艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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第6海 小さな戦士の体験

<執務室>

 

翔「……と、さて何をしようか……」

 

『』ズルッ

 

その言葉に、四人がソファでずり落ちる。ノリいいな……

 

翔「……あっ。あれがあるじゃん」

 

ふと思いついたのは、あれの存在だった。金剛達にはやらせたことはないが初めて俺の艦娘であるため、最初にあれをやらせたいのだ。

執務用の机を探り、あれを操る端末を探す。すると、意外にも最初の引き出しの中にあった。ある英雄が使ったものとほぼ同じだが、空色で染められている。

 

翔「あったあった」

 

羽黒「携帯、ですか……?」

 

翔「まあ、携帯だ。でも……これはただの携帯ではないさ」

 

この中折り端末を開いて、携帯電話と同じ配置のボタンをある順番で押す。ピピッという相変わらず電子音が懐かしさをより強くさせた。

 

翔「さて来いっ、オーディーン!」

 

カシャンッ!ビュウウゥゥゥン…!

 

すると箪笥の上に置かれている一体の青いLBXが、変形してピンクの光を噴射して空を飛んだ。四人共、突然置物が動き出したことに驚きを隠せない。

 

村雨「も、置物が動いた!?」

 

潮「あわわわわ……!」

 

翔「まあ、驚くだろうな。

こいつはLBX。高性能小型ホビーロボットさ」

 

ケラケラと笑いながら、慣れた手つきでCCMを操作する。オーディーンは執務室の中を飛んだ後、人型に変形して四人が座るソファの前にあるテーブルに着地した。

 

翔「さて、午後にはお前達の初陣兼初めての艦隊運用の実戦にもなるが、その前には馴染まないとな。

というわけで、LBXを使おうと思ってな」

 

如月「へぇ~、このオーディーン?というの、格好いいじゃないの」

 

如月が着地したオーディーンを持って、四肢を動かしている。

 

潮「え、ええと……どうやって、ですか?」

 

翔「決まってんだろ。お前達にLBXの使い方と、そして楽しさを教えてやるのさ」

 

オーディーンを掴む如月の指をふりほどいて、ジャンプで俺の肩に乗せる。

 

村雨「LBXの、楽しさ……?」

 

翔「ああ、そうだ。それじゃあ執務室じゃあ狭いし外に出ようか」

 

椅子から立ち、四人を手招きして外へと向かうのだった。

 

~~~~

 

<埠頭>

 

翔「と、ここでいいだろ」

 

鎮守府の裏手……海のある方向を歩いて、誰もいないかつ結構広い埠頭に立つ。

埠頭に行く途中、大淀と会ったが俺の性格や何をするのかを分かってくれたのか、笑顔で「楽しんでください」と言って執務室の方向へと歩いていった。

 

翔「んじゃ、これを渡す」

 

手から貸与用のCCM四つとLBXウォーリアーを出す。そして、それを手渡す。

 

翔「LBXウォーリアーだ。そいつは市販化されているLBXの中で一番の人気かつ、扱いやすくもカスタマイズしやすい、初心者用のLBXだ。

それで、LBXの動かし方を覚えてくれ」

 

村雨「えぇ~、さっきのオーディーンとかいうのが良かったわ」

 

頬を膨らませる村雨に、俺は宥めるように言った。

 

翔「まあまあ。この動かし方の中で、俺がどういうフレームと武器が得意なのかを見るんだよ」

 

潮「え、えと……これのことあまり知りませんが、戦わせるのですか……?」

 

翔「ああ。LBXは動かすだけじゃ面白味がない。だから、武器を持たせて戦わせたり、必殺技で一発逆転!とかいうものさ」

 

それに、手元にあるLBXに可哀想という眼差しを向ける。

確かに、それには賛同しなさそうな性格だよな、潮って……

 

翔「……仕方ないさ。それよりも酷い扱い方をした連中もいるさ。まっ、それはお昼の時に話そう。

それじゃ、LBXの動かし方を教えてやるぞ!」

 

CCMと肩に乗せておいたオーディーンを石畳に下ろして、動かし方を説明し始めた。

 

~~~~

 

村雨「あ~ん。難しいなぁ……」ズテーン

 

如月「くっ、ほっ!あぁ~、また倒れた~」ズテーン

 

羽黒「あうぅ~…」ズテーン

 

四人に歩き方や走り方、ジャンプやステップを教えた後、各自でLBXの操作練習にしている。

走る時にバランス取れずに倒れたり、ジャンプで上手く着地できなかったりとまだ慣れない操作の光景に微笑ましくみていた。

 

潮「……」カシャシャシャ…

 

だが、潮は別だった。この四人の中でも早く歩き方と走り方をマスターし、かつジャンプやステップの着地までほぼ合格点の操作力を誇った。

そして、今では俺の操るオーディーンには劣るが見事なCCMの的確な操作でウォーリアーを縦横無尽に動かしていた。

 

翔「凄いな、潮……」

 

潮「えっ?……そ、そうですか……?」

 

翔「いや、凄い凄い!俺が一回説明しただけで操作方法マスターしてるじゃん!」

 

それに潮は、頬を染めて照れていた。そして、跳ねているアホ毛がそれに反応してすっげえ動いていた。内心、嬉しいんだな。昔のあいつらみたいに可愛いなぁ、潮。

 

翔「もう、基本操作は合格だ!

