「まずは、あれだけの苦痛を与えられてなおワシに
悪魔の巣”白い家”、その
ブランコ、シーソー、砂場、タイヤ…。「侵入者」には目もくれず、そこにある
「だがな、シャンテ。その
そして、この箱庭を
ガルアーノ…らしき男が。
「そう思うなら今すぐあの子のデータを
彼女の言葉を耳にしたガルアーノは、マフィアのドンに
「約束?ククク、どうした。
それでも彼女の
「
その
だが、彼女が『人間』である以上、一度
負けじと浮かべる彼女の笑みに”
「残念だったな。
「ゴタクはイイんだよ!弟はどこだって聞いてんだ!」
「……」
男の顔から笑みが消え、部下に何事かを命じている。
「ガキどもを起こせ」男の唇はそう動いていた。
そして、
俺は先の
「エルクはどうした。」
俺の問いにガルアーノが答えるとは思ってない。だが少なくとも、その
ところが、俺の予想を裏切り、シャンテの行動を無視し、男は
「あの爆発音が聞こえなかったか?」
ヤツの
「…
頭では、完全に冷静でいるつもりだった。そういう可能性も覚悟もしていた。
だが気が付けば俺の目の前には悪魔の姿があった。他への注意を忘れ、ヤツの顔だけを映し、ショットガンを乱射していた。
一発目はガラスに
だが、二発目に穴を開け、三発目に悪魔の頭を吹き飛ばした。
だが――――、
「クハハハ、まさか訓練された犬にこんな人間
男の顔は間違いなく
「だが
であるにも
「それでも心配することはない。」
意味ありげな男の言葉で我に返り、俺は
そして、またしても悪魔は俺から
「代わりなら
悪魔は笑い――――、
「そして、喜べ。エルクのサンプルは
手にしたナイフを――――、
「もしも、ここを生きて出られたなら
俺の心臓に
この感情は以前にも経験があったような気がする
とても大切なもので、とてつもなく憎むべきもの
そして、かつての『
またしても、俺は「俺」でなくなっていた。
腕が傷つくのも
意味なんかない。体が、そうせずにはいられなくなっていた。心と
それでも、悪魔は微動だにしない。飛び散る
そして、ヤツは血に
「
「!?」
背後から
それは俺に振り返る
訳も分からぬまま
振り返ると、これを
確実に、高レベルの化け物だ。
熊ほどもある大きな体。
そこから
襲い来る狂戦士の一振りを素手で
しかし、強化された狂戦士の頭は完全には吹き飛ばない。着地と同時に、振り返る勢いのまま、
それは一撃目よりも
今度こそ頭部を完全に撃ち抜かれた狂戦士は、悪魔に
だが、これで終わりじゃない。
悪魔はすでに、俺のための片道
「さらばだ。あの世で少佐にヨロシクと伝えてくれたまえ。」
……間違いない。悪魔は俺の
悪魔の言葉に気を取られつつも
「……これが、”白い家”の本当の姿か。」
子どもたちがここで
全身がヘドロ状に
巨大なコウモリ、虫、狼、狂戦士がまるで
あの毛深い羽も、
それは二度と帰ってこない。
全ては『夢』の中に
これが、化けの皮を
弱く
「
悪魔の一言が、産まれたばかりの『
――――直後、
ズンッ、ズンッ、ズンッ、ズンッ!!
「……来たか。」
もはや、ここに居る誰もがこの爆撃を仕掛けた者の正体に気付いていた。
そして誰もが、この”白い家”がその犯罪者の手によって
「フン……」
憎らしげに天を見上げる悪魔は、目の前の二人に
……いよいよ時間がなくなってきたな。
「……フッ」
黒装束は
どう
俺を
……足りないな。
目の前にいる化け物の数が、ついさっきまでいた子どもの数と食い違っていた。
さっきまでは―――
もしも奴らの
そもそも、今、目にしている数だけでも多くの体力を
さっきの狂戦士一匹にしても
間違いなく、ここに
シャンテに関して言えば、一体でも
目を
……だが、今は彼女の心配をしている
一対一や言葉の通じる相手ならともかく、飢えた
こんな状態で正常な戦闘行動がとれるはずもない。
ガルアーノの後を追ったところで、俺の
そして、アークが迫っている。
今や、逃げられるかどうかも
……それでも、迷っている時間はない。一か八か、
だが、それは完全な悪手だった。
煙が俺の姿を隠す前に
「……同じ手が二度も通用すると思ったか?」
身に覚えのある
姿の見えないソレは、俺の撒いた煙を
……どうにもならない
逃げ場は、ない。
………すまない、エルク
俺はその時を受け入れ――――!?
ギャアアアアアアア!!!
ところが、甲虫を焼き殺すほどに
消失した直後も光は俺の目に焼き付かず、視界はハッキリとしていた。
そして――――、
「こっちだっ!」
地獄のような戦場を
※狂戦士=原作の「ソードマン」です。
原作に、「狂戦士(英語でバーサーカー)」という名のモンスターがいますが、それも含め、一部の「ソードマン系統」、「ナイト系統」をひっくるめて「狂戦士」と呼ぼうと思います。
……というか、その時々で使い分けると思います(笑)
※狂戦士の斬撃
一発目にシュウを襲った斬撃は原作の魔法「振り下ろし」です。
※王甲虫(おうこうちゅう)=原作の「マイティフライ」のことです。
羽の生えたダンゴ虫のようなモンスターです。
※健か(したたか)
手ごわい、用意周到、一筋縄ではいかないさま。世慣れていること。
※防弾ガラス
現代のガラスでショットガン(銃類全般)に対してどれだけの効果があるか調べてみましたが、明確なデータが見付けられませんでした。
情報の一部では、ショットガンでも余裕で防いでしまう映像がありましたが、「至近距離」ではありませんでしたし、「複数回同じ個所に撃つ」映像もありませんでした。
曖昧で申し訳ありませんが、バールで何度も同じところを打てば穴が開くらしいので、「同じ個所を複数回撃てば貫通する」という結論に……
ちなみに、弾は散弾ではなく、スラッグ弾という散らばらない一発の弾を使っています。
そんなものもあるんですね。「ショットガンといえば散弾」だと思ってました(^_^;)
※躱す(いなす)
自分に向けられた言葉による、または暴力による攻撃をそらすこと。
本来は「往なす」または「去なす」と書きますが、文字からイメージしにくかったので今回は「躱す」を使っています。
※失楽園
神に背いて地獄に落とされたサタン。復讐のために蛇に化け、アダムとイヴに禁断の木の実を食べさせます。
そうして決まり事を破った二人は神様から堕落したとみなされ、罪を背負い、楽園を追い出されてしまうのです。
この一連の出来事を「失楽園」と言います。
なんとなくガルアーノと”白い家”の関係にかぶって見えたので、ムリくり使ってみました。
※堕天(だてん)
本来、「堕天」という言葉はありません。「堕天使(堕ちた天使)」から派生した造語です。
今回は「天」を「公園」もしくは「子ども」に当てがめて使っています。