――――クレニア島、
天を
風を
そして、獣たちのマーキングは森の外の住人を寄せ付けない。
すると、いつしかそこには多くの「秘密」が持ち込まれるようになっていた。
ここで
これらの危険を
強い
そういう意味を込められ、この岩場は名付けられた。
そして、この時期もっとも多く持ち込まれる「秘密」は、人の目に
「大会」などという用意されたものでは満足できない、
しかし、大会は
そこに、森の住人と
ヒグマのような
何も知らない人間が彼を見たなら十人が十人とも、彼を「人間」と呼ぶことを
その
しかし、それは彼が望んで自らを
そうである必要性に
「ではグルガ殿、この条件で
数人の黒づくめが巨人を
「あぁ、問題ない。」
「くれぐれも、約束を
「戦士に二言はない。」
巨人は傷つくことを
一度たりとも、彼を
幾千の悲鳴も、彼の心を
彼は幾万の傷を抱え、それでも前へ前へと進み続けることを止めない。
何かを勝ち取るために。
誰かを護るために。
彼は傷つき続けた。
「それを聞いて安心したよ。」
彼の性格を知る黒づくめたちは巨人を解放し、森を後にした。
――――数時間後、クレニア島「カジキ
……エレナ、歌っているのか?
その歌声は小さく
私を育ててきた
ふと、
「家」を
私は罪深い男だ。そして、あの子はとても優しい子だ。
……
もう少しだけ、待っていてくれ。
その羽を
「おぉ、グルガ。帰ったか。」
「……これは、エレナなのか?」
あの子を傍に置いて5年になるが、こんな声で歌ってみせたことは一度もない。
「良い声だろ?あの妖精が教えてるのさ。」
「妖精?なんだそれは。」
聞き返すと、海で見つけた青髪の女のことをガーレッジは
「…危ない
「ハハハ、バカなことを聞くんだな。お前が大丈夫だと言って連れてきたんだろう。」
「…そうだったな。いや、
……無意識に、白い
「イイ女だったよ。気が強くてユーモアがある。」
ガーレッジの
「まるでアンタの奥さんだな。」
「そうか?…いいや、そうだな。そういうことにしておこう!」
ガーレッジは大声で笑い、妖精の話を打ち切った。
「ところでグルガよ、仕上がり
「問題ない。明日も
「不思議なものだな。お前の言葉は他の誰よりも力強く、
「
ガーレッジは妖精の時と同様に笑ってみせ、私の背中を何度も
「私はお前のそんなところが大好きなのさ!」
……「
だから
「ありがとう。」
としか答えることのできない自分がいる。
こういう返答しかできない私の生き方は
――――カジキ亭、屋上
「そうだよ、エレナ。いい
座り込む私の腕の中で、エレナは朝焼けを歌う小鳥のように
「お姉ちゃん、私、こんなに風が気持ち良いの初めて。」
町が島の
「そうだろ?鳥が卵の
まだまだ
……だったらさ。なあ、エレナ?私の
今の私には無理だからさ。
アイツに、私は元気だって、
「……お姉ちゃん、泣いてるの?」
歌うの止め、エレナはべそをかく私を見上げた。
「感動したんだよ。アンタ、いい声で歌うじゃないか。」
「…ありがとう。…でも、泣いてるお姉ちゃんは…、なんかイヤだな。」
私の腕の中でもぞもぞと
「そうだね。アタシも笑ってるアンタの方が好きだよ。」
ミレントに飯の時間を
――――カジキ亭、グルガとエレナの部屋
「……アンタがグルガかい?」
部屋に戻ると、大きな黒い
「お父さん、お帰りなさい!!」
エレナは
思わず私は気の
だけど、その
「ああ。君のことはガーレッジとミレントから聞いている。娘の相手をしてくれてありがとう。」
さらに、危なげなく飛び込んでくる女の子を受け止める大男の声が、その表情に
「なに言ってんだか。助けてもらったのはアタシなんだから、礼を言うのもアタシの方だろ。」
肌の色はさて置き、一目見てこの男が島の外の人間だってことが理解できた。
その
服から
そして、ゆとりのある服の上からでも分かる大男の
「化け物」とは言わない。確かにこいつは「人間」だ。
だけど、ミレントの言うように「普通」でもない。
「人助けは当然だ。誰でもそうしたさ。」
「そうかい。じゃあ、アンタの言葉もありがたく
「エレナ、歌を教えてもらったのだろう?お前も礼を言いなさい。」
大男は
「うん。ありがとう、お姉ちゃん!私、もっとたくさん練習するから。」
「ハハ、そうだね。アンタなら良い歌手になれるよ。」
「シャンテみたいに?」
「アタシなんかよりもずっとさ。だろ?」
アタシは
大男は一瞬、私の問い掛けに言葉を
……私は他人を
言葉少なでも、その一言は
大きな体に
「こら、エレナ。お客さんの前だぞ。」
