オーバーロード 粘体の軍師   作:戯画

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第31話 魔樹狩り

 古の魔樹ザイトルクワエ。規格外の巨体を有し『歪んだトレント』とも呼ばれ、一部では竜王(ドラゴンロード)の一種と同一視する者たちさえいる。

 そんなことは露知らず、この場へ集まった八人は誰一人として恐怖だとかいったものを感じていない。

 

「マーレ、どう?」

「は、はい。ぶくぶく茶釜様。や、やっぱり周りの土や植物にはほとんど栄養がいってないです」

 

 周囲の調査状況を報告している姿を見るに、仲直りはうまくいったようだ。こちらに呼んだときに自分の顔を見ていきなり笑われた理由はいまだに謎だが、何にしても元気になって良かった。

 

 アウラの特殊技術(スキル)による分析では、レベル帯が80〜85、体力が測定外に特化している。逆に言えばそれ以外注目を集めるステータスは無い。アインズたちからすれば、雑魚にカテゴライズされる相手だ。

 体力だけが高いのもいかにもレイドボスというか、その辺のザコモンスターの体力だけ数倍にしてボス扱いにしたような、手抜きの運営を想起させる存在だ。

 たとえ体力が異様に高くとも、防御力が追い付いていなければ大した意味は無い。RPGで最初に戦うザコのHPだけが千倍になったとして、ラスボスも問題にならない隠しボスに挑むレベルのパーティが苦戦するだろうか。魔法職が殴っても一分と経たずに決着しそうではないか。

 レベルが80以上ということならそこまでではないにしても似たようなことは考えられる。

 

「なんだかデミウルゴス久しぶりに顔見た気がするね」

「はい。ここのところナザリックを空けておりましたので。ですが偶然とはいえ今回の出撃に間に合ったのは僥倖でした」

 

 ナザリックを離れて巻物(スクロール)の素材を探していたデミウルゴスだったが、やっと実用に耐えられる素材が見付かったらしい。顔を合わせたときに取り急ぎそれだけ聞いたので、また改めて報告があるとは思うが。

 ナザリックにいたぶくぶく茶釜と守護者たちはシャルティアの≪ゲート/転移門≫で一気に合流した。

 

「ねぇねぇねぇ何なのあの人たちは! なんか変なのが、ブワーッてなって、いきなり出てきたよ!」

「いたたたた! ヒゲを引っ張らないで欲しいでござる! お主本当に殺されるでござるよ!? (それがし)を巻き込まないでほしいでござる!」

 

 十メートルほど離れた位置にいる、人数の割にやたら音量の大きなギャラリーを視界の端に収める。じきに至高の御方々からお話があるだろうに、あの雑音は邪魔だ。だが解せないのは、こんなことにアルベドたち他の守護者が思い至らない訳が無い。見た限り、この場にいる至高の御方々も含んだ全員があの二つの騒音を努めて無視している。

 

 アルベドに聞くのが手っ取り早そうだが、久しぶりの帰還だ。多少の役得があってもバチは当たるまい。素早く、それでいて失礼の無い動作でデミウルゴスはアインズへと歩み寄った。

 

「アインズ様、大変申し上げにくいのですが、不肖なる私にお教え願えませんでしょうか。先程から騒がしいあの者共は……?」

 

 ハムスケがこの前ナザリックで面通しをした際には、デミウルゴスは留守にしていた。名前だけなら向こうはデミウルゴスを知っているだろうが、直接の面識は無い。デミウルゴスも帰還した直後に出撃の招集が掛かったため、些事を説明する暇が無かったのだ。

 そして隣の森精霊(ドライアード)。こっちに至ってはアインズ自身接触したのがつい30分程前であるし、個人的なことはほとんど何も知らないに等しい。一応構想している考えはあるが、何となくのイメージだけだし、何より本人の同意も無く進められる話ではない。

 

(まあこの状況だったらまず乗ってくると思うけど)

 

「あれは私が新たにシモベに加えた現地の生物だ。森精霊(ドライアード)の方はまだこれからだが、とりあえず無視しておけ。ちなみに大きい方はハムスケと言って、この前現地で入手したあるアイテムを預けてある。これについてはあとで構わないからデミウルゴスの意見も聞かせてもらいたいが」

「そうでしたか。お答えいただきありがとうございます。ではそのアイテムはあとで拝見させていただきます」

 

 コンパクトな丸眼鏡のブリッジ位置を中指と薬指の2本で調整すると、懐かしささえ感じる完璧な礼の動作を取った。

 

「そうだ、デミウルゴス。ハンカチは持っているか?」

「ハンカチ、でございますか。ええ、それでしたらこちらに……お使いになりますか?」

 

 左の胸ポケットを手で指し示す。確かにそこには折り畳まれているのであろうハンカチの角が見えた。逆さに振ってもおよそ液体らしいものが出なさそうな身体のアインズにハンカチを差し出そうとする態度は(ごう)も皮肉を含んだものではない。

