「すまんが、頼まれてくれるか?」
待ち人を
「キィ?」
「お前さんらなら嫌というほど知っておるじゃろう?儂のことなら心配いらんよ。」
「キッキッキ!」
「ホッホッホ、言うではないか。では、今度の掛け金のスメリア産
『キキィ!!』
まるでそれを待っていたかのように、三匹は
「全く、その
そして、老夫の言葉を聞き終えるよりも早く三匹の小人たちは全速力で来た道を引き返していった。
「……さて。」
老夫は三匹の姿が見えなくなったのを確認すると、杖の足で床をノックし、ノックと同時に姿を消した。
――――
「…フン。」
そこにはいくつもの「
縦幅はサメを、横幅はゾウさえも入れられるそれらは部屋の壁を
水でない
「どうだ?良い
「この世界を
男は一つひとつの
「まだまだ能力値は低いが、今回の作戦が成功すれば
「…キサマが、この
「
白衣の男は
「ところでゴーゲン
「……」
男の言葉に
「ノル・ヴィラモアール・ヘクタ・ゴガールか?それともウルトゥス・フラド・アダンだろうか?…さて、どちらが今の本当のアナタなのかな?」
「……」
男の口にする二つの名は、老夫の
「ククク…。アナタが、いや、
「
目の前の
……そう、あれは”妬み”だった。
どうして彼を
どんなに苦労を
それが
「
あの状態に
だのに、アークがあの異次元の扉を開いた瞬間、私は「ゴーゲン」として目を覚ましていた。
「別に、私はアナタを
彼の
初めて、全身に
アークが私を
だが、
誰の目にも
「アナタだからこそ、この世に
そして、彼らに同行して『
「
「…信じてもらえないだろうが、」
たったひと時の感情で。
「
その
「世界
命が命を
それは『世界』が息をする上でなくてはならない
「なぜアナタほどの魔導士が魔に
だが私は、殺してはならない人を殺した。
私は今も、『世界』の首を
「それは今とて変わらない。アナタの『力』を
アークと旅をして間もなく、『力』にも
「だというのにアナタは仲間に正体を
そして、貴方が”救済”の先に見ていた未来も……。
「どうか私が死ぬ前に教えてくれ。…いったいアナタの真の目的は何なのだ。」
ウルス、お前といる時だけは――――
”ゴーゲン”は
「…
「長々と何をくっちゃべるかと思えば。
「だからキサマらは悪なのだ。人の『悪夢』を好む、命
老夫は自らを
目の前の
「我らが『悪』だというのは
「キサマが?!
瞬間、老夫の3000年の
風が部屋のあらゆるものに
ギィャアアァァアァァッ!!
たちまち、風は肉の
黒い煙が男の顔面から
ところが、
その
「罪を知れ。それがキサマの望む探究者に
「人は弱い生き物だ。キサマらよりも
炎が
「……」
「ノルよ、私は必ずや、貴方の目的を
その
それでも老夫の中で生きる「彼」は、その
そこには
「さすがだな。大魔導師ゴーゲン。あの所長をまるで
「まったく、次から次へとゴミのように。」
「…そう言われても仕方ない。もはやアナタ相手に
「くどい。キサマらの遊びが
彼らの
「
分かっていた。
老夫が自分たちになびかないことくらい。
それでも研究所の男たちは老夫の
彼らの主人が
「
しかしこれが、
「いいや、真実だ。アナタが我々と同じ言葉を使っているならばの話だがな。」
「科学者ごときが魔導師に”言葉”を
「…残念だ。アナタはまだその道を
老夫はまた、痰を吐き捨てると悪魔たちを
その
「知ったような口を…。
それは意図せず口から出た、老夫の本音だった。
そして、その
「なぜだ?!なぜアナタは人間の肩を持ち、我々に牙を向ける!」
彼らは「戦争」が
「…何を今さら―――、」
「戦争」が、彼らの「未来」を形作る多くの
資源、サンプル、先人の
「同じ人間だからか?3000の
そして今もまた、その「
「
彼らが悪魔であるが
「……いいだろう。ならばせめて、我々を
その「
「リーザのことか?儂らをバラバラにすれば勝てるとでも思ったか?」
「例え
だからこそ、
戦争は、「未来」を
だからこそ、
戦争は、どれだけの時で
そして戦争の前では
「
歯を
「キサマらでは
彼は
「恥」の
いっそのこと、『壁』が全てを奪ってくれたなら…。
血に
……数分後には、部屋を
――――
……そんな話は聞いていない。
どうしてお前にそんな
魔術師の命が小さな魔女の叫びで溶けていく中、その目は使命を
…あのジジイの
『あああぁぁああぁぁぁっ!!』
だが、小娘は気付いていない。ヤツの化け物たちも動けない今、状況は変わらないはず。
そうだ、何も…、変わらな……!?
