艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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第39海 鋼翼団日空母の反撃

<交戦海域外>

 

翔「……望からの装甲強化等を施したものの、航空戦力としてはトップである六人が苦戦をしてるな……」

 

ホバリングをしたライディングソーサに足を提げて、双眼鏡で赤城達と深海棲艦の戦闘光景を眺めていた。

赤城、加賀、翔鶴姉妹はチアと着物が混じったポニテとロングの中間にあたる本体らしき人型を、蒼龍と飛龍は独立した龍を相手に航空戦と砲撃戦を兼ねて戦っている。

 

翔「(にしてもあの深海棲艦……発艦の仕方がなかなか面白いな。

本体は右手のボンボンから左手の飛行甲板を模した布に供給されて、その紙が通ると艦載機へと変化する。対して龍は背と腹の飛行甲板にある箏を鳴らして、その音が具現化されて艦載機へと変化するのか……。

前者はどこかの世界にありそうなのはともかく、どちらも此処では見たことのないタイプだ。しかも、二つの発艦方法で一つの深海棲艦。とすると……)」

 

モチーフはある2隻の航空母艦から成っている。前者はアメリカ、後者は日本所属とも考えられる。

それに、戦闘光景からどちらとも爆撃による攻撃を受けても効果は見受けられない。とすると……!!

 

翔「(大鳳型とミッドウェイ級か……!!)」

 

どちらとも純粋な装甲航空母艦。しかも、ミッドウェイ級は145機と最多の艦載機数を誇っている。

どちらとも、赤城達を除く航空戦力としては純粋に強いものだ。恐らく持ってくる機体も凄いものだと予想される。

 

翔「(とりあえず……六人には悪いが、ファイナルブレイクをさせてもらう!!)」

 

左手にエルシオンハルバードを形成させ、立ち上がって交戦海域へと向かう。

 

~~~~

 

赤城「(ッ、何よこの強さ……!?空母棲姫や陸上型なんかより比にならないレベルよ!!)」

 

加賀「(ッ、優に1000は越えているわね。流石に多勢に無勢っていったところ……)」

 

翔鶴「(でも、確実にやれてる。彼方も飛行甲板に数発穴を開けてやった。これで、航空機の数が減ってくれれば……!!)」

 

目の前にいる深海棲艦は、相当やられたのか人に龍がとぐろを巻いている。龍の飛行甲板の絃も数本切れてか、龍はギリリと歯ぎしりを立てている。

 

飛龍「赤城さん……何機墜ちました?」

 

赤城「……半数以上がやられたわ。しかも、敵艦載機の的確な特攻でね。一回目は持ちこたえたけど二回目で墜ちてる。それに、まともに魚雷や爆弾も……」

 

蒼龍「……赤城さん、江草隊を頼みます。貴女の火力ならば、この子達を活かせる気がします」

 

飛龍「加賀さん、友永隊をお願いしてもよろしいですか?」

 

加賀「飛龍……ええ、分かったわ。友永隊、一時的に私の航空隊として働いてもらいます。いいですか?」

 

手に持った矢からは友永隊は勿論、その機体にある妖精さん達の了解の言葉が響く。

それに私は少しだが口角を上げて、傷だらけの手でそのうちの一本を弓にかけた。

 

瑞鶴「待ちなさい、加賀さん!私も岩本隊をやるわ。アンタの力なら、この飛行隊を生かし続けながらも多くの敵をやれるはず。終わったら、返しなさいよ!!」

 

加賀「……ホント、バカな後輩ね。いいわ、この子達を借ります。ただ、私の持つ徹甲矢を渡すわ」

 

瑞鶴「……フッ、これでやれってことね」

 

瑞鶴も笑って、飛龍の艦載機が宿る矢を貰う。赤城さんを見ると、翔鶴から村田隊の艦載機を貰ったようだ。

これで……やれるわ!!

 

赤城「飛龍、蒼龍!とにかく、龍達の力を使って足止めして!!翔鶴と瑞鶴は、私達の航空隊の道を作りなさい!!加賀さん……分かってるわよね?」

 

加賀「……無論よ、赤城さん!!」

 

そう答えると蒼龍と飛龍は最前線に、翔鶴と瑞鶴は私達の前に立つ。最前線二人を除く私達は弓に矢をかける。

 

飛龍「さてと……行くわよ!!」

 

蒼龍「ありったけの氷で足止めして!私の負担なんかいい、全力で敵を止めて!!」

 

『『グルアアアアアアアァァァァ!!!!』』

 

龍神棲帝『ッ!ヤレッ!!』

 

グルアアアアァァァ!!!

 

雷と氷が、人型を守る龍を襲う。それに負けじと龍が二人に接近して、接近武器になる弓を持つ腕に喰らいついた。

 

蒼龍「ッ……!!!赤城さん達をやらせるかァッ!!」

 

飛龍「これでもッ……喰らえッ!!!」

 

腕を喰われたが、咄嗟に弓を持ち替えて鋭い刃を龍の脳天に突き刺す。それに、龍はもがくが雷と氷の吐息がそれを黙らせる。

 

翔鶴「ッ……!!!」

 

瑞鶴「さっさとやられろ!!」

 

押さえつけている間に、二人が回りこんで龍にめがけて徹甲矢を放ちまくる。咲姫さんの訓練が生きて、1秒に2発放っている。

それに、私と加賀さんはぴくりとも動かない龍を踏み台にして人型に矢を向けた。

 

龍神棲帝『クッ……ナメルナァ!!この私の名の戦いでやられたスクラップ航空母艦ガァッ!!!』

 

『……はぁっ?』

 

バシュッ!!!

 

ミッドウェー海戦の名を持つ存在?何よ、それ。私は確かに沈んだけど、もうあの戦いに未練はないわ。

岩本隊の烈風が江草隊の流星艦爆を守っている。その隙に私達は雷撃できる友永隊と村田隊の流星艦攻をすぐに放った。

 

ドゴドゴドゴオオオオオォォォォォン!!!!

 

蒼龍「ッ……あーあ、腕やられたなぁ」

 

飛龍「こりゃ一日中ドックだったりして」

 

瑞鶴「二人共勝ちを確信しないで!!まだ……まだやれてるか分からないのよ」

 

水面に着地し、爆撃と雷撃を一斉に受けた龍神棲帝を見る。煙と水柱が晴れていく。

そこには……

 

ブオォォンッ!!!!!!

 

『!!!!』

 

その時、龍神棲帝の人型と龍が重なる位置のど真ん中に、一筋の光が貫通した。煙は晴れ、私の髪がその風圧に流される。

 

龍神棲帝『ア……私ハ……私ハ、一人ダッタ……タッタ一人ノ友達モ……私モ、沈ムンダ……。

アッ……私モ……友達の本当ノ姿が……見える!!」

 

『ファイナルブレイク』

 

その子の言葉と無機質な単語の言葉の直後、人型と龍が輝き始めた。それに私達は一歩二歩と退き、その眩い光に腕で遮る。

光が弱まり遮る腕を下ろすと、そこには人型の所にはチアガールの服を着た少女が、龍には着物を着て箏を抱き締めた少女が水上で眠っていた。

 

赤城「……とりあえず、撃破ってことでしょうか?」

 

加賀「……そうね。とりあえず、この子達を抱えて帰りましょう」

 

飛龍「あー、ゴメン。私達無理。誰か手を貸して」

 

翔鶴「なら、私達がその子を抱えていきましょう。赤城さんと加賀さんは二人をお願いします」

 

馬力の強い二人の事だからと、私と赤城さんは飛龍と蒼龍の肩を組む。片腕は無いものの、まるで慣れてるような表情だ。

とりあえず、私達の鎮守府へと帰るのだった。

 