 もちろんアインズ自身が使おうと思ってのことでもなかった。軽く手を上げてハンカチを引き抜こうとしていたデミウルゴスを制する。

 

「いや、自分で持っていろ。……あとで必要になるだろうからな」

「……かしこまりました」

 

 一瞬虚を突かれた表情を見せたデミウルゴスはそれ以上の詮索はせず、礼をして守護者たちの輪へ戻っていった。

 

(ハムスケのやつ、死の宝珠をずっと頬袋に入れてるせいで常に唾液まみれのぐっちゃぐちゃなんだよなぁ……。特に使うこともないんだけど、ハムスケによると最近ショックなことがあったみたいで元気が無いらしいし。ていうかアイテムがショックって、何それ!?)

 

 触っても大丈夫かどうかはハムスケを通じて一応の意思疎通ができるが、アインズはむしろ歓迎された。なんでもアインズの持つ負のオーラは死の宝珠にとって心地よいものらしい。

 ぜひ手に取ってほしいと、そこまで言うならと応えたものの、即座に後悔した。もごもごしたハムスケから受け取ったそれは全体くまなく生温かくベトベトした透明のコーティングが掛かっていたからだ。

 その場はなんとか平静を装って、自室に戻ってから無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)で手を洗い流したのは秘密だ。

 

 そしてそんな嫌な思いをしたものの、死の宝珠がヘコんでいる原因は分からなかった。自分は魔法道具(マジックアイテム)の専門家ではないのだし、当然と言えば当然だ。

 だがナザリックでも随一の頭脳を持つデミウルゴスなら何か分かるかも知れない。

 

 ただ、そのために彼にもあの嫌な感触を強いてしまうのは心苦しいので、せめてすぐに拭えるようにとハンカチの所持を尋ねたのだった。

 頭脳では負けず劣らずのアルベドを指名しなかったのは、気持ち悪いと分かっているものを女子供に押し付ける自分を想像してドン引きしてしまったからだった。

 

 ぺしんぺしんと何となく気が抜ける感じのクラップ音。視線を集めるのは至高の御方の一人であるぶくぶく茶釜だ。マーレの報告を聞き終えたらしく、作戦の説明をこれから始めるということだった。

 

「今回はチームでの戦闘をするよ」

 

 チームでの、と聞いて顔を青くしたのはアルベドだ。至高の御方が求めていること、恐らくそのネックになるであろう青い巨体の蟲王(ヴァーミンロード)と暗色のポールガウンに身を包む真祖(トゥルーヴァンパイア)を横目で見る。

 

 一人は至高の御方とチームを組めるのだろうかと喜色混じりの冷気を吐き出しているし、もう一人に至っては中身の詰まっていなさそうな頭を傾げている。

 

 そもそも、『階層』守護者なのだからアウラとマーレのコンビを除けば基本的に守護者に共闘という考え方が無い。そういう点ではチーム戦闘のイメージが判然としないのも仕方の無いことではあった。

 

 どうしたものかと気を揉むアルベドだったが、その心配が無かったことを知る。全ては至高の御方の采配によって、万事抜かり無い策が立てられていたのだ。

 

 ぶくぶく茶釜がその説明をしている間に、アインズはピニスンのもとへ向かう。こちらへ近付いてくるのに気付いたハムスケがピニスンを黙らせようと努力しているみたいだが、いかんせん短い手足ではお喋りな口を無理矢理塞ぐこともできはしない。

 

「さて、ピニスン。私の認識が正しければ、ザイトルクワエから逃げようにも君は自力で動き回ることはできないと思うが」

「落ち着いてる場合じゃ……! うー、まあ、そうだよ。だからとにかくこっち側に来ないように祈るしかないってのに、あの人たちは! なんで! ザイトルクワエの方に向かっているんだよ!」

 

 どっちみちザイトルクワエは注意を引かずとも徐々にこちらへ接近しつつあった。

 ぶくぶく茶釜たちとはもうじき接触するが、できればこちらの話はそれまでに固めておきたい。

 

 アインズの構想とは、この森精霊(ドライアード)の勧誘だ。要はハムスケなどと同じ現地の部下である。といっても明らかに戦闘要員ではない。第6階層の一角で植物、それも人間が食べられる物を育ててほしいのだ。最近増えた人間の食料くらいはナザリックの循環を妨げる程の重荷にはならないが、消費が増えた分は別の手段で補う癖を付けておくべきだ。

 ナザリックの循環システムのリソースは元々カツカツなのだ。無造作に外部の者を取り込んでいけば遠からず限界が来る。

 

 差し当たっては畑の管理など、まずはちゃんと植物が育つかの実験も兼ねて裁量はピニスンに任せるつもりだ。

 

 そこまで聞いたピニスンは半信半疑の眼差しをこちらに向けている。内容自体はむしろ願ってもないことだが、求める見返りがささやか過ぎて逆に罠を疑われたらしい。警戒心も持ち合わせているのはいいことだ。

