子どもを殺すように仕向(しむ)けるなんて。

そんなことを望んでるなんて……、

聖母(マザー)が聞いて(あき)れますね。」

「そうだね。母親失格(しっかく)だと思うよ。それでもアナタにお願いしたいのさ。」

それでもこの人は蛇でもなく、魔女でもない目で私に懇願(こんがん)するんだ。

「どうか、あの子を殺してやってはくれないかい?」

お婆さんは自分が利用されるのが怖くて洞窟(どうくつ)(こも)ってるんじゃない。見つかってしまうのが怖くて逃げてたんだ。

自分の子に「怨みごと」を言われるかもしれないと思うと、()えられなくて。

 

私は思った。

「私には自分の手で”答え”を見つけるように説教(せっきょう)するのに、貴女は逃げるんですか?」

「…殺せないんだよ。」

人は皆、自分で自分の問題を解決できないくせに、他人(ひと)にはさもそれが(うたが)いようもない「世界の真理(しんり)」であるかのように語ってみせる。

それこそが「愛」だと(ほの)めかして自分の思うように操ろうとする。

「どうしても?」

「自分の首を落とした方が楽なくらいにね。」

「…なんでそうしないんですか?」

「それが、この”林檎の毒”なのさ。」

お婆さんは決して悪い人じゃない。

その言葉は経験の一つとして()()めてもいいのかもしれない。

だけど、それはお婆さんが人生の中で見つけた”答え”であって、必ずしも私の人生でも通用(つうよう)するなんてことはない。

だって、私は私。お婆さんはお婆さんなんだもの。

皆、同じ世界にいるけれど、皆が皆、「赤の他人」なんだもの…。

私はお婆さんの話をそう要約(ようやく)した。

 

 

すると、ノックもなく別の化け物が部屋に(あらわ)れた。

その化け物は入り口で立ち止まって私を一瞥(いちべつ)した後、簡潔(かんけつ)用件(ようけん)()べた。

「マザー、橋の修復(しゅうふく)()みました。」

「ご苦労様。傷の具合(ぐあい)はどうですか?」

力強い筋肉を(まと)ったソレは、目鼻が小さく、ワニのように口が()けてる。

とても、悪魔々々(あくまあくま)しい()()ちをした化け物だった。

随分(ずいぶん)良くなりました。もう、戦えます。」

「そうですか、それは良かった。では、休んだらまた村の監視(かんし)()いてもらえますか?」

「岩はどうします?」

「もう、必要ないでしょう。」

…私はこの化け物を知ってる。

「はい、わかりました。では…。」

そんな2、3mはあろうかという黄褐色(おうかっしょく)の悪魔の、象徴的(しょうちょうてき)だった角が片方(かたほう)()れている。

悪魔は机の上のリンゴと私に目を(くば)ると、今度は小さな侮蔑(ぶべつ)を『口にした』。

「やめておくれ。悪いのは私なのだから。」

それでも悪魔は憎々(にくにく)しい面構(つらがま)えのまま私を(にら)みつけ、彼女の体裁(ていさい)だけは守るように謝罪(しゃざい)してみせた。

「…申し訳ありません、マザー。」

悪魔は心からお婆さんを敬愛(けいあい)してる。

()()え、私は彼女を全然理解してない。

だから、知ったような憎まれ口でこの人を()めて、悪魔からも軽蔑(けいべつ)されてしまうんだ。

 

…知らなきゃいけないのかしら?それは私に必要なことなのかな?

「あの…、」

悪魔が部屋を出ていって、『声』が聞えなくなったのを確認してから私はオズオズとお婆さんに(たず)ねた。

「うん、どうしたんだい?」

「もしかして、ホルンの前の橋を(ふさ)いでた大岩は…、」

「ああ、私がしたことだよ。岩を退()けようとした者に反応する魔法もね。」

「…どうしてですか?」

あの事件がなかったら、リッツに迷惑(めいわく)を掛けなかったかもしれない。

憲兵(けんぺい)(つか)まってあんな(みじ)めな想いもしなくて良かった。

町の人にあんな想いもさせなくて()んだんだ。

それなのに…、

「あれは…、」

諸々(もろもろ)の人に苦痛を()いた犯人が目の前にいると知ると、途端(とたん)苛立(いらだ)ちが()()げてきた。

 

「私なりの、あの子への精一杯の主張(しゅちょう)だったんだよ。」

(ホルン)に、魔女に手を出すなって言いたかったの?

