――――”白い家”コントロールルーム
モニターの一つを
「いくら貴様の
そこには、
相手は素早い対応と攻撃力にこそ
悪魔たちの立ち回る舞台において、その
しかし悪魔は死に神の
「そう思うのが素人の浅はかさよ。」
紅い悪魔が研究員に指示を出すと
すると、画面の向こうの少年が突然に
「どこまでも人を
死に神の言うように、悪魔の少年への
彼ほどの「力」を持った人物であれば、少年を
『命』を造り変えてしまう
もしくは――――、
「よほど”M”とやらの
するとまた悪魔は
「言っただろう。アレは
「その結果、貴様に身体を
「バカな。これぞ”愛”というものよ。たった一人を想い、貴重な人生を
遠くの愛人に呼びかけるように、悪魔はこれ見よがしに両手を広げ、用意したセリフを
「人生?
あからさまな
「そもそも、人の記憶がそんなに簡単に消えたり、書き
「……」
ここ、”白い家”で造られた『化け物』には全て、悪魔の
無数の『命』で形造られた彼の細胞にはあらゆる「遺伝情報」と「
それは
”白い家”という
「”帰らずの実”の花粉」と「”紅い
――――「記憶の操作」
複雑な操作こそできないものの、「”白い家”の
“白い家”に
記憶だけを奪われ、その時々に覚えた感情だけを
「
それは時に
「そして今、この“家”を飛び出したバカな息子を温かく迎え入れるところよ。」
悪魔が笑うと、画面の向こう側にいる少年が再び嘔吐し、震え、
悪魔の
「ならばあの女にはなぜそれを
そこに映っているのは青い髪の女。
女は男たちがその技能を
何か特別な
だというのに”帰らずの実”の効果を
その道理を知っている悪魔は
「気になるか?だが、アレこそ相手をするだけ
「貴様が、そう仕込んだのか?」
「まさか!ワシはどんな遊びでも最低限のルールは守る。」
その「嫌悪感」は、少し前の
「……あの二匹にぶつけるつもりか?」
死に神は
「ククク、キサマにもようやくこの遊びの全体像が見えてきたか。」
獣は”肉”を求めて殺し合うが、人間は”感情”を求めて戦争をする。
愛、憎しみ、
大事に育てれば”肉”には
愛すれば男が悦びに
獣にはできない芸当。獣にはできない生き方。人間は特別に許された”生と死”に
血と金、銃と土地がある限り。
不幸な地であればあるほどに激しく、
それにつけ込むのが死に神たちの
「貴様の子供染みた遊びなど理解したくもないが。なるほど確かに、
今回現れた三匹の獲物は、それぞれに違う”愛”を持ち、違う”憎しみ”に従ってこの”白い家”を目指している。
多くの人間を
その戦争は恐ろしく
三匹は
そして、答えはどんどん
「だが、貴様の本命はこの場にいないのだろう?」
死に神は一歩、悪魔への理解に近付いていた。
しかし、その一歩とゴールとの距離はもはや紙一枚ほどしかない。悪魔の―――あの影武者にさえ見せなかった―――”笑顔”がそれを証明していた。
「クハハハ。そうよ。それこそがワシの求める愛。ワシの求める女よ。」
「そして、貴様の”死に場所”という訳か。」
「……言ってくれる。だが、その答えは半分正解だと言っておこう。」
「何?」
「確かに、ワシはそこに”死”を求めとるのかもしれん。だが、ワシは”死”をただの”終わり”にするつもりはない。」
「”死”してなお
「……貴様は今、”王”への
死に神の冷えた瞳が、どこまでも
それでも悪魔の”笑み”は止まらない。
「なるほど。それで、どうする。この場でワシを消すか?それもいいだろう。
笑う悪魔と笑わない死に神が
二人の
生れる『混沌』が世界に舌を
だが、この場で求められる勝敗はもとより決していた。
死に神が『
「……いいや、止めておこう。」
そして、死に神は
「勝ち逃げをされたままでは
「……ククク。楽しんでもらっているようで何よりだ。」
噛み潰した葉巻を捨て、新しいそれの首を落としながら、悪魔は実に楽しげに笑っていた。
「安心しろ。キサマの出番もキチンと用意してある。」
「……」
”不快”と”
死に神が”
「
むしろ、死に神の
来たる”M”の晴れ舞台の
彼らの間で話題に
「……貴様が情報を
死に神の
「そうであろうとなかろうと、キサマにとっては