 

「こちらとしては構わないんだが、適任を別に探すのも手間が掛かるし、私たちの部下になれば当然安全な場所に植え替えてあげよう。それとも、他の木々と同様ザイトルクワエの養分になるかね?」

「本当は約束した人たちが来てくれればいちばんだけど……分かったよ。どうせこのままじゃあいつの口の中だ」

「契約成立だな」

 

 狙い通りに話が進んだことに胸を撫で下ろす。あとは薬草さえ確保できれば万事問題は無い。見た感じあのザイトルクワエ、特筆すべきはその巨体くらいのものだ。それもサイズ最大を誇った世界級(ワールド)エネミーに比べたら大したことは無い。

 体力だけの相手なら守護者各員が単独で戦っても危なげなく片付けられるだろう。

 

 しかしそれではもったいない。冒険者としてモンスター討伐もあれこれやったが、流石にザイトルクワエに匹敵する相手はいなかった。手頃で安全なサンドバッグとして、ナザリックのオリエンテーションに使わせてもらうにしたのだ。

 

 地面に打ち付けられた触手が土煙を巻き上げる。もう始まっているようだ。漆黒の剣士は両腕を鷹揚に組み、高みの見物を始めた。

 

 

 

 

 

 

 ぶくぶく茶釜を先頭に、後には守護者たちが続く。至高の御方直々の戦闘教導。刹那の動きも見逃すまいと全員の緊張はザイトルクワエに近付くにつれて高まっていった。

 

 粘体がぐにゅぐにゅと蠢めき、体内から二本の触手が勢い良く飛び出た。その両先には小さな盾が握られている。サイズとしてはバックラーと呼ばれる種類のさらに半分程。広げた大人の手よりふた回り大きいくらいで、盾として機能する面積はきわめて狭い。

 

 中央に赤い宝石がはめ込まれ、紋章じみた金色の装飾が青地の盾に鮮やかだ。表面には一回り大きいサイズの半透明な障壁が浮き出ており、魔法的な防護能力を有していることが分かる。

 もう片一方は煌びやかさの欠片も無い無骨な装いで先端部分がやや尖り、中央を縦に割るようにして大きな溝が走っている。中心に付いたコアと思しき部分がネジ状に回転し、ぼんやりと怪しく青い光が放射状に広がる。所々アミダくじの様に横の繋がりを持ち、光の筋を切れ目として盾全体が分離して二倍ほどの大きさになった。光の青みは薄くなったが不思議な斥力と引力が働いているらしく、盾がバラバラになってしまうということは無い。

 両手に盾を持つこのスタイルがぶくぶく茶釜独自に行き着いたタンクの到達点のひとつだ。自分自身の耐久性の高さに加えた超防御特化。前衛が蒸発するなどMMORPGにはよくある話だが、プレイヤースキルのウェイトが大きいユグドラシルにおいては世界級(ワールド)エネミー相手でも単独で数分は耐えるだけの自信があった。

 

 至高の御方の戦いを直接目にするのはアウラを除き守護者全員が初めてのことだ。神々しいものを見るように、周りの守護者たちからは思わず感嘆の声が漏れた。カルネ村では身の程知らずな無礼者を打ち払ったとはいえ、あのときのぶくぶく茶釜は無手。そういう意味ではアウラも初めて目にする姿だ。

 

「うん、まああれが相手ならこの盾でもいいか」

 

 敵に合わせた特化運用をするのは常識であり、もっと大きなタイプの盾や属性防御特化、シールドバッシュなどの攻撃特化盾も個人のアイテムボックスには網羅している。

 いまチョイスしたのは自動反撃機能無し。芯を捉えて防御するとダメージの伝導率がほぼゼロになって相手の硬直が延びるという、プレイヤースキル特化型の盾だ。タイミングを掴み損ねたら完全に無防備な状態で相手の攻撃を食らう羽目になる。

 ちなみに左手のは魔法防御重視で右手のは物理防御重視タイプだ。

 

 もっとも自動反撃機能付きでこれらのかなり上位互換の装備もあるのだが、反撃で仕留めてしまっては興ざめなのでやめておいた。

 

 こちらに気付いたザイトルクワエが威嚇の咆哮を上げる。三十メートルはあろうかという触手を振りかぶる動作は次の軌道を容易に推測させると同時に、ターゲットにされている対象をその場の全員に理解させた。

 標的は当然、最も先を進んでいたぶくぶく茶釜だ。ほとんど反射的に守護者たちが前に出る。

 

 『至高の御方を守る』という共通した本懐を前にして(なか)ば反射的に陣形を組んだのだが、皆の頭にあることは至高の御方に害をなす者を全力で排除する一念だけだ。ゆえに組まれた陣は背後からの急襲などには全く対応していない。

 今回は後方にアインズが控えているので不意のバックアタックを食らう心配は無いが、咄嗟の反応がこれではチームプレイ経験の乏しさを宣伝しているに等しい。チームでの戦闘は既に始まっているのだ。