という訳で、お前にはこのLBXを渡そう!」

 

手の平に光が集まって、あるLBXが現れた。

赤い特徴的なトサカと緑色のツインカメラ。青を基調としており、二つに中割れしている腰マントを身に付けていて、両手にクラブソードを持っている。

 

翔「『ペルセウス』だ。新素材を使った機動型LBX。さっきのウォーリアーの的確かつ速い操作を見て、このLBXが似合うと思ったんだ!」

 

潮「ペルセウス……ですか」

 

ウォーリアーと引き換えに、ペルセウスを潮に渡す。勇者に相応しいこのLBXを、潮はそれを見る。

 

翔「それに……俺の勘がこのLBXにしろって言っていたからもある」

 

潮「あ、ありがとうございます、提督……」

 

引っ込んでいながらも、潮は俺に頭を下げた。それに、俺は笑って潮の頭に手を置いた。

 

潮「ひゃわっ!?」

 

翔「そいつを……ペルセウスを大事に使えよ。でも、これから傷ついたりするから、その時は遠慮なく俺の元へ来い。直してやるから」

 

それに、潮は僅かに笑みを浮かべた。それに、俺は追い打ちをかけるように頭を撫でた。

 

翔「なんだっ、笑えば可愛いじゃねえか!」

 

潮「ひゃっ!?ちょ、提督//////(提督に撫でられると……安心するな……)」

 

村雨「む~、ずるいわよ提督。潮ちゃんばかりっ」

 

羽黒「ず、ずるいですっ」

 

如月「あらあら♪」

 