~~~~

 

<執務室>

 

成人「……ふむ、どうやら撃破しましたか」

 

成人「しかし、あの深海棲艦……名前の最後はテイ……皇帝の『帝』のことか」

 

成人「(深海棲艦め……新たな脅威を作りやがったか。こちとら海軍の連中も、キラードロイドも相手してるってのに)」

 

成人「(……まあ、姫や鬼クラスより上なのだから、元となった艦娘の能力も高いものと考えられる。

あー、計画艦とか欲しいなぁ。超大和型とかモンタナ級とかH43とかH45とか超甲巡とか……あっ、赤城のお姉さんである天城とか加賀の妹の土佐とか最上型で最初から空母になりかけてた伊吹とかもいいな。信濃は……)」

 

成人「(……っと、逸れた。

ともかく深海棲艦の新たな脅威として『帝級』が現れたこと、そして赤城達の戦いから魔改造レベルの改装が必須であることを記録しておかねばならないな)」

 

成人「ハァ、明石達には本当に申し訳ない限りです。とりあえず、僕も艤装開発の一人として着手しなければならないのか……」ハァ




<龍神棲帝(リュウジンセイテイ)>

耐久 2000
火力 UNKNOWN
対空 500
雷装 0
装甲 1500
搭載 3000

トラック泊地を爆撃した新たな深海棲艦。既存の深海棲艦を超越する性能を誇り、魔改造による性能強化とトップクラスの実力を兼ね備えた赤城達に善戦するなど鋼翼団の艦娘にとって新たな脅威となった。
特有の白い肌であり、全体的に白黒となっている。空母棲姫のような中間的な髪型をしており、ポニーテールとロングヘアの中間を取る髪型をしている。着物とチアガールの服を足して割った服をしており、足はシューズに合わせて黒い装甲に覆われている。右手にボンボン、左手には飛行甲板を模した旗を持っておりそれから発艦する形となっている。
そして、人型を取り巻く龍は深海棲艦の特徴を踏襲しながらも幻獣としての姿もしっかりしている。4本の手足を器用に用いて、背中と腹に装着された箏型の飛行甲板から弾いて艦載機を発艦させる。
艦載機はレシプロ機に酷似していながらも既存のレシプロ機を大きく上回る性能を誇り、赤城達に搭載された名無しのパイロットが乗った烈風、流星はほとんどが撃墜されている。
人型と龍はお互いを友達や相棒を想って見事なコンビネーションを見せつける。しかし乗せている艦載機の扱いは酷く、艦載機に特攻させるなどただの消耗品に過ぎないなど冷徹な一面も持つ。しかし、逆に音速で飛び交う軍神に突撃するという艦載機の練度も凄いことが窺える。
モチーフは日米それぞれが所有していた装甲航空母艦『大鳳型』と『ミッドウェイ級』。しかし大鳳型をモチーフにしているのにしては細部が異なっていると大鳳型と断言できるものではなかった。
成人が考察するには、ただの大鳳型でなく本来計画されていた『改大鳳型』であるということらしい。しかし、艦名は彼でも分からないらしい……

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