 

「こらこら、皆下がって下がって。あー、アルベド二歩左に寄って」

「はい」

「よっと」

 

 一団の中央寄りに移動したアルベドと逆に、ぶくぶく茶釜は右斜め前にスライドして再び最前列へ戻った。

 短距離だが素早い瞬時の移動。明確な脚と呼べる部位が無い不定形種族は総じて跳躍能力が低く、高いジャンプはできないが落下する初速が速い。ある程度長い時間落ち続けると落下速度は平均より遅くなる珍しいというか変な特性があった。

 

 ぶくぶく茶釜がやったのはその特性を逆手に取った技術で、極端に浅い角度で前方ジャンプをする擬似ステップだ。短距離を詰める瞬発力は近接戦闘職にも劣らない。これをミス無く連続で繋ぐ卓越したプレイヤーの地を這うような挙動は『地ずり』とも呼ばれ、プレイヤースキルのバロメーターとしての役割も果たしていた。

 

 右手に持った無骨な方の盾に吸い込まれるように振り下ろされた触手の先端は、触れた瞬間に爆発的な勢いで弾き戻され、ザイトルクワエ本体を中心に180度反対側の地面に突き刺さった。

 

「よし。これでしばらくスタンしてるだろうから、そのあいだに少しお勉強の時間です。皆、チーム戦で大事なことは何だと思う?」

 

 

 

 

 

 

 まとめて触手の叩き付けで全滅。誰もが容易く想像できる結末を思い描き、声を上げそうになった瞬間だった。ガキンという硬質な音と共に触手が弾き飛び、体勢を崩した古の魔樹はすぐには身動きができないように見える。

 何が起こったのか理解が追い付かない。あの攻撃を単騎で撃ち返すなど、屈強な身体を持つドラゴンでもできるかどうか。打ち下ろしの軌道だったため狙いが外れて地面をバウンドしたに違いない。

 

 そもそも前に七人組が封印したのは本体ではなく中途半端に目覚めた一部相手だったし、それでも苦戦を強いられている。

 今度は本体の覚醒であることを考えると、前と同等以下の人数で、それも闇妖精(ダークエルフ)とはいえ戦力にもならない子供二人を含んでの話でどうにかなる相手な訳が無いのだ。

 

 だからピニスンとしては周りの植物たちには冷たいようだが、彼らが全滅の憂き目を見る前にさっさと自分の本体を安全な場所まで運んでほしい。

 

 だが物事はそううまく自分の理想通りには進まないものだ。全身鎧(フルプレート)を着た剣士は仁王立ちをして全く参戦しようとする気配が無いし、かといってピニスンを掘り出して逃げるでもない。完全なる傍観を決め込んでいる。

 

 だいいちあの鎧姿は土を掘るのに向いていない。ならば残された選択肢は自ずと限られていた。

 

「ねえ、ちょっといいかい。来てほしい所があるんだけど」

「某でござるか? お仕えする身として殿のお側からあまり離れる訳にはいかないのでござるが……」

「ああ、すぐそこだからさ。ちょっとやってほしいことがあるんだけど、キミのご主人様のためにもなると思うよ」

「ほう! それはぜひ話を聞かせてほしいでござる」

 

 ピニスンからの頼みは、いまのあいだに自分の本体を掘り出してほしいというものだ。それを最初に聞いたとき、正直ハムスケはあまり乗り気にはならなかった。何故ならピニスンの言い出した主たる動機が逃げることを前提とした考えだったからだ。

 ハムスケは自分の主人と同格の仲間や部下の方々が負けるなどとは露ほども思っていない。そしてその認識が正しいのは観戦している漆黒の全身鎧(フルプレート)の背中が悠然と語っている。つまりピニスンの提案に安易に手を貸すことは、ナザリックの勝利を疑う行動とも取られかねない行為だ。

 

 だが確かに主人の役に立ちたいとは思う。ここへは移動の手段としてしか活躍していないし、それも守護者マーレの支援を受けてである。手持無沙汰なのは事実だったので、その時間が有効活用できるならそれに越したことは無い。

 

「うーん、でもやっぱり某はその考えに賛同できないでござるなぁ。というよりお主の今後のタメにもあまりお勧めしないでござるよ」

「な、何のことかよく分からないけど、あの人の話だとどっちみち私は運ぶんでしょ? ならどうせやらなきゃいけないんだし、さ」

「むう、それは確かにお主の言う通りでござるな」

 

 新参者の主張にも一理ある。それにその理屈ならば主人たちの勝利を疑うことにもならず、むしろ勝利を確信しての忠義に溢れた行動ではないか。

 頷きを返したハムスケはピニスンと共に林のさらに奥へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 多くの者は考え方に一種のフィルターを掛けている。小雨が降っただけで河川の氾濫を恐れるのは過去にトラウマを負った者くらいだろう。