ヘモジーたちだけでなく、その場に
そして
「アァッ!」
痛みに
しかし、それでも押し寄せてくる「痛み」と「狂気」は少女の意識を簡単に焼き切ってしまった。
倒れる少女を見届けることもなく、狼は足元の
――――新たな
彼女に「苦痛」を与えるものを、狼は許さない。
意識を失ったままの
……リリー
狼は少女が
目を覚ました彼女が泣きださないように……、
抱きしめた。
※ゲオール
原作には登場しません。
※ゴーゲンの正体
話の序盤も序盤で「?」が浮かんだことかと思いますww
ゴーゲン含め、3000年前に登場した「七勇者」に関しては分からないことが多いのに、どうしても避けては通れない問題だったので、かなりこじ付けではありますが自分なりに設定をもうけてみました。
「今回の七勇者設定の焦点」
原作のグレイシーヌ国、図書館にて七勇者の解説がわずかにされています。
そこにはグラナダ、ソル、バルダ、ワイト、ゲニマイ、ハト、ゴーゲンという七勇者たちの名前が書かれています。
ですが、鍛冶屋でアイテムを鑑定すると、「ラークの紋章」には「七勇者の一人、魔術師ノル」の名が。「魔力の数珠」には「七勇者の一人、魔導師ウルトゥス」の名が出てくるのです。
……9人いるじゃん!みたいなね。
(以下、9割が自己解釈です。原作とはほとんど関係ありません。)
「自作の設定」~~~~~~~~~~~~
ゴーゲン(肉体)の本名は、ノル・ヴィラモアール・ヘクタ・ゴガール。
3000年前に起きた人類滅亡の前兆を調査するために派遣された使節団に加わり、聖騎士グラナダ他6名と共に聖櫃をスメリアに持ち帰った男。
「ゴーゲン」は3000年前の時代で、最高位の魔導師にのみ許された敬称。
(中国の歴史で、
ノルは天性の才覚をもってあらゆる知識を発掘し、あらゆる現場でそれを発揮してきた経緯の下、実質的な魔導師の長として名を
一方、ウルトゥス・フラド・アダンという名の青年もまた、
しかし、ウルトゥスはそれで満足できなかった。
ウルトゥスは幼少より周囲に自分より秀でた人間がいた経験がなかったため、自分の上に立つ「ノル」という存在に耐え難い苦痛を感じていた。
ノルの生み出したものを片端から手に入れ、学び、彼を越える日を追い求めた。
だが、その日はやってこなかった。
能力を買われたウルトゥスはノルと同じ使節団に加わるも、戦いの最中、致命的な傷を負い、さらに部隊から
戦場に残されたウルトゥスは、ノルへの執着心に付け込まれ悪魔に魂を売り渡してしまう。
化け物へと変貌したウルトゥスはグラナダらの前に現れ、一行を苦しめる。(ウルトゥス、人としての人格を失った状態)
一行はノルの提案により、(魔物がウルトゥスであると気付かないまま)ノルもろともウルトゥスを異次元に封印する。
異次元の中、ノルはウルトゥスに自由を奪われてしまうが、結界(マジックシールド)を張りつつ、相手の生命力を吸い取る魔法(ロブマインド)でいつ終わるともしれない延命措置を取り続けた。
その状態で1000年が過ぎようかという時、ノルは自身に違和感を覚え始めていた。
そして、ノルは気付いてしまう。
自分と共に封印されている化け物が親愛なるウルトゥスであることに。
ノルは魔法に細工を施した。
自身の精神とウルトゥスの精神を入れ替えるように。
ノルはウルトゥスの心を宿した肉体に命を吹き込み続け、さらに2000年の時が経った。
化け物に乗り移ったノルに限界が訪れようとしたその時、封印はアークらによって解かれた。
ノルは化け物として、本能の赴くままにアークらを攻撃してしまうが、すでに瀕死の状態のため、力をつけて間もないアークらでも辛うじて撃退することに成功する。
その後、解放されたノルの体にはウルトゥスの心が宿り、ウルトゥスは自分の力でノルの体を乗っ取ったと勘違いする。
ノルのいない世界で人の心を取り戻したウルトゥスは、ノルの体に残った記憶も相まって自分の中の「悪」に
ウルトゥスは、聖櫃に現代の新たな勇者(力や悪夢と向き合う
七勇者の伝説がつくられる際、七勇者をノルとする派閥とウルトゥスとする派閥があり、この争いを収めるために「ゴーゲン(最高位の魔導師)」と個人を特定しない方法で一応の解決をみた。
また、七勇者になったゴーゲンに敬意を払い、以降、「ゴーゲン」という敬称は使われなくなった。
~~~~~~~~~~~~~~~
……という、かなり複雑な設定をつくってしまいました(^_^;)
詳細はフォーレス編が終わった後、Bパートにでも投稿できればと考えています。
※溶銑(ようせん)
銑鉄(せんてつ)という溶鉱炉で溶かした炭素を含む鉄のこと。
※くっちゃべる
「無駄に喋っている」「無駄話」の意味の北海道弁らしいです。
※しる
知る…学習や経験により、知識や情報を得ること。一般的な「知る」という行為の総称。
識る…得た知識を自分の中で噛み砕き、物事を理解すること。
※徴収(ちょうしゅう)
国家や団体がその権力(法律や規約)でもって対象者から必要な金銭や物品を押収、回収すること。
※若気(わかげ)
思慮分別に欠けている年頃の心情。後先を考えない血気盛んな気持ち。
一般的に「若気の至り」という「若い頃に犯してしまった過ち」という意味の慣用句で使われますね。
※三千世界
仏教用語。「全宇宙」の意味。
私たちの住む場所の周囲には四つの大きな島(四大洲)があり、その周りには九つの山と八つの海がある。
これを一つの「小さな世界」としています。
この「小さな世界」が1000個集まったものを「小千世界」といい、この「小千世界」が1000個集まったものを「中千世界」といい、この「中千世界」が1000個集まったものを「大千世界」と言います。
この「大千世界」は「三千大千世界」と言い換えられ、これを略した言葉が「三千世界」です。
ちなみに「三千世界」とは言いますが、実際には1000の三乗なので、10億の「小世界」ですね。