「ホルンの魔女」リーザと「
護るべき人質が無事だということと、悪魔が彼らを
最後に彼らの前に
完全
しかし、
「…
「
老夫の魔法で
「”勝者ノ
「…”
「ククク、我々ト同ジク
「……」
古の魔導師は
「叡智をはき違えた化け物よ。
「ククク、クククク……」
血走った爬虫類の瞳から光が
「…死んだんですか?」
小さな魔女は、かつて人間だった命の消えていく様をハッキリとその耳で『聞いていた』。
聞いた上で、老夫に承認を求めていた。
「そうじゃ。殺した。」
「……」
それがどんなに必要なことだったとしても、
「
「…それが、愛……。」
『ウルトゥス…、我が身を、
耳を
彼らの語る
小さな魔女は『呪われた伝説』の先にある「希望」を
いくつもの「戦場」を
「お姉ちゃんっ!!」
「リッツ……」
傷口は
顔や手は
初めて橋の前で出会った、愛らしい「少年」の
まるで、血と暴力を食べて育った鬼の子のように、それはそれは
彼の目が少女を求めてキラキラと光るほどに、その
…違う!
……リッツが怖いんじゃない。
この子が、「死んでいたかもしれない可能性」を
そして、この子にそう
私さえいなければ、この子が
こんな、化け物同士の醜い戦場に立つこともなかった。
こんな姿になることは…、なかった。
少年は少女の胸に
「お姉ちゃん…、お姉ちゃん……、」
鬼のような少年は、少女の胸に飛び込むと
自分の
「お姉ちゃん…、お姉ちゃん……、」
少女の
「リッツ……」
初めはその姿を見て恐ろしさしか覚えなかった。
「私のせいで……、」
だけどそれは
「どうして私の言うことを聞いてくれないの?」
「どうしてそんなに姿になってまで私に
「私が魔女だから?」
「知らない間に私、アナタを壊してしまったの?」
腕の中で
この子が、弱い生き物だから。
私みたいな化け物に、簡単に
「どうしてなの?」
「どうして、そんなに私と違うの?」
「なのに、どうして……。ねえ、どうして?」
強者と弱者の立場が
心の底でそれを
…お願い。そうじゃないと言って。お願い……。
『お姉ちゃん……』
「…リッツ……」
少女は耳と口を塞ぎ、その小さな背中に回した両腕で少年の「震え」を
そして一言だけ、ようやく見つけた―――恐怖の中に
「…ありがとう、リッツ……。」
「…!?…うっ、うぅっ!」
その言葉が聞きたくて…。
ただただ好きな人に一人前だと
「
「ううぅっ!」
少年は少女の立っている戦場を体で感じ、彼女の強さを
それに遠く
けれど、そんな彼女が「ありがとう」と……
少年はその
「リーザ……、」
声に
「おじいちゃん、みんな…、」
目の前にして、彼女は改めて愛する人の
「…リーザ……、」
少年が身を引いたことにも気付かず、少女はゆっくりと歩み寄る老爺に吸い寄せられるように抱きついた。
「こんな…、
長く
それに、前よりも少し背中が曲がってる。
まるで、数年後のおじいちゃんを見ているような……。
私の知ってるおじいちゃんは村の過去に
だけど、目の前のおじいちゃんは、ひどく疲れた
死期の近い犬のように
それが、ひどく悲しかった。
この人はもう、
前みたいに私を護れないと思う。
前みたいに私を
前みたいに…、
…この人はもう、私の知ってる「おじいちゃん」じゃないのかもしれない。
だけど、生きてる。
「無事で、良かった……、」
今でも私を『想ってくれてる』。
「おぉ、おぉ……、」
それだけで十分じゃない……。
「おじいちゃん……。」
だから、おじいちゃんを悪く思うこの気持ちを改めなきゃいけないってことくらいわかってる。
「おぉ、おぉ……、」
だって、そうじゃなきゃこの涙は受け取れない。
そうじゃなきゃ、ここまで来た意味がない。