「あ、ごめんなさい!」
そんな、
「気にしないどくれよ。アタシはすぐに
二人の
私は
そんなアタシの背中に「…ご飯、
「…悪いけど、まだ腹が
「そう…。」
エレナはあからさまに
さらに、エレナを抱くグルガが私に向かって口を開こうとしているとなると、私は迷わずにお休みの
「それよりエレナ、明日も歌、教えてあげるから。今日、言ったこと忘れちゃダメだよ。」
「…うん、わかった。絶対だよ!」
「ああ、約束するよ。…お休み。」
「おやすみなさい。」
エレナは好きだし、ミレントとも仲良くやりたいと思う。
でも私は……、一人がいいの。
――――数時間後、「カジキ亭」、シャンテの部屋
エレナを寝かしつけたらしいグルガが
アタシはガーレッジに用意してもらった赤ワインを片手に彼を出迎える。
「体はもう大丈夫なのか?」
「ああ、なんともないよ。そもそもアタシは
アタシは
彼は明らかにアタシを
けれどもこの大男はアタシの
「君は何かの
「
「……」
その
「確かに私は
なるほど。
この男は、
自分で
形は
「今の私はエレナの
「……」
自分があの子の養父だって立場を
だけど、コイツはそれ以上に
戦争が人を選んだりなんかするもんか。
それに、一度
そしてお前は「消す側」じゃない。「燃やす側」の人間だ。
アタシと立場は違う。だけど、
だから、「知ったことじゃないね」どれだけそう言ってやりたかったか。
「言われなくても分かってるさ。」
それでも今の私にはそれを言う勇気がなかった。
私はもうミレントと知り合ってしまったし、エレナに
もう、「他人」じゃない。
「武闘大会が終われば船も動くんだろ?アタシはそれに乗って出ていくさ。」
「すまない。」
「さっきも言っただろ?アンタが
少なくとも、私に
「一つ聞きたいんだけどさ。」
「なんだ。」
大男は
「アンタが武闘大会に出てるのはエレナのためなんだよね?」
国際的な
「……もしも口にすることが
「”未来”、ねえ。」
さっきからグルガはやけにあっさりと口を
おそらく「
そして、アタシみたいな無関係で数日後には目の前から消えているような女は都合がいい。ただ、それだけの事なんだ。
「
「…聞いて欲しいのかい?」
私に言われてようやく「弱い自分」に気付いたらしい。
グルガは
「すまない。
「聞いたのは私だよ。」
「…そうだったな。」
とにかく、この大男は他人のために
一瞬、あの黒いゴキブリと
だけど、アタシはすぐに思い
だって、アレとこの男の間にある決定的な違いを、私はすでに見つけているから。
この半日で私が見たエレナの顔は、エレナよりも
それは人間として、親として天と地ほどの差がある。
私は
この男は良い父親だ。
だからこそ
彼が私の父でなかったことに――――
たった一人の、私の弟を護ってくれなかったことに――――
※グルガ巨人伝!
公式設定では202㎝、102㎏なのでヒグマ(体長2.5-3.0mで体重250-500kg)は言い過ぎかな?と思ったんですがメスは一回り小さく(体長1.8-2.5mで体重100-300kg)なので、まあ、ギリでしょう(笑)
ちなみにシャンテは170㎝、50㎏です。
彼女の目から見ればなおさらですね。
※グルガの素ッパ伝!!
散々悩みました。
裸にフンドシ一丁がトレードマークのグルガに汚らわしい物を着せていいものかどうか(^_^;)
ですが、常識的に考えて答えはすでに出ていました(笑)
エレナのためにも、変態さんは更生させていただきましたm(__)m
古代ギリシャ的な一枚布も考えましたが、娘がキチンと洋服を着ているのにお父さんが民族的な衣装では周囲から余計な注目を集めてしまうんじゃないかな~と思って、彼にも
ソニーさん、キャラクターの個性を殺してしまって本当にゴメンナサイm(__)m
※シャンテの不死身
本来なら前々回の後書きに書くべきでしたが、書くのをすっかり忘れてしまっていたのでここで書きます(笑)
何を隠そう、彼女の「不死身」設定はこのシナリオのために付けたと言っても過言ではありません。
だって、航行中の飛行船(少なくとも300m以上上空)から海面に叩きつけられているわけですから。その後の冒険に支障がでないためにも「不死身」さんにする方が都合が良かったんです。
ちなみに、私たちが日常的に乗っている航空機の飛んでいる高さ(巡航高度)はエンジンの燃焼率と空気抵抗の都合上、約1万メートルがちょうどイイらしいですよ。
これとは違って気体を抱えて
ですが、世界では今、成層圏を飛ぶ飛行船を開発中なんだそうです。
夢がありますね!!