事実、青年は彼を苦しめた。結果的な勝利を得たものの、青年は死に神の
彼は
「……あれが、あんな
「小僧であっても、勇者とやらの血を引いているのだろう?それに、もはやあれはただの人間ではないよ。」
『命』は同じ『命』の変化を
「人間は、人間だ。どんな『力』を持とうがな。」
「そうやって足元を
悪魔の言うサルは「
「人間は殺せばいい」その程度にしか
「キサマは違うだろう?」
「……」
たっぷりと
「アレはほとんど精霊に
「『力』を求め過ぎた人間の、憐れな末路よ。」
”精霊”もまた、一つの『命』の形であるがゆえに、何かの犠牲なくして存在することはできない。
青年の、
それがどんなに”神聖”な行いであろうと、彼らは青年を
精一杯、青年の意志を
「キサマはそうなってくれるなよ。」
バカにするでもなく、憐れむでもなく。
多くの『命』を見詰めてきた悪魔はその生き方に”不満”と”
「目標、森を抜けました。」
様々な舞台の
――――”帰らずの森”、出口付近
「こんなもん、本当にずっとここにあったのかよ。」
そこには、“白い家”の名に
周囲の草木にも
その教会は
加えて、青々とした森の中にあるそれは目立って仕方がない。
この
「”帰らずの実”をあれだけ強化させる技術があるんだ。空の目を
「……」
その声色は、いつもの「シュウ」に戻っていた。
”熱”を感じさせない。
それが、いつもの彼だ。
彼にしか持ち得ない”頼もしさ”が、森での「
「それで、どっから入るよ。」
森の
全員がお
でも、こっちは
だけど俺は
「
悪党の「誠意」に頼ることほどバカなことはない。そんなの、戦う前に負けを認めちまってるようなもんだ。
パッと見、地上に水道設備は見当たらない。となると、それに
そう思った瞬間、ふと頭の中にある景色が浮かび上がった。
「……シュウ、こっちだ。」
俺は森を伝って
「……思い出したのか?」
「分からねえ。でも、何か変な感じがするんだ。もう少しで何かが出てきそうな。」
……そうだ。この先に、何か嫌なものがいたような気がする。俺たちがここから逃げようとした時も邪魔だった何かが。
引っ掛かっている記憶を
「何だよ。」
「他に、体に
「……いや、特には。」
「そうか。」
どうやら彼は俺が奴らに操作されているかもしれないと
無理もない。
前触れもなく、都合の良いタイミングで都合の良いことを思い出してる俺自身、「何かオカシイ」と自覚できるくらいなんだから。
「ただ、この水路に何かいたような気がする。」
「何か?」
「ああ。多分、
ボンヤリと浮かび上がる
「……森のことといい、
……別に変なことを言った訳でもないのに、俺は彼のその一言が
そして、いざマンホールに手を掛け、
「誰か来る。」
彼に
数十秒後、ソイツは警戒する様子もなく俺たちの前に姿を現した。
「……ウソだろ。」
現れるなりソイツは他には目もくれず、俺たちのいる繁みを真っ直ぐ見遣りながら言った。
「アタシにそんな
青髪の歌姫は、その
※毒(ウィルス)
「ウィルス」は「毒液」または「粘液」を意味するラテン語「virus(ウィールス)」が語源になっているそうです。
以下、ホントに大雑把な説明になります。間違っていたらすみません。
ウィルスは自分で増殖することができず、他の細胞に寄生して増えます。それ自体は生物としての基本構造「細胞」の形を持っていないみたいです。
つまり、厳密には「生き物」ではありません。
「ウィルス」を一個体(生物)が保有、管理できるかどうかまでは分かりませんでしたが、「ファンタジーの設定」ということで見逃してください。
※シャンテ(青い髪の女)の能力
”帰らずの森”の毒が効かないというくだりがありましたが、原作の『リフレッシュ』(状態異常の回復)の効果だと思ってください。
※白骨兵(スケルトン)
「原作でのモンスターの名称はキメラ研究所での管理を目的としたラベルのようなもの。賞金稼ぎや民間人の間では生活に根ざした全く別の名前で呼び合う。」
自分でつくった設定ですが……、セリフに入れると語呂が悪くて仕方ないことに気付きましたf(^_^;)
今後はその辺、都合のいい感じで使い分けていきたいと思います。