 それと同じで、基本的に強者である階層守護者達は手持ちの技能を行使するだけで大抵の相手は問題にならない。戦略どころか戦術レベルでの試行錯誤の必要も感じたことが無かった。

 唯一同等クラスの者との共闘経験の可能性を持つ闇妖精(ダークエルフ)の双子に自然と視線が集まる。

 

 期待と緊張の込められた視線の意味が分からないアウラではない。ビビって後ろに回ってしまった情けない弟に一瞬恨みがましい目を向けたあと、改まって咳払いをする。

 

「こほん、えーと、じゃあ他の皆は考え中みたいなので、あたしの考えを言ってもいいですか」

「はい、アウラ」

「ありがとうございます。チーム戦で大事なことは、息を合わせることだと思います。魔獣と早駆けをするときだってこっちの言いたいことが瞬時に伝わるからすごく快適ですよ!」

 

 言葉を持たない魔獣種であっても、自分との主従関係があれば触れるだけで意思疎通ができる。背に乗っていれば常に触れている訳だから、人馬ならぬ人獣一体と言える程に打てば響く状態だ。こちらの考えが直接伝わっていれば認識の齟齬も少ない。

 

「……わらわたちは魔獣じゃありんせん」

「それにそれはアウラの能力の一部じゃない。至高の御方が望まれているのはシモベとの連携ではないわ」

「うっ、そりゃまあ、そうだけどさ……」

 

 眉をひそめた二人からの指摘は至極もっともだ。シモベとのケースは排除して、しばし黙考する。魔獣使い(ビーストテイマー)が魔獣と共闘することの方が多いのもまた当たり前で、彼女にとっての共闘とは魔獣を使っての戦闘に他ならない。だがそれを言っても根本的な解決にはならないため、新しい順番に記憶を辿る。

 

「あ」

 

 そういえば最近、アインズの召喚した根源の火精霊(プライマル・ファイヤーエレメンタル)と戦ったのが記憶に新しい。あれはマーレと共闘したのだから参考には最適のはず。

 

 どうやっていたか。マーレが補助魔法を使い、自分はクイーンの名を持つ鞭で戦った。物理耐性の高い精霊を倒すだけなら純粋に攻撃魔法で攻めればいいのだが、それだとマーレしか出番が無いし、使う魔法の威力によっては一瞬で終わってしまう。それはそれで使い捨てとはいえ至高の御方が創り出した存在に対する扱いとしてはぞんざいに過ぎる気がした。

 至高の御方を待たせる訳にもいかないので、あまり長引くようなら特殊技術(スキル)や攻撃魔法メインの戦法にシフトチェンジするつもりだったが、その必要は無くちょうどいいくらいの時間で沈んでくれた。

 

 あのときは正解にかなり近いはずだ。さっきの自分たちの配置を思い出しながら、答えを一つに絞った。

 

 アウラの選んだ答え。それは。

 

「前衛と後衛を、分ける!」

 

 階層守護者たちの頭に電撃が走る。

 

 まさしく。さっきの自分たちには前も後ろも無く単にザイトルクワエとぶくぶく茶釜のあいだに割って入っただけだった。相手を滅ぼさなければ遠距離からの攻撃は永遠に終わらない。かといって至高の御方を1人残して全員が側を離れるのもシモベとしてあるべき姿ではない。

 およそ考えられる問題点を全て解決させるアウラの回答にはシャルティアとコキュートスのみならず、アルベドとデミウルゴスまでもが感心した微笑みを向けている。それが自分たちの答えであると主張するように。

 

 ぶくぶく茶釜の二本の触手がおもむろに下から左右に開いた扇の形で持ち上げられ、頭の上で円を形作る。正解のマルだ。

 思わず握りこぶしを作る守護者たちは確かな一体感を伴ったボルテージの高まりを感じていた。

 

 マルが完全な円になると思われた瞬間、両の触手はビシッとまっすぐの線と化し、ぶくぶく茶釜の直上で先端がくっついて動きを止めた。どう見てもマルではない。

 出題してから沈黙を保っていたぶくぶく茶釜が口を開く。

 

「さんかく〜! 七十点!」

「ええ〜っ!」

 

 顔を両手で挟んで声を上げるアウラ。周りからも異論は無かったし、自信のある答えだったのに。

 

 他の者たちも盛り上がっていた気持ちが急転直下する。当たらなかったことより、至高の御方の期待に応えられなかったことの方が精神的なダメージは大きかった。

 アルベドやデミウルゴスはこれはマズいとこの世の終わりのような顔をしているが、代表して答えたアウラの方が考えがシンプルなのか立ち直りは早かった。

 

「ごめんなさい。ぶくぶく茶釜様。正解は何なんですか? あ、でも七十点ということはまるきり的外れってワケでも……?」

「うん、だから△ね。正解は『それぞれの役目を理解すること』でした」

 