私は『良い魔女』にならなきゃいけないから…。
だから私は、
「おじいちゃん…、ただいま……」
※小隊
軍隊の編成の規模の一つで、分隊、小隊、中隊、大隊とあります。
ちなみに、小隊の規模は30人から60人くらいの規模の編成を言います。
※端で(たんで)
杖の「先端」を略しました。
詳しくは調べていませんが、「端で」などという使い方はしないと思います。
※クラヴィス・オルマン
原作で登場する「クラヴィスの本」はほとんどのステータス以上を回避する装備アイテムです。
鑑定では、「賢者クラヴィスが疲れた心と身体のいやしかたについて著した本。長い時間のおかげで持つだけで効果があらわれるようになった。」という解説がつきます。
これに以下のような自己解釈を付け足しました。
彼、クラヴィス・オルマンは多くの著書を残しました。
彼はある日、夢の中で”救済”(原作の「クラヴィスの本」のもと)というタイトルの本を目にしました。
読破した時、彼は得も言われぬ開放感と安らぎを覚えました。
目を覚ました彼はそれを再現しようと試みますが、なにせ一度きりの夢の話。
記憶は定かではなく、迷走に迷走を重ね、ついには精神病まで患ってしまうことになりました。
書くこと以外に生き方を知らない彼はそれでも”救済”を起こし続けます。
そうして遂にそれを再現し終えた時、彼は安らかな眠りについていましたとさ。
クラヴィスは優れた考察力をもっており、彼のしたためる言葉に多くの人が真理を感じました。
そんな彼に敬意を表して”(真理の扉を開く)鍵師”という異名が付けられました。
そして、精神疾患を抱えていた時期に生まれた一冊が本編の”悪魔”です。
”救済”を思い出すためにその真逆の、闇や悪といった負の感情に視点を置いた一冊です。
ちなみに「クラヴィス(Clavis)」はラテン語で「鍵」という意味だそうです。
どうでもいいことですが、「オルマン」は私の創作です。
今回のゴーゲンと竜の文言を要約すると、
竜の方
「勝者(生き残った者)は言いたい放題言えるよね?だって世界を回してるのはアンタたちなんだから。
そうして神様まで食い物にして(宗教という商売で)世界中の人の心を魅了し、アンタたちは世界を自分たちの解釈で動かしていくんだ。
まるでそれが真実であるかのように。」
ゴーゲンの方
「知ってたか?ありもしないことを思い描く夢想家はあらゆる物事を現実にしてしまう可能性を持っているんだぜ?
でも、所詮は独りよがりな空想だから、生まれてきたものは不完全だし矛盾もあるかもしれない(堕胎→未成熟児)。
だから周りの人間を混乱させちまうかも。
でも夢想家はそんなのお構いなしに一つの空想(悪)で気が済んだら、すぐに次の空想(人)を巡らせ始めやがる。
だけど、夢想家にだって時に前の空想が邪魔になることだってある。
すると夢想家は自分の都合の良いように前の空想を捻じ曲げちまうんだ(悪が人に倒される)。
その連続さ(人が悪になる→次の人に倒される)。
そんな人間と付き合ってみろよ。頭がオカシクなっちまうだろ?
夢想家ってのはそういう”犯罪者”なんだよ。
でもさ、この事実を知ってたって、きっとお前(読者)は奴ら(夢想家)に関わろうとはしないだろ?
誰かが奴らに犯されてたって野放しにするだろ?
だったら、お前はそういう”犯罪者”なのさ。」
みたいな感じですm(__)m
……でもさ、そうなるとゴーゲンだって「悪」ですよね?
でも、そんなの関係ねぇ(笑)
※ヨーゼフ・フローラ・メルノ
リーザの祖父の名前です。
※ブリキ
薄い鉄板にスズ(Sn)をコーティングしたもの。
これを調べるまでブリキは何かの金属の別名だと思ってました(^_^;)