後ろに、三人が俺に羨望の目を向けていた。

それに、俺はどうすればいいのか分からなかったのだった……

 

~~~~

 

<食堂>

 

翔「四人共、凄く上手くなったな」

 

如月「ふふっ、ありがとう提督♪」

 

三時間というLBXの操作で四人共専用LBX(という名のメインキャラLBX)とCCMを渡し、かつ戦闘も可能な程腕が上がった。

 

羽黒「でも、まだまだ弱いですよね……?」

 

翔「いや、LBXが変わったからな。習うより慣れろだ。少しずつ特訓すれば、強くなれるさ」

 

羽黒「!!……頑張りますね!」

 

そういや、羽黒も馴染んでいるな。あの謝罪の言葉もなくなったし、もう大丈夫かな?

 

翔「ああ、そうだった。お前達の部屋割りだがな、村雨と羽黒、如月と潮にしようと思っている」

 

潮と羽黒の弱い部分をどうにかできるのがこの二人だ。なら、その二人を補える艦娘で決めた。

 

翔「それと、馴染めていないから第六駆逐隊……電達と隣の部屋にするから、何か困ったらあいつらに頼ってくれ」

 

特に雷は面倒見がいいからな。電や暁も似たりよったりの性格だから、四人は頼りにしてくれるはずだ。

 

如月「えぇ~?提督とおn……隣の部屋がよかったのに~」

 

翔「残念だったな、如月。俺の隣は嫁、そして隣の部屋には息子娘がいるからな!」

 

村雨も何かと残念そうだ。二人は顔が真っ赤だが……

 

翔「んじゃ、LBXについて話そうか。ん、リラックスリラックス。ちょっと行儀悪いが食べながら聞いてくれ」

 

それに、甘えるように四人は手を合わせて昼食を食べる。俺も手を合わせて、煮魚を解して食べる。

 

翔「LBXの事なんだが、正式名称は『Little Battler eXperience』。意味は『小さな戦士の体験』だ」

 

羽黒「小さな戦士の体験……まさに、LBXはそうですね。小さいですし」

 

翔「LBXは2042年……此処とは別次元の世界に生まれたものなんだ」

 

それに、四人は驚くかのように目を丸くする。

 

潮「つ、つまり、近未来の玩具を持ってきたのですか!?」

 

翔「いや、俺の能力が奇遇にもこれでな……。だから、今LBXがあるんだよ。

……と路線が変わったが切り直して、LBXは山野淳一郎という人が作ったものなんだ。それが市販化されたのがLBXだ」

 

へぇ……と村雨はテーブルに置いてあるミネルバを見る。

 

翔「だが……LBXはあまりにも超高性能すぎた。当時、その性能の高さに遊んだ子供が怪我をするくらいな」

 

如月「確かに……これじゃ、販売停止をせざるを得ないわね…」

 

翔「でも、その4年後……アスカ工業が製造した『強化ダンボール』の開発によって、LBXが安全な玩具として遊ばれるようになったんだ」

 

村雨「強化ダンボール?提督が投げた、あのジオラマの事?」

 

翔「ああ。しかも衝撃を80%も吸収するという規格外の性能だったんだ」

 

『80%!?』

 

その強度の高さに、驚きを隠せない四人。

 

如月「もうそれ、私達の装甲にした方がいいんじゃないの?」

 

翔「まっ、それもそうだな。

本来、強度ダンボールは輸送時の外箱として扱われる予定だったが、全く別の方法で使われるようになったんだ」

 

羽黒「それが、LBXのジオラマですか」

 

ああ、とお茶を飲んで頷く。

 

翔「ああ、だから別名『ダンボール戦機』とも呼ばれてるね。

……でもLBXはその性能の高さに、悪用する組織もいたんだ……」

 

翔「LBXを悪用し理想の世界を創ろうとした『イノベーター』やジャックしてLBXの暴走で世界支配を目論んだ『ディテクター』、更にはLBXを用いた世界平和という名の本当の戦争を行った『EPR』……どれも、許さざる存在だ」

 

四人共、それに強い反感を抱いた。

 

潮「LBXが……そんなに使われるなんて……」

 

羽黒「許せませんね……!」

 

翔「ああ。それ故に、山野博士はディテクターを装ったんだ。……LBXを作った過ちとして、LBXを忌避の対象にしてな……」

 

翔「でも、博士の息子のバンやその友人のヒロやラン、それに彼らの仲間がそれを拒んださ。皆、LBXというもので繋がり合えたから……」

 

村雨「LBXは、一部のせいで世界が危険に晒されることもあるけど、多くの人々に愛されているのね」

 

それに、勿論と言わんばかりに頷く。

 

如月「フフッ、もしかしたら私達もLBXというもので繋がり合えたのかしらね」

 

翔「ああ。当たり前だ。LBXは、皆に夢と希望を与え、笑顔にしてくれる最高の玩具だからな!」

 

笑顔でそう言うと、四人も笑顔で返事をしてくれた。

……俺の最初の艦娘が、こんな奴らで良かったよ。

心の中が、安心と嬉しさに溢れるのだった。




新造艦の性格

潮…原作通りに柔和で謙虚な性格。しかし提督に対する怯えがあまりないため、翔とも気兼ねなく話せる。しかし、自分に自信は持ててない様子。
LBXの操作センスは四人の中でもトップで、翔もLBXプレイヤーとしての将来を期待するほど。
使用LBXは潮の的確かつ速い操作から、機動型LBXで双剣のペルセウス。実はこのLBXを選んだ理由がある。それは……

羽黒…原作通りかなり気弱。咲姫や成人といった存在にはその性格が現れるが、翔が相手だとその性格は抑えられ、かつ普通に話している。戦闘においては芯が強く、その面では似ている性格の潮を凌駕している。
LBXの操作センスは四人の中で最も下手だったが、羽黒は芯の強い性格でもあるのか、戦いにおいて諦めはしない。寧ろ、その諦めの悪さが自らを勝利に導くこともある。
その為翔はその芯の強さを大きく発揮でき、かつパワー重視の戦闘が可能できる『トリトーン』を彼女に譲渡した。
トリトーンはナイトフレームで、弱いかと思われるが大ダメージを受けても、ブレイクオーバー寸前まで耐えられる耐久力を誇る。そして羽黒の芯の強い性格で相手を仕留める。
勿論、トリトーンを選んだ理由もある。

村雨…明るい性格の持ち主で、テンションも高め。しかし、原作に逆らってまだまだ駆逐艦……いわば子供なので(←オコサマイウナー)頬を膨らませたり、翔になついたりと可愛い一面もある。
LBXの操作センスは、性格に見合っているのか不明だが、意外に強引でハイパワーな戦闘を得意とする。
その為、翔が譲渡したLBXは『ミネルバ』。流石ソロモンの悪夢の姉だけであって、そのパワーファイトに耐えれるLBXはあまり存在しない。
村雨にミネルバを渡した理由もハッキリしている。それは……

如月…しっとりとしたおしとやかな性格。しかし、駆逐艦でもいろいろとアブナイ。そのため、意味深な事を言うと翔にチョップされる。村雨同様、やはり子供なので翔に甘える一面もある。
LBXの操作センスは攻守のバランスが良く、かつ安定した操作になった。四人の仲でも一番バランスが良いため、臨機応変な面ではトップ。
。その為、バランス重視の『エルシオン』を譲渡している。攻守に長け、短期戦にも長期戦にも対応できる如月は弱点が存在しないと言ってもいい。
勿論、エルシオンを譲渡したのにも理由がある。それは……

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