 全く同じ存在ではない以上、各々には得手不得手とする分野がある。コキュートスなら近接物理、アルベドなら防御、マーレなら魔法攻撃と補助といった具合に。

 相手の出してくる選択肢に対して総合的な対応力を上げる手段の一つが陣形を組むことだ。

 理想的なのは相手の状況に先んじて柔軟に陣形を変えていくことだが、これは全員の知識と判断力と考え方が高いレベルで一致していなければできない。

 

 よって相手の手札が分からない場合は全方位への警戒をしておき、後方から攻めてくるカードが無いと判断した時点でウェイトを前方に寄せればいい。もちろんそれでも切り札を温存している場合を考慮して定期的な後方の確認は必要だ。

 

 必要な防御人員を決めたあとは、残った戦力が最大ダメージ効率を出せる組み合わせと配置にするだけだ。

 

 常にイレギュラーは頭の片隅に置いておくべきだが、基本的な考え方としてはこれで大抵は問題無い。

 

「おーけー? 分かったかな? 分かったら実践編行くよ! っと!」

 

 スタンから復帰したザイトルクワエの触手による二度目の殴打。さっきの動きをリプレイするように弾いたぶくぶく茶釜の小さな盾が音叉にも似た硬質な残響音を奏でた。

 走り出したぶくぶく茶釜に即応した守護者たち。その顔には理解の色が浮かんでいる。

 

「つまり、こうね! <スクリーム・オハン>!」

「つ、次のお願いします。<パワー・オブ・ガイア!>」

 

 アルベドが掲げた手に光が集まり、形を成していく。四つの黄金の角と覆いで装飾された長方形の騎士盾だ。モチーフになった神話と同じく非常に高い防御力と防具破壊耐性を持ち、持ち主に危険が迫るとアラートが鳴り響くというあまり使いどころの無い能力を持つ。多少仕様は違うがクリエイト系の魔法と同じようにそこそこ持続力のある装備を作り出す能力だ。

 触手の威力からすれば発動時のみ防御効果を発生させる特殊技術(スキル)で防ぐのも容易に思えたが、あれは範囲防御の能力なので適切な選択とは言い難い。全力の戦闘であればさらに全身鎧を装備してくるところだが、大した相手ではなさそうだとの連絡を受けていたためそれはやめた。

 

 力をアップさせる特殊技術(スキル)を受けたデミウルゴスがアルベドとスイッチする形で前に出る。人間形態での身体能力は守護者の中で下から数えた方が早いが、支援も受けていればあの触手程度など問題にならない。

 

「<悪魔の諸相:豪魔の巨腕>! なるほど、それぞれが役割を理解して動けば……ふんっ!」

 

 特殊技術(スキル)により肥大した悪魔の腕が打ち下ろされた触手を易々と受け止める。強烈な握力によって凶暴な爪が深く食い込み、地に縫い止められたかのごとく微動だにしない。

 

「アウラ、いま!」

「はい! 特殊技術(スキル)発動、<レインアロー・天河の一射>!」

「私ヤ、シャルティアノヨウナ前衛……<スマイト・フロストバーン>!」

「それとおチビたちのような後衛が……<血の武装>! はあっ!」

 

 アルベドのシールドに弾かれて空中に(たわ)む触手目掛け、弾丸もかくやと言う速度でシャルティアが跳んだ。同時に発動した特殊技術(スキル)によって鮮血の貯蔵庫(ブラッド・プール)から供給された赤い液体が左手を包み込む。

 手のサイズをふた回り程大きくして、常に流動している手甲じみたそれは指先にあたる部分を鋭く尖らせて凶暴な外見に姿を変える。

 

 ストックした血を触媒にシャルティアの魔力を通わせる強化系の特殊技術(スキル)。部分的に使用するため燃費が良く、1度自分の魔力を通していることで連続使用しても<血の狂乱>が発動する心配は無い。

 簡単な形状変化なら容易に可能なので、相手や状況に合わせる対応力にも優れる。

 ただし纏っている血は時間の経過と共に劣化する。徐々に赤黒い色になり、連動して強度が下がっていくのだ。最後は捨てるか劣化し切る前に残りの魔力で固めて物理実弾として投擲するかのどちらかだ。

 

 幸いなことに先日の野盗たちのお陰で貯蔵にはそれなり余裕があった。まだまだ満タンには程遠いが、大量消費する予定が無いなら焦って貯める必要は無い。

 

 植物への物理攻撃が通りやすい角度を考えることは微塵もせず、ただ叩き付け易さだけを思って深紅の手刀を振り降ろす。

 

 触手を寸断した視界の右下ではほぼ同時に行われたと思われるコキュートスの冷気を帯びた斬撃を受けたもう1本が凍結効果も手伝って粉々に砕け散り、周囲に局地的なダイヤモンドダストを発生させている。

 

 引き剥がそうと後方へピンチを掛けていたザイトルクワエは支えが急に無くなったことで体勢を崩した。

 そこへ間髪容れずに光の矢が雨のごとく降り注ぐ。防御する(すべ)を持たない無防備な本体に撃ち込まれる重量を持たないエネルギー体の矢は、1発1発の威力はさほど高くないが図体の大きい相手なら結構な数がヒットする。