「でも、あの人たちは空から来るんですよ?あんなもの、何の意味もないわ。」

「だから”主張”なのさ。」

…ねえ、おじいちゃん。おじいちゃんもこんなだったの?

気付かれもしない小さな声でしか抵抗(ていこう)できないような人だったの?

「少なくともああすることであの子は私の存在に気付いたはずさ。あとは…あの子の反応次第(しだい)だった。」

一応(いちおう)、やろうとはしたんだ。

町の人に(おそ)われて「伝説」なんて(うた)われる”(あやま)ち”を(おか)した時のように、”答え”の逃げ場を()くそうとした。

あれはそういう小さな、小さな”勇気”の形。

 

でも、あんな「小さな勇気」一つで貴女がすべきことは全てやったって言うの?

私に押し付ける理由になるの?

それでどうやってこの人を理解すればいいの?

…わからないわ。




※細身の大男→原作の「野生ヘモジー」のことです。(ヘモジー系統の最下位種です)
※ヘモジーよりも一回り以上大きな、屈強な大男(黄褐色の肌)→原作の「キングヘモジー」のことです。(ヘモジー系統の最上位種)
※2、3mはあろうかという黄褐色の悪魔→原作の「ナイトストーカー」のことです。
153話「魂の帰郷その七」に登場したモンスターのことですね。

※本物の林檎
原作の「りんご」系アイテム全般を指しています。
「りんご」系統のアイテムには、
使用するとレベルアップする「みなぎる果実」や、MPを回復する「魔法のりんご」、HPを回復する「回復果物」などがあります。
私の作中ではそれぞれが個別のアイテムとして存在しているのではなく、使用者の意図(心の声)に応じて効果が変わることにします。

ちょっとした本編のネタバレになりますが、この「本物の林檎」は、
ミルマーナ国のトヨーケの森、恵みの精霊が育てる大樹でしか得られないことにします。

また、クレアお婆さん(スープは作りませんwww)が言う「本物の林檎」の話は、旧約聖書で語られる「失楽園」の重要なアイテム(禁断の果実)をモチーフにしています。
一応、「失楽園」の概要(がいよう)を書いておきます。

●「失楽園」ってな~に?
世界に「最初の人間」として生まれたアダム(男)とイブ(女)はエデンの園(楽園)で暮らしていました。
神様からは「この園にあるものは何でも食べていいよ。でもこの”善悪の知識の木”になる果物だけは食べちゃダメだからね。」と言われ、二人もそれに従って生活していました。
ところが、悪い蛇がイブをそそのかし、二人は果実を食べてしまいます。
すると、善悪(知恵、道徳など)を知った二人は裸であることを恥ずかしく思うようになり、局部を葉っぱで隠すようになります。
禁断の果実を口にしたことに気付いた神様は二人に様々な罰を与え、楽園から追放するのでした。

罰の内容は「永遠の命の喪失」、「労働の義務」、「出産時の苦痛」、「逃れられない男女間の恋愛」などなど。
ちなみに、男性の喉仏は、アダムが果実を喉に詰まらせたからできたそうです(笑)
                              ――おわり――

さらにちなみに、この「禁断の果実」は宗教や地域によってはイチジクだったり、ブドウやトマトだったりします。
リンゴであると言われる説の一つに、”善悪の知識の木”をラテン語で表記する時、”悪”の部分が”リンゴ”と同じ表記だから。だそうです。

さらにさらにちなみに、一応、この「アークの世界」では「ロマリア教」という「キリスト教」モチーフの宗教が広く布教されていることにしています。
キリスト教にもカトリックやプロテスタントなど宗派があるように、
アークの世界でもロマリア教から分裂したものや、ロマリア教の起源と言われるものがあることにします。
多分、本編では原作に登場する「ギーア教(詳しくはまた別の機会に)」だけを扱うことになると思います。

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