 

「チビゆーな! と、とにかく自然に分かれるという訳ですね!」

「正解っ☆」

 

 苦痛の叫びを上げたザイトルクワエは危険から身を守るように先が3分の1程無くなった触手をスルスルと引いていく。

 

 全員の行動が繋がり、一連の攻撃はそれで1つの塊となっていた。一斉に畳み掛けるというのは集団の戦法としては誰もが思い付くものだが、いまのはただタコ殴りにするのとは訳が違う。全体を把握し、個々の行動が逸脱しないように調整する司令塔がいなければ決してできない。

 ガチガチに一から十までの行動指示をして動くのならもっと簡単ではあるが、手足になる者は個としての考えを殺す必要がある。これがぶくぶく茶釜の優秀なところで、さっきもそうだが基本的に放任主義。そしてここぞのポイントだけで的確に指示を出す。そのため個人個人はほとんど拘束・強制されている認識は無く、そのくせ終わってみれば全員の行動が何かしら繋がっていてまとまりよく連携ができているという不思議な感覚に陥るのだ。

 

 これまで経験したことの無い感覚にその場にいる守護者たちは皆、驚嘆と畏怖の念を持って至高の存在を見る。

 

 基本的に自分たちはザイトルクワエに対して1つの行動しかしていない。しかし各々が好き勝手に1手ずつ動いたとして、これだけの結果になっただろうか。

 ただ単に倒すだけなら誰がどう動こうとも結果に大した差は生じない。遅いか早いかだけだ。だがこの戦闘でぶくぶく茶釜が想定していたのはより強い相手と相対したとき、そして戦闘の継続性を考慮した立ち回りだ。

 

 組織立った敵は基本的に連戦を強いられる。一体倒すのに余力を使い果たしていては先が続かない。

 これは自分たちの拠点であるナザリック地下大墳墓に鑑みても明らかだ。

 

 常に防衛する側であった守護者たちには思い至らずとも仕方の無い、『攻め』の考えだった。

 

「流石は至高の御方。その策戦たるや、私どものはるか及ばぬ高みにございます……!」

 

 感極まる震えを抑え込むようにデミウルゴスが(ひざまず)き、他の者たちもそれに(なら)った。

 デミウルゴス同様、アルベドに強い畏れの雰囲気があったのは彼女もまたいまの連携を即座に組んだぶくぶく茶釜の指揮能力の高さを理解していたからに他ならない。

 

 当の本人は連携の成功を喜ぶでもなく、その感情の波は凪いでいた。行動制限の掛かる魔法や特殊技術(スキル)を組み込んだ訳でなし、発動から発生までタイムラグのある<レインアロー・天河の一射>のタイミングさえ外さなければ問題は無かった。

 

 上級者ばかりで組んだパーティだとタイムラグがある攻撃は元より、他の攻撃と干渉して打ち消し合わないようにディレイ指示を出したりフィールドに作用するタイプの補助魔法の再詠唱時間(リキャストタイム)管理をしながら合間にヘイトを集める特殊技術(スキル)を使って敵のターゲットを自分に縛り付けたりと、チームをまとめる指揮官は全体がチームとして戦える状況を作るだけでも手一杯になる。

 

 ちなみに相手によっては補助魔法を途切れさせる1ミスをしただけで前衛のタンクが一瞬でHPを削られて戦闘不能になる『蒸発』と呼ばれる事態に陥り、盾を無くしたチームはそのまま一気に崩れて全滅するなんてこともザラである。

 つまり指揮官とは複合的に凄まじい処理能力を要求され、小さなミスが全体の死に繋がるという非常に難易度の高いポジションと言えた。

 

 だが、ぶくぶく茶釜はアインズ・ウール・ゴウンのギルメンと高難度ダンジョンを潜ったときにはそれらの処理のみならず管理が難しいとされる敵のヘイト値を自由自在に上げ下げして行動を操りつつ雑談する離れ業をやってのけていた。

 そもそもヘイト値自体がマスキングされた表示されないデータなので、調整の加減は完全に経験と体感によるものだ。

 

 あまりの自在ぶりに「お前のねーちゃんチートでもしてんの?」と実弟のペロロンチーノにこっそり個人宛コールをしてきたギルメンが何人かいたが、それに対する返答は「下手に探ると復讐が怖いから俺を巻き込まないでください」だった。

 

 とにかく、そんな彼女にとってさっきのは事前に構成を考えるまでも無い攻撃だった。

 

 浮かれていないのも当然だ。こちらはまだ戦えるし、相手はまだ健在なのだから。司令塔は常にクールに現状把握。ここでいちいち浮かれる程ヌルい考えは持ち合わせていない。

 

「……よし。ハイ! よくできました〜。じゃあ追撃……するとすぐ終わっちゃいそうだから、次はゆっくり戦線を押し込んでみようか。私は後ろに付いていきながら見てるから。誰が先頭になるかは分かるよね?」

「かしこまりました」

 

 前に一歩出たのは守護者統括アルベド。金色の装飾が入った盾を左手に着け、やや半身に構えた立ち姿は風に流れる黒髪が力強く美しい。逆にコキュートスは下がり、デミウルゴスとシャルティアがアルベドを三角形の頂点にして後ろに付く。

 

 攻撃を全て(はじ)いて前に出れば、向こうは後退を余儀無くされる。後退が難しい、あるいはできない状況に陥ればそのまま圧殺されて終了だ。この手を掛ければ、相手がどの程度戦場を把握していてどの程度の先読み能力と判断能力があるかは大体分かる。

 

 そしてこの手を打たれた時点である程度以下に足切りだ。戦略面では世界級(ワールド)アイテム並みの隠し球さえ警戒しておけば、寝起き頭にカップラーメンを啜りながらでも余裕で勝てる程度の相手。しかもいまのところは戦略どころか戦術の概念すらあるのか怪しい反応だ。

 

 至高の御方による手本を間近で見たアルベドは、攻撃ではなくとも第1の戦果を上げる機会を与えられたことに深く感謝していた。

 

 盾役にとってまず大事なのは、相手の攻撃を見切るための眼だ。加えて向こうがどう動くかを読むことも重要。真芯を理解して的確な箇所で当てなければ、いかに強固な盾といえどその効果は三分の一すらも発揮できはしない。

 

 そのため壁役専門は最初からそれ一本ではなく、ある程度剣士や戦士といった近接戦闘職の道を歩んだあとの岐路において専門の道を選ぶ者が多い。

 

 そしてアルベドは守備に寄せた特殊技術(スキル)を持ち、同時に非常に優れた戦士でもある。

 人間とは一線を画した美貌を持ち、異形を示す捻れた左右の角と爬虫類を思わせる縦長の瞳孔を擁した金の魔眼。仄かに上気した頬とともに、溢れ出る気勢は双眸に爛々とした光を宿らせている。自信に満ちた表情は挑発的ですらある。

 

 アルベドが攻撃を弾いたときに即応するため、周りの守護者たちも追随するように前へ出る。

 

 メキメキと軋む音を立てながらまたも周囲の木々を取り込む魔樹。咆哮にも似た風音を鳴らし、明確な殺意を向けてくる。どうやらやっとこちらを『敵』だと認識したようだ。

 

 数ある枝の節々が隆起し、割れた箇所から直径2メートル程の塊が撃ち出される。ある程度加減できるのか、最も手前にいたアルベドに目掛けては本体が見えなくなる程の密度で集中砲火が降り注いだ。

 

「飛び道具……愚かね」

 

 余裕の表情を崩す必要も無いが、技量を見せる必要が無い手を相手が打ってきたことで内心は冷や水を掛けられた気分だ。まあ出番を誰かに譲る訳ではないし、そのあたりは他の者たちも分かってくれるだろう。

 やれやれという感じでアルベドは盾を()け、無防備な全身を射線上に晒した。

 

「<ミサイル・パリィ><カウンター・アロー>」

 

 左右から引力が掛かったかのように、飛来物はことごとくが標的から()れた。さらにはそれらが反転して、飛んできたとにと同じ速度でザイトルクワエの本体へと撃ち返される。大外を回り込む軌道になっているため塊がぶつかり合うことは無い。

 

「守護者を相手にこんな攻撃……もしかしてあのモンスター、アホウなんでありんしょうか」

「侮ルハ危険ヤモ知レンゾ。コレハ奴ノ種子カ」

 

 後ろから退屈そうなシャルティアと、それを諌めるコキュートスの声。合わせてサク、ドシャといった音もする。

 階層守護者は全員、アイテムなどによって飛び道具を無効化している。

 無効化範囲から逸れた飛来物を観察のために得物で突き刺したのだろう。

 

 図体からしてそう高い効果があるか疑問だが、吐き出した雨あられを自ら受けることになった魔樹は怒りと混乱によってさらに広範囲へ種子の弾丸を撒き散らした。




昔のSRPGで中盤辺りに出てくる未知の巨大生物という倒しても倒さなくてもいいボスがいたのですが、ザイトルクワエのこと書いててそれをふと思い出しました。
初めて出会った時には全く手も足も出ない相手なんですけど、味方をある程度強化すると一撃で倒せるザコに成り下がる境遇が似ていました。そいつもトレント系っぽい見た目だったし。



【今回の独自要素】
・アルベドのスキル<スクリーム・オハン>
盾持ち運ぶの邪魔だったので。

・ぶくぶく茶釜の装備品とか跳躍能力云々
基本的に原作に出てきてない、もしくは言及されてない装備や能力は基本的に全部該当するので抜けてるかもだけどお察し下さい。

2018/11/5 行間を調整しました。

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